どうも、常夏鳳梨です。
というわけで!!白銀樹の異端児の最終回です!!
いや〜、単発ネタのつもりがようやくここまで来ましたよ。
まぁ、自分で魚拓を取ったようなもんだしなぁ。
ここまで読んでくださった皆様には感謝!!
シュヴェーリンの尋問から数週間後──オルクセン側は各秘密収容所のトップに君臨していた白エルフ達に対し、死刑という名の極刑が下された。
そのためか、自ら発狂してしまったカリア・ティンクティオを除いた所長達は、自分達の無罪と正当性を最後まで主張し、その刑が執行されるまで自分達の罪を認めなかった。
ただし、秘密収容所にて男のエルフ達の救出に関わった白エルフに関しては、助けてもらった彼女達への恩義もあってなのか、彼らがその白エルフ達への証言の他に、せめて減刑して欲しいと頼み込む者までいたほどであった。
しかし、当の彼女達はというと──男のエルフ達の迫害に関わっていたという罪から逃げることはしなかったのか、結局は求刑通りに戦争犯罪に関わった者として服役した後、各々静かな森の中で俗世とは離れた生活を送るようになっていた。
時折、自分達を助けた彼女らに会うためという名目にて、男のエルフ達が訪れることがあったが、その白エルフ達は彼らの来訪を拒むことはなく、むしろ優しく受け入れていた。
そして、その交流が二度の大戦や冷たい戦争を経た今日に至るまで続いていたのは言うまでもない。
その男のエルフ達はというと──時が経つにつれ、女のエルフや髭を伸ばすことへの恐怖感が薄れていったのか、星歴九九〇年現在では少しずつではあるが髭を伸ばし整え、身だしなみとして楽しむ男のエルフ達も現れ始めていた。
そのこともあってか、近年では女のエルフと付きあった上で結婚する者も増えてきており、中にはオークなど異種族の女性と結婚する男のエルフも出てきていたため、今や彼らはオルクセンの一員として受け入れ始めていた。
それに加え、オルクセンやベレリアンド半島で生まれ落ちるエルフ達の中に男のエルフも混ざるようになり、その数は全体的に減少傾向ではあったものの、いずれは女のエルフと同じ数になることが予想されていた。
そして、この日もまた一人の男のエルフが人生の門出に立っていたようで
「ワッデン!!お嫁さんをたくさん幸せにしてやれよな!!」
「奥さんも幸せに〜!!」
あの日、ベレリアンド半島からやって来たワッデンもまた人生の伴侶を見つけたようで、一人の牝のオークとの結婚式に参加していた。
彼と彼女は出会ってからすぐに打ち解け、愛を深めていった末に結婚を決意し、多くの友人や仲間達を呼んだ上で結婚式を行っていた。
そのためか、多くの男のエルフ達は大切な結婚式に参加するという理由からか、彼らのほとんどは身なりを整えていたのだが、それでも着慣れないことには変わらないのか、緊張した面持ちになっていた。
それはワッデンも同じだったようで、タキシードを着たのが原因でカチンコチンに固まっていたが、優しく微笑む花嫁の視線に気がついたからか、すぐに微笑み返すと背筋をピッと伸ばしていた。
「いや〜、まさかワッデンがケッコンするなんてなぁ」
「うん、兄様とマルガレーテさんがあっという間に仲良くなったと思ったら、いつの間にかケッコンしてるし──時が経つのも早いものだね」
しみじみとした気持ちに浸りつつ、そう呟く男のエルフ達。
彼らがヴァッサービッテに移住してから数十年以上もの時が流れ、オルクセンは大きく変わっていた。
王国から連邦へと変わったオルクセンに、国の象徴となった女王ディネルース。
二度に渡る星欧を舞台にした大戦に、一三日間危機を発端とした核の脅威など、オルクセンとその周辺諸国の情勢は目まぐるしく変わっていた。
そんな中でも、オルクセンに住まう男のエルフ達は懸命に逞しく生きていた。
それどころか、過去の経験があったがためにそういうことに対する耐性は付いていたようで、彼らは激動の時代を何とか駆け抜けたのである。
ただし、そういった時代にも良いところはあった。
例えば、二度目の戦争が終わってから数年が経過した際、ラジオの他にテレビや洗濯機に冷蔵庫などの家電が登場し、生活が良い意味で一変したこと。
あるいは、映画などの娯楽がオルクセンで発展してきたことにより、生活にサブカルという名の彩りが出来たこと。
それらのこともあってか、オルクセンは人間族の国に追随するように急速に発展していったのである。
「でもまぁ、流石に映画みたいな恋物語は現実では中々起きないよな」
「けど、兄様が幸せなら良かったです」
ヴァッサービッテのオーク達に祝福される彼の姿を見つつ、そう呟く男のエルフ達。
この頃のワッデンはある程度の大きさの畑を持つようになっており、そこでたくさんのエンドウ豆を育てては、それを誠心誠意真心込めて収穫するという生活を送っていた。
もちろん、その中で愛する妻となるオークの女性──マルガレーテと出会い、彼は恋に落ちた。
もちろん、二人はエルフやオークという違う種族なために、結婚したとしても子供が出来ないことは理解していた。
むしろ、理解していたからこそ更に愛し合うようになっていて、それが結果として今に至るのである。
最近では、グスタフ王やディネルース女王の影響で異種族にも関わらず、真実の愛に目覚める者も少なくなかった。
ワッデンの場合は、マルガレーテやその家族が彼の過去を受け入れた上で結婚しているため、少なくともそういうご立派なモノではないという認識だった。
しかしながら、自分の結婚を心の底から喜んでいる男のエルフ達を見たからか、これもまたそうなのか?と思うのと同時に、まさか自分が結婚するなんてなぁ──と思い始めていたとか。
「──ねぇ、ワッデン」
「ん?どうした?」
「今のあなた──凄くカッコいいわよ」
花嫁であるマルガレーテがそう言うと、最初こそはキョトンとした顔になってものの、すぐにその言葉の意味を理解したのか、パァッと顔色を明るくするワッデン。
そして、そのまま彼女の頬に口付けをしたその瞬間、当たり前だがその場が大いに湧き立ったため、二人は照れくさそうにしていた。
それを見た男のエルフ達は、自分達と同じく大変な目に遭っていた彼が幸せになっているのを見たからか、その目には涙が浮かんでいた。
その光景を見たワッデンもまた、嬉しくなったのか──その目に涙を浮かべていたため、マルガレーテから良い顔ねと言われていたのはここだけの話である。
「お〜い!!そろそろ花束を投げるらしいぞ」
「おっ!!そろそろか!!」
そうこうしている間にブーケトスの時間がやって来たようで──オークやドワーフ、コボルトといった女性達が次々と集まり始めていた。
そして、花嫁であるマルガレーテが花束を飛ばした瞬間、女性達は我先にとそれに飛び付くように出ていったのだが
「──は?」
その花束は何故か男のエルフが受け取ったため、その場はポカーンとした空気が流れていた。
当然ながら、それは男のエルフ側も同じだったようで──その顔には、何で俺が!?と言う表情が映っていた。
それもあってか、花束を受け取った男のエルフは女性陣に追いかけられていたため、案の定その場に居た面々はこれでもかと笑っていた。
そして、それはワッデンも同じだったのか──心の底から笑うようにケラケラと笑っていた。
「ワッデン!!お前何とかしろよ!!」
「幸せになれよ、リヒター」
「んなこと言ってる場合か!!」
あぁ、色々あったけども自分達は今日も生きている。
そう思えば思うほどに、ワッデンを含めた男のエルフ達は想いを馳せていたようで、その顔には生きていることを実感するような表情になっていた。
その後──星歴一〇〇〇年代に入る頃には男のエルフ達の数は女のエルフ達と変わらなくなり、やがてエルフの中でも特別な存在ではなく、ありふれたエルフの一人として認知されるようになるのは──少しだけ遠い未来の話である。
やっと、やっと──完結できましたぁ!!
これも本作を読んでくれた皆様の応援のおかげです!!
本当にありがとうございます!!
最後に一言、男エルフは良いぞ!!