ニニャと出会ってパーティを組むことを約束した次の日、俺とニニャは装備を整えて街の外へとやって来ていた。
「そういえば言ってないことがあった」
「何?」
俺の
「昨日チラッと俺も
「うん。それがどうしたの?」
「その
敵意さえ持たれていなければ同意を得る必要は無いのだが、これから仲間として過ごしていくのなら同意を得るべきだろう。
勝手に見ていることがバレて溝が出来るとか嫌だしね。
伝え忘れていた俺が言うのもなんだけど!!
「え……情報って?」
「名前や今現在の強さ、修めている
「名前……」
あまり歓迎はされていない感じだな。
確かに普通なら「今からお前の個人情報丸裸にするね?」って言われたらまず拒否するものな。
俺ならぶん殴ってしまうかもしれない。
「えっと……その……」
「嫌か? 嫌なら無理強いはしないし、勝手に能力を使わないことは約束するけど」
杖を両手で握り、モジモジしているニニャを見ていると言うんじゃ無かったと若干後悔の念が沸き起こる。
これが原因で新しい弟に嫌われるのは嫌だなぁ……
「嫌じゃ……無いけど、先に言わないといけないことが……」
「言わないといけないこと?」
このタイミングで?
考えられることは俺の【ステータスチェック】で確認できる内容に嘘があることだろう。
俺の【ステータスチェック】で見られる項目は種族、名前、年齢、レベル、ステータス、
その中で嘘があるとすれば……
種族と名前と年齢あたりかな?
実は人間じゃなくてエルフとかで、100年くらい生きてるとか?
見た目は純人間種だけど、何らかのマジックアイテムで偽装している可能性は無きにしも非ずだし。
もしくは【ステータスチェック】では見れないけど、性別を偽ってるとか?
たしかに10歳くらいなら誤魔化せるだろう。
声変わりもまだだろうし、顔立ちもニニャは中性的だ。
しかし性別を偽るメリットはわからない。
だから性別を偽っていることだけはないと思うのだけど……
「実は……ニニャと言うのは偽名なんです」
「そうなんだ」
それは予想してた。
冒険者登録は本名である必要は無いので偽名を名乗る冒険者は案外多いってベロテさんが言ってた。
そういうベロテさんのチームメンバーのリュミエールさんは偽名らしいし。
なんでも本名が女の子っぽい名前で嫌いだから偽名を名乗ってるらしいよ。
「本名はセリーシア・ベイロンって言います。ニニャという名前は姉の名前ツアレニーニャから貰いました」
「なるほどお姉さんの……ん?」
セリーシア?
「気付きますよね……僕、男じゃなくて女なんです」
「なんと……」
性別だけは偽る意味わからないからこれだけは無いと思っていたらまさかの……
しかしニニャ――セリーシアは何故性別を偽っていたのだろうか?
「冒険者って、男の人ばかりじゃないですか? 私が女だってバレたら舐められちゃうかもしれないし、それに……」
「それに?」
「姉が貴族に攫われるのを見ていたんです。男の人から『女』として見られるのが怖くて……」
「なるほどねぇ……」
そうだ、そうだった。
この世界はゲームの――ユグドラシルの延長では無いのだった。
全ての人は意志を持ち、自ら考え生きている。
に設定されたAIで動くNPCでは無いのだ。
それなら女性が男性と偽って生きるのもさもありなん。
俺の生きていた
そのうちの一人は爆弾で吹き飛ばしてやったけどね。
「うん……ごめん」
「なんでアレスが謝るの?」
「ニニャはその事隠したかったんだろ? わざとじゃ無いとはいえ、結果的に暴くことになっちゃったから……」
もしかするとニニャが
そう考えると……俺って浅はかだな。
「アレス……」
「だからごめん! 絶対誰にも言わないから!」
俺とニニャの
そんな気持ちで頭を下げようとしたのだが、下げる前に慌てたニニャに止められてしまった。
「元はと言えば嘘をついた僕のせいだから……」
「隠したがってることを暴いちゃったのは俺だから……」
互いに責任は自分にあるのだと頭を下げ合う。
傍から見たらおかしな行動だっただろう。
「うん、じゃあお互い様ということで……」
「そうだね……」
「お互いのことも他の人には秘密ということで……」
「異議なし」
「じゃあそういうことで……行こうか、ニニャ」
「うん!」
ニニャが自分から「私の名前はセリーシア」と名乗らない限り、俺はニニャと呼び続けよう。
互いの秘密を打ち明けあった俺たちは、一度頷きあってからゴブリン討伐のため街の外へと向かって駆け出した。
シルバーウィークですし2回更新しようかな。
19時10分にも更新します。