ゼロバンゲート 〜Hong Kong nightー   作:茶坊主(ぽんぽん)

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1作目 ゼロバンゲート〜枠外からの挑戦者〜

https://syosetu.org/novel/400558/

2作目 ゼロバンゲート〜Re:スタートライン〜

https://syosetu.org/novel/404292/

の続編になります。
過去作のオリキャラ、関係性を引き継いでいますが、
初見の方を置き去りにしないように、後書きに解説を置いていきます。

シリーズ既読の方はもちろん、初見の方でも安心して読み進められる構成になっています。


第22話 Hong Kong night 前編

影の街の入口。

祭りの熱気が渦巻くその場所に──

1台の高級車が静かに停まった。

 

ネオンの赤と金が車体に反射し、

まるで舞台のスポットライトのように輝く。

 

次の瞬間。

ドアが豪快に開き、

中から 大きな笑い声 と共に

小柄な少女が勢いよく顔を出した。

 

秋川やよい

「ハッハッハー!!“謎の招待状”、

“ゼロバンゲートの声明”、

“消息を断ったラヴズオンリーユー”

──全てのピースがここに集まっているのだな!」

 

その声は影の街の喧騒を一瞬で飲み込み、

周囲の住人たちが振り向く。

 

その手前で──

黒服の男が無線を握りしめ、震える声を上げた。

 

黒服の男

「り、理事長……到着なさいました!?」

URA本部

「馬鹿な……そんな予定はない!」

 

本部の声は明らかに動揺していた。

影の街の混乱に加え、

“予定外の権威”が現れたことは想定外だった。

 

黒服の男は無線を持ったまま固まる。

秋川やよいは黒服の男を手招きした。

 

秋川やよい

「そこの君、無線を貸したまえ。」

 

黒服は慌てて差し出す。

秋川やよいはそれを受け取り、

まるで“学園全体”を叱りつけるように声を張った。

 

秋川やよい

「傾聴!

この街の件は私が預かる!

君たちの力不足ではなく、

相手が悪かったのだ。以上、撤収!」

 

影の街の入口にいた黒服たちが、

一斉に顔を上げる。

 

URA本部の返答は早かった。

 

URA本部

「かしこまりました。

理事長の護衛だけ残して撤収しろ。」

 

黒服の男は呆気にとられたまま、

無線を見つめる。

 

黒服の男

「は、はい……」

 

影の街の住人たちがざわつく。

祭りの熱狂に、

“公式の撤退命令”という冷たい風が混ざった。

 

黒服が混乱している横で、

秋川やよいは腕を組み直し、

満足げに頷いた。

 

秋川やよい

「うむ、ご苦労!

さて、この招待状の送り主とやらに会いに行くとするか!」

 

その声は、

影の街のネオンよりも強く響いた。

影の街の住人たちが道を開ける。

祭りの熱狂の中心へ──

学園の頂点が歩みを進める。

影の街の祭りは、

この瞬間、完全に“歴史”へと変わった。

 

ーー

 

 

VIPルームの扉が静かに開く。

豪奢なシャンデリアの光が揺れ、

深紅のカーテンが風に揺れる。

その中央に──

フェアレディが立っていた。

まるで舞台の幕が上がる瞬間のように、

ゆっくりと微笑む。

 

フェアレディ

「お待ちしておりましたわ、秋川やよい理事長。」

 

秋川やよいは一歩踏み込み、

扇子を軽く鳴らした。

 

秋川やよい

「ふん……直接呼び出しておいて、堂々としたものだな。」

 

フェアレディは優雅にドレスの裾を広げ、

仰々しいほど完璧なお辞儀をする。

 

フェアレディ

「ゼロバンゲートの身元引受人とでも名乗りましょうか。

──フェアレディでございます。

この度は、わざわざお越しいただき光栄ですわ。」

 

照明に照らされたターフを、秋川やよいはじっと眺めた。

その中央には──ゼロバンゲート。

仮面を外し、堂々とウマ耳を晒し、

ラヴズオンリーユーの入場を待つ姿。

 

皇帝杯ダービーの時のような鬼気迫る表情ではなく、

晴れやかで、まっすぐで、

“走ることそのもの”を楽しむ勝負師の顔だった。

 

秋川やよいはフッと微笑む。

 

秋川やよい

「ゼロバンゲートの……身元引受人だと?」

 

フェアレディは優雅に頷く。フェアレディ

「えぇ。

このレースの主催者

 ──そして、ここ一帯のレースを仕切らせていただいております。」

 

秋川やよいは再びターフへ視線を戻す。

ゼロの堂々たる姿を見て、扇子を軽く鳴らした。

 

秋川やよい

「差出人として書かれていた

“ウマ娘を愛するもの”というのは本当らしいな!良かろう!皆まで言うな!

この勝負──この私が見届ける!」

 

フェアレディは満足げに微笑む。

 

フェアレディ

「お話のわかる方で助かりますわ。」

 

秋川やよいは、

そのまま扇子を勢いよく広げ、

影の街の女王へ向けて宣言した。

 

秋川やよい

「ただし!

私はラヴズオンリーユー側だ。

 学園代表として、観戦させてもらうぞ!」

 

その言葉は、

影の街の熱狂に“公式の権威”を混ぜる強烈な一撃だった。フェアレディはその宣言を受け止め、

まるで舞台の幕が上がる瞬間のように微笑む。

 

フェアレディ

「もちろんですわ。

今夜は──純粋な勝負でございますもの。」

 

影の街の祭りは、

この瞬間、完全に“歴史的な一夜”へと変わった。

 

ーー

 

ラヴズオンリーユーはレース場の入場口へと歩みを進めた。

影の街の熱狂は、ほとんど ゼロバンゲート に向けられたものばかり。

 

自分に向けられる声援はほとんどない。

覚悟していたはずなのに、

胸の奥がぎゅっと締め付けられ、足がすくむ。

 

ラヴズオンリーユー

「逃げるわけにはいかない……!」

 

深く息を吸い、

照明に照らされた芝のコースへ足を踏み入れた。

 

そこにいるのは──

影の王ではなく、

勝負師ゼロバンゲート。

 

ラヴズの胸が熱くなる。

怖さではなく、

“この人と走りたい”という純粋な衝動で。

 

その瞬間──

巨大モニターに見覚えのある顔が映し出された。

 

秋川やよい

「注目!!

この勝負、日本トレセン学園理事長、秋川やよいが見届ける!!」

 

ラヴズオンリーユー

「理事長……!?」

 

観客席がどよめく。

影の街の熱狂に、

“公式の権威”が混ざり合う。

 

秋川やよいは続ける。

 

秋川やよい

「このレースの主催者、フェアレディより、

“ウマ娘を愛するもの”としての招待を受けた!

 ならば応えよう!

このレース──

正々堂々、純粋な勝負であると宣言する!!」

 

扇子を高く掲げ、

夜空へ向けて叫ぶ。

 

秋川やよい

「ゼロバンゲート!!

ラヴズオンリーユー!!その走り、

この私がしかと見届ける!!」

 

そしてモニターには、

ラヴズオンリーユーのコミュメン達の声援が流れ始めた。

 

 コメント

「ラヴちゃん頑張れ!」

「負けないで!」

「愛を届けてきて!」

「最高のレースを期待してる!」

 

ラヴズは思わず胸に手を当てた。

 

ラヴズオンリーユー

「……みんな……」

 

影の街ではゼロの声援が圧倒的。

だが、画面の向こうから届く

“自分だけの応援”が、

ラヴズの足を強く前へ押した。

 

秋川やよいは二人へ視線を向ける。

 

ゼロは堂々とターフ中央に立ち、

ラヴズは胸に手を当てながら前を見据える。

 

秋川やよい

「ウマ娘は──

勝敗をつけずにいられない生き物だ!!

さぁ、始めようではないか!!

今宵の歴史的な一戦を!!」

 

その宣言は、

影の街の祭りを“本物のレース”へと変えた。




正直なところ、物語をどうやって着地させるかが
いちばん難しかったです。
葛藤を抱えながらも、確かに進んできた距離がある
それでも振り払えない迷いと後悔
そういったものをどう清算していくのか

そして、物語性を持たせるにはどうすればいいか

頭が枯れるくらい絞りました。

残り4話 最後までお楽しみいただけたら幸いです
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