エピソード7、エピソード8のまとめです。
エピソード7
暖かいものが顔を覆い、瞼をこじ開ける
天然の光源は、いつも通り私を照らす
熱を持った分厚い布を、手と足で突き放す
思考を覆うモヤ
それを払う程の鮮明な違和感
天然の光源に照らされた寝間着は、いつからか、手があるかのように引っかかる
引っ張る
何度も
何度も
……………………
朝が来る度に、手が増えるように
自覚させるためかのように、執拗に
やっと引き離した寝間着は、いつものただの布
視界の端に自分の姿が僅かに入り込む
視界の中に収める
天然の光源よりも手前の窓ガラスは、曇った鏡のように、ぼやけた像を作り出す
黒く、鈍い光沢の、黒鉛もどき
元からあったかのように、物言わず外を向いている
私を中心に、発芽するように
それを生やす、ぼやけた私の像は、黒鉛もどきだけが鮮明に見えていた
私の知る黒鉛もどきよりも、育っていた
…………やっぱり
宛もなく発した言葉は、風化せずに私の鼓膜を震わせる
情報の渦から、何かを呼び寄せるように
……………………
外で身を削る度に、
砂と大差ない黒鉛もどきが入り込む
それが体内で踊る前に
元いた黒鉛もどきが、磁石のように引き寄せる
それを餌にして、元いた黒鉛もどきは、育っていく
先生は、そんな感じのことを言っていた
淡々と、空気を光らせたような、浮かんだ長方形を見ながら
まるで確定しているかのように
私の鼓膜に響くそれは、常に一定だった。
エピソード8
天然の光源が、遠くの横たわった直線に、下半分が隠れた
腰の金属は、同じ色合いのままだった
無機質な紙面は、私の手の元に届かなかった
静寂の中に、独自のリズムが響く
歩く度に、僅かな消毒液の匂いが、少しづつ主張してくる
壁は、いつの間にか無機質なものとなり
清潔感が、徐々に空間に馴染んでいく
腰を下ろす動作は必要とされなかった
ひとつの枠組みの前に止まり、僅かな摩擦音とともに、中から湿気が流れ出してくる
中には、体がすっぽりと収まるほどの、滑らかな表面の器が鎮座している
自分を覆っていた布を脱ぎ、上半身から、下半身へと
布を脱いでいく
今回は用のない腰の金属は、乾いた空気で満たされた空間に、布とともに手放す
熱を持つ湿気が、私の体を包み込む
器の中には、霧を漂わせる液体が蓄積している
腰の高さほどもない壁を乗り越え、下半身から、上半身へと
熱と共に押し寄せる液体の中に沈む
僅かな浮遊感に、身を任せる
液体の表面に視線を落とす
表面に広がる髪の隙間から見える
揺らぎ、決まった形を持たない不安定な鏡は
私の頭上の歪な光源を、独特な形とともに映し出す
頭上の光源は、輪に近い外見だった
だが、足りなかった
輪と言うよりも、欠けたガラスの輪
そんな感じだった。
読んで頂き、ありがとうございました。
次の投稿で、一旦区切りにさせていただきます。
次回の更新は、9月13日の日曜日、夜20時頃を予定しております。