大分秋めいてまいりました。
作者は食欲の秋がほぼほぼであり、芸術の秋は趣味でカメラやるくらいでしょうか。
あとは小説?
でも、秋といえばやはり毛布が欲しくなる既設になってくるということ。
私はもこもこの肌触りの良いやつじゃないと嫌なほどでありまして、そこにくるまってゲームをするのが何よりの至福の時間でもあります。
みなさんも是非、毛布にくるまって本編をお楽しみください。
~D.U. 中央特区 シャーレ執務室~
ピピピピ!ピピピピ!!
シャーレの執務室にスマホの目覚まし音が鳴り響く。
時間は朝6時、まぶしい朝日がシャーレに差し込んでいる。
ユリー「んがっ!!??...ふわぁ、しまった執務室で寝落ちしてた...あぁー腰いってぇ...」
このお話の先生は夜中にはシャーレに生徒を入れないようにしているためこの時間はまだ一人の時間だ。
いや、正確には一人と1台というべきか...
アロナ「「おはようございます、先生!」」
タブレットからアロナの声が聞こえる。
ユリー「おはよう、夜中にメールは来てる?」
アロナ「いえ、一通も来ていないようです!」
ユリー「オッケー。そうだアロナ、昨日言い忘れてたんだけど昨日からちょっとゲヘナ給食部の顧問になっちゃってね。しばらく他校にはあまりいけないかも。」
アロナ「わかりました先生、シャーレの掲示板に情報だけ載せておきます!」
ユリー「ありがとう。」
~ゲヘナ学園 風紀委員会本部~
朝10時、昨日より遅めに学園に到着。
今日は特に銃撃戦も起きておらずそのまま風紀委員会のところまで車を停めることが出来た。
本部の中に入ると近くの風紀委員に話しかける。
風紀委員モブA「おはようございます、先生。」
ユリー「おはよう、ヒナに用事があるんだけど今から大丈夫かな?」
風紀委員モブA「承知いたしました、確認しますので応接室の方でお待ちください。」
そういわれると昨日同様応接室に通され、待つこと3分。
コンコンコン...ガチャッ
アコ「おはようございます先生。すみません、委員長は本日手が離せませんので私が対応します。本日はどのようなご用件で?」
ユリー「実は...風紀委員会の誰かを一人借りたいと思ってね。」
アコ「...はい?」
よく分からんと言う表情を浮かべる。
アコ「借りたいというと護衛でしょうか?」
ユリー「端的に言えばそうなるかな。昨日の件で私も実際に現場を見ておきたくてね、全然役員を寄越せとは言わないんだけど、こういう護衛に向いてそうな子を一人ね。」
アコ「そういうことですか...分かりました、先生に死なれても困りますのでお受けします。ちょっと待っていて下さい。」
そう言うと急ぎ足で応接室から出る。
さらに5分後、アコに連れられて一人の生徒が応接室に入ってきた。
アコ「お待たせいたしました。」
アコの後ろから前に進み出たのは、腰にモーゼルM714風の拳銃を装備した風紀委員会の癒し枠、火宮チナツだった。
チナツ「おはようございます、本日は護衛任務を努めさせていただきます、先生。」
ユリー「チナツ!いやー、頼もしいね、今日はよろしく!」
アコ「では私も本日は時間がないのでこれで。チナツでも手に追えないことがあった時は連絡してください。」
そう言うとアコはヒナの元へと戻っていった。
チナツ「話は聞いております、本日戦闘糧食を使用する可能性のある現場が丁度1時間ほど車を走らせた先にありますので早速向かいましょう。」
こうしてチナツと二人、ドライブデート...ではなく現場視察へと向かうことになった。
~ゲヘナ学園 自治区郊外・前線作戦エリア~
午前11時過ぎ。
ゲヘナの荒涼とした岩山と、乾燥した硝煙の風が吹き荒れる郊外のとある作戦エリアに到着した。
プレハブ仕様の頑丈な通信陣地とトタン屋根のセーフティエリアが置かれ、周辺には交代勤務をこなす風紀委員のモブ生徒たちが数名、疲れと緊張の混ざった表情で警戒にあたっている。
車を降りたユリーとチナツを迎えたのは、強烈な日差しと現場特有の重苦しい空気だった。
前線の風紀委員A「お疲れ様です、チナツさん! それと...シャーレの先生!?」
巡回中だった風紀委員が、慌てて敬礼を送ってくる。
チナツ「お疲れ様です。本日は先生の現場視察の同行でお邪魔しました。みなさん、体調はいかがですか?」
チナツが救護キットを抱え直し、親身に声をかけると、生徒は苦笑いを浮かべて肩を落とした。
前線の風紀委員A「今のところ大きな怪我はありませんが、喉の乾きと疲労がすごくて。ちょうど今、昼の交代時間で配給の糧食を食べていたところなんですが……(泣)」
チナツ「念のため、乗ってきた車に30Lほど水を積んできましたので、そちらを使ってしっかり水分補給をしてください。このエリアは脱水と熱中症の頻度が極めて高いですから」
前線の風紀委員A「「あ、ありがとうございます!」
ふとユリーが視線を皆が休んでいるテントの方に移すと、そこには戦闘糧食のクッキーバーを少しずつかじっては、大量の水を胃に流し込んでいる生徒たちの痛々しい姿があった。
ユリー「...」
チナツ「先生もご覧になりましたか、あの食べ方。あれでは必要な栄養を補給し切る前に、水分で胃が膨れてしまって全く戦闘糧食の意味をなしていません。本来なら迅速に栄養を摂って次の作戦に備える必要がありますが、これでは食事自体に無駄な時間と労力を取られてしまっています」
ユリー「……分かった。アレを作ろう。チナツ、大鍋とコンロの用意をお願いできるかな?」
チナツ「え!? あ、はい! すぐに用意します!」
この惨状を見かねたユリーは、昨日給食部と試作した「例のアレ」を提供することにした。
だが出汁は今日持ってきていない。
どうするのか悩んでいたが、ふとユリーは持ってきていた荷物から一つのインスタントコーヒー瓶のようなものを取り出した。
ユリ「...これだ」
取り出したのは、以前トリニティの某ティーパーティーメンバーから譲ってもらった昆布茶の瓶。
昆布茶とは名ばかりに、ぶつ切り昆布と塩味調味料がまぶされたような代物だったが、今の状況にはむしろ好都合だった。
ユリー「これを煮出して...」
チナツが用意してくれた大鍋に手持ちの昆布茶を投入し、旨味の効いた濃いめの出汁に仕上げる。
十分な塩分が含まれているため追加の味付けは不要。
さらに未開封のクッキーバーをもらうと、惜しみなく鍋の中へ投入して煮込むこと30分。
ユリー「うん、バッチリだ。さあみんな、お昼にしよう!!」
チナツ「これは...?」
ユリー「昨日、給食部と考えていた時に編み出された『既存糧食の大量消費術』...というべきものかな」
鍋の中では、黄色でボテッとしたトウモロコシ粥(グリッツ)のような見た目のソレが温かい湯気を上げ、香ばしい出汁の香りを辺りに広げていく。
チナツ「念のため、私も味見を...っ!?(あ、あの砂消しみたいな代物を、ここまで美味しい料理に仕上げられるなんて...!!)」
チナツは信じられないという表情を浮かべ、眼鏡の奥の瞳をキラキラと輝かせた。
前線の風紀委員A「いい匂い~! 先生、一杯ください!」
前線の風紀委員B「チナツさんもすごく美味しそうに食べてるし...私も!」
やはり現在の戦闘糧食には問題が山積みであると、がっつく前線の生徒たちの姿を見て改めて実感するユリーであった。
そして皆がお昼を食べ終えてから約2時間後。ユリーの的確な前線指揮も相まって、風紀委員会の警備任務は驚くほどのスピードで完了した。
前線の風紀委員C「報告します! 周辺敵勢力の完全制圧を確認いたしました!」
リーダー風紀委員「分かりました、ではこれにて本任務を完了とします。各自学園に戻り、報告をまとめてください。...先生の方も本日はありがとうございました。こんなに早く作戦が終わったのは、先生に作っていただいた昼食と適切な指揮のおかげです!」
リーダー格の風紀委員が頭を下げると、チナツも深く頷いた。
チナツ「ええ。普段より皆さんの集中力が段違いでした。何かやる気に満ちていたと言いますか、それこそ『英気』が養われていたと言いましょうか...」
ユリー「あはは...ま、まあ今回の視察で、この戦闘糧食がいかに不評で現場を圧迫しているかが十分分かったからね。なるべく早めに根本的な解決案を出すよ。じゃあチナツ、私たちも学園に戻ろうか」
チナツ「ええ、行きましょう。みなさんも帰りはお気をつけて」
こうして二人はゲヘナ学園へと戻っていった。
道中、フウカから「至急、開発会議をしたい」旨のメッセージが届いたため、学園に到着するやいなや食堂へと向かった。
時間は午後4時を過ぎていた。
~ゲヘナ学園 給食部食堂~
ジュリ「先生、遅いですよ~!」
ユリー「ごめんごめん、ちょっと現場視察で...って、うわぁ!?」
ガラッと食堂の扉を開けた瞬間、ジュリの横からぬっと現れたパンちゃんが一匹、勢いよくユリーの腕に飛びついてきた。
ジュリ「あらら、パンちゃんは相変わらず先生がお気に入りですね♪」
フウカ「そんなこと言ってないで早く取ってあげなさいよ!?」
流石の光景にフウカも即座に激しいツッコミを入れずにはいられなかった。
ジュリにパンちゃんを引き剥がしてもらい、席につくと早速今日の報告会議を始める。
ユリー「...ということで、今日は風紀委員会の前線視察に行ってきたんだ。あ、もちろんチナツを護衛につけてもらったから安全面はバッチリだよ。それでね...」
ユリーは今日現場で目撃した惨状と、昆布茶で即席で作ったグリッツ風ポタージュが大好評だった出来事をありのままに伝えた。
ユリー「まあ! 早速私たちのアイデアが現場のお役に立てて光栄です!」
ジュリが嬉しそうにパッと手を叩く。
フウカ「そうね...あのパサパサのクッキーバーをそのまま食べるより、断然美味しかったもの。」
フウカも腕を組みながら、安堵したようにフッと微笑んだのだった。
フウカ「それでも根本原因は解決できていません...!そこで昨日話題に上がった新戦闘糧食、ご飯は缶詰で行くとして、副菜はこのようなものを用意してみたんです!」
そう言うとフウカは一品の副菜を持ってきた。
形はなにやら既存のクッキーバーのようなものであったが、全体的に肉々しいものであった。
ユリー「これは?」
フウカ「逆ハンバーグです!」
ユリー「ぎゃ、逆?」
そう言われてもよく理解していないユリー、気にせずフウカは説明を続ける。
フウカ「はい、一般的にハンバーグは上からソースをかけますが、これはハンバーグの中にソースを入れたものになってるんです!しかもソースは少し粘性の高いソースを使用したので、例えば歩きながらでも戦闘糧食のように片手で食べれるようになります!」
ユリー「なるほど、たしかに粘性の高いソースを中にしてしまえばこぼしにくいね。ハンバーグならご飯に合うし良いと思う!」
ジュリ「私も一品作ったのですが...この通りまたパンちゃんを生み出してしまって...」
パンちゃんをよしよしと撫でている。
フウカ「なんであんたはまだパンちゃんを撫でてるわけ!?早く処分してよ!?」
ユリー「あはは...じゃあご飯と副菜は一応決まったからあとは汁物とドリンク、それに嗜好品だね。ここを考えてみよう。」
フウカ「はい!」
こうして小一時間会議を進め、ドリンクはコーヒーだがもっと美味しいものを、追加でオレンジジュースやぶどうジュースを選定。
他の嗜好品としてはキャラメルを諦めてチョコレートやドライフルーツといった長期保管に強いものにしようという流れになった。
ユリー「よし、じゃあ今日はちょっと短かったけどここまで。私はシャーレに戻ったらこうした製品を大量生産出来る会社を探すことにするよ。」
フウカ「ありがとうございます!」
ジュリ「まだ始まって2日しか立ってませんが、いよいよ現実味を帯びてきましたね♪」
ユリー「ここまで早くに話がまとまったのは二人のおかげだよ。じゃあフウカの方にちょっと宿題を。多分ごはんとハンバーグだけっていうのは物さみしいから、もっといろいろな主菜・副菜を考えて欲しい。勿論私の方でも案が浮かべば共有するよ。」
フウカ「分かりました、お任せください。」
こうしてユリーはシャーレへと戻っていく。
時間は夜7時を回っていた。
ドサッとオフィスチェアに座り込むとだらんと力を抜いた体制になる。
ユリー「はぁ...さて、もうひと踏ん張りだ。」
パチンと頬を叩くと、姿勢を正してモニターをつけ外注先を探し始めるのであった。
続く...
いかがでしたでしょうか。
私の方はついに最終編をクリアし、無事プラナと大人のカードをゲットしました。
大人のカードについては現状は使わないでおこうと思います。
ネタバレは避けたいためあまり明言はシませんが、まさかそういうことだったとは...とだけ。
そしてやはり涙無しでは見ることが出来ませんでした、最終編素晴らしい名作でした。
それではまた次回をお楽しみに!