皆様いつもお世話になっております。
今回馬鹿長いです。ご了承ください。
「ただいまーって、そうだった。誰もいないんだったな」
1人で使うには、ちとこの家はデカ過ぎるぜ……。まぁいいや、時期に慣れるだろう。
さて、入学式と委員会決めを終えた後、帰り道の途中で拳銃を買ってきたぜ。……いや、自分で言っておいてなんだが帰り道で銃買ってきたってパワーワードがすぎるな。だが仕方ない、それがキヴォトスの常識のようだからな。
あ、ちなみに財布はなんか制服ズボンのポケットに入ってたよ。しかも見た目的に前の世界で俺が使ってたやつ。なんで?
なんてたって銃や弾が売ってある店がどこにでもあるんだ。日本生まれ日本育ちの俺からしたらぶっ飛んでるよ。
まあ、俺の困惑についてはここくらいで打ち切っておこう、これ以上は止まらなくなるからな。今から俺がやるべきなのは自分の身体の耐久試験だ。もし俺の頭上にあるブツがマジもんのヘイローってやつなら銃弾もへっちゃらなスーパーボディになっている筈だぜ。
マニュアル等を読みながら拳銃に弾を込め、利き手と反対方向の小指に近づける。小指なら最悪抉れても死にはしねぇだろ……!
銃口を小指まで数センチのところまで近づけると、丈三郎は躊躇いもなく引き金を〝カリシィーッ〟と引いた。そして〝ドゴォォン〟という音と共に銃弾は彼の小指に向かってまっすぐ発射され、クリーンヒットした。
「ッッ……ッてぇ………!」
覚悟していた事だが、普通に痛いな……。予期せぬタイミングで顔面にこうしきてにすぼーるのスマッシュを喰らったくらいの痛みだぜ……。だが、肝心の小指はというと、傷ができて赤くなっている程度、全くもって致命傷じゃあない。どうやらマジで頑丈な身体になったようだな。まあ、これで流れ弾喰らってお陀仏なんていう事にはならないだろうから安心だぜ。
「知りたいことは粗方知れたし、今日のところはスタプラと戯れながら時間を潰して寝る事にするか」
——————翌日——————
「今日こそ真面目に正門から登校するぜ」
昨日の窓からのダイブはあくまで緊急次第だったからだ。そうしただけだ。平時はちゃぁんと正面から堂々と入るに決まっているじゃあないか。
時間にも余裕がある。このまま歩いて無事に学校へ着くぜ。
ズドドドドドッ!!
———などと思っていたのも束の間、突如として俺の耳に銃声が怒鳴り込んできやがった。朝っぱらから暴力沙汰起こしてんじゃねーよ!
しかも銃声の方向は校舎へと続く道じゃあねぇか。避けては通れないって訳か。
銃声の元へと近づいてみれば、1人の生徒らしき人物が無差別に銃を乱射していた。
「入学式の自己紹介で一発芸やったら大滑りしたじゃあねーかよォーッ!もうアタシの高校生活お終いだぜェーッ!八つ当たりとして全員死ねー!!!」
「な、なんつー悲しい生き物になってやがるんだ……。早いとこ
一つの賭けに出た結果、青春を失った哀れな者へ
「あ!?なんだよお前!この銃が見えねぇのかァ!?それ以上近づいてみろ。お前を物理的に学校に行けない状態にしてやるよ!」
ああそっか、お前の場合精神的に学校行けない状態だもんな……。やれやれ、ヤケになった人間ほど怖い存在はいないぜ。
そんなことを考えながら、丈三郎は銃を構える生徒に向かって近づいていく。
「ちゅ、忠告を無視しやがって……。もういい!くたばれ!!」
丈三郎にむかって数発の弾丸が発射される。がしかし、その弾丸は彼に到達するまで残り2メートル程というところで全て弾かれたように軌道が逸れてしまった。
「……!?は……!?」
分かっちゃあいたことだが、人1人が放つ銃弾くらいなら余裕で見切れちまうな。これくらいなら〝オラオラ〟の掛け声も無しに対処余裕っつーことか。それとも、(俺ももしかしたらこうなっていたかもしれない)という俺の思いがスタプラにも反映されているのかもな。
けど発砲した時点でコイツはラインを超えちまったんだ。遠慮無しに殴らせてもらうぜ。
射程距離まで後数歩だ。このままぶん殴りゃ気絶させて止められるだろ。
「お、おい……お前……」
「ん?」
「な、なんだよその
「……ちょっと待て、お前
「み、見えてるから言ってんだよ!なんだよそいつ!」
スタプラの存在に困惑してるってことは、スタンド使いではないって考えていいよな……。けどスタンドが見えている。……そういやこの生徒の頭にもヘイローがあるな。もしかしてそれの作用なんじゃあないか?
もしくは、キヴォトスの奴らは全員スタンドを見ることができるかのどちらかだ。まいいさ、とりあえず今は通学路を荒らす哀れな者を沈静化させないとな。
「なんだよそいつ……か。少なくとも、今後お前にとっちゃあおまわりさんより怖い存在になるだろうよ」
「オラァッ!!」
「くぼあぁ!?」
ちょっとしてパワースピードまでもが原作据え置きだったりするのか?スタンドは精神の具現化なんだから、持ち主が俺になったら弱体化しそうな気もするが……。いや、この哀れな奴1人ぶっ飛ばしたぐらいじゃパワーが据え置きかなんて分りゃしないか。
「邪魔は消えたし、学校へ行くとするぜ」
・
・
・
・
・
「おはよう、守月さん」
「おはようございます。丈三郎さん」
教室の扉を開けると、守月さんは既に俺の席の隣に座っていた。まだ始業まで20分くらいあるってのに席に座っているなんて、真面目な人だな。
「見なよ守月さん、今日はちゃあんと正門から入って正規ルートで学校に到着したぜ」
「そ、それが当たり前なんじゃ……?」
「……ザッツライト」
なるほど、守月さんはメンタル破壊力A、正論スピードAの近距離論破型か、手強いぜ。
ああ、そうだ。守月さんには悪いが、キヴォトスの人がスタンドを見えるのかの検証に付き合ってもらうとするか。
「なあ守月さん、いきなりなんだけどさ、コイツ見えるか?」
俺のすぐそばに
守月さんはスタプラを視界に入れると、いきなり現れた存在にびっくりしたのか、大きく目を見開きながら整っていた姿勢を崩した。そりゃいきなり紫色の肌して、褌履いているムッキムキの戦士視界に入れたら誰だってビビるわな、ごめん。
「脅かせてすまない、これは〝
「は、はい……その、私以外にも見えていそうですが……」
「え?」
スズミの言葉に、思わず周囲を見ると、さっきまで立ち話をしていた生徒たちが呆気に取られたように俺を見ているじゃあないか。この感じ、どうやら〝生徒〟はスタンドが見えると確定して良さそうだな。
……それはそれとして、やれやれ。質問ラッシュに備えないと行けないみたいだぜ。
「「「「なにそれ〜!?」」」」
みんながフリーズしてから数秒後、声を揃えて俺の方へと突撃してきた。
「いきなり出てきたよね!」
「めっちゃ筋肉ある!彫刻みたい!」
「スゴ味があるデザインをしていますわ!」
……キヴォトスに来る前の俺が女子に囲まれている俺の様子を見たら、きっと血涙を流すだろうな……。それはそうと、みんなスタプラに夢中のようだ。そりゃそうだよ。かっこいいもんね。
「ねぇねぇ!コレどうやって出したの!?手品!?」
「タネも仕掛けもないんだなこれが、どうやって出したか……俺もわからん、最近出せるようになったからな……」
「なにそれ〜w、てかさ、君入学式の日に窓から教室入ってきた子じゃん!」
「あ!言われてみれば!あの時はみんなびっくりしたんだよ?3階の窓から入ってきたんだから!なんで窓から入ってきたの?」
「遅刻したくなかったからね」
「え、それだけ!?そのためだけに!?」
「遅刻は悪いことだろ」
「窓から入るのは悪いことじゃないないんですの?」
「うぐぐ……」
「ウケる〜w。あ、そういえば名前知らないじゃん、なんて言うの?」
「空条丈三郎。中々いない名前だろ?」
「そうだね、なんか呼びにくいし!」
ひでぇなおい。
「あだ名決めちゃお!条と丈でしょ?うーん……よし〝ジョジョ〟で!」
「いいじゃんジョジョ!呼びやすいし!」
「スゴ味がある名前ですわ!」
「あ、ありがとう?」
まさか俺がジョジョと呼ばれる日が来るとは、夢にも思わなかったよ。
「んじゃジョジョ、モモトーク交換しよ」
「モモ……なんだそれ?」
「えっ、知らないの!?」
「腐れ脳みそですわ!」
ひでぇなおい。
いきなりどこぞのパンナコッタレベルの罵倒を繰り出されたのには納得がいかないが、どうやらモモトークとは連絡ようのSNSアプリなんだそうな。彼女らがそう教えてくれた。要するにLINEとかインスタとかそう言う系統に近い奴という訳だな。
「いやぁ悪かった。あんまり携帯のアプリに詳しくなくてな」
「モモトーク知らないは詳しくないってレベル超えてるでしょ〜w」
「んねっ、原始人じゃん!」
「やかましいッ!とりあえず交換するんだろッ!」
ってなわけで大人数とモモトーク交換したよ。これで守月さんに頼り切りの蛆虫生活からは脱却できそうだな。やれやれ、人との交流ってどこから生まれるか分からないもんだね。
「あ、そうだ守月さん」
「どうしましたか?」
「モモトーク。交換しようよ」
そう言いながら、俺は守月さんに向かって自分の携帯画面に表示されたモモトークのQRコードを見せた。
「えっと……いいんですか?」
「そりゃあ、お隣さんなんだし、交換できないのは寂しいじゃあないか。もちろん無理に交換しようとは言わないよ」
昨日なんてずっと守月さんに頼ってたからな。鬱陶しく感じているかもしれん。
「い、いえ!やらせていただきます!」
「そっか、サンキュー」
俺の携帯画面に表示されたQRコードを守月さんが読み取る。ちょっとぎこちない仕草してて可愛かったというのは、言ったら肩身が狭まるどころかなくなるのでやめておこう。てか今更だけどこの人めちゃくちゃ美人だよな。
「で、できました!その……つまらない話しかできないと思いますが……それでもよければ……」
「俺の笑いのツボにブッ刺さるかもしれないじゃあないか、それに今は交換できただけで嬉しいよ」
「そうですか……!ありがとうございます」
守月さんは微笑みながら、少し頭を下げた。そういや、昨日は笑顔見れなかったもんな。微笑みが見れただけでも嬉しいぜ。いつかこの人が爆笑してる様子とかも見てみたいもんだな。
そんなことを考えていたら。〝キーンコーンカーンコーン〟とチャイムが教室に鳴り響いた。どうやら始業の時間のようだ。ここからは真面目に勉強ターイムというわけだ。
・
・
・
・
・
〝キーンコーンカーンコーン〟というチャイムの音が教室に響き渡ると同時に顔を上げて時計を見る。どうやら終業の時間のようだ。
さて初授業を受けたわけだが、当然ながらキヴォトスでは日本とは全くシステムが違った。
まず授業の時間がクソ短い。というのも各教科ごとに先生がいるというわけではなく、配布されるBlu-rayディスクを使って授業を受けるので、かなりコンパクトに纏められている。一応、ロボットの先生が授業する教科もあったりするがごく僅かな機会だ。
そんな感じで授業の時間が短いからな。もう放課後だってのにまだお昼にもなってないぜ。
んで、そんなクソ短い授業の代わりに存在するのが、委員会や部活動って訳だ。所属する人は大体の時間そこで過ごしますわ。って俺のクラスメイトが言ってたぜ。
まあ学園都市っていう名前だしな。青春に時間を割くべきなんだろーよ。
ってなわけで今は守月さんと一緒に正義実現委員会の教室に向かっているところだ。
「うーん、授業があったのに午前中に放課を迎えるなんて違和感がすごいぜ……」
「……というと?」
「俺が元いた学校じゃあ基本的に放課ってのは午後になってから迎えるもんだったんだ」
「私たちにとっては、そっちの方が考えられません」
「そっかぁ〜。世界は広いねぇ〜」
……っとそんなことを話している間に教室に着いたぜ。
扉を開けてみると、俺たち以外にも1年生らしき人物が沢山席に座っていた。ここにいる奴ら全員正義実現委員会に入った生徒なのか……多いな。
とりあえず、空いている席に座ろう。
「守月さん、あそこなんてどう?」
「そうですね、あそこにしましょう」
真ん中よりちょい後ろくらいの席に座ってからしばらく待つと、黒をベースに赤いラインが特徴の制服を着た1人生徒が壇上へと上がった。おそらく正義実現委員会のボスってやつなんだろうぜ。
「皆様、こんにちわ。私は正義実現委員会委員長です。さて、皆様にお伝えしておくべきことがあります。あなたたちがこの教室に入った瞬間、あなた達は正式に正義実現委員会の一員となりました。故に私たちは、あなた達が自身の実力を自覚し、トリニティの防衛、平和維持を一身に引き受ける『覚悟』があると認識します。はっきり言いましょう。広大なトリニティ自治区の平和を守るためにはすぐにでもあなた達の力が必要です。あなた達には今から動いてもらいます。」
委員長の真っ直ぐとした声がマイクを通して教室中に届く。なるほどね、オリエンテーションはないというわけか。
「これからあなた達には、2人1組で任務にあたってもらいます。万が一のことが起こった際には正義実現委員会の本部に連絡すること。出口に連絡先を掲示しておきますので、ご確認ください」
説明を終えた委員長は最前列の席から順々に2人組を組ませて任務を与えていく。
そして俺の番にて与えられたのは『トリニティ内で行われているオークションを調査せよ』とのことだ。何やら度々暴力団らしき人影がチラつく不審なオークションらしいぜ。
任務のペアは守月さんだ。ペアが知人なのは一緒に行動しやすくて助かるな。
「まさかいきなり任務を与えられるとはな……これなら射撃の練習をしておくべきだったぜ」
「ですが、委員長の方のおっしゃる通り、トリニティの平和を守るためには1人でも多くの戦力が必要です。実戦で後進を育む方針なのでしょう。大丈夫です、丈三郎に何があろうとも、私が必ずお守りします」
オイオイオイ、カッコ良すぎるじゃあないか。流石守月さん、トゥンクとなっちまうようなセリフを平然と言ってのけるッ。そこに痺れる憧れるゥーッ!
「頼もしいな守月さん。けどこっちもただで守られるきはないから、よろしく頼むよ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「よし、それじゃあ……」
「行くぞ!」
「バァ———ン」
「……今のは言葉には何の意味が?」
「気にしないでくれ、俺の士気を上げるためにやっただけだ」
「そ、そうですか……」
・
・
・
・
・
「ここが例のオークション会場か……てか暗っ!」
なかなか大人数じゃねーか。会場も広いし、想像より規模でけぇぞこりゃ。明るさが暗いのは不満だがな。
「タバコ臭いですね……丈三郎さん、喘息持ちではありませんか?」
「大丈夫だよ。守月さんこそ、受動喫煙には気をつけてな。早いとこデッケェボロが出るなり、潔白証明されるなりで終わってくれるといいんだがな」
このオークション会場、入る時に言われたけど一度出たら再入場できないんだってな。もし再入場しようとしたら取り押さえるだなんて……早くもきな臭いな。
「ここまで人が集まっている場所となると、手強い場所になりそうです」
「そうだな……とりあえず席探そう。立ったまま観察するのはしんどいだろ」
観察するための席を守月さんと共に探していると、大柄のボディをしたロボットがこちらに近づいてきた。
「あるぇ〜?君たち何しにここに来たのぉ〜?」
「ここに来る理由なんて一つしかねーだろ。俺たちもオークション参加すんだよ」
たとえ客相手でも馬鹿正直に調査に来ましたなんて言っちまったらおしまいだからな。
「そぉっかぁ〜、けどね〜?ここはテメーらみてぇなガキが来るとこじゃねぇんだよ!!テメーらは保健室で仲良く寝てろ!!」
大柄のロボットは丈三郎に向かって拳を構え、スズミごと殴り飛ばそうとする。
「オラァッ!!」
「グボェッ!?」
しかしそれよりも遥かに早いスピードで
「やれやれ、如何にもって感じの野郎を殴り飛ばしちまったぜ。あれじゃもうオークションの品物を見ることも出来ねーな」
「うわぁっ!人が
「な、何があったんだ……」
「あの巨体を軽々と……スタンド。でしたよね。すさまじいパワーですね……」
「本当は木っ端微塵にするつもりだったんだけどね」
スタプラならあんな便所にこびり付いたタンカスような野郎木っ端微塵にできるはずなんだけどな……。もしかしたら原作よりパワーが落ちてるのかもしれん。スタンドは精神エネルギーの具現化だからな。俺の精神の未熟さがスタプラにも反映されちまってるのかもしれん。
「しっかしまぁ、客を殴り飛ばしたのに警備員もこねぇとは、中々肝座ってるオークションじゃあねぇか」
「よく見ると、柄の悪そうな人たちも複数見受けられます。より一層警戒を厳にしながら観察しましょう」
「アイアイサー」
そうして守月さんと客席に座っていると、壇上のカーテンが開かれていき、司会と商品を置く用であろう台が姿を現した。
「さぁご来場の皆様!お待たせいたしました!只今よりオークションを開始いたしますッ!尚、この会場で行われるお客様間での乱闘騒ぎについては一切対処致しませんので、ご了承下さい!」
「野郎言い切りやがった……」
「戦闘に常に戦闘準備をしておいた方がよさそうです」
守月さんがそう言いながら自身が持つ銃のマガジンとグレネードを確認する。俺もスタプラ常に出しとくか。観察するならコイツの眼の良さは必須だからな。
原作スタプラの視力がどんなもんかは知らんが、俺のスタプラも相当目がいいからな、視力は据え置きっつーことか?精密さもなのかな。ちょっと試してみるか。
こんなこともあろうかと事前にペンとメモ帳を買って持っておいたんだ。これでオークションの商品をスケッチしたら分かるだろ。
「さあ、まず最初の商品はこちら!今や売り切れてしまった〝ローレイクス〟の数量限定腕時計。その実物ですッ!ここでしか手に入りませんッ!800万からスタートですッ!」
始まると同時に〝850万〟だの〝860万〟だのすさまじい金額が提示されていく。ま、あの時計が誰の手に渡るかなんてのはどうでもいい。俺が今からやるのはあの腕時計をスタプラにスケッチさせることのみだ。
ペンとメモ帳をスタプラに渡し、スケッチさせる。するとスタプラは5秒ほどでそれを完了させたようだ。流石のスピードだな。完成させたものを見てみると。光沢や秒針のメモリまで描かれていた。この感じ……精密さも原作と変わらないくらい相当なものと見ていいな。
「その絵……今の数秒で描き上げたんですか?凄いですね」
「コイツはパワー以外にもスピードと精密さにも優れているんだ。名前は〝
「何だか、器用な人なんですね」
人……?人かなぁ……?
「……!丈三郎さん、少しいいですか?」
「どうした?守月さん」
「今オークションで競られている腕時計の画像を調べて見たのですが……この画像とそのスケッチ、ロゴの位置がズレてませんか?」
「……本当だ」
守月さんのスマホが映す画像の腕時計はロゴが真ん中に刻まれているのに対して、スケッチが描いた腕時計はロゴが若干上にズレてるな。
守月さんの画像は公式サイトによるもの、そしていくら使い手が俺だとはいえ
「守月さん、俺の〝
「……ということは……」
「今競られてるのは偽物ッつーことになるな」
「なら急いでこのオークションを止め「待ってくれ守月さん」丈三郎さん……?」
「今やってもしらばっくれられて逃げられるか、あの司会の奴も知らんうちに偽物掴まされてたっていう可能性もあるもう少し観察しよう」
「そう……ですね。すみません。先走りました」
「そんだけ正義感あるっていうことだからね、恥じることじゃあない。それに君がいなかったら気が付かなかったよ。最高だぜ守月さん」
判別方法はシンプル。スタプラで司会の野郎が提示する商品を観察して守月さんがそのブランドの公式サイトとかの信頼できる場所から引っ張ってきた写真を照らし合わせるだけ。一応スケッチも描いておくとしよう。
腕時計の競りが終わった後も、色んな商品が競られた。ネックレス、指輪、イヤリング……。どれも高級ブランドのアクセサリー的なやつなんだろうな。だが、どれも公式サイトの写真とは微妙な違いがあった。マークの位置、装飾品の形……確実に言えるのは今まで提示されてきた物は全部偽物だっていうことだ。やれやれ、クソッタレな間違い探しだな。
それと、競りが終わって購入者が決定した際。商品はアタッシュケースに入れられて購入者に渡された。おそらく近くで見た際に気づかれないようにする為だろうな。大体の客はケース開けるのはオークション終わった後だろう。なんなら目的の物手に入ったら帰るやつだっているだろうしな。それための再入場禁止か……。
挙句の果てに会場暗くして違い分かりづらくしてる始末。こりゃ確定で黒だろ。
……とはいえ、問題はどう相手問い詰めるかだ。〝遠目で見て分かった!スケッチして分かった!コレは偽物だー!〟なんてほざいても〝遠目から分かるわけねぇだろ、出鱈目だ。遠目から描いたスケッチが正しいわけねぇだろ〟とシラを切られて終わる。かと言って〝近くで見せろ〟なんて言っても向こうは意地でも認めねェだろうよ。
「……どうしたもんかな」
「……次の品でオークションは終わってしまいます」
「確定で黒だってのに……いっそ司会に突撃してぶん殴るか?」
「流石にそれは……」
アイデアが思いつかないまま、無情にもオークションは最後の景品の競りを始める。
「さあいよいよ最後となりましたッ!最後は〝ルーイピトン〟の一番最初に売られたバッグ!勿論傷は一切ございませんッ!新品同然ですッ!さあさあ、1000万からのスタートです」
「おおっ……!」
「これは欲しいなッ……!」
「い、1100万!!」
「負けるかッ!1500万だ!!」
「クッ……2000万!!」
「どうすれば……」
「ちょっと待て」
「……?どうしましたか?」
「あのバッグ……違いがねぇ」
「!?ということはあのバッグは本物ってことですか!?」
「いや、今まで全部偽物だったんだ、んなことぁあり得ねぇ。これまで見破れたんだから、スタプラでも分からんくらい精巧に作られてることもねぇだろうよ」
あれは確実に偽物だ……けど違いは無い……。待てよ?もし俺の予想が正しければ……いけるかもな。
「さあ皆さん!現在2000万ですッ!他には「2500万!」おっと、現在2500万ですッ!さあ……!さあ他にはいませんか!?他に居ないのならこのまま決定「5億ッ!!」……ほえ?」
「5億ッつったんだぜ。聞こえなかったか?」
〝5億〟その金額を提示したのは他でもなく丈三郎だった。
「じょ、丈三郎さん!?」
「守月さん、戦闘準備は出来てるな?大丈夫、俺を信じていてくれ」
「……!はいっ……!」
「ほ、他の人は……」
いきなり提示された桁違いの金額。当然、誰も対抗することはなかった。
「ご、5億!5億にて落札ですッ!……で、ですがお客様……本当に5億なんていうお金持っているのですか……?見たところ学生のようですし、そんなお金を持っているとはとても……」
「疑われるのはしょうがねぇわな。けど、証明ならこれで十分じゃねーか?」
「そ、それは……!」
丈三郎が取り出したのは一枚のカード、しかし、その色はよくある銀色とかそんな物ではなかった。
「その色……丈三郎さん、それブラックカードですか……!?」
「あぁそうだよ守月さん。それで、どうだい?これで証明になるだろう?」
「た、大変失礼致しました!それでは早速商品を「とその前にだ」……?」
「5億ッつー大金叩いたんだ。偽物かどうかくらいのチェックはさせて貰うぜ?例えば……糸の縫合の仕方が違うとかの偽物だったらたまんねーからな」
「…………ええ、いいでしょう。ご接触なされないのであれば、どうぞ近くでご覧ください。接触された場合、商品に傷がついてしまうかもしれませんから……」
「ほいほい、んじゃご遠慮なく」
丈三郎は近づき、台に置かれたバッグを注意深く観察する。
「お客様、糸の縫合方法をお気になされているようでしたね?どうぞ心ゆくまでご観察ください。違いなどありませんから」
数分バッグの取っ手などの縫合を自身のスマホで調べ上げた写真と照らし合わせながら観察した丈三郎は、バッグから目を離す。
「……そうだな。確かにこのバッグに違いはねぇよ」
「そうでしょそうでしょう!それでは早速「今見えてる範囲では、な」!?」
「このバッグでまだ観察できねぇどこがあるだろ。」
「底面だよ底面。台座に乗っかってるようじゃあバッグの底面が見れねぇじゃあねぇか!」
「ッッ……!し、しかしお客様!商品への接触はケースに入れるまでは禁止で……」
「オラァッ!!」
「!?」
「あーなんか知らんがバッグ乗せてる台がぶっ壊れたぜ。おかげでバッグが落ちて底面が見えるようになっているじゃあ無いか……おいおい、縫い方も糸の感覚も全くもって違うじゃあねぇかよぉッ!!」
「グッ……!!」
丈三郎の声は反応し、まだ会場に残っている客たちは全員自分の持つ商品を確認し始める。
「こ、これ偽物だ!マークが違う!」
「こ、これもだッ!よく見たらロゴの文字が違うじゃあないか!」
「このきたならしい阿保がァーッ!」
「……く、クッソォ……!!」
「バッグの底面が違うんじゃあ持ち上げて底をみて見ないと分からねぇだろうからな。だからお前もOK出したんだろ?触らなきゃ近くで見ていいってよぉ!」
「…………ああそうだよ。バレちまったんならしょうがねぇよなぁッ!?」
会場の入口から、壇上から、ゾロゾロと如何にもって感じの連中が出てくる。さらに、もともといた柄の悪そうな連中も武器構えてる。コイツら全員敵って訳か……。
「守月さん!普通のお客さんの避難誘導は頼んだぞ!」
「はいっ!」
「ひゅーかっこいいねぇキミ。この状況1人で何とかする気なの?正直君たちが調査に来てるってのは分かってたんだよね〜。だから最初に部下の1人を差し向けた。けどそいつ、強いやつなのに倒されちゃったからさぁ。排除すんのも面倒だから放置してあげといたのに……俺の優しさ踏み躙りやがってよぉッ!」
先程まで司会だった者は地団駄しながら丈三郎を睨みつける。
ああ、最初に襲いかかってきたデッケェキチガイコイツの部下だったのか。
「優しさねぇ……ビビってるの間違いだろ?」
「ッッ!!テメェらやっちまえ!客も1人たりとも逃すんじゃねぇぞ!!ここにいる奴ら全員喋れなくしてやれッ!!」
元司会者の掛け声と共に、輩が一斉に丈三郎に襲いかかる。
「全く……舐められたもんだぜ」
「〝
「オラッ!オラッ!オラァッ!!
オラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラ
オラァッ!!」
「グボェア!!」
「ポゲェッ!?」
「グブェェ!!」
襲いかかった連中は全て
「そ、そんなバカな……!!ありえねぇッ!」
「全員喋れなく……ね。そんじゃあよォ、お前らも喋れなくならねぇと不公平だよなァ!?」
「オラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラ
オラァッ!!」
「ホグエェェ〜ッ!!」
「偽物の代金は……拳で十分だろ?」
「さてと……守月さーん。そっちにも数人いっちゃったかもだけど、大丈夫ー?」
少し大きめに声を張って名前を呼ぶと、壇上の方から守月さんが現れてこちらへと寄ってきた。
「大丈夫です。丈三郎さん。お客さんの避難は完了させましたし、こちら側へ来た脅威は、全員制圧しました」
「さっすが過ぎるぜ、守月さん」
「それと、避難と制圧を完了した後に舞台の裏を調べて見たのですが、本物だと推定されるブランド品がいくつも揃っていました」
「神すぎるぜ守月さん」
オークションで金巻き上げた後モノホン売ってさらにプラス……ってとこかな。モノホンのやつはあれだろ。強盗とかでもして手に入れたんだろ。
「ありがとうございます。でも、それは丈三郎さんこそです。お強いんですね」
「ヘッ、まぁね」
ま、やったの全部スタプラだけどな。
「証拠の見つけ方も、見事でした……。ところで、あのブラックカードは……」
「あぁ、あれは最初に襲いかかってきた奴からぶんどった物だよ。ぶん殴る前に胸ポケットに入っていたのをとっておいたんだ。なんか使えそうだなってね。勿論、今後の日常生活で使う気もねぇし、この場で捨てちまうよ」
「そこまでしていたんですね……凄いです」
おっ、なんだよ褒め殺しかぁ?もっといえもっといえ。
「んじゃ、帰って先輩たちに報告しねぇとな」
「そうですね、いきましょう」
そうして帰ろうとしたその時、突如席の一つから人影が現れた。
「た、助けてくれぇ!」
「「!?」」
「ど、どうしましたか?」
「い、いきなり乱闘が怒ったからうずくまって隠れてたんだ……けど、巻き添えで足を負傷しちまって……」
「待っていて下さい!すぐに向かいます!」
スズミは怪我人の元へと急行する。そして怪我の程度を見るべくその人の足を覗き込もうとした瞬間、その怪我人はスズミの首を腕で締め上げ羽交締めにする。
「ウッ……!ど、どう……して……」
「お前……」
「ギャハハ引っかかったなバカめぇッ!まだ残党がいることを考慮しとけ間抜けがよォ!足なんて怪我してねーよバーカ!甘ちゃんどもが!」
「おっと、抵抗すんじゃあねーぞ?もし俺と距離を詰めようとしてみろ。このクソアマに対戦車手榴弾を喰らわせる!俺もくたばるがこいつもゼロ距離で受けりゃただじゃ済まねぇ!」
「こいつに一生消えねぇ傷ができるのは嫌だろう?だからよ、テメェが所属する組織の上に報告しろ!『ここには何にも異常はありませんでした』ってな!そうすりゃこいつを解放してやる!」
「俺がそれをやった後、お前が守月さんを解放する保証は?」
「ごちゃごちゃウルセェよ!テメェはさっさと報告しろよ!そうすりゃ全員助かるんだぜぇ?おっと、間違えても助けて求めるんじゃあねぇぞ?んなことした瞬間俺もこいつもドカンだ!」
距離は……十数メートルってとこか……。スタプラじゃあ届かねぇな。スターフィンガーでも……届かねぇな。
「丈……三郎さん……私は……大丈夫です……だから……早くこの人を……「テメェは喋るな!」ウッ……!」
スズミを羽交締めにする輩は、さらにその力を強めて彼女の首を締め上げる。
「……お前の魂胆当ててやろうか?」
「あぁ?」
「俺が報告した後守月さんを俺に向かって投げて、その対戦車手榴弾投げておーしまい。だろ?対戦車手榴弾なら爆風直に喰らえば俺も守月さんもお前を追えなくなるだろうよ。んで俺が問題なしと報告したせいで増援の正義実現委員会の到着は遅れる。お前はその間に逃げおおせる訳だ」
「けどよォ、んな面倒なことする必要は無いんだぜ」
丈三郎は自身の腰につけていた拳銃を向ける。
「これでお前の手首撃ち抜いて手榴弾落とさせれば済むんだよ。……守月さん、悪りぃが我慢してくれよ」
「は……い……大丈夫……です……!」
「ケッ、おもしれぇ。やってみろよ!外した瞬間この女も俺も吹っ飛ぶけどなぁ!」
(バカが、銃口がブレブレなんだよ。ど素人であることがよく分かるぜ。単なる脅した!仮に本当に撃ってくるか、乱射されたとしてもあんなんじゃ1、2発目じゃ手には当たらねぇ、手に当たる前にピンを抜いちまえばそれで終いだ!)
丈三郎はゆっくりと引き金を引き、スズミを人質に取る者に向かって発砲する。そして、その弾丸は見事にその人物の手首を撃ち抜き、手榴弾を落とさせた。
「ぐあッ!そんな……!当たる訳……無いのに……!!」
「俺に銃の腕前は無い。スタンドも届かねぇ……けどよォ、〝
対抗手段を失った相手に対して、丈三郎は生身で殴り飛ばし、スズミを解放する。
「グボエッ!」
「ゲホッ、ゲホッ……ありがとう……ございます……」
「さーてこれで人質はいなくなった訳だ。後は簡単な仕事だよ」
「ひ、ひいぃぃ!や、やめろ!来るなぁッ!!」
「あ、そうそう。そうだよ。お前守月さんことクソアマッつったよな?目腐ってるよな?」
「腐ってる目ん玉は……見えないようにしなきゃだよなぁッ!!」
「オラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラ
オォォラァァァッ!!」
「はぐあぁぁぁ!!」
「フゥー……。守月さん、怪我はない?」
「大丈夫です。助けていただき、ありがとうございます。……必ず守ると言ったのに、助けられるなんて……情けないです」
「言ったろ?ただじゃ守られないってね」
「……丈三郎さんはお強いですね。失敗を恐れない胆力……私が持っていないものを持っています」
「うーん……失敗を恐れないっていうか……あん時はできるって確信があったからやっただけだよ。はなから失敗なんて考えてない」
「じゃあ、〝我慢してくれ〟というのは……?」
「そりゃあ……誰だって銃向けられるのは怖いだろ。当たろうと当たるまいと」
「……ふふっ、丈三郎さんは変わっていますね」
「え?そ、そう……?」
「あっ、すみません。馬鹿にしたわけではないんです!あまり聞かない考え方だったので」
「そっかぁ……。でもまぁ、俺はこの考え方帰るつもりはないよ」
「それがいいと思います。……とても素敵な考え方ですから」
「サンキュー。それじゃ、早いとこ戻ろっか」
「はい、行きましょう」
……無表情クール美人もいいが、やっぱりそういう人が笑顔になる瞬間が一番最ッ高だよなぁ……。
ご閲覧いただきありがとうございました。もしよろしければご感想のほどよろしくお願いします。