ミノタウロス討伐でエイナにこってり絞られた翌日
「あの、これ落とされましたよ」
ベルが街を歩いていると背後から声を掛けられ振り返るとそこにはウェイトレス姿の女性が魔石を持って立っていた。
(シルさん、僕を色んな意味で導いてくれた人、この時はまさかあんな事になるなんて思っても見なかったけど)
「???あの〜」
「これはどうもご丁寧に」
ベルは女性から魔石を受け取るとその場を去ろうとする。
「あ、その、もし宜しければ私の職場で食事をしてくれませんか?」
「職場?」
「はい!!私この先にある【豊穣の女主人】って店で働いているんです!!良かったら寄っていってくれませんか?」
「分かりました、ダンジョンから戻ったら必ず寄ります」
ベルはそう言うとシルと別れそのままダンジョンでモンスターと戦闘を繰り広げた。
そしてその夜、シルとの約束通り【豊穣の女主人】に足を運ぶ。
「ベルさん!!いらっしゃいませ!!」
「シルさん、やって来ました」
「それじゃあカウンターどうぞ」
シルに案内され席に座ると適当に注文すると店主であるミアが声を掛けてくる。
「アンタがシルが話してた奴かい、冒険者の割に可愛い顔してるじゃないか、アタシらを泣かせる程の大食漢と聞いてるよ」
「そこまでじゃないですよ」
それから暫くの間シルと共に食事を楽しんでいると
「ご予約のお客様のご来店にゃ〜!!」
そんな声が響き【ロキ・ファミリア】が入ってくる。
「ベルさんも【ロキ・ファミリア】が気になりますか?」
「まぁ、オラリオ最大派閥ですからね」
それから暫く様子を観察していると酒が進んだのか口が緩くなる。
「アイズ!!そろそろあの話してやれよ!!」
「あの話?」
「遠征の帰りにミノタウロスが逃げただろ!?嘘みてぇに上層に逃げて行ってよ〜、んでそこに居たんだよ訳わかんねぇ襷掛けのベルト付けた化物がよ」
(恐らく僕の事だろうな)
ベルは話を盗み聞きしながらそう思う。
「へぇ~それでどうしたんだい?」
「俺は戦闘は見ちゃ居ねぇがアイズの話によるとミノタウロスを素手でぶちのめしたらしい、だろアイズ?」
「そうなのかい?」
「うん、凄く強かった」
「何者なのだ?」
「分からない、でも本人は仮面ライダーゼッツって名乗ってた、後夢を守る無敵のエージェントとも」
「仮面ライダーゼッツ、聞いたこと無いな、ロキはどう思う?」
「サーッパリや、聞いたこともあらへん、ソイツどんな格好してたん?」
「目が大きくて緑の体色に赤いラインが入ってた、胸にはベートさんが言った様に襷みたいな物を掛けてて真ん中に丸い玉みたいな物がくっついてた」
「恐らくその襷掛けにされていたと言うものが魔道具なのだろう、それで超人的な力を得る代わりに姿が変容してしまう、と言った所だと思うよ」
(流石フィンさん、鋭いな殆ど当たってる)
ベルはフィンの考察能力の高さに素直に感心しパスタを一口食べる。
「チッ、道具が無きゃ何も出来ねぇ雑魚かよ」
「シルさん、お会計お願いします」
「は~い!!またのご利用をお待ちしてますベルさん!!」
ベルはベートの侮蔑を聞きながら会計を済ませ本拠へと帰っていった。