先生とフウカの日常   作:yrtohoyr

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どうも皆さんこんにちは、作者です。
なんとこのシリーズを書き始めたその日に2話連続投稿という偉業を成し遂げてしまいました。
これは私の小説の中でも特異な存在と言えるでしょう。
まさに、書きたい欲が収まらないフィーバー状態です。
頭がフル回転しています。
そんな状態で書いた本編をお楽しみください。


三時間目 助言をもらいましょう!

~ゲヘナ学園 食堂~

 

セナ「あら、先生? お久しぶりです」

背後から掛けられた淡々とした声に振り返ると、救急箱を抱えた少女が立っていた。

氷室セナ。

ゲヘナ学園救急医学部の部長であり、死体...もとい、負傷者の搬送と応急手当のスペシャリストだ。

 

ユリー「セナ!久しぶり、この前は本当にお世話になったね」

 

セナ「いえ。あの時は本当に処置が間に合ってよかったです。死体にならずに済んだのは先生の運がよかったからですよ。ところで、先生は給食部の方々とこのような場所で何を?」

 

ユリー「実はね……」

ユリーは万魔殿に呼び出された経緯から、例の極悪レーションの犠牲になったこと、そして先ほど鍋の中で起きた『クッキーバー膨張事件』に至るまでをかいつまんで説明した。

 

セナ「なるほど。件の戦闘糧食ですか...確かに我々救急医学部にも支給されてはおりますが。はて、賞味期限はとうに切れているかもしれませんね。何しろ『あまりに美味しくないから食うくらいなら空腹を耐える』と、運搬中のシt...負傷した生徒たちからよく苦情を聞くものでして」

 

ユリー「そこまで深刻だったんだ...」

セナの口から語られる現場の惨状に、ユリーは思わず遠い目になった。

 

ユリー「ところで、セナはこんな時間にどうしたの?お昼ご飯?」

 

セナ「ええ。少し搬送任務がありまして、遅めの食事を取ろうと思ったのですが...すでに給食の提供時間は終了していましたので。諦めて校外のコンビニにでも行こうかと」

それを聞いた瞬間、横で聞いていたフウカの表情ががらりと変わった。

その口元に、どこか邪悪で、けれど給食部長としての執念に満ちた笑みが浮かぶ。

 

フウカ「セナさん、給食の提供は終わってしまったんですが、実はちょうど今こちらに『新作メニューの試作品』がありまして!よかったら食べていきませんか!?」

 

セナ「試作品、ですか...?」

気付けばフウカの手には、なみなみと何かが盛られたお椀とスプーンが握られていた。

中身はもちろん、先ほど昆布と鰹の出汁をすべて吸い尽くしてどろりと溶けた、あの『クッキーバーポタージュ(仮)』である。

 

フウカ「栄養満点で、お腹にも溜まる最新作です!さあ、召し上がれ!」

満面の笑みで差し出される謎のどろどろした物体。

逃げ場を失ったセナと、その様子をハラハラしながら見守るユリーとジュリの視線が交錯した。

 

セナ「で、では...いただきます。...あ、美味しいかも」

お椀からどろりとした物体をスプーンですくい、口に運んだセナがぽつりと呟いた。

 

ユリー「そ、そうかい!? よかったよかった...」

胸をなでおろすと、自分の分もお椀によそってもらうことにした。

 

ユリー「それじゃあ私も...んぐっ。あー、本当だ。なんというか、昔海外で食べた...そう、『グリッツ』に似てるかも。...あれ、ちょっと待って? 新しい戦闘糧食を開発する企画だったのに、今のクソマズ糧食に手を加えるだけで解決しちゃう流れじゃないこれ!?」

 

セナ「...いえ、新規開発はされた方がよいかと。毎回この出汁を取れるかは分かりませんし、結局戦闘中に大層な調理というものは出来ないことでしょう。」

 

ユリー「確かにそうだ...それに、今このゲヘナに出回っている大量の在庫をどう処分するかという問題もあったね」

 

ジュリ「うーん、セナさんのお墨付きもいただけましたし、新規開発が終わったらこのポタージュ、給食部限定メニューとして提供しましょうか?」

ジュリが提案すると、フウカはハッとなにか雷に撃たれたような表情をした。

 

フウカ「...良いかもしれないわね。ナイスアイデアよ、ジュリ」

 

ジュリ「えへへ、褒められちゃいました!」

珍しく素直に自分のアイデアを褒められ、ジュリはパッと顔を輝かせた。

 

セナ「ふぅ...ごちそうさまでした。では、私はこれで午後の任務に向かいます。先生、給食部の皆さん、頑張ってくださいね、期待しております。」

空になったお椀を綺麗に片付け、セナは淡々と救急箱を抱え直すと、午後の搬送任務へと戻っていった。

 

フウカ「さて...」

セナを見送ったフウカが、気を引き締めるようにポンと自分の頬を叩いた。

 

フウカ「主食が『ご飯』ベースで決まったとなると、次は副菜について...ここからが一番の難題ですね。任務時でも簡単に作れる、或いはそのまま食べれるとなるとやはりレトルトパウチを導入...うーん」

 

ユリー「毎度パウチだと味が保証できても既存品以上にコストが掛かりそうだし...」

 

フウカ「それに栄養を考えると単に肉・魚じゃなくて大豆とかの植物性タンパク質とか、野菜も欲しくなってしまう。それにこれはあくまでも戦闘糧食。あまり凝ったものを出せないし...」

こうして悩みに悩んだがそう簡単にアイデアというものはでないもので、結局1時間程話してはみたが今日は諦めようという判断になった。

 

フウカ「はぁ...いけない、もう15時過ぎてる!?ごめんなさい先生、明日の給食の準備をこの後しなくちゃいけなくて、また明日以降でお願いします。」

 

ユリー「分かった、こっちもまた良いアイデアが浮かんだら連絡するよ。」

こうして一度この案件はシャーレに持ち帰り検討することとなった。

 

~D.U. 中央特区 シャーレ執務室~

ゲヘナから車を走らせ、シャーレのオフィスに辿り着いた頃には、窓の外の空が茜色から群青色へと染まり始める17時を回っていた。

エレベーターを降り、重い足取りで執務室のドアをくぐる。

 

ユリー「はぁ...戦闘糧食、戦闘糧食っと...」

 

ミヤコ「お疲れのようですね、先生」

デスクの脇から、凛とした声とともに一本のミネラルウォーターのペットボトルが差し出された。

立ち上がって迎えてくれたのは、RABBIT小隊のリーダー、月雪ミヤコだ。

今日はシャーレの当番として、事前にオフィスで待機してくれていた。

 

ミヤコ「戦闘糧食、と仰っていましたけれど何かご入り用ですか?」

 

ユリー「今日の当番はミヤコだったね。ありがとう。いや、実はね……」

ユリーはデスクチェアに深々と腰掛け、万魔殿に呼び出された経緯から、給食部での「クッキーバー膨張事件」、そしてセナの評価に至るまでをすべて話した。

そして、なぜか持たされた例の極悪レーションをミヤコにも食べてもらう。

 

ミヤコ「...なるほど。私たちも一時期は水だけで数日を凌いでいた時がありましたが...正直、その方がマシと思える代物ですね。こんなものが、あのマンモス校の正式装備なのですか?」

普段は冷静沈着なミヤコが、眉をひそめてなかなかの毒舌を放つ。

 

ユリー「らしいね。ゲヘナの生徒会長が先週これだけで過ごそうとして、初日で音を上げたレベルだよ」

 

ミヤコ「生徒会長って、あの!? いえ、でも...分かる気もします。あのもやし弁当よりも酷いなんて...それで先生は、この戦闘糧食の改善を頼まれた、というのですね」

 

ユリー「そゆこと。でも、どうしたものか...良いもの、美味しいものっていうのは、どうしても調理の手間や保存コストがかかって、戦闘糧食の『携帯性・保存性』には向かないんだ。考えれば考えるほど、この砂漠の砂を固めたようなこいつが、ミリタリー的には合理的で正解の形にしか見えなくなってくるんだよね」

ユリーが頭を抱えて溜息をつくと、ミヤコは手元の極悪クッキーバーを検分するように見つめ、小さく頷いた。

 

ミヤコ「ここまで不味い物ではありませんが、SRTでも戦闘糧食といえば、基本は高カロリーな栄養バーか、乾燥肉(ジャーキー)の類いが多かった記憶です。粉末ドリンクや乾燥デザートの類いも、大体はこれらと同じような規格でした。...繰り返しますが、ここまで不味くはありませんでしたが」

念を押すように二度言ったミヤコに、ユリーは苦笑いを浮かべた。

やはり他校の元エリート隊員から見ても、ゲヘナの既存在庫は「クソ不味い」の境界線を突破しているらしい。

 

ユリー「そもそもなんで他校と支給品が違うんだろうね。勿論その学校の戦闘戦術に合わせて作ってるとは聞くけど、ゲヘナはあんまりだよ。」

 

ミヤコ「まあゲヘナとトリニティを見れば、敵と同じものを食べたくないという思想の現れかと思いますよ。あとは資金面でしょう。ゲヘナはその...生徒会長がどうやらお金使いが荒いという噂ですので。」

 

ユリー「否定はしない、かな...(待てよ、まさかマコト...いや、そんな事するはずは流石に...)」

 

ミヤコ「どうされました?」

 

ユリー「あーいや、なんでもないよ。それより今日もシャワー使ってくかい?私は今日もシャーレで寝泊まりコースだから好きに施設使っていいよ」

 

ミヤコ「いえ、今日はRABBIT小隊の皆と過ごそうと思います。シャワーはまたの機会で。」

 

ユリー「分かった、また...」

ピポポピポポ

 

突然シャーレの固定電話が鳴り響く。

普段生徒たちが電話をかけてくる時はスマホにくる事が殆どのため、シャーレの固定電話に来るのはほとんど営業だ。

だが、もしかしたらの事もあるため一応でてみる。

 

ユリー「はい、シャーレです。」

 

???「「ククク...お困りのようですね先s」」

ガチャッツーツーツー...

 

ミヤコ「どなたからの電話だったのですか?」

 

ユリー「...ミヤコ、RABBIT小隊を呼んできて欲しい。多分盗聴器かカメラが仕掛けられてる。」

ピポポピポポ

また固定電話に電話がかかってくる。

恐らく先程の電話の主であろう。

 

ユリー「...はい、何のようですか。貴方がたとは手を組まないと何度も伝えているはずですが」

 

黒服「「まあそう仰らずに。あと盗聴器とカメラの両方d」」

ガチャッツーツーツー...

 

ユリー「...」

~♪

今度はスマホに電話がかかってくる、電話番号は見知らぬ番号だ。

 

黒服「「酷いですねぇ先生。どうしてそうつれないんですか。まあそれは置いておいて、戦闘糧食なら我々ゲマトリア伝手でカイザーの方に手配はできますよ?」」

 

ユリー「結構だ。そもそも生徒側が自分たちで解決したいと申し出ている、あんたらの力は必要ない。あとお前はなんで携帯の番号まで知ってるんだ!?」

 

黒服「「ククク、そういう情報もきちんとこちら側にあるということですよ。」」

 

ユリー「ヴァルヴァル、もしキューレ?ストーカーが...」

 

黒服「「誰がストーカーですか...まあ、困った時はいつでも電話してください。我々がお手を貸しまs」」

ピッ

その後RABBIT小隊と共に全ての盗聴器、隠しカメラを探し当て全て破壊したのであった。

続く...




いかがでしたでしょうか。
いよいよ私の方はメインストーリー最終編を読み始めました。
黒服さんが退場するのはちょっとさみしい感じがしますね...
それではまた次回をお楽しみに。
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