妹がVTuber……らしい。それどころじゃない 作:ズッカーニ
謎の黒い仮面ライダーマイスは別カウントで…
不可思議は神出鬼没。いつ現れるかわからない。
かといって放っておくわけにもいかないもんだから、割と常に気を張り詰めておく必要がある。
休日だろうが気を抜くなってこと。
「ハッ!」
「せいッ!!」
って訳で、健やかな休日に関してはもう諦めてる一方で……問題は講義のある日。
当然単位諸々がある分ズル休みもできなければ、途中退室も厳しい。
不可思議と戦ってるんです!って言ったって誰も信じやしないだろうしな。
特撮の見すぎだろって呆れられるだけで、到底遅刻欠席の理由にはなりゃしない。
でも不可思議を放置したら大変なことになる。
…じゃあどうするか?答えは簡単。
お祈りだ。
冗談みたいに思えるかもしれないが、事実としてこうするしかない。
俺が何人かいたらしっかりやるつもりなんだが、あいにくの話、俺の体はこのひとつだけ。
トイレって手ぇ上げて抜けて、爆速で不可思議倒したって、何食わぬ顔で帰っては来れない。
とっくの昔に講義も終わって、ワンチャン次の講義が始まってるまである。
仮面ライダーなんだし、専用マシンくらいくれよとはずっと思ってる。祈り届いたことないけど。
交通費だけでケツから火ィ吹きそうな状況がもうかれこれ3年くらい続いてんだよな。マジ無い物ねだりって虚しいわ…
Q:なんで俺だけがこんな苦労を?
A:俺が始めた物語だから
学生っていう社会的身分を確保するためには、この苦労も必要経費と化す。
その点、ニートなら色々楽だろうが。ぶっちゃけそれは論外。
今の時点でバイトしないの?って言われまくってるくらいだし、ニートなんかそもそもさせてもらえないに決まってる。
あと単純に恥ずい。
真白からお札差し出される日常とか御免被るってもんよ。
……なんて、こんなこと気にしてるようじゃまだまだ甘ちゃんな訳。
本当に不可思議から家族を守りたいって思ってるのなら、まずこんなくだらん事気にしてる場合かって話。
なんせ、相手はあの気色悪くも、力だけは確かな化け物共。
己の人生を捧げてでも、専業で狩り尽くすくらいの覚悟でもなきゃ到底無理に決まってる。
だってあいつらカス!って連呼したくなるほど理不尽がすぎるんだもの。
死にたくはないのが本音ではあるんだが…最悪は常に想像してある。
俺の考える最悪は、俺がムシャムシャされ、家族もまた腹を満たす餌にされてしまうこと。
俺が危険へと身を投じれば、家族の命は守られる。…とは流石に思わない。
自己犠牲精神はかっこいいけど、それで全てが上手くいくかといわれれば、全然そんなことはない。
そんな都合のいい造りをしてないんだよなぁ、現実って。
理不尽なんてそこら辺に溢れてるし、常識の範疇を軽く飛び越えた化け物だって実在してる。
手が届く範囲にはどうしても限界があって、家族の命が零れ落ちてしまえば…俺にはどうすることもできない。
だったら、諦めるしかないのか?
あの不可思議の恐怖に怯えながら、家族の今日に安堵するしかないのか?
…そんな簡単に諦められたら苦労はしなかったろうな。
諦めの悪い俺は、
……この世界には、あのマイスを初めとして、俺が
その者たちの名は…十二支同盟。
十二支という名前からわかる通り、干支に纏わる動物たちが深く関係している組織だ。
何を隠そう、あの日俺を助けてくれたマイスは、なんとこの同盟の代表なのである。
例の神話知ってる人ならなるほどってなる人選。もとい動選。
それはさておき。十二支同盟の話に戻ろう。
十二支同盟という組織は、数えること百年前から活動を行っている。
その目的はただひとつ。
人喰いの怪物、不可思議から人々を守ることだ。
相手が人喰いの化け物である以上、負けたら喰われて死ぬのは当たり前の話。
だからこそ、わかった上で尚も不可思議に挑む、同盟の皆さんには本当頭が上がらない。
そんな黄金の精神の持ち主だからこそ、ライドエグズとベルトを受け継ぐ資格を得られたんだと思うしな。
……いややっぱり仮面ライダーやないかい!
もしもしマイスさん、あなたまさか1号ライダーだったりしませんか?…と、脱線した。
さて、十二支同盟を語る上では、切っては離せない要素がいくつかあるわけだが。
その最たるものといえば、
神話だと、ネズミに騙されて十二支に加われなかったネコだが、この十二支同盟においては、ネズミと並ぶもうひとりのリーダー枠として扱われている。
ねずみ年の年賀状とか見てもらったらわかると思うんだが、ネズミとネコって案外ニコイチ扱いされてたりするからな、そういう考え方が浸透してたりするのかもしれない。
頭が二人いる以上、思想や理念で頭同士が衝突するとちょっとめんどくさいことになるのは周知の事実。
けど、まぁ、二人とも人の意見をしっかり聞き入れるタイプのリーダーだからな。割かし杞憂なところもある。
互いの長所と短所を補い合える良い意味の凸凹コンビだし。
そうなると心配になってくるのは下の暴走だが、こっちもほぼほぼといっていいほどありえない。
なんてったって十二支たち本人が、マイスとマオウに心酔してるんだもの。
…まぁかくいう俺も、ネズミとネコに忠誠を誓った身の上なんだが。
きっかけがとしては…マイスに救われた後のウェイトが大きい。
おぞましい化け物に襲われたと思ったら、今度は子供の頃憧れたヒーローが現れて、自分を救ってくれた。
ぶっちゃけ、テレビの中の特撮でしか見ないような光景だったし、気力の限界でバタンキューって気絶したと思ったら、なんでか自分家のベッドで寝てたからな。
……あーなるほど夢ね。なるほどなるほどうんうん。
この世界に転生して十数年。
てっきり、いよいよなんかの物語が始まってしまったりしたのかと戦々恐々した。
……うん!やっぱすげぇ怖い悪夢だったんだね!あれは夢、夢だからOK!って、何とか自分で自分を納得させて落ち着かせました。
かなり無理がある?うるせぇ。
夢であって欲しかったんだよ。俺としては。
あの化け物が現実にいたらどれほど恐ろしいことか。
あんなのは架空だからこそいいんだよ。
「あぁよかったぁ。マージで夢でよかった…」
ほんのちょびっとだけでも残念に思わなかったのかと言われれば、そりゃ首を縦には振れんけど。
でもクソデカ安堵のため息がめっちゃ長かったのは本当。
なんなら吐きすぎて息苦しくなるくらいには吐いた。
そっからは極力普通の高校生活を送った。
「楽しいことばっかしてたらそのうち悪夢の記憶も忘れんじゃね?」
「天才か」
アドバイスももらったから、その通りにやってみようってな。
あんだけ鮮明に覚えているってことは、それだけ記憶に焼き付いてるってことだし、当分はフラッシュバックとかも大変そうに思うけど、果たしてどうか。
半年以内に忘れられてたら上出来かねぇ。
……とか考えてたら襲われましたねぇ、また。
「ふ、ふざけんなよッ!なんで俺なんだよ死ねよボケが…ッ!!」
先に襲われたあれとは違い、遊びも何もなく、ただただ食べるために襲ってきた化け物。
おもちゃにするつもりもさらさらない以上、端から逃がす気も全くない。
またたく間に袋小路に追い詰められ、逃げ道を奪われてしまった。
「せっかくたすかったのに…なんで、なんでなんだよ…」
あんぐりと口を開けて迫る化け物に、背がピタリとくっ付いた壁を殴るしかなかった。
顔が涙とか鼻水でぐちゃぐちゃになって、もうまともに前も見れなくなって、脳内に流れる走馬灯を呆然と眺めてた。
そしたら……もう間近まで近付いていた化け物の後方辺りに、ふと赤い影が見えた気がした。
――かと思えば、瞬き1回の間に、もう化け物のすぐ背後に立っていた。
「失礼」
「gyyyyy!?」
「彼もまた、僕らが守るべき人々の一人だ。手を出さないでいただきたい」
背を掴まれ、強制的に後ろを向かされた化け物。
無理矢理のそれに、思わず体勢を崩した化け物へと、強烈な握り拳が突き刺さる。
「G、ghhh…!」
「時間をかけるつもりはないのでね。悪いが、仕留められてもらうよ」
「Aaaahhhhh!?」
どこからか出現した大剣が赤い人物の手に収まり、ザンッ!と化け物を一刀両断。
化け物が切られた部分を苦しげに抑え…やがて悲鳴をあげ、爆発した。
「討伐は完了。さて、次は」
爆炎が辺りを照らし、同時に、化け物を撃破した赤鎧の人物をも照らし出す。
赤い猫…赤い猫だ。
トゲトゲしたアーマーが無数に装着された深紅の装甲は、正しく猫を象っている。
優雅に揺れ動く尻尾状のパーツも相まって、赤猫と呼ぶのがすごくしっくりきた。
…けど、そんな感想を持つよりも、もっとやるべきことがあるんだよな。
観察もそこそこに、すぐさまその赤猫の元へと駆け寄り、膝を付いて感謝の念を捧げる。
「ぁ…りがどう、ござい"ま"す"…!ありがどうございばず…!」
思ったよりも汚い声が出てしまった…
これ、相手からしたら嗚咽まみれで何言ってるか聞き分けれたもんじゃないんだろうな。
それでも言わずにはいられないんだけど。
「うん。わかったから頭を上げてくれないか」
あっ、流石にペコペコしすぎですか。わかりました。
「ヴァンケンとダットが言っていたのは…なるほど。当たらずも遠からず、という訳か」
?、今、なんて言ったんだ…?聞こえなかった。
いや、それよりもっ!
「あっ、あなたたちは、あの化け物と戦ってるんですよね?この前と、今日みたいに!」
「君と僕の考えが一致していれば、そうだねと答えられる」
「だ、だったら…お願いしますッ!」
地面に膝を着き、
「家族を、俺の家族を守ってください…!お願いします!」
赤猫は即答しなかった。
ま、当然の話だろうなと今は思う。
十二支同盟の立場からすれば、助ける人に優先順位を作ってくれといわれてるようなものだ。
救う相手が人間である以上、これまでにも何度も言われてきたであろうことはまた、想像にかたくない。
暫しの沈黙の後、赤猫が返答する。
「…確約はできない」
「あ……は、はい。そう、ですよね」
落胆に体から力が抜ける。
「たしかに、僕たちにも、長年不可思議から人々の平和を守ってきたという自負がある。けれど、全てを守りきったとは…口が裂けても言えない」
赤猫のその言葉は、これまで知らなかった世界の"裏側”を強く感じさせるものだった。
「可能な限り努力はする。けど、確実ではないということだけは、覚えておいて欲しい」
肩に手を置かれて、優しくそう諭され、俺は……
はい…と頷きかけた時、日本の年間行方不明者数がふと頭を過ぎった。
初めて化け物に襲われたあの日。
現れたマイスに救われる形で、何とか生還が叶ったことになるのだが…考えれば考えるほど、あの生還は薄氷の上に齎されたものだと思い知らされることになった。
それもあって必死に忘れようとしたんだけどな。こうなっちゃもう無理だって…
「ふむ。しかし……いや、そうだね。認めようか。君に関しては、少々事情が異なることは事実だ」
…思わず口からこぼれた独白は、どうやら赤猫に届いたらしい。
どこが刺さったのかは、わからんけど。
「突然で申し訳ないが、こちらから質問させていただいても?」
「ど、どうぞ」
和かな声での問い。
しかし俺の目が幻視したものは、その声色とは真反対とも言える、どこか底知れなさを感じる重たい圧だった。
「最近、体に違和感を覚えた記憶はないだろうか?」
「違和感、ですか…」
「どんな些細なものでもいい。聞かせてくれないか」
急にそんなこと言われたって…普通の人なら思うだろう。
そう、普通なら。
じゃあ”転生"という、明らか普通とは言えない体験をして、今という第二の人生を歩む俺はどうなのかと言われれば…
「っ!」
息を呑む。
「心当たりが、あるようだね?」
そして、当然赤猫は見逃してはくれない。
「で、でも、医者に診てもらってもストレスくらいで他は異常もないって…」
あれはただの悪夢だった。
そう言い切れる材料を求めて、少し前に病院に行ったりもした。
ストレスは悪夢を見たからで説明付けられるな!何度もうんうん頷きながら帰宅したのを覚えている。
「申し訳ないが、僕は
…肉体的。
「僕は予め知っていたからこそ注視できたが…知らなければ、何も違和感を持つこともないだろう」
「知ってたって…どういうことですか!?まさか、俺が襲われることわかってたって言いたいんですか!?」
だったら意味変わってくるんだよなぁ…!
「落ち着いて欲しい。君には聞く資格があるからね、きちんと話させてもらうよ」
「落ち着いてられ…!」
口元に指を当てられ、制止される。
渋々引き下がると、赤猫は満足気に頷き、周囲を見回した。
「立ち話というのもなんだから、少し座ろうか」
右手で近くのベンチを指し示し、左手でベルトに装填された卵を引き抜く。
えっ?抜くってことは…
光と共に鎧が描き消え、現れたのは長身の男性。
格好が暑そう…
「まず、知っていたとは言ったものの。僕らも詳しくはわかっていないということは、念頭に入れて欲しい」
「…はい」
でも本人が気にしてないなら、いいんかなぁ。
「僕には志を同じくする同士たちがいてね。その中に、不可思議の感知を担っている者もいるんだ」
不可思議ってあの化け物だよな。
それを感知ってことは、なんかわかりやすい波動みたいなの放ってたりするのか?
「ふたりはそれぞれ、優れた聴覚と嗅覚を用いて、不可思議の出現を感知、即座に現場に急行し、不可思議を補足するのが役目だ」
思ったより原始的だった。
「そして、ここからが先程の言葉に繋がってくるのだが」
「…」
その口ぶりから察するに、恐らくここからが本題。
佇まいを正し、聞く姿勢を整える。
「君からは、どこが似た臭い、あるいは音を感じるらしい」
「臭いと、音?」
――「似てはいるが、あくまでも別の臭いがしてな」
――「少し、音が軽く聞こえる」
「こんな言を、ふたりから聞いている。それも、急に感じ取るようになったらしくてね」
「急に?十何前からとかじゃないんですか?」
俺が転生者だから、って訳じゃないのか…?
「ほんの数週間前から、との事だ」
「数週間前…それって」
あの化け物…?
「だが、不可思議に襲われ、不可思議と似た気配を纏うようになった…という事例は他に聞いたことがなくてね」
チラリ。
こちらに向けられた瞳と目が合う。
「君だけがそうなのか。はたまた、君の血族にあたる者たちもそうなのか。皆目見当もつかない」
「……」
これまで俺の頭の中では、理由こそわからないものの、あの化け物どもは俺が転生者だということを感じ取り、襲ってきたのではないか?という考えが渦を巻いていた。
でも、違うのか?本当はそうじゃなかったのか?
…もし、この人の言う通り、俺以外も当てはまるのだとしたら…
「ど、どうすれば、いいんですか…?」
どうすれば、あの化け物に襲われずに済むんですか…?
「お願いします…!俺にできることならなんだってします…!だから、だからどうかっ!」
「なんでもは、言うべきではないよ」
「で、でも…っ!」
再びの制止。
「視野が狭くなれば、考えも思いつかなくなる」
「…すみません」
困った。
言葉を荒らげていた自覚があるだけに、何も言い返せない。
「さて、ここでひとつ、提案があるんだ」
静かになった俺へと、そう持ちかけてくる彼。
「まずは、これを見て欲しい」
「あっ、さっきの。でも色が違う…」
なんなのかわからないが、なにかのイラストと、1と思わしき数字が描かれている。
意図が理解できず、卵と男性を2度見する俺。
「見たことは?」
「…ありません」
聞いたことだってない。
「だったら、触れてみてくれないか?」
「はっ?」
「ほんの一瞬だっていい。少し、気になってね」
「は、はぁ……ハッ?」
光った。めっちゃぼんやりだけど。
え、でも光ったよね?今…
「まさかとは思ったが、本当に…」
「い、いや、考え込んでないで説明してくださいよ」
あなたのなんでしょ?この卵。
頼むから説明してくれよぉ…お願いしますって。
「一言で表すなら、力の源だね」
「変身するための、ですか?」
前世で散々見てきた某仮面のライダーたちを思い返す。
小さい頃、親に強請って買ってもらったおもちゃを巻き付け、何度も叫んできたその代名詞を口にしてみれば…男は一瞬驚いたように目を細め、やがて口元を緩め微笑んだ。
「おやおや、知っていた口かな?」
「わかってて言ってます?」
「冗談さ。ただ、ドキリとしたのは事実でもある」
全くそうには見えんのですが。
あまりにも余裕たっぷりすぎて貫禄すら感じる。あと単純にカリスマがえぐいし。
「実は、近日不可思議に進化の兆しが見られていてね」
「えッ?」
進化?進化するの?あれが…?
マイスとこの人は軽々ぶっ殺してたけど、俺からしたらあんなん今でさえ無理なのに…
「さらには、我々もその全容を把握できていない始末だ」
「だ、大丈夫なんですか?それ」
やばい。失礼かもだけど、めっちゃ不安になってきた。
俺になんかあるっぽいのは半分確定みたいだし、あと何年生きられるかな…
「先程僕は、提案と言っただろう?」
「そう、ですね」
「今僕の頭の中では、ひとつの仮説が浮かんでいる」
進化の兆しを見せる化け物と、何故かその化け物と似た何かを発しているらしい俺。
あー、なんとなく想像ついちゃった。
「端的に言えば、君と不可思議には、何らかの関係があるのではという話だ」
…自分でもそう思えてきましたよ。
「だからこそ、これだ」
「赤いハンマー?でもなんかゴテゴテしたパーツが」
それに、ハンマーにしては可動域とかもめっちゃ狭いように見える。
ジョイントみたいなパーツもあるし、なにかに取り付ける前提か?
「すごいね。一目見ただけでそこまでわかるとは…正解だよ」
懐から取り出したさっきのハンマーとは違い、所持していた鞄に手を伸ばす男性。
見た感じ、そこそこ大きそうだ。
「今の君ならば、あるいは使いこなせるかもしれない」
その言葉と共に、見せられたものの正体は…正直わからなかった。
ちょっと古そうな格好とは正反対の、めちゃめちゃ近未来的なデザイン。
こっちにはジョイントの穴っぽいのがあるし、さっきのパーツを取り付けるのはほぼ確定か。
「これはドライバーと言ってね。この制御バックルと併用することで、ライドエグズの力を引き出す装置だ」
「ドライバー、ライドエグズ…」
思いっきり仮面ライダー用語です本当にありがとうございました。
えっと?ニチアサって人喰いの怪物出していいんですかい?子供泣きません?
アマゾンズばりのグロ映像見た記憶があるんですが。
まぁ、それはそれとして…
ドライバーと、制御バックルへと手を伸ばす。
「ありがとう、ございます」
提案って言ってたし、多分そういうことなんだろうなと思って。
「話が早くて助かるが。本当に、いいのかな?」
「何もできずに喰われて、無様に死ぬくらいなら」
この力があれば…みんなも、守れるかもしれない。
一度死に、もう一度生まれ直した。
――本来、その立場にいるべき赤子を殺してまで、成り代わった。
それでも…それでもっ!母さんたちは、ここまで必死に育ててくれたんだ。
自慢の子供だって!
その恩を、返す時だろ…ッ!
ドライバーを握る手に、力が籠る。
「覚悟は立派だと思う。それでも、よく考えてからでも遅くはないよ。そのドライバーを手にすれば、君は否が応にも十二支同盟の一員として数えられる。後戻りができるのは…今、この瞬間までだ」
はっ、はは…
せっかく覚悟決めたってのに、なんて事言うんだよ。この人。
歯がガチガチと音を鳴らし、体がみっともなく震える。
重々しい強い感情の込められた静かな声に、思わず萎縮してしまいそうだった。
…でも。
「っ!」
制御バックルを握る手で、己の頬を強く殴る。
何怖がってんだよ…もう決めただろ?
恩返しだよ。もらった分だけ返して…報いるんだよ。
終わったことは終わったことだ。
けど、俺は覚えてる。忘れられない。未だに悪夢だって見る。
だからこそ、報いる。
俺が消したあの子の分まで生きて、みんなを護ってみせる…!
「……そうか。なら、君はこれより、
次回!本編にチーズ泥棒正式登場!待ち遠しいですね!
というか十二支のエミュムズすぎますね…あかん無理かも
尚、不可思議の食べ方は個体によってそれぞれってことにしておきます。このお話の中では。