親愛なる彼女を救いたい 作:MJより普通にグウェンが好き
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───ピーターが死ぬ少し前…凡そ半年程遡る。
スーパーパワーを手に入れて、コスチュームに身を包みヒーロー活動を開始して少しした頃。
俺はある問題に直面していた。
「全っ然、話題にならねえ」
街の困っている人達を助けたり、強盗をぶっ飛ばしたり、カラーギャングをぶっ飛ばしたりした。
が、毎度毎度新聞を飾るのは別の事。
見開きにも、少しも乗りはしない。
「『大手柄、スパイダーウーマン!』『ニューヨークの摩天楼に現れた、私達の親愛なる隣人!』だってよ。何々…うわ、キングピン捕まえたのか。そりゃ注目度が違うな」
何処ぞの新聞社の記事の見出し一面に、黒と白の特徴的な全身タイツに白いフードの格好の人物が、人を抱えている写真である。
そう、スパイダーマンの有名なあの表紙である。
…俺の知らないスパイダーマン…スパイダーウーマンなのは兎も角。
「身体から電気ぶっ放す男ももう少し話題になっても良いと、そう思わない?」
「ねぇ、聞いてる?もしもーし?」
ペチペチ。
そう言いながら、路地裏の汚い地面に突っ伏していた複数人の男達の一人──不良グループの男の頬を叩いて起こしながら話し掛ける。
気を失っていた所を起こされて少しボンヤリしていた男は、自分の置かれている状況を把握すると此方に食ってかかる様に喚き始めた。
「し、知らねえよ!何なんだよお前は!」
「…あー、やっぱり俺知名度ないね、悲しいなぁ。てかさっき名乗らなかったっけ?若年性健忘症かな?いや違うか。!分かった、もしかしてクスリやってる?」
「両方違えよ!」
「あ、そう?良かったー。意識の混濁と手足の痺れは…無さそうだね」
「この野郎…待て、分かった分かったから!手をビリビリさせながら近付いて来るのやめろ!やめてくれ!」
「あらそう?残念、それはまたの機会に。で、俺の名前はご存知?」
「お前の名前なんて知ら…待て待て待て!ビリビリ止めろ!ビリビリは!」
「じゃあ言ってもらっても?」
「え?えーっと…「じゅーう、きゅー、はーち、なーな」カウント始めんな!しかも何で早いんだよ!」
「文句多いな…。あ、そっか別に君に拘る必要ないんだよね、君の周りで狸寝入りしてるお友達に聞くのもアリか」
「タ、タヌキ?…何寝入りだって?」
「あ、そっか英語圏には狸が馴染みないか……えーとね、要は寝たふりだよ、寝たふり」
「ハァ⁉︎お前ら、起きてんなら助けろよ!クソ!」
そう言いながら男は自分の周りの仲間を強く叩き、起こしていく。
痛そうである。
叩かれた仲間は渋々起きながら、その場に座る。
「では、改めまして。俺の名前は?」
すると、キャップを後ろ前にしてた男が手を挙げて話す。
「ザンダー…だよな?」
「はい正解」
…エレクトロじゃないのかって?そりゃヴィラン名でしょ、流石にそこを流用する気は無かった。
名前の由来?本名から捩った奴ですね。
いいよね、雷っぽくて。お陰で少し自分の名前が好きになった気がする。
「で、俺が君達に何を聞いたか覚えてる?」
「えっと、「スパイダーウーマンと会った事は?」って」
「それもある、他は?」
「あ、アレだ「こんな時間に外で男だけでむさ苦しいパーティしてるのか?」って」
「…他は?」
「…え?他?」
何かあったっけ?みたいに顔を見合わせる男達。
強面な男達の挙動にしては間抜けで大分面白い。
それは兎も角。
俺はそこで一旦チンピラ達の前から離れ、隅に居た人物を連れて来る。
いかにもガリ勉君みたいな線の細い男が此方に来る。
そう、
「はい
「何って…ちょっと金ないか
それの何が悪いのか?みたいな顔をして顔を見合わせている男達。
俺はいい加減我慢の限界だった。
「悪いに決まってるだろ!いいか聞け、このボケ共!次この町で同じ事して見ろ!次は、こうだぞ!」
そう言って路地裏を偶々走っていた鼠に電撃を浴びせる。
野生動物の焼けた生臭い匂いが辺りに立ち込めて俺は顔を顰めるが、男達はそれ以上に目の前で生き物を感電死させた事の方が恐ろしかったらしい。
…スマン、鼠くん。マーベルはデ○ズニーの傘下なのは変わらないから、別に貶める意思とかはないので勘弁してくれ。
「ヒ、ヒィィィィ!逃げろ、逃げろ!」
俺達の背後の路地裏の出口に向かって、一目散に逃げて行った。
「全く…悪いね、こんな時間まで待ってもらって」
本当はチンピラ達に謝らせてから直ぐに帰す予定だったのだが、何か思ったより電撃の入りが良かったので全然起きなくて「生きてますよね?死んでませんよね?」とピーターにすごい心配されてた。チンピラが。
その度に宥めたけど、疑いの目は晴れなかったので罪悪感から起こす事にしたのだ。
「いえ、そんな!助けて貰いましたし」
「けど、お兄さんも不用意に路地裏に近付いたら駄目だよ?最近只でさえ物騒なんだし、ああいう輩もいるんだから。…あと君の目の前にいるのは推定怪しい格好をした変な男だ。信頼し過ぎるのは良くない」
じゃあもう行くから、と声を掛けようとした時。
「あ、あの!」
「ん?」
「スパイダーウーマンに付いてなら、僕知ってます!少しお話をしませんか!」
■
数日後。
「あ、ザンダーさん!」
「おっ、ピーター。今日もか」
あれから俺はピーターとすっかり仲良くなっていた。
学校では一言二言話すか話さないかの関係性なのに、格好が変わると昼と夜で関係性がガラッと変わるのが個人的には割と面白いと思っている。
ピーターもこっちの事を誰にも言えない秘密の友達…くらいには思ってくれてるだろう。
「今日もスパイダーウーマン探し?」
「はい!この辺りで、昨夜目撃情報がありました!見てください、この記事!」
そう言ってピーターは昨夜の新聞の記事を見せてくれる。
事故から人を救うスパイダーウーマンの写真もある。
「スパイダーウーマンは凄えな、相変わらず。それに比べて俺は自分が情けない……」
「そんな事ないですよ、ザンダーさんの記事も載ってますよ」
「え、マジ?」
そう言いながら見せてくれた記事に、確かに俺は載っていた。
「えーと、何々…『怪奇、ニューヨークに現れた電気男!その謎の正体に迫る!』あー、これこの前俺がニューヨーク市警のキャッスル警官に追われた時のやつか、あの人しぶといのよホント」
「でもザンダーさんも凄いですよ!」
「そうかな?」
「勿論!ザンダーさんも凄いですよ、嘘じゃないですって!貴方は、
まさかその台詞をピーター本人から言われると思わなかった。
「ピーターにそう言ってもらえると、元気もらえるよ」
「良かったです!」
「おーモチよモチ。お礼に俺のお気にの場所に連れて行くから」
「ホントですか⁉︎ありがとうございます!」
そう話をしながら、街を一望出来る高い所に移動する。
勿論、ピーターを伴って。
…因みにだけど、勿論感電しない様細心の注意は払ってるよ?
コスチュームの素材には色々工夫が織り込まれているのである。
何があるかは
「わぁ…綺麗ですね」
「でしょ?ここ、俺のお気にね。あと二箇所あるよ」
今日はいつもと気分を変えてエンパイア・ステートに来てる。
…元ネタは
残り二箇所は勿論
景色の鑑賞もそこそこに俺は口を開く。
「その…最近はどうだ?周りと上手くやれてるのか?」
「何ですかその会話の始め方、ベン叔父さんみたいですよ」
ピーターは割と仲良くなったら家の事情とか家族構成とか割と他人にベラベラ話すタイプだった様だ。
友達少なそうだし、
前世日本人の俺からしたらこんな怪しい格好の不審者に身の上話して大丈夫かとは思うけど。
「学校じゃ相変わらずですよ、『弱虫ピーター』って言われて虐められてますし」
「そうか?ピーターは強いぞ、自分が思ってるよりな」
「そうですか?僕なんて全然、普通の…いやもしかしたら普通以下の人間ですよ」
「いやーそんな事ない。忍耐力が…タフネスがあるって言えばいいか?それに頭も良い。そして行動力もある。まだまだあるぞー、良い所尽くしだ」
「そんな僕なんて…」
「欠点があるとしたら、それだ。自分を卑下し過ぎなんだよ」
「でも…」
「デモでもストでもない。いいか、ピーター。君は
「僕が?」
「そうだよ、復唱するんだ『僕は最高だ』って」
「…僕は最高だ」
「もっと、声が小さい!」
「僕は最高だ」
「もっと大きく!」
「僕は!最高だ!」
「フゥー!言えたじゃ無いかピーター!そうだよ、お前は最高だよ!」
ピーターの頭をワシャワシャと撫でて、お互いに笑い合う。
今世で初めて友達と言うのを出来た俺は嬉しかったんだな、こうして話すことが出来て。
「ところでガールフレンドとかはいないのか?」
「それもベン叔父さんっぽい!…居ませんよ」
「じゃあ気になる子は?」
「それ聞きます?…ザンダーさんは?」
「エマ・ストーン」
「誰ですか、それ」
実写版スパイダーマン二作目のヒロイン演じた女優…って言っても伝わらないだろうなぁ。
まぁ適当に誤魔化すか。
「俺は言ったんだぞー、個人情報。ピーターも言うべきじゃね?」
「僕は…MJが」
「MJってどのMJ?マイケル・ジャクソン?マイケル・ジョーダン?」
「何で全部男性なんですか!メリー・ジェーン・ワトソンです!…あっ」
「大丈夫だって、言いやしないさ」
「ホントですか?」
「ホントホント、ザンダー嘘付かない」
…待てよ?
今ピーター、何か重要な事言わなかった?
「ごめんピーター、もっかい聞くわ」
「はい?」
「好きな人が、誰だっけ?MJ?」
「……そうですよ」
ヨシッ!(現場猫)
何気にグウェンから遠ざけるのに成功したぞ!
因みにこの世界のMJはキルスティン・ダンストというよりパンク寄りだね。
誰で例えればいいかわからないけど、アレだ。
パラモアかリアーナだね、MJは丁度バンド組んでるし。…伝わるかなぁ、これ。
ニコール・キッドマンの赤髪よりもっと鮮やかな赤って感じ。
超自身家で、非常に野心が強いイケイケの女子。
ピーターみたいな子には凄いお似合いな気がする。
「心配するなって、上手くいくさ」
「え、何がですか?」
「好きなんだろ、その娘?なら想いを伝えなきゃ」
「無理ですよ、僕なんて」
「オイオイオイ、俺はさっきなんて言ったと思ってるんだピーター。お前ならイケる、なんせお前は?」
「…最高だから?」
「そう、分かってんじゃん!」
「……決めました!」
そこでピーターは立ち上がって俺にこう告げた。
「
「何言ってんだ、お前はもう特別だよ」
「ザンダーさん…」
「胸張っていこう、ピーター」
「……実は僕、今試してることがあってですね。うまくいけば、貴方達の助けになれるかもしれません」
「へぇ?」
「もしこれが上手くいったら──」
■
「“三人で一緒にチームを組みませんか?”って言われたんだけどどう思う、キャッスル警官?」
『黙れ!今日こそ貴様を逮捕する!』
「だよねー、分かる!チーム名は必要だよね!俺もそう思う、候補は二択まで絞ったんだよね!聞きたい⁉︎」
「減らず口を叩く奴だ、もう喋るな!」
明くる日。
ピーターには「楽しみにしててください!」と言われて別れ、俺は俺の日常に戻った。
俺の日常?そう、ヒーロー活動だ。アレから暫くピーターとは会えていないが、彼にも彼の事情がある。
けど何処にいても全員から好かれる事のないように、俺は今、一人の警官から追われている。
確か名前は…フランク・キャッスル。
どっかで聞いたことある名前なんだけど……全然思い出せない。
目の前で人ぶん殴ったのが行けなかったのか知らないけど、俺が行くとこ行くとこでしつこく追ってくる人だ。
「ねえ聞いて!普通の人は銃で撃たれたら死ぬんだよ!貴方の引き金はマシュマロでできてるのかってくらい簡単に引くじゃん!」
「喧しい!とっとと当たってくたばれ!」
「あっそ、本当にもう!」
そう言って俺は、フランク警官の前から雷状になり移動し、背後を取る。
背中に人差し指を突きつけ、こう言う。
「銃捨てろー、手挙げなー?」
某カウボーイの真似をして告げると、流石に観念したのか持っていた銃を傍に放り投げる。
「****!クソッ!」
「Fワード禁止ですよーフランク警官ー?まだ日も明るい内から。まぁ暗くなってもダメだけど。とりあえず腹這いに…ん?」
そう言っていると、俺の足元に固い何かが当たる感覚がした。
視線を足下に向けると、それは少し濃い緑色のパイナップル…もとい手榴弾である。
「……マジ?」
「くたばりやがれ!」
Boooom‼︎
爆発からの砂煙が晴れて、そこには無傷の俺と、ボロ雑巾の様になったフランク警官が!
残当!*1
「ロギアに物理攻撃は効かないんですよフランク警官ー?ONE PIECEは読んだこと無さそうだな……日本のマンガ読んだことありませんでしたかー?生きてますー?…脈あるし生きてるな、タフ過ぎないか?もしかして、タフという言葉はこの人の為にあるのか?」
しゃあっ(空耳)
脈がある事を確認し、とりあえず早めに救急車呼ばないとこの人死ぬな、そう思いパトカーの警察無線を拝借し、応援と救急車を呼ぼうとしたその時だった。
『至急至急!ミットダウン高校にて、トカゲの化け物が暴れてるとの通報アリ!被疑者は…推定呼称リザードと、スパイダーウーマン!応援求む!繰り返す…』
警察無線から、緊急の無線が飛んできた。
俺の
そう思い、俺は今いる場所からミッドタウン高校に向かう事にした。
──そこで待ち受ける悲劇を知らずに。
●
──そして現在。
「ピーター…?ピーター!」
俺は慌てて駆け寄る。
一縷の望みを賭けてピーターに触れたが、触れた瞬間理解してしまった。
ピーターはもう、動かない。
「なぁ、ピーター!頼むよ、目を開けてくれ!」
認めたくない。
認めたくなかった。
目の前の光景を受け入れ難い。
だが、いつまでも感傷に浸ってられない。
「…そうだ、無線だと確かトカゲ男とスパイダーウーマンって言ってたな。まだアイツら何方か近くにいるのか?」
そう思い俺はピーターにコスチュームのコートを着せる。気を取り直し、近くを探す。
どちらかが、まだ近くにいる。
そうも思い、辺りを見渡す。
すると、微かにだが人の気配を感じた。
俺はそこ目掛けて、全力の電撃を飛ばした。
──ZZZZZZZT‼︎
砂煙が晴れると、そこに居たのは良く知っている人物だった。
「…よぉ、スパイダーウーマン。会えて嬉しいよ」
『えぇ、私もよ。えっと…』
「ザンダーだ」
『ザンダーさんね、どうも』
「……けどな、今のお前に呼ばれたいとはちっとも思わない。どういう事だ」
『…何がかしら?』
「どうしてピーターが死ななきゃならなかったんだ!アイツは!アンタに憧れてて!俺の大事な大事な、友達だったんだぞ!」
『…』
「俺はアイツが誰よりも特別な存在になりたかったのを知ってた!だから、応援してた!一緒にチーム組んで街を守ろうって!」
『…』
「なんで、何でだ!何でアンタが居ながらピーターが死んでるんだ!親愛なる隣人ってのは、犠牲を良しとするのかよ!ええ⁉︎」
『…』
「つーか待てよ、リザードは!リザードはどうしたんだ!」
『…リザードは倒したわ』
「倒せたら周りがどうなっても良いのか、人も物もお構い無しか!何だこの惨状は!」
俺はそう言いながら辺りを見渡す。
校舎の一部は、目の前で瓦礫の山と化している。
『…ねぇちょっと私の話を聞いてザンダー、貴方何か誤解してるわ』
「五月蝿え!」
そう言い俺は再び、奴に向かって雷を放つ。
勿論、避けられる。
けど何故だがな、手に取るように動きが分かるぞ!
「お前の責任だ、スパイダーウーマン!お前の罪だ!」
そう言い、奴に向かって雷撃を放つ。
しかし、当たらない。
まるで彼方も此方の動きが読めるみたいに──
Thwip!Thwip!
「!しまった!」
攻撃の合間を縫って、スパイダーウーマンにウェブを飛ばされて身動きが取れなくなってしまう。
手足を拘束され、文字通り蜘蛛が獲物を捕らえる様になってしまった。
「……どうした、やれよ」
そこから追撃の手が来ず、俺は急かす様に告げる。
が、奴はむしろ遠ざかっていく様に感じた。
『…悪いけど、今の貴方と話してもとても冷静な話し合いが出来そうに状態にないわ。少しそこで頭を冷やしなさい』
そう言い、奴の気配は遠ざかって行った。
「畜生…畜生!」
スーパーパワーを身に宿してから、初めて負けた。
ヒーローに負けは許されないのに。
初めての敗北は、俺に死ぬ事以上の屈辱を味わう事になった。
この作品はアース65のスパイダーグウェンを参考にしてますが、飽くまで参考程度で全部が同じではありません。
そして肝心な事に、主人公はマルチバースの概念は知っててもスパイダーグウェンを知りません。
簡単な人物紹介!
レックス(仮称)…ヒーロー名はザンダー!
電撃を操る、若きヒーローだ!
知名度は全然無いぞ!
ヒーロー活動中の喋りやスタイルは、勿論スパイダーマンが参考になっているぞ!
ピーター…何も語りなくない。
スパイダーウーマン…推定ピーターの仇。断じて許さない、例え何者であっても。
キャッスル警官…すごい執念だぞ!生命力はゴキブリ以上だ!