THE END OF DISAPPEARANCE 作:土地_0000
第二十話【引き裂かれし永劫】
聖・ヴァレン教会において危機に陥っていたワンダを無事に回収し、その場の成り行きでナギサとローラをも一括して回収したディストとブラックメイル。ディストによる驚異的な爆走で、エデンの国境沿いをしばらく走った後、彼らは森の暗がりに一度車を停車させた。
ワンダ:「ローラ、大丈夫?」
ワンダは、ローラが先ほどクラヤミシアの攻撃によって負わされた深い傷へ向けて、癒しのエネルギーを放って治療を施した。
パーツの損傷は深く、完全に元の状態まで修復するにはもう少し時間をかける必要がありそうだったが、ひとまずの応急処置としては十分な状態まで修復された。
ローラ:「すまない、助けに入ったつもりだったのだが」
ナギサ:「君が気にする必要はないさ、君が出現……アピアレンスしていなければ、その攻撃は僕たちが受けていたかもしれないからね」
ナギサはそう言いながら、重厚な戦車型へとメダチェンジを完了させた。そして、ローラに向けて『継続リペア』の光の波動を施してやる。
一瞬で大ダメージを元通りにするものではないが、時間とともに損傷を修復していく、頼もしい補助行動だった。
そんな、かつての戦友たちによる三機の微笑ましいやり取り。それを少し離れた木の陰からじっと見つめる、一機の挙動不審な赤い機体がいた。
ディスト:(ど、どど、どうしよう……思いもよらない形でローラと再会してしまった……心の準備が…!)
元々赤くまばゆいボディ装甲を、さらに激しい熱量で真っ赤に染め上げ、ディストはそわそわと挙動不審に揺れていた。
ローラは、そんなディストの異様な様子を不思議そうにじっと見つめる。
ローラ:「それにしても、ディストはどうしたのだ? なにか具合が悪そうだが」
ローラに指摘されて、ワンダもまたディストの方向へと顔を向けた。
最初はローラと同様に「変な奴だな」と不思議そうに眺めていたワンダだったが――次の瞬間、ハッと何かに気づき、途端に邪悪でニヤニヤとした意地の悪い笑みをその顔いっぱいに浮かべた。
ワンダは、ディストとローラを何度も交互に見つめ、楽しそうにニヤニヤを繰り返す。
そして、獲物を見つけた狩人のような満面の笑顔で、ディストのすぐ傍へと飛んでいった。
ワンダ:「ローラに話しかけるのが恥ずかしいか! 恥ずかしいのか! コノ! コノ!」
ワンダは、さらにニヤニヤしながら、人差し指でディストの頭パーツをツンツンと小突き回した。
ディスト:「ちょ、ちょっとやめてよワンダ!」(くそッ、相変わらずうぜぇ……)
ディストは激怒して彼女の指を叩き落としたが、ワンダのニヤニヤとした笑みは一向に止まる気配を見せない。
ワンダ:「別にカッコつけずに、いつも通りのディストで接すればいいとおもうけどねぇ~ニョホホ♪」
ディスト:「なんだよそのテンション……」(いつも通りの僕か……)
ディストは、ワンダのからかいを遮り、少しの間考え込むような素振りを見せた。だが、すぐに何かを力強く決心したかのようにして、ローラの佇む方向に向けて歩みだした。
ディスト:(いつも通り……いつも通り……)
ワンダ:(いけぇ! ディストォ! 告れ! 告っちまいなァァァァ!!)
静かに大興奮して拳を握りしめるワンダの熱烈な視線を尻目に、ディストはローラの目の前でピタリと立ち止まった。
ローラは彼の内に秘めた葛藤など知る由もなく、いつも通りの涼やかな声音で、普段通りに話しかける。
ローラ:「ディスト、久しぶりだな。先は助けてもらってしまったな、感謝している」
ディスト:「フッ……気にするな、我が永遠にして最愛なる友ローラよ、久方ぶりの巡り合せだな……伍年ぶりか―――」
ワンダ:(い つ も 通 り っ つ っ た だ ろ ぉ ぉ ぉ が よ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! ! )
ワンダは、心の中で暴風雨のように大荒れに荒れた。
ワンダ:「あと、そのしゃべり方ナギサさんとキャラが被るからやめろ!」
あまりの納得のいかなさに、ワンダは、ディストの顔面に向けて問答無用の強烈な右ストレートを叩き込んだ。
ディスト:「ウゲェっ!」(え? なんか今のツッコミおかしくない!?)
ナギサ:(キャラ被ってないと思うけどね……)
ナギサは人知れず傷ついてうなだれていた。
ブラックメイル:「おいお前ら……コントやってる場合じゃねぇ~…ぞッ」
ブラックメイルは、そんな彼らのお約束すぎるドタバタ劇を深く頭を抱えながら見つめていたが、さすがにそれ以上放置するわけにもいかず、重い声で止めに入った。
彼らはこれから、正規の入国手続きを避け、極秘にエデン国へ入国する。
これは、国王代理ブラックメイルが、公式の場では決して開くことのできない「極秘の会議」に急遽参加するためであった。
そして、何故その危険な道中にわざわざワンダを連れてくる必要があったのか。その決定的な理由は、エデンに入国したのち、その会議の席で直接彼女へと告げられることになっていた。
今はとにかく、国境の警備網を欺いて先導してくれるトゥルースのメンバーが到着するのを待つばかりだった。
数分間ほど、ディストを交えた不毛なコントを続けていると、林の奥から一台の中型トラックが静かに現れ、彼らの前に停車した。運転席から顔を出したのは、トゥルースのセルヴォだった。
セルヴォは、コントの余韻で未だドタバタしている一行を眺め、深くため息を吐いてからブラックメイルに声をかけた。
セルヴォ:「さて、予定より人数が多いが?」
ブラックメイル:「成り行きだぁ~…ぞッ、こいつらなら知ってもいいだろ?」
セルヴォ:「さて、まぁそうだな、全員荷台の中に隠れるよう言ってくれ」
ブラックメイルはセルヴォの指示に従い、すぐに全員にトラックの荷台へと静かに乗り込むよう指示した。
ブラックメイルに続き、先ほどまでやかましかったワンダたち四機も、状況はよく掴めないものの、とにかくこれからエデン国へ極秘に入国するのだということは理解し、静かに荷台のハッチへと向かった。
セルヴォ:「さて、最近よく会うな♪ またケツでも触られに来たか?」
セルヴォは、荷台に乗ろうと足をかけたローラに向けて、いつものように享楽的な冗談半分で声をかけた。
ローラは「フッ……」と涼やかに笑い、そのからかいを軽く受け流した。
だが、その不埒なセクハラ発言を、どうしても「軽く流せない」機体が、すぐ真後ろにいた。
ディスト:「ケツ? 触る?」
ローラ:「何、気にすることではない。この間ばったり会ってな、少し尻を撫でられただけだ」
ディスト:「!!!????」
その言葉を聞いた瞬間、ディストの全身のフレームに、落雷を遥かに凌駕するほどの激しい衝撃が走った。
ディスト:「おい、貴様」
彼がかつて見せたことのないほどの恐ろしい、まさに「最凶」と呼ぶにふさわしい凄まじい形相へと顔を歪める。ディストは、怒りと憎しみのすべてを込めて、運転席のセルヴォをにらみつけた。
その眼の奥には、すべてを焼き尽くす「漆黒の炎」が宿っているかのような不気味な幻覚を野次馬たちに見せるほどの、凄まじい覇気が立ち上っていた。
ディスト:「あ と で 殺 す」
セルヴォ:「へいへーい」
セルヴォには、いつものように軽く流された。
―
セルヴォの運転するトラックにより、入国記録を一切残さない非公式ルートで、極秘裏にエデン領へ入った一行は、そのままエデン国の王宮へと直行し、女王コスモスのプライベートルームへと静かに案内された。
彼らにとって、このコスモスの私室へと足を運ぶのは、あの五年前の女王誘拐事件を解決して以来のことだった。
しかし――部屋の扉を押し開き、中へと足を踏み入れた瞬間、ブラックメイル以外の全員が、ハッとその場に立ちすくみ、言葉を失った。
そこには、カヲスとコスモス。
そしてもう一人、ここにいるはずのない男が、何事もなかったかのように腕を組んで立っていたのだ。
ビーストマスター:「……どうも」
全員が息を呑んだ。
なぜ、この部屋に、脱獄犯として世界中を騒がせているあのビーストマスターが、のうのうと立っているというのか。
コスモス:「みなさん、お久しぶりです。詳しい説明をしますので、どうぞ奥へ」
扉の入り口で呆然と口を開けたまま立ち尽くしている一行に向け、コスモスはいつも通りの気品に満ちた、凛とした笑顔で話しかけてきた。
言われるがままに部屋の奥へと通されると、さらにそこには、不気味な修復培養液で満たされたガラスケースの中で、ぷかぷかと静かに浮いている四機のメダロットの姿があった。
ワンダ:「あ、あんた達は!」
その、傷だらけのファーストエース、ガンキング、メイクイーン、ジャッカルの姿を見て、ワンダは叫んだ。
ローラ:「英雄の盾!」
ゲンジ:「ゲンジだ」
ディスト:「アルテマウェポン」
カリパー:「カリパーね」
ワンダ:「究極の黒魔法メテオ!」
キドゥ:「その間違え方はおかしい」
ナギサ:「ガラフ」
メッシュ:「お前だけは間違っちゃダメだろ!!」
どうやら、このお馴染みのメンバーが一箇所に揃ってしまうと、お堅い世界観は一瞬にして崩壊し、全力のボケコントにしかならないらしかった。
コスモスとしては、これから世界を揺るがす深刻な「ジェノムス」の計画についてシリアスに話し合いたいのだが、想定外にガラスケースの中で四機が陽気にはっちゃけているので、ひどく頭を抱えて困り果てていた。
そんな喧騒を無視するようにして、ワンダは部屋の隅で静かに腕を組んで佇んでいる、龍型のメダロットに気さくに話しかけた。
ワンダ:「あ、カヲス久しぶり! 相変わらずコスモスとラブラブしてるー?」
かつて、カヲスは聖・ヴァレン教会の地下室にひっそりと隠遁していた時期があり、その関係もあって、ワンダは昔の同居人としての極めてラフな口調で問いかけたのだ。
カヲスは恥ずかしがることもなく、いつも通りの静かな声で即答した。
カヲス:「お蔭様でな……ラブラブさせて…もらっている……」
コスモス:「カヲス様、恥ずかしいからやめて下さい!」
シリアスな会議の重厚さとは、一体全体どこへ行ってしまったのだろう。
一方、部屋の片隅では、ただ静かに黙って、国王代理ブラックメイルと元国王ビーストマスターが、お互いを見つめ合っていた。
ブラックメイル:「…………」
ビーストマスター:「…………」
そして、二機はお互いにフッと不敵な笑みを浮かべると、同時に片手を高く上げ、パッシィァ、と気持ちのいい乾いた音を響かせて力強くハイタッチを交わした。
ブラックメイル:「おかえりなさいませ国王さぁ~…まッ」
ビーストマスター:「ただいま戻りました国王様」
お互いがお互いを思いやり、生きて再びこの場所で肩を並べられたという、親友同士の、無事の証明だった。
コスモス:「と に か く 説 明 を し ま す よ !」
ついにコスモスの堪忍袋の緒が音を立てて千切れ、大声で部屋中の喧騒を強制的に鎮静化させた。
ようやく全員が静かになり、部屋の片隅では、コスモスにこっぴどく叱られたワンダとカヲスの二機が、お揃いでシュン……と反省するように縮こまっていた。
『トゥルースのお部屋』の回線とも極秘に繋がれ、いよいよ、二大国の重鎮たちによる作戦会議が始まるかと思われた、まさにその瞬間だった。
デュオ:「コスモスちゃん!!」
ようやく会議を始められる、と安堵したコスモスの通信機に、デュオカイザーのけたたましい声が響いた。
いい加減、このコントの多さにうんざりしかけ、今度はなんですか! と怒鳴りそうになったコスモスだったが、デュオカイザーの声音は、極めてシリアスだった。
デュオ:「テレビを見て! 大変ょ!」
そのただならぬ切迫した態度に、コスモスはメインモニターの電源を入れ、公共テレビ放送のチャンネルに切り替えた。
コスモス:「な……!? デュオカイザーさん、今すぐ妨害電波で……」
デュオ:「ゃってるゎょ! 妨害電波を重ねてるけど、向こうの出力が強すぎて潰せなぃのょ!」
ブラックメイル:「これ……全世界に流れてるんだよぉ……な……?」
モニターに映し出されたその最悪の内容に、部屋にいる一同は、ただただ愕然とするしかなかった。
―
『おー、リーブ聞いたぜ! デッドオアアライブの大物賞金首を捕まえたらしいじゃねーか!』
リーブ:「ははは、最近中々お金がのうなってきてて危なかったんで、一安心ですわ!」
エデン領にある、賞金稼ぎたちが集うことで有名な酒場。そこでは、大勢の同業者たちがグラスを片手に、激しいにぎわいを見せていた。
ここはただの酒場ではない。エデンの中央が管理する「賞金受取所」のすぐ傍に建つその店には、自然と世界各地で大物を捕らえる腕利きたちの錚々たる面々が集うため、この酒場に足を踏み入れられること自体が、賞金稼ぎ業界における一流のステータスとなっていた。
リーブとレッドのコンビは、生きていようが死んでいようが賞金が支払われるという、最も凶悪な「デッドオアアライブ」の賞金首を、殺害することなく「生け捕り」で連行することに成功したのだ。
殺すよりも何倍も高度な実力を要求されるその偉業に、同業者たちは惜しみない称賛を送り、二機のために宴を開いていた。
レッド:「デッドオアアライブ……なのに」
言葉数が少なかったレッドは、生け捕りにするために余計な手間をかけたことが、少しだけ不満そうだった。
『レッドちゃんの言うとおりだぜ! お前さん、なんでそんなめんどくさい事したんだ?』
同業の男の問いに、リーブは不思議そうに小首を傾げた。
リーブ:「だって、殺さへんにこした事はないやろ?」
『カッコいいーー!』
『さっすがリーブさーん!』
『おれたちにできない事を平然とやってのけるっ』
『そこにシビれる! あこがれるゥ!』
酒場中の賞金稼ぎたちが、彼の底抜けの優しさに興奮して大いに盛り上がる。
リーブは自分が何か大層なことを言っただろうかと疑問に思ったが、なんとなく空気を読んで、おおきに、と言っておいた。
レッド:「…………」
レッドは、リーブの隣で、ただ静かに彼の横顔を見つめていた。
かつて「悪を殺すことだけが存在理由」と教え込まれていた血塗られた彼女の倫理観は、このお人好しのメタル・ビートルと出会ったことで、根底から大きく変えられていた。
そして――今の自分の方が、ずっといい。このリーブの傍にいることこそが、自分にとっての最高の幸せだ、とレッドは心から思えるようになっていた。この男と出会ってから、自分が微笑む回数は劇的に増えていた。
――その時だった。
酒場の賑やかなテレビが、急にザーザーとけたたましい砂嵐の音を響かせ、画面全体が真っ白に明滅した。
まわりの男たちが「故障か?」と騒ぎ始める中、レッドだけは、その不自然な電磁の波長に不穏な気配を感じ、じっとテレビを見つめていた。そして、画面の砂嵐が完全に収まったその瞬間、酒場の全員が言葉を失って画面を凝視した。
モニターに映し出されたのは、山積みにされた、おびただしい数のメダロットたちの無惨な死体の山。
そして、その『死体』の上に、まるで王座に座るかのように腰をかけている、「メダロットあらざる者、ジェノムス」の姿だった。
ジェノムス:「番組の途中だが、愚かなメダロット諸君、失礼する」
ジェノムスは、不敵に目を光らせながら、傍らに転がっていた機能停止したメダロットの機体を引き摺り上げ、カメラに映るようにして見せた。
ジェノムス:「彼らは、このテレビ局のメダロットたちだ。穏便に済ませたかったが、抵抗されたので仕方がなく殺した。……我々は、この腐りきった世界を変えるべく次元の狭間からやってきた革命集団『エルドラージ』。そして、私がそのリーダー、メダロットあらざる者、ジェノムスだ。一応言っておくが、私は今言った通り、メダロットではない」
彼は用済みだと言わんばかりに、死体を無造作に放り投げた。
ジェノムス:「私はメダロットではない存在『ネオ』、すなわち諸君らを超越した上位種だと思ってくれたまえ。この放送は、今、世界を不当に支配しているラヴドとエデンに対する、宣戦布告だ。この世界は、私が支配する。メダロットを超える私が法となり、諸君らを管理する。そういうわけで、邪魔な旧支配者を排除することにしたのだ。死にたくなければ、ラヴドとエデンから逃げるがよい。私の狙いはラヴドとエデンにしかない。この二つの国を滅ぼすことで、私はメダロットを超える存在、唯一神であることを諸君らに示す」
テレビの向こうからは、かすかに「うざいな妨害電波、喧嘩売ってんのか?」「私たちはこの放送のメイン盾ですよ?」といった、他の同胞の声が混ざって聞こえていたが、そんな些細なことはどうでもよかった。
この電波ジャックは、単なる脅迫ではない。
かつてN・G・ライトが行った宣戦布告を、世界中のメダロットたちに否応なく想起させる、恐るべきものだった。この放送自体が、人々の恐怖を煽り立てるためのジェノムスの冷徹な計画だったのだ。
ジェノムス:「一週間だ。一週間の猶予を与えるので、その間に逃げたまえ。この警告を無視するとどのようになるのかを、今からお見せしよう。エデン軍第二基地『ビッグブロック』をご存じかな? 私の同胞が今から、その基地を落とす。すでに中継はつながっている……ご覧あれ」
画面が激しく明滅し、中継映像へと切り替わる。
そこに映し出されたのは、堅牢を誇るエデン軍第二基地『ビッグブロック』の光景だった。
そして、その中継に映る、圧倒的な破壊者。
水色の重厚な騎士の甲冑を身に纏い、胸に巨大な赤い宝玉を埋め込み、その全身から四方八方に突き出す奇怪な枯れ木の枝アームを激しく振り回して、たった一機でエデン兵の軍勢を次から次へと無残になぎ倒し、踏みにじっている大樹型メダロット。
レッド:「ネ ク ロ デ ス 先 生 ……!!」
その映像が映った瞬間、レッドの瞳が激しく発光し、彼女は狂ったように大きな声を上げて立ち上がった。
リーブは、コンビを組んでからこの五年もの間、レッドがこれほど叫ぶ姿など一度も目にしたことがなかった。
あまりの異常な様子に、リーブは「レッドさん!!」と叫んで、落ち着かせるために彼女の手を掴もうと、そっと手を伸ばした。
だが、レッドは即座に、変形機構を用いて超高速のメダチェンジを完了させた。
そして、リーブの手を振り払い、酒場の出口に向かって全力で疾走した。
リーブ:「レッドさん!!?」
リーブは慌てて彼女を追いかけて酒場を飛び出したが、かつて戦闘特化集団「十二使徒」の中でも『最速』と謳われた彼女の車両スピードに、リーブが追いつける道理はどこにもなかった。
リーブが外に飛び出した時には、最愛の相棒レッドの赤い残像は、はるか彼方の地平線の先へと、すでに消え去っていた。
この日、未来永劫続くと思われたメダロット達だけの平和な世界は引き裂かれた。
第二十話【引き裂かれし永劫】終わり