オーバーロード〜約束の指輪〜   作:愛飢夫

33 / 34
賢き……王?

「こちらがオリハルコン級のプレートです」

「ありがとうございます」

 

 無事バレアレさん親子の護衛を終え、エ・ランテルに戻った俺たちは冒険者組合にて成功報酬と、ギガントバジリスク討伐で約束していたオリハルコン級への昇格を果たしていた。

 

「アレスくんたちはこれからどうするの?」

「一度エ・ランテルからは離れてみようかと思ってます」

「アレスくんたちもなのね……戻ってきてくれるのよね?」

「そのつもりです」

 

 俺が護衛依頼を終えたら捜索の度に出ようとしていた理由、それはもうすぐバハルス帝国との戦争が行われるからであった。

 

 数年前、代替わりした帝国皇帝の策略により、毎年収穫の時期を狙って帝国は王国に戦争を仕掛けて来るようになった。

 

 ここ、エ・ランテルは国境から最も近い都市であり、戦争の際は前線基地のなる為に冒険者の仕事がやりづらくなる。

 そのため、結構な数の冒険者が一時的に街を離れるケースが増える。

 なのでそれに便乗すれば引き止められる可能性が下がると思ってこの時期を選んだのだ。

 

「それなら安心ね。気を付けてね?」

「はい。ありがとうございますらそれじゃあ……」

 

 もはや担当のように対応してくれるイシュペンさんに別れを告げ、組合を出る。

 

「アレス、このまま出発するの?」

「いや、思いついたことがあるからもう一回カルネ村に帰ろうかと思うんだ」

「やりたいこと?」

 

 ニニャが首を傾げたので、先日薬草採取中に思いついたことを説明する。

 

「ハムスケ連れて行こうかなって。アイツなら馬なんかよりはるかに早く走れるだろうし、体力もあるから旅をするには最高の乗り物だと思うんだ」

「なるほどそういうことね」

 

 俺の説明にニニャも納得しかけたようだが、ひとつ気になることがあるらしい。

 

「それはわかったけど、ハムスケちゃんが居るからカルネ村はモンスターに襲われないんだよね? ハムスケちゃんを連れ出して大丈夫なの?」

 

 もっともな疑問であるが、一応答えは用意している。

 

「トブの大森林にはハムスケの他にも『東の巨人』と『西の魔蛇』ってのが居るらしいんだよね。だからそいつらシバいてハムスケの代わりに村を守らせようかなって」

 

 魔物使い(テイマー)系のビルドで戦えば従わせることが出来るだろう。

 

 乗り心地と移動速度がそっちの方がよければそっちを連れていけばいいし。

 

「出来るの?」

「十中八九出来ると思うよ。もしもハムスケより強くても問題無いし」

 

 三大と呼ばれるトブの大森林の支配者の中でハムスケだけ飛び抜けて弱いとかならちょっと話は変わってくるけど、他の二匹が100レベルでハムスケだけ30ちょいってことはないだろ。

 仮にそうだとしてもアルティメットチートビルドにしてフル装備すれば問題なく勝てるだろうし。

 

 初手に《大災厄(グランド・カタストロフ)》をぶち込んでからの《世界断切(ワールドブレイク)》したら勝てるはず。相手は死ぬ。

 

 その場合使役出来なくなるからそれだけが問題……いや、蘇生させればいいだけか。

 

「わかった。じゃあ馬借りてくるね」

「馬? なんで?」

 

 借りないよ? 乗れないし。

 

「借りないの? ならカルネ村までは歩いていくの?」

「あーそれね。今回は第七位階魔法を使用したいと思います」

「第……七?」

 

 転移魔法なら第五位階に《転移(テレポーテーション)》があるけど、あれは基本的に一人用だからね。

 第七位階の《上位転移(グレーター・テレポーテーション)》なら複数人で行けるし失敗もまずないから今回はこちらを使うつもりだ。

 

「うん。《上位転移(グレーター・テレポーテーション)》って魔法を使うよ」

「そんなあっさり……いや、うん。アレスだもんね。仕方ないや」

「どういうことよ」

 

 俺だから仕方ないってなんだよ?

 

「気にしないで。私ももう気にしないから」

「なんだか釈然としない……」

「気にしないで」

 

 結局気にしたら負けという結論に落ち着いたので、二人で人気のない路地に入り魔法を発動、一瞬でトブの大森林外縁部に到着した。

 

「ほんとに一瞬で着いちゃった……私にも覚えられるかな?」

「第七位階はまだしばらくかかるんじゃない? 第五位階にも転移魔法はあるから、まずはそこを目指して頑張ろう頑張ろう」

「数ヶ月で第四位階にまで到達したもんね。うん、頑張るよ」

 

 ニニャは拳を胸の前で握り、決意を新たにしている。

 確か姉を探すために力を求めていたはずなんだけど、今では強くなれるのが楽しいらしい。

 

 とはいえニニャは第三位階の《次元の移動(ディメンジョナル・ムーブ)》は使えるはずなんだけど……これは転移系にカウントされてないのかな?

 

「まぁサポートは任せてよ……っと、来たね」

 

 話をしていると、森の奥から地響きを立てながら大きな何かが近付いてくる気配を察知した。

 

「殿ぉぉおおお!!」

「おっすおっす」

 

 当然ハムスケである。

 やはり野生の獣らしく、俺が転移した気配を察知して迎えに来てくれた。

 

 気付かなかったら《伝言(メッセージ)》で呼び出そうと思っていたが必要無かったね。

 

「殿、今日はなんの用でござるかるか?」

「しばらく旅に出ようと思うんだけど、お前も連れていこうかと思って」

「なんと!」

 

 先程ニニャに説明したのと同じ説明をすると、ハムスケは嬉しそうに目を輝かせていた。

 

「是非お供したいでござるよ!」

「よしよし。なら東の巨人と西の魔蛇シバキ倒しにいこうか。どっちが近い?」

 

 東と西だから反対方向なのだろうが、シバいたら転移でここに戻って反対に行けばいい。

 だからどっちの方が近いのか聞いてみたのだが……

 

「知らないでござる」

「は?」

「某ナワバリから出ぬゆえナワバリの外のことは詳しくないのでござるよ」

「え?」

 

 こいつ何言ってんの?

 

「お前、森の賢王だよね?」

「そう呼ばれていたでござるよ」

「どの辺が賢王なの?」

「それは……」

 

 これ、景品表示法違反じゃね? 俺はプロゲーマーだったからガチャに関連する法律には詳しいんだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。