翌朝、扉を何度も叩く音で起こされた。
「
「お
「あははっ、
ブライトは
「なんだこりゃ、毒か?」
「コーヒルって飲み物だよ、以前
「ふーん……」
容器を持ち上げ黒い液体をほんの少し口に
すると深みのある
「まずくはない、けど
「じゃあこれ入れてみて、僕のおすすめは二つかな」
白い四角の砂糖が
言われるがまま金属製のつまみで砂糖を掴み、二つを液体の中に投下する。
銀の
匙を置いて再び口を付けると、甘味によって苦みが抑えられ香りにより集中することが出来る。
「なるほどな……」
「んで、
「え?」
「おい」
「冗談だよ、カルドリクが
「なんだと……?」
並大抵の魔物よりはるかに
「被害は出てるのか?」
「
街も特に騒がしくなかった、そこら辺をうろついてるって訳でも無いらしい。
「そりゃなによりだが、俺を呼び出した理由はなんだ」
「合成魔物の
「ここの団長殿に話は通してあるのか?」
「もちろん、最初に報告しているよ」
ブライトがここら辺を忘れるわけが無いし、まあ形だけの確認だ。
「分かった、今の
「助かるよ、まずはこれを見て欲しい」
ブライトは一冊の本を取り出し開くと、机の上に置きこっちに寄せる。
「
「そこら辺は普通だと思うけど、リュートが気にしなさすぎなんだよ、前に
「分かりやすいってお前も言ってたじゃねえか」
「
「うっせ、本題に戻るぞ」
俺が分かりやすく書いたってのに、丸々修正させられた記憶を掘り起こしやがって。
「……最後の記録は三日前か、合成魔物が見つからないってのと、お前への
一応研究対象への
「僕が到着したのはその前日、カルドリクと話したのはその次の日だね」
会ったばかりでこんだけボロクソに書かれるとは、後ろめたい事してる奴にはブライトの詰つは
さらに
『本日
「特別被検体ってのは」
「人を含めた様々な生物の因子を
ブライトは新たに持ってきた紙を机に置く。
そこには何かしらの液体で満たされた容器の中に、長い黒髪の少女が浮かぶ様子が描かれていた。
「意外と絵心あるんだなあいつ」
「周囲の人達によると、絵画が趣味でよく
「なるほどな」
その辺りもしっかりと調べてるのがブライトらしい、まあどうでもいい情報だが。
「しかしこれが恐ろしい合成魔物ねぇ、本当に一人も被害が出て無いんだよな?」
「うん、ここに来てから街の警備部隊と話は何度かしてるけど、一度も報告は無かったよ」
通常の合成魔物は
ここまで何も起きてないと考えると、ある可能性が浮かんでくる。
「合成魔物はとっく
「まだこの街にいると?」
「カルドリクの手下はあちこち居たんだ、外に出てったんなら誰かしら見かけてるだろうよ」
手下共には情報は共有してるだろうし出入りの門で
「……他の合成魔物達はどうなるんだ?」
「元々長くは生きられないだろうけど、危険性と騎士団の面子も考えて
「まあ、そうなるか」
騎士団にとっては当然の判断ではある、なにせ合成魔物の作成は騎士にとって
「もし俺がこいつを見つけたらどうすればいいんだ?」
「本当は騎士団に報告してほしいけど、そこの判断は君に
「……分かった、この紙は貰ってくぞ」
「どうぞ」
紙を取って折り
「さて、どっから見るかね」
「
それに個人的にも下水道には入りたくない、後で取れるにしても服に臭いが付くし、そこに出てくる奴らがまあまあ
「俺ら
「嘘だろ?最近行ったばっかだってのに」
街を歩く新米らしき騎士達の背中に
「やっと装備の臭い取れたのに、まじかぁ……」
騎士団の任務には下水道の
その目的ってのは、主にスライムと大ネズミの討伐だ。
まあこいつらに
下水道という人間の
さらにはスライムの身体を
そういうのもあって、俺が何か装備を新調する時には
「そういやなんも食ってなかった……」
ブライトの所で飲み物はご
なにかいい感じの店が無いかと見回っていると、飯の屋台の間に
他の出店には客が集まっていてここにだけ誰も並んでいないのは、どう考えても場所間違いだと思えるが店主にはなんか考えがあるのか。
「……いらっしゃい」
全身を黒い布で
「ここはなんの店なんだ?」
「……見ての通り
つまりはここにある全部が魔導書って事になるが、結構な数を読んできた俺でも見たことの無い表紙のものしかない。
気になった本を手に取ると、まったく見た事のない文字が並んでいた。
「こんなのどこで仕入れたんだ?」
「……流れ着いたのさ」
「なるほどね」
話したくは無いらしい、まあ商売人なら普通の考えか。
「……っ!」
不意に頭痛が走り思わず本を落としてしまった。
「悪い、これは俺が買う……」
すぐに拾い上げ本の汚れを払うと、表紙の文字が読める物に変わっている事に気づいた。
「『魂の管理』……?」
「……貴方は選ばれた」
「選ばれたってのは――」
聞き返すために顔を上げると、魔導書店は影も形も無くなっていた。
「深く考えない方が良いなこれは、まあありがたく貰っとくよ」
腕輪に魔導書を収納し再び飯を探して歩き出す。
「……食い物で釣れたりしねえかな」
カルドリクが紙に残した姿は人間の少女のそれだった、そこから考えて俺達と同じ物が食べられる可能性はある。
「それを五個もらえるか」
「まいどあり、ちょっと待ってな」
出店で商品を注文し、他の客の
「ついでに甘いものでも買っとくかな」
選択肢は多い方が良いだろう、合成魔物が食べるならの話だが。
「はい五個お待ち!」
「ありがとよ」
店主から紙袋に詰められた商品を受け取り、金を払ってまた別の屋台に移動する。
「その串5本貰えるか」
「はぁいかしこまりましたぁ、お包みしますかぁ?」
「頼めるか?」
「はぁい」
甘ったるい喋り方をする店員から袋を受け取り代金を支払うと、両手で包み込むようにして手の平にお釣りを渡された。
「また来て下さいねぇ?」
「味が気に入ったらそうするよ」
こういった
人通りの少ない裏路地に入り、
「隠れるとしたら下水か裏路地か、空き家もあるか」
とはいえ日も高く人の目が多い以上あまり派手な事は出来ないが、そこら辺は
「『オキュラス・アンブライエ』」
闇属性の魔術を起動すると魔法陣から幾つもの目が表れ、影を
「『対象は長髪の黒髪、
影がある場所だったらどこまでも移動させることが出来、瞳が映した
そこで俺が改造して瞳が何かを映しても探している者の条件と一致していない場合は、一切の光景が流れてこないようにした。
「さっそく一人発見」
光景には黒い長髪で背丈の低い少女が映っているが、隣にいる同年代くらいの少年と楽しそうに話してるし多分違うだろう。
その後も様々な姿が映り込んでは来たが、どれも合成魔物の少女ではなく単なる人間だった。
「そろそろ目が疲れてきたな……っとこいつか?」
身体を隠す程に長く伸びた黒髪の人らしき何か、靴なんかも履いておらず、よく見れば服すらも来ていない様に見える。
「服の
瞳との