人修羅、ブリテンに立つ   作:ガキパト

1 / 1
俺は雰囲気でfateをやっている……(穴があっても許し亭許して


1

麗らかな日差しに照らされて、その魔人は目をゆっくりと開いた。

 

起き上がって辺りを見渡す。青々とした草原が視界いっぱいに飛び込んでくる。撫でるように吹く風が草花を揺らす。

 

その自然を見て、一番最初に魔人が思ったことは『懐かしい』だった。まだ人間だった頃、ヨヨギ公園で見た景色に似ている。

 

しかしだからこそこの状況はあり得ない。かつて東京だった場所は、東京受胎によってボルテクス界という名の不毛の地と化したからだ。

 

とても人間が生活できるような環境ではないあの場所に、このような光景は残っていないのだから。

 

ここは何処なのか。記憶が正しければ先ほどまでアマラ深界にいたはずなのだが、と魔人は首をかしげた。暫く考えたが、答えは一向に思い浮かばない。なので仲魔の力を借りることにした。

 

瞳を閉じて、呼び掛ける。

 

「来い、ピクシー」

 

すると何処からともなく光が現れたかと思うと、それは魔人の周りを飛び回り、最終的に肩に着地した。

 

「わぁ~、自然がいっぱい。ずっと砂漠か廃都市しか見てなかったから新鮮ね!」

「……ここは……何処だ?」

「ん~、アタシにもよくわかんない。アマラ深界にいたら急にワケわかんない穴に吸い込まれて、気づいたらここだもん」

「…………」

 

魔人は思考を再開する。

 

(アマラ経絡を通してボルテクス界ではない場所に飛ばされた?しかし、だとしてもここが何処なのか不明。……アマラ宇宙で別世界へ移った線もあり得る、か)

 

結局、ここが何処なのかは分からないのでこの思考に意味はない。そう結論づけて魔人は次の事を考え始める。

 

「ピクシー。もとの場所に戻る目安がつくか?」

「アタシが聞きたいくらい。けど、この世界のアマラ経絡に行けば何か分かるんじゃない?確証ないけど」

「成る程……それしか出来ないだろうしな」

 

仮にここがアマラ宇宙だとすればここにもアマラ経絡があるのは道理だろう。先ずはアマラ経絡を目指すのは悪くない。

 

一旦目処は立った。そうなれば行動あるのみ。魔人はいつだってそうして道なき道を歩んできたのだから。

 

そうして混沌王、人修羅はピクシーを肩に乗せたまま真っ直ぐと草原を進んでいった。魔力の集う場所に向かって一直線に。

 

 

 

 

 

 

 

「いやー………困ったね、これは」

 

困ったように白髪の青年、マーリンは頬を掻く。ついこの前アルトリアが卑王ヴォーティガーンを打倒した、これからというタイミングでイレギュラーの存在を知覚したのだ。

 

「神代が終焉を迎えるというのが馬鹿らしくなるほどの神秘量だね。何処から来たんだ、コレ」

 

マーリンの千里眼を以てしても、その人の形をしたナニカの情報は何も得られない。何かに抵抗されるように、強くノイズがかかってしまう。

 

文字通りの異分子だ。このままでは計画が爆発四散してしまう可能性が極めて高い。うーんと悩ましげな声を出して暫くして、頷く。

 

「よし、決めた。今のうちに媚を売っておこう。逆立ちしても勝てそうにないし」

 

即断即決。言うや否やマーリンはその場から姿を消していた。かつて居た場所には花々が咲き誇っていた。

 

 

 

また、異常に気づいたのはマーリンだけではない。

 

「………ほう、これは何とも」

 

遠見の魔術を用いて彼女はソレを観察していた。突如として発生したマナの揺らぎ。近隣にいた使い魔をやって発生源を確認すれば、ソレがいた。

 

「神秘の格もそうだが、なによりその魔力。私ですら一瞬背筋が凍ったぞ。何をすればそこまで悍ましくなるのやら」

 

どこまでも荒々しく、底が見えぬほどの闇。混沌という概念を擬人化すればこうなるだろうか。

 

もう少し調べようと思ったが、突如使い魔とのラインが切断される。欲張り過ぎたか、使い魔は瞬殺されたのだろう。代わりはいくらでもいるので問題はない。

 

「ふふ……ブリテン島はとことん破滅を迎えたいようだ。サクソン人やピクト人、マナの枯渇や悪辣な妖精、それにこの混沌ときた。愚妹、精々無駄に足掻くがいい」

 

それに、と彼女はソレの肩に乗っていた存在を思い返す。混沌もそうだが、あの存在も()()()()。使い魔のように見えたが……まあ、追々でいいだろう。

 

「どうせクソ虫も察知しているだろう、あの混沌に胡麻すって近寄る筈。そうはさせるものか。あの混沌はこちらが利用させてもらうぞ」

 

モルガンは嗤う。マーリンの思うようにはさせてやらない。それはアルトリアの不幸に繋がるから。この轟々と燃える怨恨の炎は、アルトリアの全てを燃やしつくさねば収まらない。

 

その手練手管を発揮するため、再びカラスの使い魔を混沌のもとへ送った。今度は観察ではなく、対話を図るために手紙を咥えさせた。

 

そうして人修羅に二人の手が迫る。本心は別にあるが一応秩序を守るための陣営であるマーリン、一方アルトリアへの復讐を成さんとする為に混沌を齎す陣営であるモルガン。

 

果たして、人修羅の選ぶ道とは。

 

 




『混沌王 』人修羅 Lv99
力、魔、体、速、運ALL40(カンスト)
マサカドゥス装備

仲魔
ピクシー
???
???
???
???
???
???
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。