(銃器は)ないです
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「今よ、一条!! 決めちゃいなさい!!」
「一条さん、頼みましたよ!」
「行け!! 一条、やつを倒せるのはおまえしかいない!!」
このやりとり、本日三回目である。
いくら俺が周回向けだとしてもですねぇ……。
「必殺技撃つたびに魔力枯渇で死にかけるのしんどいんだからなぁ!?」
そう叫びながら、俺はビルの屋上から飛び降りた。
もちろん自殺志願ではない。俺が飛び降りたのには理由がある。
下には幻魔と呼ばれるバケモノ。今回の見た目はクソデカい蟹という感じだ。
下からだと奴に警戒されているからだ。
他のメンバーが下にいるから当然だな、これは。
俺の必殺技は相手を殴らなければ発動しない。
警戒されているとあのハサミによる攻撃で近づけないのだ。
ゆえに上から飛び降りてパンチを決める。
着地の点に関しては心配ない。
なんせ俺の必殺技は──。
「
ドォオオオオオオオオオオオン!! ──という爆発音が響き渡る。
蟹の硬い甲羅を貫通し、内部から爆発が巻き起こる。
俺の半身に降りかかる熱風。これが目的だ。
そう、爆風を撃ち出して派手に吹き飛ぶのだ。
「くぎゃあああああああああああああああああああ!?」
────蟹って叫ぶんだな。知らなかった。
自分の爆風では傷つかないので、爆風で勢いを殺しつつごろごろと転がって着地。
無傷とはいかないが、なんとか無事に着地することが出来た。
そのまま仰向けになって倒れると夜空が見える。
澄んだ空気に星々が瞬いているが、それよりも──。
天使の輪っかのような円環の方が目立つ。
この地を封印している天輪結界だとかなんとか。
そりゃあそうだ。
この地はただでさえ幻魔と呼ばれるバケモノ達が生まれるってのに──。
多くの異能者を封じ込めている……異能都市なんだからな。
「お疲れ様」
──なんて考えていると、見覚えのあるスパッツが見えた。
制服のスカートにスパッツ。つまるところ誰かが俺の近くにいる。
その気だるけな声から相手は明白だ。
幼馴染の
ボブカットの黒髪に、インナーを銀色に染めている今どきのギャルだ。
「スカートの中身見えてんぞ」
「嬉しいでしょ」
「喜ばせたいなら見せパンでも履いてきてくれる?」
スパッツってピチピチだから直視すると、肉感的でけっこうエロいけど……。
うおっ、むちむちっ。おっと、俺は紳士俺は紳士。ふいっと視線をそらす。
なんて考えていると、次の瞬間には希沙良の顔が近づいてきた。
瞳がデカいな……赤いし……。
「ほら、ジッとして」
そのまま希沙良は俺の額にキスをした。
恋人的なそういうアプローチではない。希沙良の異能に必要なのだ。
みるみるうちに俺の負傷が癒されていく。
いや、希沙良に吸い取られているといったほうがいいのか。
しばらくそのままでいると、完全に俺の負傷は回復した。
「おお、ありがてぇ」
起き上がろうとして、ごつんと希沙良の額にぶつかってしまった。
希沙良は痛そうに額を抑えながら、俺の隣に座った。正座である。
下コンクリなのに痛くないのかよ。
「しかしウチもそろそろ限界だね。体がダルい」
「ああ、負傷の代わりに体力を消耗するんだったよな」
「体力ってーか、相手の不調をウチの疲れとして吸い取ってるってゆーか」
既に三回も使ってもらっている。枯渇していた魔力も完全回復だ。
もう一発撃てると思うが、希沙良が斃れてしまってはいけない。
今日の狩りは終了だな。
「お疲れ様でした。本日はもう終わりですか?」
そう声をかけてくるのは後輩。
紫陽花のような色の髪をポニーテールにした慇懃無礼な女の子。
背が低いからまだ中学生に見える。
今も血で作ったハルバードを持って、トコトコとこちらに駆けてきているところだ。
「ああ、希沙良が限界みたいだ。先生にもそう連絡してくれ」
「了解です!」
「う~~ん、限界過ぎてもう歩けないかも。一条、おぶって」
そう言って俺にべったりと抱きついてくる希沙良。
なんかふんわり柔らかく石鹸みたいないい匂いがする。
コイツ昔から俺を男として見てないのか、スキンシップが激しいんだよな……。
「あ、天羽さん……! はしたないですよ……!」
「でもダルいし」
「くっ……!!」
ギリッ、と歯を噛みしめる紫原。そんなに紫原もおぶってもらいたかったのだろうか。
まぁ、もう深夜だしな……明日も学校があるってーのに。
もっとも俺らは一応単位は免除されているのだが。
しかしだからといって休むわけにはいかない。
それに明日は五月五日。俺にとってはビッグイベントがあるのだ。
絶対に休むわけには行かない。
「おい、迎えに来たぞ。今日はもう撤退か?」
ワゴン車に乗って先生がやってきた。
黒髪ロングのむちむちとしたスーツ姿。正直生徒の教育に悪いと思う。
教育者としての自覚はないのか。
「ああ、希沙良がもう限界みたいです」
「だったら仕方ないな……おつかれ。今日は三体倒したから三万ポイントだな」
と言って先生がモバイル端末を操作する。
俺達があのバケモノ……減摩を倒しているのには理由がある。
先生たちから依頼されているというのもあるが、一番はこのポイントだ。
異能ペイ、通称イノペイで買い物が出来る。
一ポイント一万。つまり今夜だけで三万の儲けである。
一晩で三万。それも幻魔は定期的に出る。
卒業まで立派に勤めれば、人生を変えるにあまりある額だ。
学費とかにも使えるらしいし。
「それでは帰ろう、送っていくぞ」
「は~~い」
「ウチはいいっす。一条におぶられて帰るんで」
「何いってんだ、ケツ揉みしだくぞ」
グズる天羽をなんとかワゴン車に乗せて、俺達は帰宅した。
途中で本当にだるかったのか、後部座席で天羽は寝てしまい、俺にめちゃくちゃ寄りかかってきやがった。まったく……と思ったが、治療してもらった手前、強くは言えない。
あろうことか隣の紫原まで俺に寄りかかって寝てしまったが……。
「ハーレムだな」
運転している先生が、からかうようにそう言う。
別に恋愛関係にあるわけではないので、なんとか否定したかった…………が。
面倒なのでやめておいた。眠かったし。
そう、ひとまず俺はこの生活を守れれば良いのだ。
俺が転生した
金髪ニット帽の不良みたいな外見をしており、よく誤解されているが善人。
必殺技である異能の
俺自身、自分がそういうキャラだと気づいてからは努めてそういう風に行動している。
衣装もソシャゲのキャラを思い出して必死に再現してな、うん。
そうした方が原作を変えずに済むと思ったんだよなぁ……。
あ、星とは最大3まであるレアリティだ。
それが1つしかない、ということはソシャゲにおいて、雑魚を意味する。
雑魚は言い過ぎかも。まぁ、普通のレアリティってこと。
どうせ転生するなら星3が良かったが……今となっては詮無きことだ。
むしろ”主人公さま”に使役される機会が少なくて助かるんじゃないか?
明日クラスにやってくる準担任……新米教師の先生。
そいつがこの世界の”主人公”なのだ。
数多にある無数の鬱イベントも原作通りなら主人公が全部なんとかしてくれる。
俺はいつもどおり、学校に行って幻魔をこうして周回する。
それでいいじゃないか。そうであってくれ。
──────そんな希望は脆くも翌日崩れ去った。
金髪ニット帽の不良みたいな外見をした星1キャラ。
ボブカットの黒髪に、銀のインナーをしている。
割とムチムチしている。巨乳。
紫陽花のような髪をポニーテールにした後輩。貧乳でちっちゃい
先生(担任)
黒髪ロング。爆乳。
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やる気に繋がるで
※ちょっとキャラの名前変更しました