男を破滅させるタイプの小悪魔系ギャルが八十稲羽に転がっていますがソイツ男です 作:rikka
すまない、何も考えずダラダラ書いてて本当に申し訳ない
『余談』
……ペルソナって二週目の引き継いでから最強ペルソナ完成目指している時も楽しいけど、
一周目であれが足りないこれが足りないって必死にペルソナのスキルとか耐性に注意しながら合体ガチャやってる時が一番楽しいよね
如月千影という存在は、この巌戸台に来て一か月で信じられないくらいに目立つ存在となった。
そもそも初日から『女装美少年』というフックの贅沢盛りのような存在だったのだが、その後の行動が本当に目立つ事ばかりだったのだ。
一時編入していきなりの中間考査でいきなり六位を取った事。
よくポロニアンモールにいる小太りな男子高校生と連日はがくれでラーメンを食べている姿を目撃された後、その店の裏メニューが二つも増えた事。
有名な陸上部エースと商店街で大量のタコ焼きの早食い勝負をする姿が見られた事。
駅前広場で見つけた泣き喚く迷子をあやそうと、フリーのピアノを演奏していたらいつの間にかアマチュアバンドと組んでのゲリラライブになって警察を動かした事。
いつの間にか再度テレビに登場して、同い年のアイドルと共にポロニアンモールでゲリラライブ第二弾を敢行したこと。
その勢いでそのアイドルやそのマネージャー、会社を巻き込んでとある出版社の卑劣なやり口を暴いて、とある女生徒に関する記事への謝罪を引き摺りだして撤回させた事。
真偽は不明だが、月光館学院高等部のとある古文教師を停職処分に追い込んだという噂。
僅か一月の間に様々な事件を引き起こし、女装少年としてだけではなく嵐を呼ぶ存在として、如月千影はその名前を港区巌戸台に刻み付けていた。
「お前ロックに生き過ぎだろうが!?」
「唐突になんですか、伊織先輩」
まったく、ここは仮にも学生寮だっていうのに、中はともかく外が汚れすぎてて困る。
とりあえず、またもや玄関周りや周囲に捨てられている空き缶やペットボトルは全て回収、洗浄して分別済み。
今日学校から帰ってからシャンデリアと窓拭き上げて、換気扇周りも全部磨いてフィルターも交換しておいた。
「たった一か月で伝説作りすぎだろうが! つーか江古田の奴はなに!? なんかあったの!!?」
「知り合ったばかりとはいえ仲良くさせていただいてる先輩を一方的に排除しようとしていたので、桐条先輩にちょ~っとご相談して、先輩と先輩の御父上、並びに理事長の御助力を貸していただいただけです」
ついでに先輩らの高等部にいた小賢しい虫も一時的に排除完了。
うむ、いい仕事したな。
話聞いたら今回の長谷川先輩の件だけじゃなく、山岸先輩の時も中々にやらかしてたらしいじゃん。
しかも今回のに比べてもっとやべぇ事を。
おかげで他の高等部の教師の助力を得るのも容易かったし、江古田本人との取引も容易かった。
むしろ、長谷川先輩の親への説明と説得の方が厄介だったな。
「せめてもっと中坊らしいムーヴしろよ!!!」
「せやかて先輩」
先輩が迂闊だったのは確かだったけど、
特に今回の件で『丸久』の孫娘でアイドルやってるりせと、そのマネージャーやってる井上さん通してアチコチ動いてもらったから目立つ行動するのは確定だし。
下手すればそのままりせの所の事務所に入るかもしれないし。
ちくしょう、
おのれ、まだまだ俺も女子力が足りん。
どうにも完二とか海老パイセンが傍にいねえと締まらねえな。気合を入れねば。
…………。
まぁ、それはそれとして長谷川先輩には説教しておいた。
迂闊すぎたのは本当の本当にマジでアレなんよ長谷川先輩。
メディアの記者なんてヤクザのチンピラとなにも変わらん鉄砲玉なんだから。
八十稲羽の夏祭り騒ぎや二学期はじめの騒ぎで散々思い知ったわ。
特によく分からん雑誌記者は一番アカン。
いや本当に。
「あ、チカさん、燃えるゴミは先輩たちの分も合わせてまとめ終わりました。とりあえずカウンターの脇に置いておけばいいんですよね?」
「おう。サンキュー、ケン」
明後日は燃えるゴミ、一週間で一番ゴミが多い日だからな。
ゴミ部屋とまでは言わないけど、伊織先輩とかちょっと貯めがちだからせっついて衛生面確保しなければ。
八十稲羽と違う意味でゴキブリ湧きやすいからなココ。
「夕飯はカレー煮込んでいるから、ご飯炊きあがったら好きなだけ好みの具材と一緒によそいな。……あぁ、冷蔵庫の中にサラダもあるから、ちゃんと一皿食べるようにな~」
「もう、分かってますよ……。ドレッシングはもうかけてある奴です?」
「いんや、冷蔵庫の中の物をご自由に。一応おすすめはシーザーだ。粉チーズとご一緒に」
一応メイド服だからエプロン付けたまま飯食って洗い物に移ってもいいけど……カレーが下手に染みたら落とすの大変だし一旦着替えるか。
甚平……は、部屋着だけど同時に寝間着だもんなぁ。
仕方ない、使ってなかったTシャツと短パン使うか。
「ってか、いーなー天田。朝と夜は千影の手料理かー」
「普通に材料費折半してくれれば伊織先輩のも作りますよ。……ってか、切り出すタイミング見計らってたんですけど……せめて夜は飯一緒に食いません? 高頻度でカップ麺啜ってる先輩の姿見てると色々不安になるんスけど……真田先輩も牛丼率高いし」
「お、まじでいいの? いくら?」
「一食五百円。朝と夜両方予約してくれるんなら六……さすがにキツいな。八百円で用意できます」
「いや安っ!? 二食で千円行かないのかよ!? 見てる限り結構ちゃんとした飯じゃん!」
「一度食材と調味料一通りで揃えたら、後は組み合わせで上手い事消費と補充をやりくりするだけですからね。パズルみたいなモンです」
たまに肉系の物は豆腐とか餡でかさ増ししたりするけど。
ってか、ガッツリ食べるだろう伊織先輩も食うんなら、いっそ次から買い出しは商店街から足運んで業務スーパーに行くか。
絶対消費量増える肉も冷凍パックの奴買えば、量作っても十分予算の範囲内で収まるハズ。
明後日の放課後に長谷川先輩とのデートついでに中を確認しておくか。
「てか、来た時から疑問だったんですけど伊織先輩飯足りてます? カップ麺って結構腹持ち悪いじゃないですか」
「……タイムセールで売れ残った安いコロッケとか、コンビニの握り飯乗せたり混ぜたりして食ってるから……」
……お、おぉう……ザ・男飯……悪い意味での……。
小遣い切らした完二が前にそれやってたな。惣菜学園のコロッケと一番安いカップ麺で。
いっそ乾蕎麦二束くらい茹でて麺つゆと安い薬味適当にぶっかけた方が財布的にも腹持ち的にも優しいんじゃないかと思うんだが……。
まぁ、キッチン立つのに慣れてない人だと面倒か。
……それこそ真田先輩含めて人巻き込むか?
いやでも、あまり多いと材料費はともかく手間がキツいな……。
作り置き……も、やろうと思えばできるけど……。
「とりあえず、今日カレーなんでこっち食いません? 余ったら明日の朝メシなり他の料理に使おうと思って一番デカい鍋使ってルー二箱分作ってるし米も炊いてますし、お代わり自由ッスよ。他の先輩方も」
「マジ!? いいの!?」
「お構いなく。岳羽先輩も良かったらどうぞ」
ホント、チンしてすぐ食べれてそのまま捨てられるコンビニ飯が利便性面で強すぎる。
だけどその利便性のせいで、食べ盛りのケンがコンビニ弁当漬けだったのには色々思う所がある。
せめて俺がいる間に野菜しっかり食べさせて習慣付けなきゃ……。
「あ、ありがと……てか、なんで如月君メイド服なんて持ってるの……。しかも滅茶苦茶しっかりした奴だし」
岳羽先輩もメイド服持ってませんでしたっけ??
この前畳んで紙袋に入れて桐条先輩に渡してた奴、なんかそれっぽかったんですけど。
「
「……そういえば、こっちに来る前にテレビに映ってた時もメイド服だったね」
「チカさんのそれ、本当に似合ってますよね。えぇと、エクステ? で髪伸ばしておしとやかに見えますし」
「残念ケン坊、これはウィッグ。ネットキャップで本来の髪押さえて、その上から被ってるのさ」
別にそうする必要もないのだが、メイド服に袖を通す時は肩に届くくらいの長さのウィッグを身に着けてるのがお決まりとなっている。
これをやると、慣れている八十稲羽の連中以外は別人に見えるらしくて、この前も寮周りの掃除してたら桐条先輩に本邸から派遣された本物のメイドさんと勘違いされたわ。
「というわけですいません、ちょっと着替えてくるんでカレー鍋見てもらってていいですか? トロ火なんであんまかき混ぜる必要もないと思いますが、一応念のために」
「おう、そんくらいならいーぜ」
「すいません先輩。ささっと着替えてくるんで」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「いやぁ~正直色々どうなる事かと思ったけど……結果的に如月が入ったおかげで大分空気良くなったんでな~い? 荒垣さんも意識はともかく峠は完全に越えたって言うしさ」
「というか、女として毎日敗北突き付けられてる感じがして複雑……。寮、全体的に綺麗になったし」
「チカさんが入寮した次の日にやったことが大掃除でしたからね。寮の周りのゴミ拾いとか」
「そのゴミ拾いの最中にナンパされるとか……如月君、マジでもってるよね……」
あの時僕を助けてくれた人――チカさんは、仲間ではなく『協力者』として僕達の寮に入る事になった。
「まぁ、俺も気持ちは分かるぜ。アイツ、ペルソナ使いとしても普通に強くて……なのに見た目は完璧女の子だから、男としても複雑だぜマジで」
「? 複雑なんですか?」
「おう。男の先輩としての意地があるんだよ、天田。アイツほら……有里に普通についていけるじゃん」
先輩達とチカさんの定期テストが終わってからすぐに、チカさんはタルタロスの探索に参加するようになった。
リーダーの湊さんを中心にメンバーを選定するのだけど、探索に僕が選ばれる時は大体チカさんが一緒になる。
多分、リーダーが気を遣ってくれているんだろうけど、実際チカさんとは戦いやすい。
比較的気心が知れているというのもあるけど、最前線を受け持ってくれるから戦うときにいつも余裕をもって行動できる。
というか、誰とでも合わせられる器用な点はリーダーにそっくりだ。
回復役が一人でもいれば、どんな相手でも壁役をやってのける。
ガル系の技に弱いといっても、本人の回避力が凄くてあんまり気にならないし。
リーダーがペルソナを付け替えられる万能の槍なら、チカさんは万能の盾だ。
回避が遅れて殴られるのを覚悟した次の瞬間には、目の前に立ってシャドウの攻撃を受け止めてくれる。
「それに中々キレるし……まさかいきなり学年六位とは」
「本人、悔しがってたけどね。『さすがは都会の進学校。だけど三位以内とは言わずとも五位以内には入っていたかった。十番以内じゃインパクトが少し弱い!』って」
「たっはー! どんだけ強気なんだよあの女装少年! 俺が中坊の時なんて、定期テストなんてただの暗黒デイズでしかなかったぜ」
「アンタは今もでしょ。中間、また順位下がってたじゃん」
「ゆ、ゆかりッチもちょっと落ちてたじゃんかよぉ! ……アイツはトップだったけど」
「あぁ、有里君。本当、何があっても彼って早々動じないよね……」
――ただいま戻りました。
――すまない、予定より遅くなった。
高校生の先輩達はテストの出来が良くなかったのか、悶々とした顔をしている中、風花さんと美鶴さんが帰って来た。
「あれ? この匂いってカレー? 順平君が作ったの?」
「まっさか~! 千影が作ってくれたんだよ。多めに作っているから、飯が炊きあがったらご自由にって。今は着替えてるから、その間火を見てるだけ。……ってか、カレー以外にもなんか色々料理してんな。小さいオムレツに茹でたほうれん草にアスパラ炒め……茄子も焼いてんのか?」
「トッピングですよ。チカさん、前にカレー作った時も色々用意してくれましたから」
マメな奴だな……。という順平さんのつぶやきにゆかりさんが頷いて、
「ね、分かるでしょ?」
と呟く。
「……あぁ……女のプライド?」
「天田君が秋の遠足に行った時に如月君がお弁当作ったんだけど、もう完璧でさ……。久々に料理の練習再開したわ。割と危機感持って」
「おぉう……。女の子ってのも大変だな……」
ゆかりさんも確かに料理するハズだけど……。
あぁ、でも前に余った料理コロマルに上げようとして逃げられてたっけ。
そういえばチカさん、今度はコロマルのご飯も作るとか言ってたけど大丈夫かな。
キツネで練習したことあるし下調べするから問題ないって言ってたけど……キツネ?
「おっと、お二人も戻ってましたか。お帰りなさい」
そうしていると、上からチカさんが戻って来た。
いつも制服にせよ私服にせよビッシリ決めていることが多いチカさんにしては、珍しいラフな格好だ。
髪もさっきまでの長いお姉さんみたいなモノじゃなくて、よく見れば男と分かるかもしれない程度に短いものになっている。
「ああ、ただいま如月。このカレーは――」
「ご自由にどうぞ。残ったら余熱取ってから冷蔵庫で一晩寝かして、水分抜いたのを使ってちょっと実験しようと思ってたんですけど……明らかに滅茶苦茶作りすぎたので」
その短い髪もセットし直したのか、ちょっと濡れたように見える。
というか、濡れているんだろう。
そこだけお風呂上がりのように艶が出ている。
「伊織先輩、炊飯器後何分ってなって――」
――グキィッ!!!
多分、そのセットをした時に残った水が首筋に垂れたのをチカさんが腕で拭った瞬間、
なんか順平さんが凄い勢いで首を捻っていた。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「なにしてんスか先輩」
着替えて髪整えて戻ってみたら、なんか伊織先輩が勝手に首痛めているんだけど。
「あー、このタオル使います? 首に引っ掛けただけですし、ちょっと濡らして来るんで使ってください」
せめて冷やしてやろうかと首にかけてたタオルを解こうとすると、首を曲げたままの伊織先輩にすごい勢いでその手を掴まれた。
「……なにしてんスか??」
「いや――お前!!」
「???」
「胸元開きすぎだろうが!!」
「野郎になに言ってるんスか???」
確かにちょっとヨレてるから鎖骨周りは出てるけどそれくらいでしょうが。
なんなら肩出す服の方がよっぽど過激じゃ――
「や、野郎って……いや、おう、お前は男なんだけど……なんだけどさぁ! ほら! アレだよ!」
「アレとは」
「そこに普通にいる感がヤバいんだよ!!!」
「おのれは地元の
アイツと同じ事言いやがって。
いや一条先輩や尚紀も言ってたな。
「分かってるよ男だって! だけどお前のツラと細さで突然無防備な服装着られたらビビるだろう!!?」
「ケン、お前伊織先輩が何言ってるか分かる?」
「全然」
「だよな」
「そりゃ小学生はそうでしょうよ――やめろ
椅子を引こうとしただけじゃん。
ホントになんなんだこの人は。
そんなんだから岳羽先輩からたまに虫を見るような目……で……。
…………。
あの……
「岳羽先輩、桐条先輩」
「うん」
「ああ」
「貴女方の側で顔真っ赤にして押さえているのは?」
「風花」
「山岸だ」
「や、それは見りゃ分かるッス。だから……えぇと」
「なんで?」
「…………とりあえずアンタの事、呼吸するだけで女の敵になる男だと認識しておくわ」
「なんで??」
こっち来てから男に告白されたりナンパされることはあっても、女の子を弄んだことは一度もないんですけど!!?
※念のための補足
〇長谷川沙織
『ペルソナ3ポータブル』において、主人公の性別で女性を選んだ時に現れる『隠者』のコミュニティを担当するキャラ。(男主人公での『Y子』の立ち位置)
二年間留学していたために、周りの子よりも年上で周囲と馴染めずにいる泣き黒子で色白の美人(19歳)
頼まれた事は何でも引き受ける為に下心のある男の誘いにホイホイ乗ってしまってその彼女に怒鳴り込まれたり、挙句写真を通りすがりの記者に求められて、4000円で応えた所トンデモな記事を書かれてしまう。
自分から求めたためにとんでもない事になってしまった過去がある故に求めようとせず、求められることを待ち、飢えている女性である。
『この世界線での長谷川沙織』
男主人公の世界のためにノータッチで、恐らくは停学処分の後にそのまま転校させられていたのだろうが、ここではそうなりかけたタイミングでおせっかいなオッサンレベルMAXの千影に見つかってしまう。
そのため事実関係の確認をせずに停学処分にしようとした江古田に対するカウンターが発動し、厳重注意で済まされる。
居心地の悪さは相変わらずだが、時折校門まで中等部の制服を着た女生徒が初等部の男の子と一緒に迎えに来たり、休日に小柄な男子と喫茶店で談笑していたり一緒に買い物する姿を目撃されている様子。
なお、後にその女生徒が男子生徒だったり、最近売り出してきたアイドルと一緒にテレビに出たりゲリラライブやったり近所のチンピラ集団を支配下に置いたりと目立ちまくって違う意味で困る模様。
リマスター版があるとはいえ『ペルソナ3ポータブル』は古いゲームなので、リロードに比べて色々プレイにストレスはあるけど、それでも女目線での男キャラの動きは新鮮なので、機会があればやってみて欲しい。
Steamセールなんかで運が良ければ1000円くらいで買える事もある。
通常なら2000円。