ここ数日、俺はNPCの会話システムを弄っていた。
正確に言えば、ずっと弄っている。
昨日も派出所で勘吉にゲームを見せた後、そのまま家へ帰ってから続きをやった。
もちろん纏には「今日はちゃんと寝な」って言われた。
俺も「分かった」って答えた。
……答えはした。
でも、家に帰ってモニターを見たら、どうしても気になるところがあったんだよな。
NPCがプレイヤーのことを覚える。
昨日助けてもらった。
前に騙された。
何度も店を利用している。
同じ町で悪さばかりしている。
そういう積み重ねが、ちゃんと会話や態度に出るようにしたい。
今の状態でもある程度はできる。
ただ、どうしても「記録した情報を呼び出して喋ってる」感じが残るんだよな。
もっと、本当にその世界で暮らしてる人間みたいにしたい。
「……難しいなぁ」
椅子の背もたれに寄りかかりながら、画面に表示された会話ログを見る。
村人A。
『こんにちは。今日はいい天気ですね』
その翌日。
『こんにちは。今日はいい天気ですね』
さらに翌日。
『こんにちは。今日はいい天気ですね』
「毎日天気の話しかしない人になってるじゃん」
いや、別に現実にもそういう人はいるかもしれないけど。
俺が作りたいのはそういう意味じゃない。
昨日、近所で事件があったならその話をする。
雨が降っていれば嫌そうにする奴もいれば喜ぶ奴もいる。
好きな人を見かけたら機嫌が良くなる。
嫌いな奴が来れば露骨に態度が変わる。
プレイヤーが何かしたら、それを覚えていてほしい。
そこまでできたら、たぶんゲームの中の町を歩くだけでも面白くなる。
でも、その「自然」が難しい。
パターンを増やせば増やすほど管理が大変になるし、AIに任せすぎると今度は変なことを喋り始める。
「一回頭切り替えるか」
こういう時は、ずっと画面を見ててもあまり進まない。
それより一回外に出た方がいい。
ということで、昼過ぎに家を出た。
向かう場所はいつもの超神田寿司。
飯も食えるし、ちょうどいい。
最近ここへ来る理由が「飯」なのか「気分転換」なのか分からなくなってきたけど、どっちでもいいか。
暖簾をくぐる。
「こんにちはー。腹減ったから何か食わせて」
「アンタは本当に毎回同じ入り方だねぇ」
すぐ纏の声が飛んできた。
今日も元気そうだ。
「だって寿司屋に来る理由なんて腹減った以外にある?」
「常連ならもう少し気の利いたこと言えないのかい。あと、昨日はちゃんと寝たんだろうね?」
来た。
最近、挨拶とセットになってる気がする。
「寝たよ。ちゃんと布団にも入ったし」
「何時に?」
「……朝」
「アンタねぇ!」
「でも寝たっていう事実は変わらないだろ!」
「そういう屁理屈を言ってるんじゃないよ!」
頭を叩かれそうになったので少し距離を取る。
「まあまあ、今日はちゃんと昼飯食いに来たんだから偉いだろ」
「それは普通なんだよ。自分の基準を下げるんじゃない!」
厳しい。
でも、最近このやり取りがちょっと面白くなってきてる自分もいる。
「それで今日は何にするんだい。どうせまたマグロって言うんだろ」
「もちろんマグロ。でも今日は他のも食うよ。俺だって成長してるからな」
「それで威張るなら最初から偏るんじゃないよ」
そう言いながらも、纏は慣れた手つきで注文を通していく。
俺が席につくと、少し離れたところに小さな女の子が座っていた。
何度か見たことはある。
超神田寿司へ来るようになってから、店の中にいる姿はちょくちょく見ていた。
ただ、ちゃんと話したことはほとんどない。
時間帯が合わなかったり、俺がすぐ食べて帰ったりしてたからだ。
たしか、纏の妹。
擬宝珠檸檬。
年齢を聞いた時はちょっと驚いた。
いや、纏との年齢差もそうだけど、本人が幼稚園児とは思えないくらい落ち着いてる。
今もテレビの方をかなり真剣な顔で見ている。
画面に映っているのは時代劇だった。
刀を差した侍が町中を歩いている。
「檸檬、それ好きなの?」
俺が横から声をかけると、檸檬がこちらを向いた。
「遊真か。おぬしも時代劇を見るのか?」
いきなり落ち着いた口調で返される。
やっぱりすごいな、この子。
「見ることはあるけど、詳しくはないかな。でも昔の町並みとか刀とか、ゲーム作る時に参考にすることはあるよ」
「ほう。ならば、もう少し見た方がよいぞ。時代劇は勉強になる」
「そんなに?」
「当然じゃ。侍の振る舞いも、町人の暮らしも、言葉遣いも学べる。もっとも、作品によって誇張はあるがの」
幼稚園児から時代考証の話が出てくるとは思わなかった。
面白い。
こういうの、かなり好きだ。
「じゃあ檸檬、時代劇めちゃくちゃ詳しいんだ」
「めちゃくちゃとは何じゃ。もう少し品のある言葉を使えぬのか」
「そこも注意されるのかよ」
俺が笑うと、檸檬は少しだけ得意そうに胸を張った。
「わらわは時代劇が好きだからの。まだ知らぬことも多いが、おぬしよりは詳しいと思うぞ」
「それならちょうどいいかも」
「何がじゃ?」
「時代劇のゲーム作ってみる?」
檸檬が少し目を見開いた。
纏も聞こえていたらしく、こっちを振り向く。
「遊真、アンタまた急に何言い出してんだい」
「いや、今ちょうどNPCの会話で詰まっててさ。全然違うもの作った方が頭切り替わるかなって」
「だからってその場でゲーム作ろうってなるかい、普通」
「なるだろ。面白そうだし」
「アンタの普通は信用できないよ」
でも、一度思いついたら作りたくなってきた。
時代劇。
江戸風の町。
侍。
町人。
店。
橋。
屋台。
そういうのを小さくまとめて、自由に歩ける程度のものならすぐ作れそうだ。
「檸檬、どう? 監修やってよ」
「監修?」
「俺が作るから、間違ってるところ教えて。建物とか服とか喋り方とか」
「わらわが教えてよいのか?」
「むしろ教えてほしい。俺、時代劇好きだけど詳しいわけじゃないし」
檸檬は少し考えてから、テレビの画面をちらりと見た。
そのあと俺を見る。
「よかろう。おぬしが真面目に聞くのであれば、わらわが見てやってもよい」
「本当? じゃあちょっと待ってて。家からPC取ってくる!」
「今からやるのかい!?」
纏の声を背中で聞きながら、俺は店を出た。
家までは近い。
こういう時、近所に住んでて本当に良かったと思う。
必要なノートPCと小型の入力機器だけ持って、すぐ店へ戻った。
「ただいま!」
「アンタ、自分の家みたいに言うんじゃないよ」
「近所だし半分くらいそんな感じ」
「勝手に店を家にするな!」
戻ってみると、檸檬はちゃんと待っていた。
俺は邪魔にならない端の席を借りて、ノートPCを開く。
「まず町作るか」
「適当に作るでないぞ」
「分かってるって。だから檸檬がいるんだろ」
簡単な地形を作る。
道を引く。
木造の建物を並べる。
橋を置く。
人を歩かせる。
とりあえず試作品だから細かいところは後。
そう思っていた。
「遊真」
「どうした?」
「その家はおかしいぞ」
開始5分で止められた。
「どこが変?」
「屋根じゃ。町家として見るなら、その形は不自然であろう。それに道幅も広すぎる」
「なるほど。じゃあこれくらい?」
「もう少し狭くせよ。それでは大名行列でも通すつもりか」
「いや、プレイヤーが歩きやすい方がいいかなと思って」
「時代劇の町を作ると言ったのはおぬしであろう」
正論だ。
俺はすぐ修正する。
「じゃあ、店の前に商品置くのは?」
「物による。何でもかんでも外へ並べればよいというものではない」
「刀屋は?」
「まずその呼び方から直した方がよいのではないか?」
「厳しいなぁ」
「監修を頼んだのはおぬしじゃ」
そうなんだけどさ。
でも、面白い。
自分の知らないことをその場で教えてもらって、それをすぐゲームに反映できる。
こういうのは楽しい。
「檸檬、ここの侍どう?」
キャラクターを一人置く。
腰に刀を差して、町中を歩かせる。
檸檬は画面をじっと見た。
「歩き方が軽すぎるのう。それと、刀をその位置で差すのは気になる」
「ここ?」
「もう少しこうじゃ。時代劇でもよく見ておるであろう」
檸檬が自分の腰の辺りを使って説明してくれる。
俺はそれを見ながら位置を調整する。
「こんな感じ?」
「先ほどよりはよい」
「じゃあ刀抜かせてみる」
操作すると、侍がかなり派手に刀を抜いた。
檸檬の眉が僅かに動く。
「遊真」
「今度は何がダメ?」
「おぬし、侍が常にこのような勢いで刀を抜くと思っておるのか?」
「ゲームなら派手な方が分かりやすいかなって」
「何でも派手にすればよいわけではない」
「はい、先生」
「先生ではない。監修じゃ」
こだわるな。
でも、その方が面白い。
俺は細かく直していく。
店の人間を配置する。
町人を歩かせる。
簡単な会話も入れる。
『おう、旅の者かい?』
そう表示させると、檸檬がすぐ反応した。
「誰が誰に言っておる台詞じゃ?」
「店の主人がプレイヤーに」
「ならば立場によって言葉は変えた方がよかろう。相手が武士か町人かでも違う」
「なるほど。じゃあプレイヤーの身分で台詞変えるか」
「そうせよ。誰にでも同じ口を利くのは不自然じゃ」
……あ。
それ、今作ってる本編のNPCにも使えるな。
身分。
職業。
地域。
相手との関係。
同じ人物でも、それらによって言葉遣いが変わる。
「檸檬、今のいいな」
「何の話じゃ?」
「いや、俺が今作ってるゲームの方にも使えそう。NPCの会話でちょうど悩んでたんだよ」
「わらわはこのゲームの話をしておるのじゃが」
「そこから別のアイデア出ることもあるって」
「ならば忘れぬよう書いておけ」
「はいはい」
「返事は一度でよい」
纏と違う方向で厳しい。
でも、不思議と話しやすい。
相手が幼稚園児だからって感じがあまりしないんだよな。
普通に詳しい人へ聞いている感覚だ。
だから俺も、変に子供扱いする必要がない。
しばらく作業を続けていると、気づけば画面の中には小さな江戸風の町ができていた。
規模としては本当に小さい。
橋が一本。
店が数軒。
町人が十数人。
侍が数人。
まだ遊べることもほとんどない。
でも、最初よりはかなりそれっぽくなっている。
「よし、とりあえず歩けるぞ」
コントローラーを檸檬へ渡す。
「わらわがやってよいのか?」
「監修なんだから実際に見た方がいいだろ。違うところあったら言って」
檸檬が操作を始める。
小さなキャラクターが町の中を歩く。
店へ入る。
町人へ話しかける。
橋を渡る。
それを何度か繰り返してから、檸檬は橋の先で止まった。
「遊真」
「今度は何か見つけた?」
「この先へ行けぬのか?」
画面の先。
橋を渡った先は、まだ何も作っていない。
見えない壁で止まるようになっている。
「そこから先はまだ作ってないよ。今日は試しだし」
「ならば作ればよかろう」
「簡単に言うなぁ」
「町がこれだけでは小さすぎる。せめて城下町らしく、もう少し広くした方がよい」
「城も?」
「当然じゃ。時代劇のゲームなのに城がないとは何事じゃ」
「最初は小さい町だけのつもりだったんだけど」
「おぬしなら作れるのであろう?」
そう言われると弱い。
できるかできないかで言えば、できる。
時間をかければ。
「……分かった。じゃあ次は城下町まで広げる」
「うむ。それならばわらわも続きを見てやろう」
「檸檬、結構楽しんでるだろ」
「監修として責任を持っておるだけじゃ」
そう言う割に、さっきから画面を見る目がずっと楽しそうだ。
まあ、俺も楽しいからいいけど。
「何だ何だ、面白そうなものをやってるじゃないか!」
突然後ろから大きな声がした。
振り返る。
勘吉だった。
いつの間に来たんだ。
「勘吉、仕事終わったの?」
「今終わったところだ。それより遊真、何を作ってるんだ?」
「檸檬監修の時代劇ゲーム」
「何だと!?」
すぐ画面へ食いつく。
「おい遊真、わしにもやらせろ!」
「今は檸檬がテスト中だって」
「少しくらいいいだろう!」
「勘吉、これはわらわが監修しておるのじゃ。勝手に触るでない」
「檸檬、お前まで遊真のゲーム作りに参加してるのか!」
「参加ではない。監修じゃ」
ここも譲らないらしい。
少しして檸檬のテストが終わると、勘吉にもコントローラーを渡した。
「壊すなよ」
「何を言う! ゲームは自由に遊ぶものだ!」
「嫌な予感しかしない」
勘吉は町を歩き始める。
数分後。
「遊真、この町に米問屋はないのか?」
やっぱりそこか。
「今はないよ。試作だから」
「作れ! 米相場を入れるんだ!」
「時代劇ゲーム見て最初に経済考えるの勘吉くらいだろ」
「江戸といえば米だろう! 安い時に買って高い時に売れば儲かる!」
「ゲームの中でも金の話しかせぬのか、おぬしは」
檸檬が呆れた顔をする。
「何を言う檸檬! 金はいつの時代も大事だぞ!」
「勘吉に任せたら、城下町が数日で滅びそうじゃな」
「わしを災害みたいに言うな!」
俺は笑いながらメモを取る。
でも米相場はちょっと面白い。
時代劇として生活感を出すなら、物価の変動もあっていい。
「遊真、また勘吉の話を真面目に取り入れようとしてるだろ」
いつの間にか近くへ来ていた纏に言われた。
「全部じゃないよ。面白そうなところだけ」
「勘吉に変な知恵つけられて、昨日みたいに市場めちゃくちゃにされても知らないからね」
「その時はまた直せばいいじゃん」
「アンタも懲りないねぇ」
褒められた。
たぶん違う。
それから少し経って、勘吉が仕事に戻ると言って帰り、俺もPCを片付けることにした。
その時、檸檬が俺を見る。
「遊真、先ほど城下町まで広げると言ったことを忘れておらぬな?」
「覚えてるって。今度来る時までには何とかする」
「町人の会話も増やすのじゃぞ。同じ台詞ばかりではつまらぬ」
「そこはちょうど俺もやりたかったところ。檸檬の話聞いて結構思いついたし」
「ならばよい」
俺は鞄を背負う。
そこで檸檬が、少し迷うように俺を見た。
「遊真」
「どうした? まだ直すところ思いついた?」
「おぬしは、昨日勘吉と話しておった『完全没入型VRMMO』というものを本当に作るつもりなのか?」
派出所で話したこと、聞いていたのか。
「本当に作るつもりだよ。いつ完成するか分かんないけど」
「ゲームの中へ、本当に入れるのじゃな?」
「それが目標。ちゃんと自分で歩いて、触って、匂いも温度も感じられるようにしたい」
檸檬は少し考え込む。
「ならば、時代劇の世界も作れるのか?」
「できるよ。完成したら何でも作れると思う。江戸の町だって、戦国時代だって」
「……そうか」
少しだけ嬉しそうな顔をした。
「じゃあ檸檬用に時代劇の世界作るよ」
「わらわのためにか?」
「だって好きなんだろ。だったら本当に江戸の町歩けたら楽しいじゃん」
「簡単に約束してよいのか?」
「完成したらね。そこまでは頑張る」
檸檬が俺を見る。
それから、小さな手を差し出してきた。
「ならば約束じゃ」
「指切り?」
「子供扱いするでない。これは約束を確かにするためじゃ」
「いや、指切りする時点で――」
「遊真」
「分かったって。約束な」
俺も小指を出す。
小さな指と絡める。
「完成したら、檸檬が本当に歩ける時代劇の世界作る」
「うむ。忘れるでないぞ」
「忘れないよ」
「もし忘れたら承知せぬからの」
「纏みたいなこと言うなぁ」
「姉上は正しい」
そこは姉妹らしい。
翌日。
俺は朝一番――ではなく、昼過ぎに超神田寿司へ向かった。
PCも持っている。
昨日の続きを見せるためだ。
「檸檬、できたぞ!」
店へ入るなり声をかけると、奥から檸檬が出てきた。
「本当に作ってきたのか?」
「約束しただろ。城下町まで広げてきた」
PCを開いてゲームを起動する。
昨日は橋の先で終わっていた町。
そこから先に建物が増えている。
道が続き、店が並び、町人が歩き、その奥にはまだ簡単な形ではあるけど城も見える。
檸檬の目が少し大きくなった。
「一晩でここまで作ったのか?」
「一晩じゃないって」
ちょうど通りかかった纏が、その言葉に反応した。
「そうなのかい? それなら少しは寝たんだろうね」
「朝までやったから、一晩って言い方が違うだけ」
一瞬、店内が静かになった。
あ。
言い方間違えた。
纏の眉がゆっくり上がる。
「……遊真」
「いや、でも約束したからさ。途中で止めるのも――」
「この馬鹿!」
頭に一発飛んできた。
「痛っ! 何するんだよ!」
「何するんだじゃないよ! アンタ、また朝までやってたのかい!」
「でも1時間半くらいは寝た!」
「それを寝たって言うんじゃない!」
「ちゃんと布団入ったぞ!」
「時間の問題だよ!」
助けを求めて檸檬を見る。
「檸檬、俺お前との約束守ったのに」
「わらわは朝まで作れとは一言も言っておらぬぞ」
「檸檬まで!?」
「身体を壊せば続きが作れなくなるではないか。姉上の言う通りじゃ」
味方がいない。
完全に包囲された。
「分かったよ。今日はちゃんと寝るって」
「本当に寝るんだろうね?」
「今日はさすがに眠いから大丈夫」
「眠くなるまで起きてる時点でダメなんだよ!」
また怒られた。
納得いかない。
でも檸檬は俺と纏のやり取りを見ながら、少し笑っていた。
その後、改めて檸檬に城下町を見せる。
もちろん、また大量に修正点を出された。
建物。
言葉。
配置。
侍の動き。
町人の生活。
でも、それが面白い。
一人で作っていたら気づかなかったことが次々出てくる。
「遊真、この辺りは昨日よりずいぶん良くなったぞ」
「本当? じゃあ監修としては合格?」
「まだまだじゃ。城も中へ入れぬし、町人の種類も少ない」
「厳しいなぁ」
「おぬしが本気で作ると言ったのであろう」
「まあ、そうだけど」
俺は笑いながら次の修正をメモする。
檸檬も楽しそうに画面を見ている。
年齢なんて全然違う。
好きなものも、たぶん全部同じじゃない。
でも、ゲームを一緒に作って面白いと思えるなら、それで十分だ。
「じゃあ次、城の中作るか」
「うむ。それから奉行所も欲しいのう」
「奉行所か。だったら犯罪システムも入れようかな」
「勘吉には試させぬ方がよいぞ」
「なんで?」
「町が滅びる」
「そこまで!?」
でも、たぶん否定できない。
こうして俺には、亀有へ来てからまた一人、変わった友達が増えた。
しかも今度は、幼稚園児の時代劇監修。
普通なら絶対に思いつかない組み合わせだと思う。
でも俺は、こういう予想外が結構好きだ。
ゲームもそうだし、人付き合いもたぶん同じなんだろうな。
次はどんな町にしよう。
城の中も作りたい。
町人の会話も増やしたい。
檸檬が好きな時代劇も、もっと見た方がよさそうだ。
考え始めたら、また作りたくなってきた。
……でも今夜は寝ろって言われてる。
「檸檬、明日までに城の中まで作ったら怒られるかな」
「間違いなく姉上に怒られるであろうな」
「じゃあ明後日までにしよう」
「そういう問題ではないぞ、遊真」
やっぱり厳しい。
でも、たぶんこのくらいの方がちょうどいいのかもしれない。