元の世界に戻る為に   作:瑠奈地 里多

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第一章 影糸
prologue


「いけ、希望皇ホープ! リバイス・ドラゴンに攻撃! ホープ剣スラッシュ!」

 

 希望の剣が蒼き竜を一刀の元に両断し、生じた衝撃が竜の主のライフを消し飛ばす。

 遊戯王ゼアル第二話。アストラルが遊馬の元に現れ、ナンバーズを手にした神代凌牙を下した試合。

 二人の長きに渡る因縁の始まりにして、友情が芽生えるきっかけとなった闘い。

 

 ――当事者達も、その観客も知らない。この決闘を覗き見している者がいることなど。

 

「原作の始まり、か」

「……ここまで、本当に長かったね」

 

 男女の二人組。髪の色は少年は黒、少女は蒼。典型的な日本人風の顔立ち。少女の方は眼鏡をかけている。

 年齢は恐らく十代前半、しかし纏っている雰囲気は十代後半の物。見た目と不釣り合いなその雰囲気は、奇しくも二人には似合っていると言えた。

 

「……希望皇、か」

「どうかした?」

「ううん、何でもない。ただ……」

「ただ?」

「……ただ、あの希望が、私達にとっての絶望にならなきゃいいなって。そう思っただけ」

 

 ハートランド学園の制服に身を包んだ二人は、真剣な面持ちで同時に息を吐く。

 

「……私は、やっぱり彼が怖い。幾ら万全を期して準備をしてきたと言っても、九十九遊馬には通じない、そんな気がしてならない」

「大丈夫さ。いかに遊馬といえど、敵にならなきゃ被害はない。そもそも、その為の準備だって色々してきたはずだろ?」

「……だけど。万が一、彼が敵に回ったら――――」

「その時は、僕が彼を倒すさ」

 

 腰のデッキケースに手を当て、少年は呼吸を整える。

 

「僕と君が交わした約束を忘れたわけじゃないだろう?」

「……分かってる。ただ、怖いだけ」

「なら、こうすれば少しは安心するかな?」

 

 首を傾げた少女を抱き寄せ、顔を真っ赤にした少女の耳に少年の言葉が優しく響く。

 

「君の前に立ちふさがる者は全て僕が叩き潰す。だから君が心配する必要は、どこにもないんだ」

「こんな所で……恥ずかしい」

「ぼ、僕だって恥ずかしいよ!」

 

 顔を真っ赤にした少年が少女の背に回していた手を離し、同じく頬を朱に染めた少女がくすりと笑みを零す。ばつが悪そうな顔をして腰に回していた手を離した少年であったが、少女が右手を絡めたのを感じ取ってから赤かった頬をさらに朱に染めた。

 

「絶対に元の世界に戻ろう、輪廻」

「……ええ、昇」

 

相剋昇と六道輪廻は転生者だ。しかし彼らの目的は他の者とは一線を画している。

 

 ――元の世界へと帰還する。

 その目的の為に、二人はこの世界で動いてきたし、これからも生きていく。

 

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