「こちらからもひとつお聞きしても?」
「答えられることならば」
リグリットが頷いたので問いを投げかける。
全員揃ったこの場でこれを聞くのはちょっとどうかと思うが、プレイヤーということがバレたのだから気にしなくてもいいだろう。
「リグリットさん、貴女は……スーちゃんですか?」
「スー……ちゃん?」
俺の質問が予想外だったのか、怖いくらい真剣な顔をしていたリグリットの目が見開かれ、口もぽかんと開いた。
「た……確かに私の名前は『リグリット・ベルスー・カウラウ』。スーちゃんと呼べなくもありませぬが……」
「あ、違うならいいです」
ちょっぴり安心したのは内緒だ。さすがに年の差が大きすぎる。
見たところリグリットは60は余裕で超えていそうだ。この年の差を覆して愛するにはちょびっとだけ気合いを入れないといけないと思っていたのだ。
「それで――」
「とりあえず話はあとにして中に入りません? これ以上話しているとせっかくかけたバフが切れちゃいますよ?」
「う、うむ……」
リグリットがスーちゃんでない事がわかったのならこれ以上話をする意味は俺には無い。
そんなことよりもボスが気になるからさっさと中に入りたいのだ。
「そ、それもそうね! ティア、ティナ、お願い」
「了解ボス」
「任せろリーダー」
早く入ろうと急かす俺の声にハッとしたのか、ラキュースが改めて指示を出して赤青忍者が扉を開いた。
「みんな、気を引き締めて行きましょう」
ラキュースの号令に全員で頷き返し、俺たちはボス部屋の中へと足を踏み入れた。
◇◆
「居るわね」
「やべぇ気配をビンビンに感じるぜ……」
「ほぅ、これは中々」
順番にラキュース、ガガーラン、リグリットの発言である。
赤青忍者は警戒しているのか、一言も声を発しない。
ニニャは……うん、普通。完全にいつも通りだ。
さてさて、肝心のボスの正体は……
「なんだ……ただの『
部屋の中央に立っているのは身長3メートル程で、爬虫類のような鱗に覆われたマッチョな悪魔。
蛇のような長い尻尾と蝙蝠の羽を生やしたこれぞ悪魔というフォルムをしている。
マッチョさでは我らがガガーランアニキといい勝負だろう。
まとめると……レベル30を超えるかどうかの中位悪魔である。
「知ってるの?」
「知ってるよ。ハムスケなら互角の殴り合いになるくらい。ニニャなら距離さえしっかり取ってたら楽勝なくらいの強さかな」
トブの大森林で素直トロールレベリングを行っていなければちょっと苦労したかもしれないけど、今ならニニャの方がレベルも高いだろうし、距離さえ空ければ苦戦する道理は無い。
「来るわ!」
「《不動金剛盾の術》」
大槌が振り下ろされる直前、赤いのが先頭に飛び出し忍術を使って振り下ろされた大槌を防ぐ。
「《
「《能力向上》《剛腕剛撃》《強打》行くぞオラァ!」
「《
攻撃を防がれて硬直している
「ガァッ!!」
「行け!」
リグリットの指示により、召喚された三体のスケルトンナイトが
「《不動金縛りの術》」
《影移動》で影から影を移動していた青いのが
「ガガーラン!」
「おうよ! 俺の《超級連続攻撃》を受けて立ってられるか試してやるぜ!」
ガガーランニキは一度槌をバトンのように回転させ、次々と切れ間無くいくつもの武技を連続で発動、まさに槌の嵐とも入れるような連撃を叩き込んだ。
リグリットが召喚スケイルナイトも砕けているのだが、気にしてはいけないのだろう。
「ティア! ティナー ガガーランを!」
「うい」
「お任せ」
赤青忍者がどこからともなく現れ、技後硬直しているガガーランを担ぎあげ、後方へと飛び下がる。
「リグリット!」
「合わせなラキュース! 《
リグリットが放ったふたつの炎の塊が
「《
ラキュースの放った神聖魔法は、火球に焼かれ燃え盛る
「やった……の?」
ラキュースがやってないフラグを立てるが、
「倒した……のか?」
炎が消え、辺りを包んでいた煙が散った時、そこには一本の大剣が床に突き刺さっていた。
漆黒の刀身に夜空の星を思わせる輝きを持つ美しい剣だ。
「リグリット、これが……」
小さな声で呟きながら、ラキュースはその剣に吸い寄せられるように近付いて行く。
「うむ。その剣こそ十三英雄が一人、暗黒騎士の使っていた四大魔剣のひとつ『魔剣キリネイラム』」
震える手で大剣の柄を掴み、引き抜いて両手で捧げ持つ。
そんなラキュースの姿を見て、
ちなみに【ステータスチェック】を使えば俺も
こうして俺たち『白銀の閃光』とラキュースたち『蒼の薔薇』は合同チームで新たに発見された遺跡の初見踏破に成功した。
最後俺たち何もしてないけどね!