どうも、常夏鳳梨です。
ハイ、と言うわけで──続きましたぁ!!
コミカライズ版を見る限りだと、男エルフって髭が生えてるタイプのイケメンなのかしら?(作者のデカい独り言)
旧エルフィンドからやって来たエルフ達の中に、男のエルフ達が混じっていた。
この事実がオルクセン王国の首都のヴィルトシュヴァインにもたらされた時、多くのオーク達は信じられないとばかりに驚いていた。
それもそのはずで、何しろエルフ達は大昔から女しか存在しない種族であったため、男のエルフは実在しないものとして考えられていた。
しかし、今回の一件で男のエルフが存在することが明らかになったこともあってか、当然ながらオルクセン王国の上層部は困惑していた。
更に言えば、その男のエルフ達の体には生々しい暴力の痕が残っていて、その痕跡を見た医者達は日常的に暴力を振るわれていたことと判断したのか、それらのことをすぐさま報告書にまとめていた。
そして、医者達は彼らの痩せた体に刻まれた行為の痕跡に対し、医療に関わるモノとして怒りに震えていた。
そんなこともあってか、主にアンファングリア旅団から調査すべきという声が上がったため、グスタフはシュヴェーリンに男のエルフに関する調査を行うように命じた。
そのシュヴェーリン自身もまた、男エルフの存在に衝撃を受けつつも何故その存在が隠されていたのかが気になったのか、その命令を受け入れた上で調査を開始しようとしていた。
一方、軍に保護された男のエルフ達はというと
「兄様!!この白パンっていう食べ物、とても柔らかいですね!!」
「それにバターも美味しい──」
「これが──白パン」
幸いなことに、彼らは運ばれた病院の環境が良かったようで──今現在は初めて食べた白パンに対し、感動を覚えるかのような様子を見せていた。
最初こそパン粥などを食べていた男のエルフ達であったが、そのパン粥でさえ彼らにとっては美味しい料理だったようで、看護師が慌てて止める程の食べっぷりであった。
そのこともあってか──男のエルフ達は白パンの付け合わせのバターでさえ、ご馳走として扱っていた。
その様子を見た医者や看護師達は、どこにでもあるようなバターがご馳走として扱われていることに対し、思わず絶句していた。
と言うのも──男のエルフ達によれば、自分達の食事は黒パンよりも硬いパンだけで、たまに出てくるほんの一欠片のバターは何よりのご馳走だったと語っており、それを聞いた医者達は更に言葉を失っていたのは言うまでもない。
「それに、このジャムってのも美味しいな」
「こんなモノを食べれるなんて──僕、夢でも見ているのでしょうか?」
「ちょっ!?こんなところで泣くなよ!?」
そんな彼らにとって、柔らかなパンや貴重な栄養源であったバターが当たり前のように食べられる上に、ジャムという甘いモノも食べれるとあってか、その目には生気という輝きが灯り始めていた。
そのためか、彼らは徐々に食欲と共に体力も回復させていた。
それと同時に男のエルフ達は軽口を叩き合えるようになっていたのか、今となっては白パンやジャムの話題で盛り上がる程に身と心の傷を癒していた。
その光景を窓ガラス越しに見た闇エルフの軍人──もとい、アンファングリア旅団の一員であるシュネ・パルヴァーはホッと一安心していた。
彼女は彼らを発見した面々の一人であり、エルフとして心の底から男のエルフ達のことを心配していたようで、こうして定期的に病院に訪れていたのである。
しかし、男のエルフ達の中には白・闇エルフを見ただけでパニック症状を引き起こす者も居たため、彼女は遠目から病室を眺めるという形にて、その様子を見ていたのだった。
「──私達も、ヴァルダーベルクに来た時はこんな感じだったのよね」
かつて、オルクセン王国に亡命して来た時のことを思い出したのか、そう呟くシュネ。
その顔には、彼らが無事に回復しつつあることに安堵しながらも、あそこまで追い込んだ白エルフ達への複雑な思いが出ていたのか、その拳をギュッと握っていた。
そう思っている彼女を尻目に、オーク族の医者は白パンを食べている男のエルフ達を見つめながら、シュネに向けてこう言った。
「そのことなのですが──我が王は彼らに対し、何と言っておられるのですか?」
「私達の時と同様に、オルクセン王国の国民として扱うとのことです」
シュネがそう言った瞬間、男のエルフ達を担当している医者は目を大きく見開いた上で安堵していたのか、ホッと息を漏らしていた。
それを見た彼女もまた、グスタフ王の判断に対して感謝の念を抱いており、その言葉を聞いた際は彼らを救った側として嬉しそうにしていたとか。
「ただ、先生の意見を聞く限りだと──ヴァルダーベルクへの移住は難しそうですね」
医者の言葉を踏まえながら、あくまで自分の意見を伝えるようにそう言うシュネ。
それは医者も同じだったのか、うんうんと頷いていた。
彼らによれば──男のエルフ達は数百年前から強制収容所で暮らしていたらしく、そこで主に白エルフ達から激しい虐待を受けていたことにより、身も心も追い込まれていたらしい。
オーク族の医者曰く、白エルフ達は髭は汚く醜いモノとして扱っていたようで、毎日のように無理矢理という形で髭剃りを強要されていた。
それを聞いたシュネは、どうりでエルフィンドの神話に出てくる男のエルフはと違って、髭が生えてないわけだと思ったとか。
だが、数人の白エルフがそんな上官達を裏切った末に、彼らをオルクセンへと逃がそうと計画していたようで、生き残っていた男のエルフ達はそれぞれ分散という形で逃亡したのだと医者は語っていた。
しかしながら、彼らが深い心の傷を負ったのは事実であるためか、その状態でヴァルダーベルクに移住するのは問題があると思ったのか、シュネは後で男のエルフ達の移住地探しについて提案してみようかな?と思った模様。
「えぇ、現に今でも白エルフという単語を聞いただけで過呼吸になる方も居られるので、私としてもその方が良いと思います」
戦争が終わったとしても、その傷が癒えるには時間が掛かる。
そのことを改めて自覚したシュネは、彼らの今後のことを王であるグスタフに託しつつも、何かしらのサポートをすることを誓っていた。
そんな彼女の想いと連動するように、続々とオルクセン王国側に男のエルフ達を乗せた馬車がやって来た結果、約一〇〇名もの男のエルフが保護された末にオルクセン王国として受け入れられたのだった。
【後書き】
コミカライズ版の男エルフには立派な髭が生えてて、何でだろうって話を男子の海で呟いたら、時代背景的にそういうのは当たり前だった説が浮上してきた件。
ちなみに──白エルフ達が男のエルフ達の髭を剃るように強制したのは、いわゆる男のエルフのくせに生意気な!!みたいな理由だとか。