「さて……ニニャ、ギガントバジリスクについてはどれくらい知ってる?」
「資料に書いてあったことは全部暗記してるよ。石化の魔眼と猛毒の体液を持つ難度82の難敵だね」
難度というのはよく分からないが、ユグドラシルにおいてギガントバジリスクとはレベル30にも満たない能力がめんどくさいだけの雑魚である。
耐性が揃っていない初心者から中級者には厄介な敵であるが、耐性さえ揃ってしまえばなんてことのないモンスターだ。
もちろん、俺の装備している腕輪には毒と石化に対する完全耐性が備わっているのでなんの問題も無い。
耐性を有しているし乾坤袋の中には回復アイテムも多数入っているのだが、だからと言ってニニャが毒に犯されたり石化するのは見たくない。
ゲームならまだしも現実で毒や石化を見るのは嫌だ。絶対グロい。
俺のグロ耐性は高くはないのだ。
ということで……そろそろユグドラシルとアイテムについても話そうと思っていたタイミングなのでちょうどいいと言えばちょうどいい。
「ニニャ」
「なに?」
「これを装備して。毒と麻痺、石化に対する完全耐性が付与されるから」
アイテムボックスに手を突っ込み、指輪をふたつとネックレスをひとつ取り出してニニャに手渡す。
「完全耐性? これって……」
「そろそろ俺の秘密を全部話そうかなって思ってたからね。この装備も秘密の一部だよ」
「話してくれるの?」
「うん。元々俺たちの探し人を探す旅に出たら話そうと思ってたからね」
流石に家族には話せないけど、一緒に旅をするのなら教えてしまった方が楽だし。
今まで話さなかったのもレベリングに甘えが出たら困るからって理由だからね。
身に付けるだけでステータスが跳ね上がる装備があると知ってしまったらそれに頼り切りになりかねない。
極論ニニャにはまだ扱えないけど、
「……分かった。待ってるね」
ニニャは俺からアイテムを受け取り、みっつ全てを装備する。
これにてギガントバジリスクはただのデカいトカゲに成り下がった。
「んじゃあとはいつも通りで。バフよろ」
「任せて」
第四位階に達したニニャは《
そのおかげで今までより更に一段階俺のステータスが強化される。
これに武技《能力向上》《能力超向上》を重ねることでレベル30に設定している俺でもレベル40の敵と正面から殴りあえるほどの身体能力へと強化される。
「終わったよ」
「うし、あとは上空から援護射撃で」
「了解。昨日覚えた《
「いいよ。じゃあトドメは任せて」
新しい技を覚えたら使いたくなる気持ちはよく分かる。
なので今回の初撃はニニャに任せよう。
「お、ちゃんとこっちに向かって来てるね。じゃあ手筈通りに」
「了解。《
ニニャが魔法を使ったことを確認したので、腰の剣を鞘ごと外して構える。
それを見たニニャが軽く飛び上がり、剣の腹に両足を乗せた。
「どっせい!」
力を込め、ニニャを上空へと投げ飛ばす。
《
ある程度の高さでニニャは静止、こちらに向かって走ってくるギガントバジリスクに向けて杖を構えた。
「《
ニニャの構えた杖の先に巨大な白銀の槍が現れ、真っ直ぐギガントバジリスクへと向けて放たれた。
この魔法は魔法のくせに貫通力に優れた物理ダメージを与える魔法なので俺という前衛がいる限り使う機会が少ない魔法なのだが、俺たちのチーム名が白銀の閃光に決まったのでその名前に因んで最優先に取得したいと言っていた魔法である。
取得する魔法を名前で決めるのはどうかと思う。
そんな事を言ってる間にニニャの放った最強化された《
白銀の槍に貫かれたギガントバジリスクはあまりの威力に声も出せずにのたうち回っている。絶好のチャンスだ。
「武技《空斬》!」
「武技《空斬》《空斬》《空斬》!」
だが悲しいかな、俺が覚えた《空斬》は基礎攻撃力はそこまで高くない上距離が離れれば離れるほど威力が減衰してしまう。
「武技《空斬》《空斬》――」
「……《
俺が一生懸命剣を振って《空斬》でチマチマ削っていたのにまさかのニニャの第二射が放たれ、再びギガントバジリスクを貫いた。
「まったく、何やってるの!? トドメは任せろって言ってたよね!?」
「すいません」
「《空斬》が使えるようになったから使いたいのは分かるけど、ちょっと舐めすぎなんじゃないのかな?」
「面目次第もございません」
確かに毒と石化の完全耐性があるからただのデカいトカゲだと甘く見ていたのは事実だ。何も言い返せない。
「本当に……次やったら本気で怒るからね?」
「ごめんなさい。もう舐めプはしません」
「舐め……プ? よく分からないけど、言い訳があれば聞くよ?」
「ニニャの魔法が思ってた以上にダメージを与えていてギガントバジリスクが瀕死に追い込まれていたのでちょうどいい武技の練習台になると思ってやりました」
反省はするけど後悔は特に無いです。
でももうやりません。次からはきっちり殺ります。
「はぁ……まぁいいや」
「次からはちゃんと殺りますんで……ところでさ」
「なに?」
「コイツの討伐証明部位ってどこ?」
結構デカイ槍で貫かれちゃってるんだけど、証明部位は無事なのかな?
「ギガントバジリスクの討伐証明部位は鼻先の大きな角だよ。けどアレスなら死体ごと運べるよね?」
「ん? 運べるけど……運んだ方がいいの?」
もしかして食えるの? 美味しいのかな?
「ギガントバジリスクの皮や爪、角、牙は素材になるから売れるんだよ。それに体液もポーションの素材になるらしいし」
「へー」
それなら持ち帰ろうか。
お金に困ってはいないけど、あって困るものでもないから稼げる時に稼いでおいて損は無い。
ポーションの素材になるのなら体液はバレアレ薬品店に寄付するのもアリだね。
「んじゃ回収!」
「完了」
「お疲れ様。じゃあバレアレさんたちを追いかけよっか。どこまで逃げたか分からないけど……」
「エ・ランテルまで戻ってたりして」
「さすがに無理じゃないかな?」
出来る限り早く追いつくため、ニニャに足が早くなる補助魔法《
それから改めて《
ちなみに関係の無い話だけど、本日帝国のとある逸脱者が伝説のアンデッドを討伐するために帝都を出発したらしいです。