オーバーロード〜約束の指輪〜   作:愛飢夫

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本日二話目!


武技

 父と話し合い、スーちゃんを探すために村を出ると決めてからおよそ一週間、遂に旅立ちの日が訪れた。

 

 あの日の数日後にバレアレさんたちが薬草採取のためにカルネ村を訪れるという話だったので、今回俺は『エ・ランテル』に戻るバレアレさん御一行と一緒に出発することとなった。

 

 ハムの助に村の護衛を任せ、万が一の時のために壊せば俺にそれが伝わるマジックアイテムを渡してあるので村は安全だ。

 

 そのアイテムを渡した時にハムの助がアイテムを口に入れたのには驚いた。

 どうやら頬袋に保管しておくらしい。

 

「アレス、死ぬなよ」

「お兄ちゃん……」

「わかってる。大丈夫だよ。エンリとネムもお土産たくさん買ってくるから待っててね」

「うん!」

「行ってらっしゃい。アレス、頑張ってね!」

 

 家族に見送られ、バレアレさん御一行に合流する。

 

「おまたせしました。よろしくお願いします」

「全然待ってないよ。じゃあ行こうか」

 

 今回はンフィーレアとママーレアは来ていない。

 パパーレアといつも一緒に来ている護衛の金級冒険者だけである。

 

「バレアレさん、息子をよろしくお願いします」

「お任せ下さい。アレスくんがエ・ランテルに来てくれたらうちのンフィーレアも喜びます」

 

 親同士の挨拶も済み、俺たちはエ・ランテルへ向けて出発した。

 

 

 

 ◇◆

 

 

 

「リュミエール、ゴブリン共は任せる、俺はオーガを殺る!」

「了解!」

「ポール、支援頼む!」

「はい! 《鎧強化(リーン・フォース・アーマー)》《下級筋力増大(レッサー・ストレングス)》!」

「よし! マークはバレアレさんとアレスくんを守ってくれ!」

「オーケー!」

 

 リーダーのベロテさんの指示でメンバーが動き信仰系魔法詠唱者(マジックキャスター)のブライアンさんが俺たちとモンスターの間に盾を構えて立ち塞がる。

 

 ちょっと! 見えないじゃない!

 

「ベロテ!」

「おう! 武技《斬撃》!」

 

 リーダーで戦士のベロテさんの振り下ろした剣は、ゴブリンを両断する。

 

「《魔法の矢(マジックアロー)》!」

 

 ポールさんが詠唱すると、ポールさんの周囲に二つの光の玉が現れ、ゴブリンへと向かっていく。

 

 必中効果のある《魔法の矢(マジックアロー)》は狙い違わずゴブリンへと着弾、体勢を崩したゴブリンをベロテさんが一匹ずつ倒していく。

 

「武技《要塞》!」

 

 オーガの振るう棍棒をリュミエールさんは手に持つ盾で受け止める。

 ダメージは受けていないようだ。

 

「リュミエール、合わせろ!」

「おう! 武技《盾突撃》!」

「武技《斬撃》!」

 

 ゴブリンを一掃したベロテさんがリュミエールさんに合図を送り、リュミエールさんが盾を構えたままオーガに突撃。

 体勢を崩したオーガに剣を構えたベロテさんが飛びかかり、その首を両断した。

 

「ふぅ……終わりだな」

「ベロテ、リュミエール、怪我は?」

「大丈夫だ」

 

 戦闘が終わり、信仰系魔法詠唱者(マジックキャスター)のブライアンさんが回復魔法の必要性を問うが、前衛の二人に怪我は無いようだ。

 

「どうだアレスくん、これがモンスターとの戦いだよ」

「すごかったです!」

「だろ?」

 

 ベロテさんは自慢気に鼻を伸ばしている。

 

 正直俺がやれば一秒とかからないのだが、それは言わぬが花だろう。

 

 それより――

 

「ベロテさん、武技ってなんですか?」

「そうか、アレスくんは見たことが無いのか」

「はい」

 

 村には戦士のような人は居なかったからな。

 多分一番戦えるのは村の狩人のラッチモンさんで、その次はレベル的に父だと思う。

 村の人たちはラッチモンさんを除いてみんなレベル1か2なのに、なんで父は4もあるのか不思議である。

 

 そんな村で生まれ育った俺が武技を見たことあるわけが無いのだ。

 

「うーん……なんて説明すればいいのかな……」

「教えてください!」

 

 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だ。

 プロゲーマーなんだから人から聞かないというのは大間違いで、むしろ先人からの教えは率先して受け入れるべきである。

 

「そうだな……アレスくんは魔法は知っているかい?」

「見たことあります」

 

 嘘です。使えます。

 

 ポールさんは第一、第二位階魔法しか使っていなかったけど、第十位階まで使えます。

 

「そうか、魔法を知っているのなら……戦士職が魔力では無くて集中力を使って体や技を強化する魔法のようなもの……でわかるかな?」

「うーん……」

 

 特殊技術(スキル)とは違うのだろうか?

 

「わからないかな?」

「えっと……ベロテさんの使っていた《斬撃》ってどんな効果なんですか?」

「《斬撃》は剣で攻撃する時に攻撃力が上がる武技だな。ちなみにリュミエールの使っていた《要塞》は防御力を一瞬だけ引き上げる武技だ」

「一日にどれくらい使えるんですか?」

「人それぞれ集中力の枠が決まってるから、人それぞれとしか……」

 

 色々と聞いてみると、ひとつの武技に対して一日の使用回数制限は無いらしい。

 

 例えば、集中力が10ある人なら集中力を1消費する《斬撃》なら10回放てる。

 しかし10回使ってしまうとほかの武技も一切使えなくなるらしい。

 

 使用回数というよりMPのような感じであることから特殊技術(スキル)とは違う技術体系のようだ。

 

「教えてくれてありがとうございます」

「おう、他に何か聞きたいことはあるかい? 冒険者になるんだろ? 先輩としてなんでも教えてあげるよ」

「ありがとうございます。それなら……俺にも武技って覚えられますか?」

 

 ここ大切。

 ユグドラシルとは違う世界でユグドラシルの力ならある意味使いたい放題な俺がこの世界独自の技術を覚えられるのなら俺はさらに強くなれる。

 

 強くなれる可能性があるなら強くなりたいよね。

 

「才能次第だなぁ……エ・ランテルに着くまでの間、俺でよければ教えてあげるよ」

「是非お願いします!」

 

 それからエ・ランテルに到着するまでの間、ベロテさんとリュミエールさんから武技について色々と教えてもらった。

 

 さすがにこの短期間では習得までには至らなかったが、このまま続けていれば習得出来ると太鼓判を押して貰えたので新たな技術を獲得するために頑張ろうと思う。




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