「邪魔するぞ」
捕まえた騎士を縄で引き、騎士団
「ちょ、ちょっと待ってください!貴方誰なんですか!」
奥の部屋に向かおうとした所を、書類仕事をしていた女騎士に止められる。
「
「じ、尋問官……?」
「ラルバとブライトを連れてきてくれ」
「分かった」
人呼びと女騎士の対応を騎士達に任せ、部屋の扉を開く。
「中に入りな」
「ぐっ……なにをしても無駄だ!」
「はいはい、無駄かはこれから試すから待ってろ」
「おーいそこの」
遠くに見えた数人の青い
「なんでありましょうか!」
傷の少ない鎧と、喋り方からして新米騎士ってところだろう。
「今からこいつらを順番に取り調べをするから見張ってて欲しい、できるか?」
「了解しました!」
「よろしくな、あと家名ちらつかせて脅そうとしたらすぐに俺を呼べよ」
魔封じの
「はい!」
「良い返事だ」
部屋の中に入り真ん中に置かれた机をどかし、椅子に騎士を座らせて目の前に立つ。
「じゃあ始めるか」
「……」
騎士は苦い表情をしながらこっちを睨みつけてくるが、この状況になってもまだ反抗的な態度が取れるってのは、逆に感心してしまう。
「お前の名前と所属部隊は」
「……名前はウズベル、レイテ隊所属」
「じゃあ一個づつ聞いてくぞ、ちなみに全員に同じこと聞くから嘘は付かない方がいい」
『リュート、僕だ』
早速
扉を開けると、ブライトと長髪の男が一緒に入って来た。
「速いな、近くに居たのか?」
「うん、相変わらず
「まあな、そっちは何か
「いくつかね」
ブライトは若干の
「あんたがラルバ隊長、で良いんだよな?」
「そうだ、君は騎士アルテアだな、騎士団を
離れた街とはいえさすがに隊長格には知られているか、新米なら
「彼には僕から協力を
「君が?」
「はい、彼の実力は信頼に
「……そうか、私を呼び付けた事とそこの者が捕らえられているのは、近頃起きている事件と関連していると考えて良いんだな」
意外と
「理解が早くて助かる、ここに染まってないアンタがいないと
「ふん、
試しに持ち上げてみたが、軽く流す所からして
信頼には足りないが信用は出来る、まあこれはお互い様か。
「さてウズベル、騎士の行方不明にはお前達が関わってるってのは間違いないな」
「――っ」
どうやら素直に喋ってはくれないらしい。
剣の
「ま、待ってくれ!間違いない!」
「聞きたい事は
後四人
「行方不明になった騎士達はお前等が殺して
「間違い……ない」
「
騎士の証言にラルバが言葉を吐き捨てる。
「なんで殺した?やましい事でも
「警告はした!何度もだ!俺だって殺したく無かったんだ!」
少なくともこいつらが自主的にやったのではなく、誰かに指示されたって事なんだろう。
「んな事は今聞いて無いんだよ。ブライト、そっちの調査はどうだった」
「ああ、うん。まず騎士団内の
とすると、長い間情報を
単純な武力、権力、資金力はかなりの物があると考えていいだろう。
「そして行方不明の
「今も続いてるんだよな」
「……そうだね」
「行方不明者のご家族についても色々と調べてみたけど。通常の資金援助に
そして、無事を願って支払われた金は何か別の事に使われているという訳だ。なんとも
「
「ウズベル、お前らに指示を出してるのは誰だ?」
「そ、それは言えない!これだけは無理だ!」
隊長のラルバ、
もしくは別の理由があるのか。
「殺した理由はなんだ」
「それも言えない……!」
溜息しか出ないな、これ以上の話は意味が無さそうだ。
恐らく他の面子も情報を吐きはしないだろう。
「ウズベル、俺の目を見ろ」
ある魔術を無詠唱で起動すると、足元から湧き出た純粋な黒が広がっていき部屋一面を呑み込んでいく。
「な、なんだこれ!」
「騎士アルテア!君は一体何をしている!」
「ラルバ隊長、彼は無意味な行動をする相手ではありません」
ウズベルの足から闇が
「嫌だああああ!死にたくない!」
「殺しはしねえから安心しろ」
とはいえ
ウズベルの頭を掴みこちらに向かせ目線を合わせる。
「お前らに指示を出したのは騎士団長、それとも副団長か?」
『————!』
ウズベルの心臓付近から魔力の鼓動を感知した。
「お前契約したんだな、そいつと」
ウズベルの目が大きく見開き、表情が
「契約だと……?人を
「スライムに人食わすような奴らは従わないだろ、ブライト魔力貸せ」
「もちろん」
ブライトが手の平を俺の背中に当てる。
「魔術契約の内容は情報の
「待て、何をしようとしている」
「こいつに仕掛けられた魔術を破壊する、集中するから後はブライトに聞いてくれ」
精神を集中し身体中の魔力を練り上げながら、ブライトの手から送り込まれてくる魔力を変換し自分の物に合わせていく。
『魔術を破壊だと?そんなことをしてこの者の身に何かがあれば、情報が
『そんな事は起こり得ませんよ、彼は僕が知る中でも一番の魔術精度を持っていますから』
ウズベルの体内に闇の魔力を
「案の定防護術仕掛けてやがんな、『追跡』『感知』『遠隔操作』『加熱』か」
対象の位置を
しかも、いざとなったら遠くからでも魔術を起動して殺すことも出来ると。
さらには魔法陣を見つけられてもいいように、触れた相手に攻撃をする術式を刻む
「解析完了」
ブライトから引っ張り闇属性に変換した大量の魔力で魔術の起動を封じている間、左手の上で緑に光る魔法陣を展開し新たな魔術を組み上げていく。
「『目覚めよ、
完成させた魔術を
「よし解除成功っと、ブライト、ここの騎士団
「騎士団本部を含めて
「了解」
ウズベルから手を離し両手を天井に向け、再び魔法陣を組み上げていく。
「これから街全体に魔術を掛けるから、もし上に何か言われたら
「何を言って――」
ブライトから魔力をさらに引っ張り出し魔法陣へ流し込んでいき、気付かれる前に素早く完成させる。
「よしできた、『目覚めよ、逆巻く円環よ』」
部屋を満たしていた闇の魔力を消し去り、窓の外に向け魔術を起動する。
魔法陣は窓の外へ飛び出すとその向きを変え、高速で街の上空にまで浮かび上がると。眩い
「なっ……!」
「ウズベル、お前らに指示を出したのは誰だ」
「……カルドリク副団長だ、彼に邪魔をする者を殺せと命じられていた」
「馬鹿な……!」
事件の
「後は
「……良いだろう」
いまいち納得がいっていないという様子だが、呑み込んでくれたようだ。
「あ、額に緑の十字が付いてる奴以外な」
「どういう事だ?」
「副団長と契約魔術を交わしてた証だからな」
さっき作り上げた魔術に少し付け足した効果だが、まあ役に立つだろう。
部屋の外に並んでいる騎士達の額にも緑の印が浮かび上がっている。
「こんな感じで分かりやすい目印付けといたから、
「分かった、君達はどこに」
「副団長殿に挨拶してくるよ」
「あ、あの……」
声の方に目をやると新米騎士達が困惑した様子で待機していた。
「我々はどうしたら……」
「取り敢えずこいつらを
「わ、分かりました!」
ラルバ達と別れ、
「ブライト、お前に探して欲しい場所がある」
「分かった」