目覚めたら潜在犯でした   作:赤いロロ雑巾

7 / 8
執筆中BGM:「帰り道」
…お腹空いてるのか、家に帰りたいのか
果たしてどっちなんだろ?


壊れかけの二人の潜在犯

いつもの狂ったような勉強(ルーティーン)をこなしながら、

局長(シビュラ)から支給されたバイクを漕いでたら、

71キロあった体重は、いつの間にか60キロを切った。

ただ…最近、勉強に対するモチベが低くなってきた。

この前、改(・)め(・)て(・)職業適性考査を受けてみたら、

またしても「判定不能」と帰ってきたのだ。

 

なぜ急に職業適性考査を受け直す…ことにしたか。

それは、執行官の上司にあたる監視官の

ワクさん…という方が殉職したと聞かされたから。

自分は社会の役に立つことが出来ない…

そういう思いに囚われてしまい、勉強が進まない。

タイピング速度だけなら、毎分250文字にはなった。

それでも…自分には何かが決(・)定(・)的(・)に(・)欠(・)け(・)て(・)い(・)る(・)…

そう思わざるを得なくなってきたのだ…

 

 

ちょうどその頃、公安局内にある総(・)合(・)分(・)析(・)室(・)では、

唐之杜志恩(からのもり しおん)が、い(・)つ(・)も(・)通(・)り(・)仕事をしていた。

和久監視官が殉職した後、刑事課のメンバーは

大幅な配置転換を強いられた。

彼女も、気づいたら一係担当の分析官になっていた。

 

ただ…彼女のいつも通りの勤務というのが、

果たして誰でもこなせるものかと言われれば…

誰が見ても「不可能」と言ったであろう。

下手すれば1日16時間こき使われて、

最早、まとまった睡眠を取ることすら難しい。

こんな状況でも、彼女は正気を保つために、

精神薬の大量摂取や、タバコを吸い続けるといった、

最早「命を削っている」レベルの行為を続けていた。

 

『おう、志恩ちゃん、生きてるか?』

そんな彼女に声をかけたのは、

一係の執行官である佐々山であった。

本来人と接することを諦めていた彼女の領域に、

ある意味土足で踏み込んできた彼は、

自分が人間であることを思い出させてくれる、

ある意味唯一無二の存在であった。

「…一応ギリギリ生きてはいるわ。

 いくら自分が『情報の女神』とか呼ばれるくらい

 ここでの評価が高い、としても

 流石に一係の仕事量は…正直音を上げたいわ。」

『…そんな志恩ちゃんに提案を持ってきた。

 出来る仕事はデータ入力だけかもしれないが、

 その速度だけなら既に俺等を置(・)き(・)去(・)り(・)に(・)し(・)て(・)い(・)る(・)、

 ある意味、座敷童子みたいな奴がいるんだ。

 …そいつを助手として鍛えてみる気はないか?』

「…ちなみに、ソイツのタイピング速度は?」

『毎分250文字…といったところか。

 正直、あいつも和久監視官の殉職のことを聞いて

 自責の念にとらわれて壊(・)れ(・)か(・)け(・)て(・)る(・)。

 

 …可能であれば、あいつを救ってやってほしい。

 志恩ちゃんが忙しいのはわかっているが、

 あいつがここに馴染めば、何となくだけど、

 何(・)か(・)が(・)大(・)き(・)く(・)変(・)わ(・)る(・)気がするんだ。』

「…ちなみに、ソイツは予測変換とか使ってるの?」

『…いや、よく考えたらそんなもの使ってないぞ?

 アイツは、システムも予測出来ない変人(ナマモノ)だ。

 間違った予測を出し続ける入力システムに

 ブ(・)チ(・)ギ(・)レ(・)た(・)アイツは、使うのを諦めてる。』

「…予測変換もなしでその速度?

 そして、シビュラでも理解できない思考の持ち主…

 へぇ、なかなか面白そうじゃない。

 とりあえず助手として雇うかは別として、

 サ(・)ン(・)プ(・)ル(・)として調べる価値はありそうね…

 いいわ。なるべく早く時間を作ってあげる。

 その為には…佐々山くんも問題を起こさないで

 穏便に事件を解決してきてね」

『…善処する、としか言えねぇな。

 じゃ、よろしく頼むぜ。』

ちょうどタバコを一本吸い終えた彼は帰っていった。

 

シビュラすらある意味匙(・)を(・)投(・)げ(・)る(・)変人(ナマモノ)と、

それこそ天(・)災(・)とも呼ばれてもおかしくない彼女。

二人が出会うまで…あと少し。




…時系列が調べづらい!
多少ズレてるかもしれないけどご了承を…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。