グとかいう名前のウォートロールを調教した後、ハムスケのナワバリへと転移で移動してそこで再び《影分身》を使用、改めて三体の分身を生み出した。
「お前らにお仕事を与えます!」
「やだ」
「働きたくないでござる」
「そもそもなに命令してんの?」
うむ、従順な配下が生まれて嬉しいよ。
「カルネ村とハムスケのナワバリの警備を命じます! ローテーション組んでや休んでいいから働きなさい!」
「カルネ村の警備?」
「なら……」
「「「エンリとネムのことは俺たちにお任せ!」」」
「お前らシスコンかよ」
シュバっと素早い動きで三人は散開していく。
初日の休みはいらないのだろうか?
しかしこれで忍者の
適当な戦士系のレベルを下げて帳尻を合わせておこう。
別に100レベルでビルドを組んでもいいのだけど、ここまでニニャに合わせてきたのだからこのまま合わせておこう。
とりあえずアイテムボックスからグリーンシークレットハウスを取り出して適当に設置しておく。
ひとつしか無いけど、三人で仲良く使って欲しい。
なんにせよ……カルネ村にエンリとネムが居る限りこいつらのやる気が無尽蔵に上がるのなら文句は無い。
レベル40相当の忍者三人もいれば村の安全は確保されたも同然だろう。
なんで言われるまで気付かなかったんだろうね?
「よしニニャ、ハムスケ、行こうか」
「西の魔蛇はいいの?」
後顧の憂いも無くなったので、いざ旅立ちの時と思ったのだが、どうやらニニャは西の魔蛇が気になるらしい。
西の魔蛇でも強制復活レベリングを行うつもりなのだろうか? なかなかやる気のあることで大変によろしい。
「とりあえずレベルだけでも確認しておこうか? ニニャのレベリングに使えるなら使ってもいいし」
「いや、そういうことじゃなくて……」
違うの?
「一応ハムスケちゃんのナワバリにちょっかい掛けないように言っておいた方がいいんじゃないかなって思って」
「なるほど、そういうことでしたか……」
レベリングじゃなかったんだ……ちょっと残念。
「まぁそういうことなら……それよりも聞きたいんだけど、ニニャの村ってどこなの?」
どうせ王国側に出るなら森を西に進むのでついでに釘を刺すのはアリだろう。
それより最初の目的地であるニニャの生まれた村の場所の方が気になったので聞いてみる。
「私が生まれたのは王国の北東だよ。ウロヴァーナ辺境伯領の隣の小さな貴族領にある農村だよ」
結構……というかかなり遠いな。
なら西の魔蛇に釘を刺した後はその貴族領を目指して進もうか。
「じゃあまずはそこに行こう!」
「いいの? アレスの前世の恋人も探すんでしょ?」
「俺の方はアテがないからね……ニニャのお姉さんの方がまだ見つけられそうだし」
元々《
だから色んな村や街に行ってエンゲージリングの効果が発動するかの確認をするためにあちこち行きたい。
それを説明するとニニャも納得したようで、まずはニニャの生まれた貴族領へと向かうことで合意した。
それから数日掛けて西の魔蛇を捜索、透明化の魔法を使って隠れているところを発見して交渉してみると、素直にハムスケのナワバリには手を出さないと確約してくれた。
西の魔蛇……リュラリュースはグやハムスケと大したレベル差も無く旨みもそこまでだったので、その素直さに免じてニニャの経験値の餌にするのは勘弁してあげることにしておいた。
ハムスケのナワバリに手を出せば問答無用で経験値と言っておいたので、これで手を出すことは無いと思う。
「じゃあ約束守れよ?」
「もちろんにございます。ワシは貴方様に忠誠を……」
「そういうのめんどいから」
モンスターに忠誠を捧げられても……ねぇ?
ハムスケみたく可愛くて役に立つのならそれもいいけど、ナーガに忠誠を誓われても困る。連れ歩く訳にはいかないし。
「よし、これでトブの大森林は大丈夫だね」
「こんなにあっさり終わるなんて……」
「姫、殿のやることに常識を求めてはなりませぬ」
「それもそうだね」
ニニャとハムスケがなにやら不穏な会話をしているが、気にしたら負けなので……
いや気になるから。
「ニニャ……」
「あ、アレス、そろそろ森を抜けるよ?」
「ほんとだ」
さすがに苦言を呈そうかと口を開こうとしたのだが、森をぬけてしまったのでタイミングを失い問い詰めることが出来なかった。
「ここどこ?」
「さぁ?」
適当なところで森を抜けたので現在地がさっぱり分からない。
エ・ランテルを起点にすればだいぶ北の方まで来ているとは思うのだが……
「そもそも聞いても分からないや」
俺は王国の地理なんてわからないのだ。
「どうするの?」
「とりあえずこの辺は人来なさそうだよね」
忍者スキルを活かして周囲の気配を探ってみるが、人間の気配は全く感じられない。
かなり人里からは離れているようだ。
「よし、今日の冒険はここまでにします」
「もう? まだ早くない?」
「ちょっと早いけど、使ってみたいアイテムがあるんだ」
「アレスがそういうなら……」
このままハムスケに乗って走り回ってもいいのだが、無駄に疲れてしまうだけだろう。
それなら今日の残り半日を周辺地理把握に使って明日以降最短ルートで突っ走る方が楽だし早い。
俺はもうひとつ持っているグリーンシークレットハウスを使って小屋を作り、ニニャとハムスケを中に誘う。
このアイテムは異形種でも使えるアイテムなのでハムスケも楽々だ。
「うわ……すごい……」
「適当に寛いでてよ。あ、風呂もあるから入ってきてもいいよ」
入ってすぐのリビングルームのソファに腰掛けながらニニャに風呂を勧める。
今まで安宿暮らしで風呂なんて無かったので、女の子であるニニャには嬉しい提案だろう。
もちろん覗く気は無い。俺が覗くのはスーちゃんだけだ。
「え? お風呂もあるの?」
「あるよ。使い方は……分からないか」
立ち上がり、ニニャを連れて浴室へ移動。
簡単に使い方を教えてから再びリビングへと戻った。
「殿、何をするでござるか?」
「これを使えば道もわかるかなって」
アイテムボックスを開いて中から大きな鏡を取り出してハムスケに見せる。
「なんでござるか?」
「これは『
「おお! そのようなものが!」
これだけ聞けば素晴らしいアイテムに聞こえるが、低位の妨害魔法ひとつで覗き見出来なくなるという欠点のある微妙アイテムである。
事実、ユグドラシルでは使い道はほとんど無かった。
「まぁ初めて使うから使い方も分からないんだけどね。ニニャが出てくるまでになんとか覚えないと」
その後しばらく鏡の前でダンスの練習をし、ニニャが風呂から出てくる直前になんとか使用方法を覚えることが出来た。
とりあえず近くの街道を見つけなければ。