「アレスたちも組合に行くのかい?」
「うん。カッツェ平野で大量に狩って来たから報酬が楽しみだよ」
「大量に……?」
俺の返答を聞いて、ペテルくんは不思議そうに俺とニニャを見てくる。
大量に狩って来たといいつつ手荷物が無いのを不思議に思ったのだろう。
「何も持ってねーじゃん。もしかしてニニャちゃん《ポケットスペース》覚えたの?
」
「《ポケットスペース》? なんぞそれ?」
聞いた事のない単語が出てきた。
ニニャに確認を取るということは魔法なのだろうけど、どのような魔法なのだろうか?
「覚えてないよ。アレスは聞いたことないの?」
「初耳」
「そうなんだ、アレスは魔法の知識も豊富だから知ってるかと思ったけど知らないんだね。《ポケットスペース》は自分の魔力を使って異空間に専用のスペースを作る魔法だよ」
へぇー、アイテムボックスを擬似的に魔法で再現するみたいな感じなのかな?
「そうなんだ。チャラ男に答えておくと俺の
「
「持ってて悪いかチャラ男め」
馴れ馴れしく肩を組んでくるんじゃない!
ルクルットの脛を蹴りながら街を歩き、ようやくたどり着いた冒険者組合に入ると、組合の中は蜂の巣を突いたような大騒ぎであった。
「あ、アレスさん、ニニャさん!」
どうしたのだろうかとペテルくんと顔を見合せていると、いつも俺たちが狩って来た魔物の部位の集計をしてくれる受付のお姉さんが立ち上がり、こちらを見ていた。
「こんにちはイシュペンさん。今日もたくさん持ってきたけど……」
今提出してもいいものか分からなかったので聞いてみる。
周りを見れば、職員はバタバタと走り回っているし、建物の中に居る冒険者たちも何事かヒソヒソ話し合っている。
あ、イグヴァルジが居る。俺と目があった瞬間に仲間の影に隠れやがった……
あのヘタレ、いや小便タレめ。
「えっと……アレスくんたちはカッツェ平野に行っていたのよね?」
「マイブームなんで。行ってましたよ」
最近はスケルトンの骨ばかり持ってきているので、俺たちの狩場は組合職員の中では「
ちょっと酷いと思う。
「そのカッツェ平野に強力なアンデッドが現れたのよ! 無事に戻ってきたってことは遭遇しなかったのね?」
「強力なアンデッド? どんなのです?」
多分おそらくきっと十中八九
もしも
「報告によれば大きな騎士みたいな外見のアンデッドで、殺した相手を
「あー……」
確定ですね。それ、
「帝国の騎士やワーカーにもかなりの被害が出たみたい……うちの冒険者も
これ、結構大事になってるな。
確かにプレートを提げてた
「そのアンデッド、見た人居ます?」
「ええ、居るけど……」
イシュペンさんがちらりと見た方向を見てみると、そこにはクラルグラのメンバーが揃っていた。
よりにもよってアイツらかよ……
「イシュペンさんイシュペンさん、ちょっとお話が……」
「どうしたの?」
こちらに向き直ったイシュペンさんに顔を寄せ、小声で話しかける。
「そのアンデッド、倒しました」
「……え?」
「だから俺とニニャで倒しました。もうカッツェ平野には居ません」
「……は?」
ダメだ……話にならねぇ……!
「だから! そのアンデッドは俺たちが倒しましたからもう大丈夫ですって!」
「は……え……ええええええええ!?!?」
「「えええええ!?」」
意識がどこかに行っちゃったイシュペンさんを呼び戻すために耳元で大声を出して伝えると、無事戻ってきたようで驚きの声を上げた。
と同時に背後からも同じような声が聞こえてきた。
しまった、そういえばここ組合の受付だった。
待機してた冒険者全員に丸聞こえじゃん。まぁいいか。
「おい、ちょっと待て! お前があのアンデッドを倒したなんてなんの冗談――」
「あ゛?」
「ヒィッ!?」
思わずといった様子でイグヴァルジが俺の肩を掴んできたので、睨みつけてみたら悲鳴をあげて後退ってしまった。
お前は隅っこで小便垂れてろ!
「アレスくん……倒したって、本当に?」
「ホントですよ。信じられないなら見ます?」
「何を?」
「死体を」
「……え?」
あれ? またこの流れ?
「え……ええええええええ!?!?」
「「ええええええええ!?!?」」
もうええて。それさっきやったやん。
結局、騒ぎを聞き付けたアフロな組合長がやって来て組合の裏の空き地で
厳密に言うと、出した瞬間騒ぎが大きくなったような気もするけど、それは気にしてはいけない。