じゃあこの話でショウがしたことについては?……まあ、雷帝の自業自得ということで。
夜の虚空を黒い流星となって翔け下りながら、俺はジャケットの内側に隠したヘイローの『亜空間倉庫』へと左手を突っ込み、ある特製のブツを取り出した。
銀色のパイ皿の上にこんもりと盛られた、一見すると真っ赤なベリー系ホイップのように見える特大のパイ。
だが、その実態は甘いお菓子などではない。俺が以前、激辛料理の研究のついでにヘイローの粉末と世界中のありとあらゆる辛味成分――ハバネロ、ジョロキア、キャロライナ・リーパー、さらには山椒やワサビ、からしの揮発成分まで――を限界突破で練り込み、神秘の力で絶対に致死量には至らないが口に入れた瞬間、毛穴の先から腹の底までを地獄の業火に焼かれるような辛味を味わえる様に調整した、名付けて『超新星激辛パイ』である。
「――これはゲヘナ自身が乗り越えなきゃいけない壁、だったよな」
ヒナとの約束だ。雷帝を直接殴り倒して決着をつける役目は、ヒナたちに残しておいてやる。
だが、子どもを泣かせてふんぞり返っているあの余裕かましたツラに、俺から個人的に最高にホットな挨拶をぶち込むくらいは、オプションとして許されるだろう?
万魔殿本部庁舎の屋根が目の前に迫る。
俺は全身に『壁抜け』の神秘を纏ったまま、一切減速することなく庁舎の屋根へ突っ込んだ。
分厚いコンクリートの天井も、地上階の床も、幾重にも張り巡らされた地下への厳重なロック隔壁も、今の俺にはただの空気と同じだ。光のような速度で階層を垂直にすり抜け、わずか二秒足らずで最深部――特別地下監獄の鉄の部屋へと到達する。
その瞬間、部屋の内部では。
震えるイブキの小さな指先が、拷問装置のスイッチへと伸ばされ、豪華な椅子に深く腰掛けた『雷帝』が、足を組んで悠然とほくそ笑みながらそれを見下ろしていた。
俺は部屋の天井から実体化すると同時に、イブキやマコトの横を音もなくすり抜け、重力操作と脚力を合わせた超音速のステップで、椅子に座る雷帝の目の前――ゼロ距離へと一瞬で間合いを詰めた。
雷帝の瞳が驚愕に見開かれるよりも早く、そしてその口から一言の言葉すら発せさせる隙も与えず、俺は右手に構えた真っ赤な『超新星激辛パイ』を、その余裕かました整った顔面めがけて渾身の力で叩きつけた。
「その余裕かました面に向かってえええっ!!スパァァァッ!キンッ!!!」
俺の右腕が伸び切った瞬間、余裕の笑みを浮かべていた雷帝の端正な顔面に高速で放たれたパイが、水に濡れたタオルを床に叩きつけたような快音とともに顔面に貼り付き、極限まで赤いクリームの層が突き破りながら深々とめり込んでいく。行き場を失った激辛の奔流が、わずかに開いた口内、鼻腔、そして見開かれた両目の隙間へと、一切の容赦なく濁流となって雪崩れ込んでいく。
パイ皿がベコッとひしゃげ、投擲の勢いで雷帝の頭部が衝撃でガクンと大きく後ろへ仰け反る。真紅のしぶきが宙を舞い、黄金色の前髪を毒々しい赤へと染め上げながら、薄暗い地下室に鮮やかな激辛の華を咲かせた。
「…………ッッ!? ――ッッ、〜〜〜〜〜ッッッ!!??」
言葉にすらならない、声帯が裏返ったような無音の絶叫。
人類が体験し得るあらゆる辛さの概念を凝縮したクリームが粘膜という粘膜を直撃し、雷帝は椅子から転げ落ちると、顔を両手で掻きむしりながら床をのたうち回って悶絶し始めた。
「ら、雷帝様ぁあああっ!?」
側近の二人も、あまりの超展開に銃を構えることすら忘れてパニックに陥っている。
俺は床でビチビチと跳ねる独裁者には一瞥もくれず、くるりと踵を返した。
「…………へ?」
「……えっ?」
目の前で突然現れた黒ずくめの目出し帽の男がいきなり雷帝の顔面にパイを叩き込んで沈めた光景に、床のマコトもスイッチを持ったままのイブキも、口をあんぐりと開けて完全に唖然としている。
俺は二人が状況を理解するのを待たず、手刀に神秘を込めて一閃し、マコトを縛り上げていた太い拘束ワイヤーと電極のコードを豆腐のようにスパッとまとめて切断した。
そのまま呆然としているマコトの体を米俵のように右肩へひょいっと担ぎ上げ、さらに左腕でイブキの小さな体をひょいっと抱きかかえる。
「よし、回収完了。行くぞ!」
俺は二人に有無を言わせぬまま、神秘のパワー全開で地下室の天井へ向かって垂直に跳び上がった。
分厚い地下の岩盤と万魔殿の各フロアを、二人を抱えたまま弾丸のように一気にすり抜け、最上階の屋根を突き抜けて、冬の冷たい夜風が吹き荒れるゲヘナの上空へと飛び出す。
「う、うう……っ、な、なんだ!?急に景色が……って、おい貴様ぁ! その銀行強盗みたいなツラはどこのどいつだ!イブキまでさらいおって、一体どこへ連れていくつもりだぁ!?」
冷たい夜風に吹かれてようやく意識がハッキリしてきたのか、俺の右肩に担がれたマコトが、じたばたと手足を動かしながら大声で喚き始めた。
「暴れるな!今、空を飛んでいる最中だ!自己紹介でもなんでも後で聞いてやるから、とりあえず今の状況を確認しろって!」
「ああん!?空を飛んでいるだとぉ!?そんなバカな話が――」
俺に言われて、マコトが担がれたままグイッと首を巡らせ、自分の真下を見た。
眼下に広がっていたのは、豆粒のように小さくなった万魔殿の本部庁舎と、キラキラとネオンが輝くゲヘナ市街の広大な夜景。そして俺たちの足元には、ビルも地面も何もない、ただの虚空だけが広がっている。
「…………ひっ」
マコトの顔から、急速に血の気が引いていった。
次の瞬間。
「ぎゃあああああああああっ!?!?と、飛んでる!?ほんとに生身で空を飛んでるじゃあないかァァァッ!? お、落とすなよ! 絶対に手を離すなよ銀行強盗!!」
「だから暴れるなって言ってんだろ!落ちないから安心しろ!」
さっきまで電撃拷問に耐えて不敵に笑っていた威勢はどこへやら、俺の黒いジャケットの背中に爪を立てて必死にしがみつき、涙目で絶叫するマコト。ヒナが言っていた通り、本当に賑やかで感情の振れ幅が激しい奴だ。
一方で、俺の左腕に抱きかかえられている小さなイブキはというと。
「……わぁ……っ!」
最初は突然の浮遊感に目を丸くして驚いていたものの、生まれつき肝が据わっているのか、あるいは純粋な好奇心が恐怖に勝ったのか。
俺の腕にちょこんと手をついて身を乗り出し、さっきまでの涙も忘れて、眼下に広がる宝石箱のようなゲヘナの夜の街並みを、キラキラと輝く大きな瞳でじっと見つめていた。
(……よしよし。やっぱり子どもは、ああいう顔をしてないとな)
俺は夜空を滑るように飛びながら、目出し帽の奥でわずかに口元を緩め、ヒナたちが待つ高層ビルの屋上へと高度を下げていった。
俺は高度をぐっと下げ、待ち合わせ場所である高層ビルの屋上へと音もなく降り立った。
冷たい夜風が吹き抜ける屋上には、先ほどまでいたアコやカヨコ、サツキの姿はなく、ただ一人、白い髪を揺らして立つヒナだけが俺の帰りを待っていた。
「……ショウ。ずいぶん早かったね」
飛び立ってからわずか一分足らずでの帰還に、ヒナが少しだけ目を丸くして歩み寄ってくる。
「まあな、やったことといえば真っ直ぐ突っ込んで二人を攫ってきただけだしな。あれ、アコたちはどうしたんだ?」
「あなたが突入した後、予定通りそれぞれの指揮する包囲部隊の元へ先に向かったわ。あのヘイローの椅子を使ってね」
「そっか。なら話は早いな」
「あ、足元に確かな地面がある……っ!素晴らしい、なんと素晴らしいんだ大地とは……っ!」
俺は頷きながら、右肩に米俵のように担いでいたマコトを屋上のコンクリートの上へと降ろした。
解放されたマコトは、その場にへたり込むように四つん這いになると、涙ぐみながらコンクリートの床をペタペタと撫で回して感謝を捧げている。
そんな賑やかなリーダーを横目に、ヒナがふと疑問に思ったように小首をかしげて俺を見上げてきた。
「……ところでショウ、今更なのだけれど。確か作戦の打ち合わせでは、帰りはこの屋上に置いたヘイローの欠片を目印にして瞬間移動で戻ってくるはずじゃなかった?どうしてわざわざ空を飛んで帰ってきたの?」
「ああ、それな」
俺は苦笑いして後頭部をポリポリと掻きながら、左腕に抱っこしたままの小さな女の子へと視線を向けた。
「勢いよく突っ込んだから、つい入るのと同じ手順でそのまま天井を突き抜けて飛んじまったっていうのもあるんだが……一番は、ほら」
俺の左腕の中で、イブキはまだ名残惜しそうに屋上の縁から見えるゲヘナのキラキラした夜景を見つめ、先ほどまでの涙が嘘のように大きな瞳を輝かせている。
その横顔を顎でしゃくって見せながら、俺は少し照れくさそうに笑って続けた。
「飛んだ瞬間にさ、この子が夜の街を見下ろしてすごく綺麗な目をしてくれたから、一瞬でワープしちまうのが惜しくなってな。……昔から、こういう子どもの喜ぶ顔には滅法弱いんだよ、俺」
俺のその答えを聞いたヒナは、一瞬だけきょとんと目を見開いたあと、すぐになるほどね、とでも言うように瞳を柔らかく細めた。
「……ふふ。そう。本当にあなたらしい理由ね」
呆れるでもなく、どこか温かな声色で納得してくれたヒナは、そのまま俺の腕の中にいるイブキへと視線を移した。
「……その子が、さっき一緒にいた……」
「う……っ」
イブキにとって知らないお姉さんに急に見つめられたからか、あるいはまださっきまでの地下室の恐怖が抜けきっていないのか、イブキがビクッと小さな肩を震わせ、俺のジャケットの胸元へ顔を埋めるようにして少し怯えた様子を見せた。
(っと、いけね。俺としたことが、目出し帽なんか被ったままであんまり子どもを不安にさせるもんじゃないな)
俺はイブキを抱えたままゆっくりと屈み込んで屋上の床に立たせてやると、そのまま片膝をついて彼女の小さな目線と高さを合わせた。そして、頭からすっぽり被っていた黒い目出し帽をスポッと脱ぎ、いつもの灰色の髪と素顔を晒す。
生まれつき目つきが鋭い俺の顔だが、昔の孤児院で泣き虫のチビどもをあやしていた時のように、できる限り顔の筋肉を緩めて、穏やかで優しい声色を作って話しかけた。
「さっきは急に抱えて飛んだりして驚かせちゃったな。初めまして、俺は円ショウっていうんだ。君の名前、教えてくれるか?」
「え、えと……たんが、イブキ……」
ジャケットから勝手に戻って俺の頭上でピコピコと七色に光り始めたヘイローを不思議そうに見上げながら、イブキが小さな声でおずおずと答えてくれた。よし、ちゃんと話せるな。
俺はイブキの頭をそっと撫でると、自分の後ろに立っているヒナの方を親指で示した。
「いい名前だな、イブキちゃん。俺はね、そこにいる白い髪のお姉さん――『空崎ヒナ』っていうんだけど、彼女に『大切な仲間と、女の子が困っているから絶対に助けてきてほしい』って頼まれて、そこのマコトと君を助けに来たんだ」
「……そうなの?」
イブキが大きな瞳をパチクリとさせ、俺の肩越しにヒナの顔をおずおずと覗き込む。
「えっ、ちょ、ショウ、私そんなことまで……」
後ろに立っていたヒナが慌てて何かを言おうとしたが、俺はイブキに見えないよう背中に回した手で、ヒナに向かって「シーッ」と人差し指を立てる内緒のジェスチャーをして黙らせた。
これからイブキは、マコトやヒナたちゲヘナのメンバーと一緒に過ごすことになるのだ。部外者である俺が手柄を独り占めするより、「ヒナが真っ先に自分を助けようとしてくれた優しいお姉さんだ」と思ってくれた方が、この子も安心してここにいられるだろうからな。
「……っ、ええ、そう。無事でよかった」
俺の意図を察したのか、ヒナも少しぎこちなくも優しい微笑みをイブキに向けてくれた。
――と、そんな微笑ましい空気が流れたのも束の間。
「……ッ、そうだヒナァッ!!貴様、なぜこんな場所にいて、しかもそこの他校の生徒なんぞと一緒にいるのだァッ!?」
大地への感謝を終えてようやく正気を取り戻したらしく、床からガバッと跳ね起きたマコトが、俺の頭上に戻った七色ヘイローとヒナの姿を交互に見て、驚愕と怒りを交えた凄まじい剣幕で叫び声を上げた。
まあ、無理もない反応だろう。
この反逆計画のリーダーである彼女の視点からすれば、極秘中の極秘であるはずのゲヘナ内部のクーデターに、よりによって今キヴォトス中で警戒されている『アビドスの生徒』が首を突っ込み、あまつさえ雷帝の顔面に激辛パイを叩き込んで自分たちを攫ってきたのだ。下手をすれば「アビドスに貸しを作った」「内部情報が他校に漏れた」と大問題になりかねない、かなりまずい状況に見えるはずだからな。
「なんだそのやたら眩しい七色のヘイローは!噂の『アビドスのやべー奴ら』の一人じゃあないのか!?ヒナ、貴様どういうつもりだ!」
床から跳ね起きるなり大声で詰め寄ったマコトは、そのまま大股で歩み寄ると、自分よりずっと背の低いヒナの胸ぐらをガッと掴み上げた。
だが、胸ぐらを掴まれたヒナは眉一つ動かさず、氷のように落ち着いた瞳でマコトを見上げ、淡々と言葉を返した。
「彼は今、私たちと協力関係にあるの。……先日の砂まつりの件で、雷帝がアビドスにも警戒の目を向け始めたことは、マコトも知っているはずでしょう? 共通の敵を前にして、一時的に手を組んだだけ。……それに、そもそもマコトが一人で無茶をして雷帝に捕まっていなければ、こんなことにはならなかったのだけれど」
「うぐっ……!?た、確かに捕まったのは私の不覚だったが、それとこれとは話が別だろう!?」
正論の塊で冷静に切り返され、掴みかかっていたマコトの方が逆に言葉に詰まってタジタジとたじろぐ。
俺はイブキの頭から撫でていた手を離して立ち上がると、二人の間に割って入るように一歩前に出て、軽く肩をすくめた。
「まあまあ、すまんなマコト。ヒナを責めないでやってくれ、これは俺が勝手に首を突っ込んだことだ。確かにこのままじゃアビドスに脅威が及ぶって説明もされたけどな……それ以上に、大切な友達であるヒナが、プライドを曲げて俺に頭を下げてまで『仲間のお前を絶対に助けたい』って必死に頼んできたからさ。そこまで言われちゃ、男として断れないだろ?」
「――なっ、なにぃ!?」
俺がフォローのつもりで口にした言葉に、マコトが「バカな!?」とでも言いたげに目を剥き、思わず手の中のヒナの顔を凝視した。
「ちょ、ちょっとショウ、余計なことを言わないで……!」
当のヒナはというと、耳の先までほんのりと朱色に染め、気まずそうにプイッと横へ顔を背けてしまう。
いつも自分を「バカ」呼ばわりして冷たくあしらうヒナが、自分の命を救うために他校の生徒へ頭を下げてまで奔走していた――。
まさか自分を思いやってここまで大ごとを起こしてくれたとは夢にも思っていなかったのだろう。マコトは目をパチクリとさせてヒナの横顔を見つめたあと、掴んでいたヒナの襟元からゆっくりと手を離し、バツが悪そうに自分の鼻の下をこすった。
「そ、そうか……。フン、まあいい!元はといえば、このマコト様がしくじったことから始まった騒動だからな。今回のところは深くは問わないでおいてやるが……キキキッ!ヒナよ、私に借りを作ったな?その分、この戦いが終わったら後でたっぷりこき使ってやるから覚悟しておけよ!」
すっかり毒気を抜かれて冷静になったのか、マコトはヒナを責めるのをやめ、胸を張って高笑いしながら、本来の彼女らしさ全開であろうお調子者で傲慢な態度を見せた。
「……はぁ。やっぱり助けずに置いてくればよかった」
ヒナが呆れたようにため息をつくが、その口元はほんの少しだけ緩んでいる。
――だが、マコトが豪快に笑って拳を突き上げようとした、その直後だった。
「――っ、ぐ、ぅ……!」
バチッ、と彼女の身体に残っていた微弱な電流が弾け、マコトの膝がガクンと折れた。
地下室で受けていた執拗な電撃拷問のダメージは、気合やハッタリだけで誤魔化せるほど浅いものではなかったらしい。マコトは屋上の床に片手をつき、脂汗を浮かべて苦しそうに荒い息を吐いた。
「マコトさんっ!!」
それを見たイブキが、小さな悲鳴を上げてマコトの元へと駆け寄った。
「マコトさん、だいじょうぶ!?やっぱりイブキのせいで、いっぱいビリビリってされちゃったから……っ、うぅ、ごめんなさい、イブキがもっとつよい子だったら……っ!」
マコトの汚れた制服の袖を小さな手でギュッと握りしめ、再び大きな瞳からポロポロと大粒の涙をこぼし始めるイブキ。
するとマコトは、痛みに歪みそうになる顔をグッと奥歯を噛みしめて堪え、震える手でイブキの金色の頭をわしゃわしゃと乱暴に、けれどとても優しく撫で回した。
「き、きひひっ……なにを泣いているのだ、イブキ。さっきも言っただろう、あんな豆電球みたいな電撃、この無敵の羽沼マコト様には蚊に刺されたほども効いておらんわ!ちょっと急に空を飛んだから、足がびっくりして痺れただけだ!」
「うぅ……っ、ほんと……? ほんとに、マコトさん壊れちゃわない……?」
「当たり前だ!私が誰だと思っている、次期万魔殿の偉大なるリーダー、羽沼マコト様だぞ!お前が謝ることなど何一つない……よく、最後まであんな奴の言いなりにならずに我慢したな、イブキ。えらいぞ」
「マコトさぁん……っ!」
「よしよし、もう泣くな。これからはこのマコト様がいるからにはもう安心だ」
マコトがニカッと不敵に笑って涙を親指で拭ってやると、イブキはしゃくり上げながら、マコトの胸元へ顔を埋めてぎゅっと抱きついた。
マコトもまた、自分の身体の痛みなど忘れたかのように、小さなイブキの背中を優しくポンポンと叩いてあやしている。
……なるほどな。普段がどれだけポンコツでビッグマウスだろうと言われていても、こいつがみんなからリーダーとして慕われてる理由が、一発で分かった気がするよ
自分の身を挺して小さな子どもを守り、笑顔で安心させてやれる奴に、本当に悪い奴なんているはずがない。
俺は思わず口元を緩めながら、頭上のヘイローから温かみのある『緑色の光』をパキッと折り取り、懐中電灯のような形に握りしめてマコトの背後へと歩み寄った。
「――とはいえ、これから反撃の総大将をやるってのに、そのボロボロの体のままじゃカッコつかないだろ。さっさと直しとくぞ、マコト」
「直しておくとはどういう――うおっ、まぶしっ!?」
俺が手のひらから放った極太の『ヘイロー治癒ビーム(緑)』が、イブキを抱きしめるマコトの全身をふわりと包み込んだ。
暖かい春の日差しのような光が浸透していくにつれ、マコトの制服の焦げ跡や擦り傷がみるみるうちに消え去り、電撃で麻痺していた神経と消耗した体力が一瞬にして全快していく。
「な、なんだこの光は……!?お、おおおっ!? 体の痛みと痺れが綺麗さっぱり消えて、むしろ捕まる前より力が漲ってきたぞ!?キキキッ、なんだ貴様、こんな便利な手品まで使えるのか!」
「わぁ……っ!マコトさんが元気になった!おにーさん、魔法使いみたい!」
すっくと立ち上がり、自分の両腕をブンブンと振り回して全快ぶりに大はしゃぎするマコト。
イブキも涙の引っ込んだ顔でパァッと花のような笑顔を咲かせてくれた。
「さて、無事に二人とも救出できたわけだが……俺が突っ込んで戻ってくるまで三分も経ってないからな。アコたちが率いる反抗部隊が包囲網を完成させるまで、あと十七分くらいあるぞ」
俺が時計を確認しながら言うと、ヒナもコクリと頷き、全快したマコトへ向かって現在の戦況と配置について手短に説明を始めた。
難しい作戦会議をしている間、小さなイブキを冷たい床に立たせっぱなしにするのも可哀想だ。
俺は再び頭上のヘイローから七色の光を引き抜くと、今度は小さな子どもサイズに合わせ
『特製ヘイローチャイルドシート(ふわふわの肘掛け&安全シートベルト付き)』
を成形して空中に浮かべ、イブキをひょいっと抱き上げて座らせてやった。
「わぁ……っ、お空に浮かぶイスだ!あったかくてふわふわする〜!」
足をぷらぷらさせて喜ぶイブキの前に、俺はさらにヘイローの亜空間倉庫から、小皿に乗せた『俺のお手製・濃厚カスタードプリン』と小さなスプーンを取り出して手渡した。
「ほら、イブキちゃん。さっきまで怖い思いをしてお腹も減っただろ?甘いもん食って元気出しな」
「えっ……なにこれ、黄色くてぷるぷるしてる……!イブキ、こんなおやつ見るの初めて……っ!」
どうやら雷帝の管理下で育ったせいか、イブキはこういう普通のプリンを食べたことがないらしい。
恐る恐るスプーンで掬って一口ぱくりと口に入れた瞬間、イブキの大きな瞳が「……っ!!」と星が飛び出そうなほど見開かれた。
「ん〜〜〜っ!!あまくて、お口の中でとろけるぅ〜っ!おにーさん、これすっごくおいしいよぉっ!!」
ほっぺたを落ちそうなほど緩ませ、夢中でスプーンを動かし始めるイブキ。よしよし、これで精神状態のケアもバッチリだな。
一方、ヒナから「1年生を主力とし、2年生の半数を加えた部隊で万魔殿を四方から包囲中であること」「3年生の大半は雷帝側についているか日和見を決め込んでいること」などの報告を聞き終えたマコトは、腕を組んで「ふむ、なるほどな」と低く唸った。
すると次の瞬間、それまでのお調子者のような雰囲気がスッと消え、マコトの瞳に一軍を率いる総大将としての鋭く冷徹な光が宿った。
「――ヒナよ。四方を均等に囲むのは悪手だ。それでは雷帝の直属部隊に一点突破を許すか、様子見をしている3年生の連中に『どちらが勝つか分からない』と日和見を続けさせる隙を与えてしまう」
マコトは万魔殿の庁舎を見下ろし、淀みない口調で的確な部隊運用の指示を飛ばし始めた。
「まず、カヨコとサツキの部隊は庁舎の北側と東側から派手に火の手を上げさせ、あたかもそこが主力であるかのように雷帝の親衛隊を引きつけろ。そして最も精鋭が揃っているお前とアコの主力部隊は、あえて包囲を薄くした南側の『旧議事堂ルート』から一気に中枢へ雪崩れ込むのだ!」
「旧議事堂ルート……?でも、あそこは3年生の有力派閥が警備を固めているエリアよ」
「そこがミソよ!一部の3年生は雷帝の恐怖政治に怯えているだけで、心から忠誠を誓っているわけではない。そこに私の健在ぶりと、雷帝が地下で無様に悶絶しているという事実、そして『今すぐ道を開けば戦後でのポストを保証する』という政治的取引を同時に突きつけてやるのだ! 勝ち馬がどちらか理解すれば、連中は雪崩を打って寝返り、雷帝は完全に孤立する!」
単なる力押しの戦術ではない。敵の心理と派閥の力学、さらには戦後の政治的な利害関係まで瞬時に計算し尽くした、見事としか言いようのない戦略判断だった。
(……おいおい、ヒナは『救いようのないバカ』なんて言ってたが、大局を見る政治と軍略のセンスは本物じゃないか)
俺が内心で舌を巻いていると、ヒナも「……ええ、確かにその方が確実ね。すぐにアコたちに指示変更を伝えるわ」と納得して頷き、ポケットから自分の携帯端末を取り出して発信ボタンを押そうとした。
だが――。
「待て、ヒナ!携帯を使うな!!」
マコトが鋭い声で叫び、ヒナの手をガッと掴んで止めた。
「……どうして?」
「危ないところだったぞ……。いいか、通常の電話回線や暗号化していない無線は絶対に使うな。私が知ったのだが、雷帝が保有している技術の中に、『ゲヘナ自治区内のあらゆる通信回線を強制的に傍受・逆探知するシステム』が存在する!」
「なっ……!?通信回線の強制傍受ですって……!?」
情報部であるヒナですら知らなかった事実に、ヒナが驚愕に目を見開く。
「私たちがこれまで水面下で連絡を取り合っていたルートも、あいつに気づかれる寸前だったのだ。……私が誰にも知らせず、通信機も持たずに単身で万魔殿へ乗り込んだ理由の一つがそれよ」
マコトの言葉に、俺はふと首をかしげた。
確かに通信傍受を警戒したのは分かるが、それなら直接口頭でヒナたちに伝えてから動けばいいだけの話だ。
「……なあ、マコト。そういえばなんでお前、誰にも頼らずたった一人で万魔殿なんかに乗り込んだんだ? 通信傍受の件だけじゃ、一人で無茶をした理由としてはちょっと弱い気がするんだが」
俺が素直な疑問をぶつけると、マコトはピタリと口を閉ざした。
そして、少しだけバツが悪そうに視線を逸らすと、空中に浮かぶヘイロー椅子の上で「ん〜♪ おいしい〜♪」と幸せそうにプリンを頬張っている小さなイブキの姿を、とても優しい目で見つめた。
その視線の意味に気づいたヒナが、ハッとして小さく息を呑む。
「……マコト。まさか、あの子のため……?」
ヒナの問いかけに、マコトは何も言い訳せず、ただ無言のままコクリと小さく頷いた。
多くは語らない。だが、その横顔を見れば十分だった。
きっと俺たちやヒナの与り知らぬところで、あの雷帝の孤独な城の中にいたイブキとマコトの間には、二人だけの大切な出会いや約束があったのだろう。そしてマコトは、クーデターの大義や自分の身の安全よりも前に、ただ「泣いているあの子を今すぐ助け出す」という個人的な想いのために、たった一人で敵陣のど真ん中へ飛び込んでいったのだ。
(……まったく。とんだお人好しのリーダー様だな)
「――わかった。それ以上は野暮だな、もう聞かないでおくよ」
俺が軽く笑ってこの話を打ち切ると、ヒナも静かに目を伏せて頷いた。
マコトも俺たちの気遣いを感じ取ってくれたのだろう、照れ隠しのように「フン!」と鼻を鳴らすと、急に思い出したように俺の顔をビシッと指差して聞いてきた。
「そ、それより貴様だ、アビドスの円ショウとやら!さっきの地下室で、貴様が雷帝の顔面に叩き込んだあの真っ赤なパイ……あれは一体全体なんだ!?あの冷酷無比な雷帝が、あんな奇声を上げて床をのたうち回る姿など、生まれて初めて見たぞ!」
「……え?雷帝の顔面にパイを叩き込んだって、ショウ、あなたまた私の知らないところで何をしたの……?」
マコトが目を輝かせて尋ねてくる。隣で聞いていたヒナも呆れと恐怖が入り混じったジト目でこちらを見た。
俺はポリポリと頬を掻きながら、なんてことのない顔で答えた。
「ああ、あれか? あれはな、ハバネロからキャロライナ・リーパー、山椒にワサビまで、世界中のありとあらゆる辛味成分とついでに俺のヘイローの粉を限界突破で練り込んだ『超新星激辛パイ』だ。致死量にはならないよう調整してあるが、今頃あいつ、毛穴と粘膜という粘膜が地獄の業火で焼かれて、涙と鼻水で顔面が大洪水になってるはずだぞ」
「「…………っ」」
俺の爽やかな説明を聞いた瞬間、マコトとヒナが揃って自分の顔面を両手で押さえ、想像しただけで粘膜が痛くなったのか、ぶるりと激しく身震いしたのだった。
「ま、まあいい!あいつの顔面がどう崩壊していようと知ったことか! ……円ショウ、貴様の助けはここまでだ。礼は言うが、この先は私たちゲヘナの手で蹴りをつける」
身震いを止めたマコトが、気を取り直すように胸を張ってビシッと宣言した。
俺は「了解」と頷きつつ、ふと先ほどの通信傍受の話を思い出して首をかしげた。
「それは全然構わないんだけどよ、アコたちへの指示変更の通信はどうするんだ? ……あ、一応言っておくと、さっき雷帝にぶち当てた激辛パイは、ほんの一口でも口に入れば最低三日三晩は悶絶してのたうち回るくらいには辛いはずなんだが」
「み、三日三晩だと……!?そんな劇物を初対面で学園のトップの顔面に直撃させたのか貴様は!?悪魔かこいつ……っ!」
マコトが引きつった顔で一歩引き、ゴホンと咳払いをして顎に手を当てた。
「……まあ、雷帝が今すぐ機能していないのならば、やりようはいくらでもある。だいたい、雷帝の周りを固めている生徒など、あいつの顔色を窺うだけのイエスマンで構成された、日和見だけが取り柄の人形にすぎん。トップからの指示が途絶えればどうにでもなる。……よし、こういう時のために用意しておいた緊急用の暗号通信を使うか? いや、しかし漏洩を恐れてごく少数にしか教えていないのがネックだな……ヒナ、今サツキのいる部隊はどこに展開している……?」
ブツブツと真剣な顔で地図や配置を思い浮かべ、通信手段を模索し始めるマコト。
俺はそんな彼女の横から、ひょいっと片手を挙げて提案した。
「なんだったら、俺がここから直接みんなの脳内に『テレパシー』を飛ばして、代わりに作戦変更を伝えてやってもいいけど?」
「――っ、どうして貴様はことごとく、このマコト様がせっかく用意していた周到な段取りをぶち壊していくのだっ!!」
頭を抱えて絶叫し、肩で息を荒くするマコト。
その肩を、隣に立つヒナがポン、ポンと優しく叩き、すべてを悟った菩薩のような遠い目で慰めた。
「……抑えて、マコト。怒るだけ無駄、ショウは最初からこういう人だから」
「ぐぬぬ……っ、噂以上の規格外ではないか……っ!」
まあ、テレパシーの件はあとで繋いでやるとして。俺は腕を組み、これからの身の振り方について口を開いた。
「要するに、これからの本戦では他校の生徒である俺の姿が敵にも味方にも見えなければいいのと、イブキちゃんを絶対に安全な場所にいさせられれば、文句はないんだろ?」
「ええ、そうなる。……あなた、さっきの透明化でもして見守るつもりなの? それとも、イブキを連れて瞬間移動で一度アビドスに戻る?」
ヒナが小首をかしげて尋ねてくる。
「んー、それもいいけどさ。せっかくなら、やられっぱなしじゃなくて『ちょっとした仕返し』くらいはしてやりたいだろ? ――なあイブキちゃん、今ちょっといいか?」
「ん? な〜に、おにーさん?」
俺が声をかけると、空中に浮かぶヘイロー椅子の上で濃厚プリンを最後の一口まで綺麗に堪能し終え、今は椅子をふわふわと上下左右に浮かせて遊んでいたイブキが、ぱっと明るい顔で振り返った。
美味しい甘いものを食べてお腹が満たされたせいか、地下室にいた時のあの陰鬱で怯えた雰囲気はすっかり消え去り、本来の彼女の性格であろう、年相応の天真爛漫な可愛らしさが戻ってきている。
俺はイブキの椅子の前まで歩み寄ると、もう一度彼女の目線に合わせて優しく問いかけた。
「イブキちゃん。君の大好きなマコトさんをひどい目に遭わせた連中に、ちょっとした『お返し』をしてみないか?」
「――っ、おい貴様、イブキに何を言っている!」
俺の言葉に、マコトがハッとして険しい声を出した。イブキをこれ以上戦いや争いに巻き込みたくない、というマコトなりの親心だろう。イブキ本人も、きょとんと目を丸くして小さく呟いた。
「お返し……?」
「ああ、そうだ。といっても、誰かを傷つけたりするような怖いことじゃなくて、ちょっとした『イタズラ』くらいのもんだけどな」
俺はイブキの小さな頭にそっと手を乗せ、真っ直ぐにその瞳を見つめた。
「……イブキちゃん。君がすごく優しくていい子だってことは、出会ってからのこの少しの間だけでもよく分かる。でもな、優しいからって、嫌だったことや悔しかったことを全部自分の心の中に溜め込む必要はないんだ。……俺は嫌だよ。これから君が、あの暗い部屋での嫌な記憶や『自分は何もできなかった』っていう思いを抱えたまま過ごしていくのは」
「ショウ……」
後ろで聞いていたヒナが、小さく息を呑む気配がした。
そう、昔いた孤児院でも何度も見てきたのだ。
大人の理不尽な暴力からただ「助け出されただけ」で、自分の意志で何一つやり返せなかった子どもは、安全になってからも『あの時、自分がもっと強ければ』という無力感がいつまでも記憶の片隅にくすぶり続け、事あるごとに自分自身を咎めて苦しんでしまう。
だからこそ、ここで全部スッキリ吐き出させて、胸を張って歩きやすい一歩を踏み出してもらう必要がある。
俺に「心すっきりで生きていくコツ」を教えてくれたあの破天荒な孤児院の親父曰く――『人生ってのはな、結局のところやりたいことをやったモン勝ちだ!』らしいからな。
俺の言葉をじっと聞いていたイブキは、やがて小さな両手の拳をギュッと握りしめ、力強くコクンと頷いた。
「……うん。イブキ、やる! だってイブキ、マコトさんをいじめた人たち、だいきらいだもん!!」
「……っ、イブキ……」
小さな背中を震わせてはっきりと言い切ったイブキを見て、マコトの顔に、自分をそこまで想ってくれたことへの深い喜びと、こんな幼い子に『だいきらい』とまで言わせるほど苦しい思いをさせてしまったことへの苦い自責の念が、複雑に混じり合って浮かんだ。
「よし、よく言った!」
俺はニカッと笑い、すっくと立ち上がった。
「じゃあ、さっそく『あれ』を呼ぶとするか!」
「呼ぶ……? 今度は一体なにをする気なの、ショウ?」
ヒナが嫌な予感しかしないといった表情で問いかけてくる。 俺は答える代わりに、ビルの屋上の中央へと進み出ると、夜空に向かって両手を大きく広げ、目を閉じてひたすら精神を集中させて念じた。
そして数秒後。俺はカッと目を見開き、右の人差し指を頭上の満天の星空へ向かってビシッと突き上げ、あの有名なセリフを大声で叫んだ。
「――あっ、UFO!!」
その瞬間だった。 俺たちの頭上の夜空から、昼間のように眩い光がドッと降り注いだ。
呼べたことを確信した俺が満足して後ろを振り返ると――そこには、口をあんぐりと開けたまま俺の真上を見上げて、完全に石像と化しているマコト、ヒナ、イブキの三人の姿があった。
無理もない。今、俺の真上の夜空には、直径十数メートルはあろうかという銀色の円盤――絵に描いたような『未確認飛行物体(UFO)』が、無音のままピタリと空中に待機していたからだ。
ちなみにこれ、俺のヘイローで作ったハリボテなんかではなく、正真正銘マジモンのUFOである。
過去に一度、暇つぶしに同じように念じて呼んでみたところ、本当に宇宙からフラリとやってきたのだ。その時乗っていた宇宙人とすっかり意気投合して仲良くなり、俺のヘイローの一部をプレゼントしたら
「こんな凄いエネルギー物質をもらえるなら!」
「こんな辺境の地域にこんな貴重な物があるなんて!」
と、交換条件としてこの機体をくれたのである。向こうの文明からすればこいつは随分な旧式らしく、快く譲ってくれたのだ。
以来、俺が設定した音声パスワード『あっ、UFO!!』と叫んで念じれば、キヴォトスの水準を遥かに凌駕してそうな超科学の自動航行システムで、いつでもどこでも飛んでくる仕組みになっている。
待機していたUFOの底面が音もなく開き、そこから真下に向かって、極太の円柱型の光が照射され、屋上の俺たち四人をすっぽりと照らし出した。 次の瞬間、重力が消失し、俺たちの体がふわりと宙へ浮かび上がって、そのまま円盤の内部へとスルスルと引き寄せられていく。
「な、ななな、なんだこれはーーーっ!?!?ゆ、UFOだと!?なぜ指を差しただけで本物のUFOが飛んでくるのだ!?アビドスは宇宙人とまで手を組んでいるのかっ!?」
「……………………」
「え、ええーっ!?もしかしてこれ、ほんもののUFO!?すごーい、イブキ、UFOに乗るの初めてーっ!!」
空中で手足をバタつかせて絶叫しパニックに陥るマコト。すべての理解を放棄し、虚無の顔で無言のまま吸い込まれていくヒナ。そして、目をキラキラと輝かせて大はしゃぎするイブキ。
そんな三者三様のリアクションとともに、俺たちは夜のゲヘナ上空に浮かぶUFOの船内へと、吸い込まれるように乗り込んだのだった。
1〜3話を目安に書きます
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ゲヘナ雷帝編(雷帝ナシ)
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アヤメ誘拐編
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どっちも書いて♡
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別にいらないな、回想でいい