無職転生 異世界行ったら妄想を本気で再現する!   作:ぐちロイド

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意外と能力の部分呪術廻戦の術式を望まれてない?
俺は能力の部分が術式の方が高く来るかなと思っていた


第23話 初依頼

土のドームを解除し、再び姿を現した巨大な虎の魔物の前へと、アレンは歩み寄った。

 

先ほどの戦闘で得たデータと、ニルシィから受けた的確な指摘。それらを脳内で完璧に噛み砕いたアレンは、再び虎の動きをじっと観察し始めた。

四足歩行の猛獣が地面を蹴る瞬間の重心の移動、急激に方向転換する際の背骨と肩甲骨の連動。すべての挙動が、アレンの頭の中で鮮やかな立体パズルとして組み上がっていく。

 

(なるほど……さっきの失敗は、前足の荷重を分散させすぎたことだ。もっと一点に負荷が集中する構造にし、かつ関節部分に魔力の緩衝層(クッション)を挟めば、自重による自壊を防げる……!)

 

アレンはニルシィの助言を踏まえ、さらに細部を徹底的に改良していった。

昼過ぎから始まったこの試行錯誤の特訓は、気づけば時間の経過を完全に忘れさせ、周囲の森が橙色の夕日に染まり始める時間になっていた。

 

「おい、アレン。そろそろいい時間だぞ。ゼニスとの約束じゃ、今日の夕方までには家に帰るって話だったろ?」

 

ニルシィが空を見上げながら声をかけてくる。

ハッとしたアレンは懐の時計(あるいは空の様子)を確認し、確かに日が傾き始めていることに気づいた。

 

「……そうだな。そろそろ母さんが心配する頃だ」

 

アレンは大きく息を吸い込み、気合を入れ直した。

「じゃあ、仕上げに入る。これが……最後の、この虎の魔物との触れ合い(戦闘)だ!」

 

アレンの瞳に鋭い光が宿る。

もはや敵愾心や殺気ではない。自分の術式を完成させるための最高の「師」となってくれたこの猛獣に対する、一種の敬意と感謝がそこにあった。

 

アレンは動きながら、わざと少しずつ攻撃を当てていき、その反撃や追い詰められた時に虎がどう足掻いてくるかを最後まで徹底的に観察した。

ガァァァッ! と最後の力を振り絞って突進してくる虎の鋭い牙と爪を、アレンは完璧な間合いでいなす。

 

そして——。

 

「——『星屑の錬成(スターダスト・フォージ)』」

 

シュパッ!!

 

アレンの右手の中に、実戦用の美しい刀が顕現する。その刀身には、これまでにないほど高密度で純粋な「炎の魔力」が限界まで込められていた。

 

アレンはすれ違いざまに立ち止まり、静かに心の中でつぶやいた。

 

(……最高のデータをありがとう。お陰で俺の『虎座』は完成に近づいた)

 

「……感謝を込めて、一撃で終わらせる」

 

バシュッ!!

 

アレンが放ったのは、熱皮膜を極限まで圧縮した鮮やかな「炎の斬撃」だった。

一筋の光のように走った炎の軌跡が、虎の巨体を優しく、そして淀みなく両断する。

 

「グルゥ……ッ……」

 

激しい爆発や無駄な苦痛を与えることもなく、虎の魔物は静かにその場に倒れ込み、穏やかに息を引き取った。

 

「お疲れ様、相棒」

 

アレンは刀を消し、静かに合掌した。

その横で、ニルシィが空間収納の『魔法の袋』を取り出し、手際よく倒れた虎の死体を綺麗に収納していく。

 

「よし、これで今日の目的は完璧に達成だな! ……っと、アレン、時間がないぞ。急いで帰る支度をしよう!」

 

「ああ、待て。最後に、ここで今のイメージのまま『虎座の素体』を作ってみる」

 

アレンは数分だけ時間をもらい、地面に手を当てて最後の集中を注いだ。

 

——『星焔の守護獣:虎座(ティグリス)の素体構築』!

 

シュシュシュシュ……ッ!!

 

地面から湧き出た土魔力が美しい虎の形状へと収束していく。先ほどまでの不安定さは微塵もなく、筋肉の盛り上がりから前足の荷重バランス、関節の結合部に至るまで、完璧に調律された中型犬サイズの虎の素体が綺麗に完成した。

 

「おお……!」

 

ニルシィはその素体を覗き込み、目を見張った。

 

「すっげぇ……! さっきまでの荒削りさが嘘みたいに消えてるじゃないか! まだ細部で改善の余地はあるけど……これなら、先に見せてた『狼座(ルプス)』や『鷹座(アクラ)』に完全に並ぶレベルの完成度だね!」

 

ニルシィの太鼓判をもらい、アレンは満足そうに小さく頷いた。

素体の基本構築はこれで三体分クリアした。残るは最大の難所である『龍座(ドラコ)』のみだ。

 

「よし、帰るぞ!」

 

二人は『玉犬・黒』を影から呼び出し、その背に跨がると、急ぎ足でロアの街の冒険者ギルドへと引き返した。

 

◇

 

ロアの街に戻った俺たちは、まっすぐに冒険者ギルドの建物へと駆け込んだ。

 

受付のカウンターには、前回登録手続きをしてくれた女性が座っている。俺たちはそのカウンターに歩寄り、今日受けていた森のボア討伐の依頼完了を告げた。

 

「あの、依頼の討伐を完了しました。これ、討伐対象のボアの素材です」

 

俺がニルシィから受け取ったボアの素材(魔法の袋から取り出したもの)をカウンターにドンと置くと、受付の女性は「お疲れ様です、早いですね!」と笑顔を向けた。

 

だが、俺はそれだけで終わるつもりはなかった。

 

「あともう一つ。……実は、今日向かった森の中で、本来ならあんな場所に生息していないはずの『虎の魔物』に遭遇しまして。ついでにそれも討伐してきたので、その確認と素材の買い取りをお願いしたいんですが」

 

そう言いながら、俺はニルシィの『魔法の袋』から、先ほど倒したばかりの巨大な虎の死体をずっしりとカウンターの前に取り出した。

 

ドサッ!!

 

「……っ!?」

 

その瞬間。

ギルドの受付の女性だけでなく、近くで酒を飲んでいたり依頼書を見ていた他の冒険者たちも含め、フロア全体の空気が一瞬にして完全に「凍りついた」。

 

静寂が支配する中、受付の女性は目の前にある巨大な虎の死体と、目の前に立っている小さな7歳の少年——アレンの顔を交互に凝視し、数秒間完全にフリーズした。

 

……っは! と現実に戻ったように女性は息を呑み、慌てて青ざめた顔で周囲をキョロキョロと見回した。

 

「ちょ、ちょっと待ってください! ここ、ロビーで広げるには目立ちすぎます……! 一先ず奥の『解体所(および尋問室)』の方へ行きましょう! そちらで詳しくお話を聞かせていただきますから!」

 

受付の女性に半ば引きずるように案内され、俺とニルシィはギルドの裏手にある解体所兼用の応接スペースへと通された。

 

そこにやってきたギルドの職員やベテランの解体師たちは、虎の死体を見るなり「おいおいマジかよ……これ、高ランクの個体だぞ……?」「これをあの森で……?」とざわめき立った。

 

「で、ですね……アレンくん、でしたっけ? 詳しく事情を聞かせていただけますか? あの森に本来生息していないはずの虎がなぜいたのか、何か目撃情報や巣穴などを見つけましたか?」

 

職員から真剣な面持ちで尋ねられたが、俺は正直に首を横に振った。

 

「いや、特に巣穴とかを徹底的に調査したわけじゃないです。ただ森の奥が妙に重い気配がして、進んでみたら奴が暴れていて……純粋に戦って、倒しただけです」

 

「た、戦って倒しただけって……あなた、まだ登録したばかりの新人の、しかも7歳のお子さんじゃありませんか……!」

 

職員は頭を抱え、信じられないものを見る目を向けた。

だが、ニルシィが横から「あたしがしっかり護衛して、実戦訓練の一環としてトドメを刺させたのさ。問題ないだろ?」と飄々と言い放つと、職員は「元・上級冒険者のニルシィ様が同伴なら……確かに規則違反にはなりませんが……」と納得せざるを得なかった。

 

結果として、この「登録一日目(実質初仕事)の新人冒険者が、通常生息しない高ランクの虎の魔物を単独撃破した」という規格外すぎる功績により、ギルドの規定と特例に基づき、アレンの冒険者ランクは異例の「一気にランク昇格」を果たすことになったのだった。

 

◇

 

すべての手続きと素材の換金を終え、俺とニルシィがグレイラット家の屋敷へと戻ってきたのは、すでにすっかり日が暮れた夜のことだった。

 

屋敷の門をくぐり、庭を歩いていると——。

 

玄関の扉がバタンと勢いよく開き、そこから母・ゼニスの姿が飛び出してきた。

彼女は夕方からずっとここで帰りを待っていてくれたのだろう。俺の姿を認めるなり、ホッとしたような、泣きそうな顔を浮かべて全速力で駆け寄ってきた。

 

「アレン————っ!!」

 

ガバッ!!

 

「ぐえっ……!?」

 

勢いよく飛び込んできたゼニスの腕に捕らえられ、俺の小さな身体は文字通り彼女の豊かな胸の中に強力に押し潰された。

 

「よかった……! 本当によかったぁ……! 初めての冒険者活動なんて言うから、お母さん心配で心配で……生きた心地がしなかったのよ……っ!」

 

「か、母さん……! 苦しい……! 窒息する……っ!」

 

ゼニスのあまりの愛の重さと、我が子を失う恐怖から解放された安堵の抱擁により、アレンはマジで意識が遠のき、窒息寸前の危機に陥った。

後ろでそれを見ていたニルシィが「あはは、愛されてるねぇアレン! 殺されないように気をつみなよ!」と楽しそうに大笑いしている。

 

命からがらゼニスの抱擁から解放され、深呼吸をしながら屋敷の中へと迎え入れられたアレン。

過酷だったが最高に充実した初陣の夜は、こうして母親の温かすぎる愛に包まれながら、静かに更けていくのだった。

転移事件編で出すオリキャラについて、

  • 味方「女2」敵「女男1」能力呪術廻戦
  • 味方「女2」敵「女男1」能力魔術と武術」
  • 味方「女1」敵「女男1」能力呪術廻戦
  • 味方「女1」敵「女男1能力魔術と武術
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