「これが『シャンフロ』か……」
青年は手に持った説明書を流し見ながら購入したソフトに目をやる。青年の名は[
シャングリラ・フロンティア、通常シャンフロ
フルダイブ全盛期の現代、
そのトップに輝く万人が選んだ神のゲーム、通常『神ゲー』である。リアルと遜色無いグラフィックに対話すらこなせるNPC、幅広い職業システムに広大なフィールドマップ、まさしく神ゲーの称号に相応しいゲームだ。
「『神ゲー』か」
あらかじめトイレも風呂も澄ましたし準備完了だ。
俺はソフトを挿入し、ヘッドセットを被りベッドに横たわる。
「見せてくれ神ゲーってやつを」
◇
ただ白い空間に俺は立っている。
現れたのはシャンフロのロゴにパスワード確認項目、それらをポチポチっと入力して完了。やっと少し面倒な行程が終わり、キャラクターメイクが始まった。
「コレがシャンフロのキャラメイクか、多いな!? ざっと見ただけで軽く50は超えてるんじゃないか?」
俺は膨大なキャラクターメイクの膨大さに驚いた、まず髪色に肌の色や人種にアクセサリーなど、普通じゃありえないほどのキャラクリの数が異常に多い。
「はぁ〜流石は神ゲーと言われるだけ有るな、この段階でも遺憾無く神ゲーっぷりを発揮しやがる」
俺は一通りキャラクリを見て、いつもゲームで使用している見た目を作っていく。
「性別は男、髪は赤茶色にして顔は変更なし、目は金眼に少し吊り目にして完成っと」
次に設定するのは職業と出身だ、俺は職業は何にするか決めていたが出身なんてもんが有るのは知らなかった。
「出身か……こっちも結構あるな?」
どうやら出身によってはNPCの会話に補正が掛かったりする様だ。俺は一通り見て一番俺に合った出身を見つけた。
「『剣客』これだな」
<剣客>
剣、刀装備時にNPCに好感度補正が掛かり、クエスト受注条件に特殊裁定がある。
「次は職業だが、これは俺と言ったらやっぱり、
『鍛治師』一択だな」
俺はゲームでは大抵『鍛治師』系の職業に就く、もちろん武器や防具を作るのが好きだからって理由も有るが、一番の理由は自分で作った武器を自分で振りたいからだ。
「やっぱ作った武器は自分で使いてぇんだよな」
だから俺がやるゲームには鍛治師が有る系統が多い、アイツらと俺の変態武器を使って馬鹿やったのは久々に大笑いしたな。
「おっといけねぇ、思い出し笑いも良いが先ずはキャラクターメイクを終わらせなきゃな」
最後に設定するのはプレイヤー名だ、俺はゲームをやる時は同じ名前を使うって決めているから直ぐに終わる。
「俺のプレイヤー名は『ムラマサ』だ」
そうして俺は、シャンフロの世界に一歩足を踏み出した。