CODE NUMBER:11   作:鋼蛙

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今回短めです。


Case2:惑う

数日前の交差点で、私は死にかけた。

 

スクランブル交差点で志歩と会って‥‥‥また話せないまま別れた後、まだ青信号で人がたくさん歩いている所に車が凄い勢いで走ってきて、みんな悲鳴を上げながら逃げ惑う中、私は突然の事と、志歩たちとのことで直前まで頭の中がぐちゃぐちゃで直ぐに動けなかった。

 

このまま轢かれて、みんなと話せないまま死んじゃうんだって。そう思うと、怖くて。でも、

 

 

 

『一歌!!』

 

 

 

誰かに名前を呼ばれたかと思ったら、私の身体は突き飛ばされていた。声も表情も必死だったけど、何処か優しくて、懐かしくて。

 

『なつきくん‥‥‥?』

 

 

 

 

 

 

 

『おい、大丈夫か!?おいしっかりするんだ!』

 

『救急車救急車!あと警察!!』

 

『おいこの車、誰もいないぞ!?』

 

『例の無人暴走事故ってこと…‥‥?』

 

 

『あ、あ‥‥‥‥‥』

 

頭の中が真っ白になった。さっきのぐちゃぐちゃはいつの間にか消えていた。

 

『…‥‥‥‥これ、この人の?』

 

足元に落ちていた財布に気付いて拾ってみると、留め金が外れて中に入っていたカードがずれる。

 

『烏丸、渚月‥‥‥‥‥っ!』

 

私を助けてくれた彼の顔写真が印刷された免許証。顔つきは変わってるけど、確かな面影があって、その名前は私が知っている名前と同じだった。

 

 

その後、私は一応の検査を受けて免許証をお医者さんに預けた後、家に買った。でも、彼の事が頭から離れなくてよく眠れなかった。

 

後日、私を助けてくれた烏丸 渚月が、私の知っている烏丸 渚月なのかを確かめる為に面会に行ったんだけど‥‥‥‥

 

 

『‥‥‥‥えっ、退院?』

 

『そうなんですよ。意識不明の重体だったのに次(・)の(・)日(・)に(・)は(・)ケ(・)ロ(・)ッ(・)と(・)し(・)て(・)い(・)て(・)、そのまま。本当なら暫くはベッドの上から動けないはずなのにですよ?』

 

『そうですか‥‥‥‥ありがとうございます。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥どこにいるんだろ。」

 

ちゃんとお礼をしたい。私の知っている渚月くんなら、ちゃんと話したいのに。

 

「今日は星がよく見えるな‥‥‥」

 

ふと部屋の窓を見るといつか見たような満天の星々と、流れ星。

 

また流れ星に何かを願うとしたら、そうだな。

 

「―――――また、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「5人で一緒に、キレイな流星群が見られますように。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

俺は烏丸 渚月(からすま なつき)‥‥‥と言うらしい。

 

何故自分の名前が曖昧なのかと言うと、俺が記憶喪失だからだ。烏丸 渚月というのは書類上ではそういう事になっていたから便宜上そう名乗っているだけなのだ。

 

知らないアパートで目覚める以前の記憶は一切ない。思い出せたことは少しだけあるが、それは俄かに信じ難いことだった。

 

俺は”イレブン”として、夢主の夢に介入して悪夢を叶え、その悪影響が現実に反映された怪事現象”ブラックケース”を発生させる怪物”ナイトメア”を倒し、人々の夢をエージェントだった。

 

あの日、俺は夢の中でナイトメアと遭遇し、明晰夢、カプセム、ベルトの力でこれを撃破。それからは様々な夢に潜入してナイトメア退治を行っている。

 

 

 

「く、来るな!来るなって言って…‥‥がはっ!?」

 

「グウゥ‥‥‥‥グルル…‥‥‥」

 

犬のような姿をした怪物、言うならばドッグナイトメアが夢主であるオレンジの髪の少年にじりじりと近づく。少年は腰を抜かしてこそいないが覚束ない足取りで下がる。だが無情にも背中が背後のシャッターに当たり何とも言い難い反響と金属音を発する。

 

「‥‥グルルゥラァアア!!」

 

好機とばかりに咆哮しながら鋭い爪が生えそろった左腕を振り上げる。このままでは少年の身体は引き裂かれ、彼の現実のベッドの上は凄惨と化す。

 

だがそんな悪夢を、エージェントは許さない。

 

【ランチャーモード】

 

 

何処からか放たれたオレンジ色の光弾がナイトメアを怯ませて夢主への攻撃が妨げられる。続けざまに光弾が至る所に直撃して徐々に押され始めた時、銀色の戦士が素早くナイトメアの前に立ちふさがるように移動し、その勢いで左肩から思いっきりぶつかる。

 

さっきとは逆に反対側のシャッターに後ずさったナイトメア。痛みに耐える為か、悪夢を叶えそこねたからか低く唸り、口を大きく開いて叫びながら銀色の戦士に突っ込む。

 

「…‥‥‥。」

 

銀色の戦士左手を翳すと、ナイトメアの首に赤い首輪が現れそれと繋がっている鎖を手にする。

 

【フォース】

 

カプセムを回転させて力を底上げして思いっきり引っ張りながら砲丸投げの様に体を回すと、ナイトメアの身体は子供がぬいぐるみを振り回すように軽々しく振り回されて、

 

「はあぁぁあ!!」

 

宙に舞った。銀色の戦士は鎖を手放すと、右手に持っていたオレンジと白の長銃身の銃、”ブレイカムバスター”にベルトにセットされていたカプセムを移し替えて回転させ、銃口に赤いエネルギーが圧縮。落下してくるナイトメアに向けて照準を合わせ‥‥‥引き金を引く。

 

【フォース】

 

「失せろ。」

 

【ブレイカムキャノン】

 

「グゥラアァッ!?!?」

 

放たれた強力な光弾がナイトメアを撃ちぬくと、落下してきたナイトメアの身体が紫色の光と化して霧散する。

 

「…‥‥Mission complete」

 

「な、なぁ‥‥‥これは一体…‥‥あいつは、何だったんだ…‥‥?」

 

ブレイカムバスターを肩に乗せて浅い息を吐いていると、夢主が冷や汗を流しながら俺に質問を投げかけてくる。

 

「忘れとけ、ただの悪夢だ。」

 

「は、はぁ‥‥‥?」

 

「これからは、いい夢を。」

 

銀色の戦士は加工された声ではぐらかし、どこかへと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

「今日から神山高校の生徒になりました、烏丸 渚月です。よろしくお願いします。」

 

無事に神山高校の転入試験に合格した俺は、今日からこの1-C組の一員となった。基本的に昼間は高校生、夜はエージェントの二重生活の始まりという訳だ。

 

教師に促されて自分の席に向かう。隣の席は…‥‥‥ん?このオレンジ髪、昨日の夢主だよな?無数の犬に追い回されて食われそうになってたからブレイカムバスターの狙撃と明晰夢による足場崩しで対処して、何処からか湧いてきたナイトメアをナイトイレブンに擬装して倒した。

 

首根っこを掴まれていたが、少し着崩したシャツの襟元からは痕の様な物は見られないし目元に隈らしきものも無い。精々寝苦しくなった程度で済んだようだ。

 

「…‥‥よろしく。えーっと‥‥」

 

「東雲 彰人(しののめ あきと)。よろしくね、烏丸君(・)。」

 

「‥‥‥無(・)理(・)に(・)礼(・)儀(・)正(・)し(・)く(・)し(・)な(・)く(・)て(・)も(・)いいけど?」

 

夢の中で一方的に知っているだけ(姿を現し声を出した時の俺は擬装していてボイスチェンジしていたので怪しい銀ピカとしか認知されていないはず)とはいえ、明らかに表情や声を作っているのが分かる。君付けされた時なんか、こう…‥‥気持ち悪かった。ごめん。

 

「‥‥‥結構鋭いんだな。まあ、何かあれば声かけてくれ。よろしくな、烏丸。」

 

「ああ。よろしく、東雲。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

「‥‥‥‥‥‥‥。」

 

「おい、大丈夫か?」

 

「…‥‥少し、疲れた。」

 

「あー‥‥‥さっきまで質問攻めだったからな。」

 

他のクラスメイトと比べて授業の進捗が遅れているのは仕方がないし、分からない内容では無かったのでそれはいい。ただ転校生だからか、やたらと話しかけられるのだ。本当に話せる事が無いのに。記憶を思い出した時に困らない様にどうにか誤魔化したりしたが、キツイ。

 

 

「…‥‥‥すまない、彰人はいるだろうか?」

 

 

落ち着いているのにはっきりとした声で東雲の名を呼んだのは、他のクラスだと思われる男子生徒。紺と水色。同系統で濃淡の異なる二色の髪色と白い肌、着崩しやアレンジをしている生徒が多い中でキッチリと模範的に着た制服が真面目でクールな印象を与える。

 

「よぉ、冬「‥‥‥冬弥(とうや)?」」

 

あれ、俺なんで名前知って‥‥‥これって彼女の、一歌の時と同じ‥‥‥?

 

自分の発言に動揺し左手で頭を抱える、というか押さえる。頭の奥が次第に熱くなり、呼吸が浅くなり、深い、深いところから何かが溢れるように知らない光景がフラッシュバックする。

 

「君は‥‥もしかして、烏丸 渚月なのか‥‥‥!」

 

「お前ら、知り合いだったのか?」

 

「ああ。彼は色々と世話になっている家の妹さんの幼馴染なんだ。確か中学に上がる前後で‥‥‥‥っ!」

 

何かを言いかけた時、彼の表情は凍り付き俺に申し訳なさと悲しみを帯びた眼で見るも、直ぐに俯いて己を戒めるように奥歯を嚙み締める。

 

「‥‥‥?」

 

「…‥‥‥すまない。軽率だったな。」

 

「えっ?あー‥‥‥気にしないでいいよ。昔の事だから。」

 

「そうか‥‥‥何はともあれ、また会えて嬉しい。またよろしく頼む、渚月。」

 

「よろしく、えー‥‥‥」

 

「冬弥で構わない。久しぶりに会えたのに、今更畏まられては少し寂しい。」

 

「‥‥分かった。よろしく、冬弥。」

 

「良かったな。んじゃ、せっかくだし3人でお昼にするか。烏丸、学食と購買どっちが‥‥‥‥」

 

「悪い。昼は持ってきてるし、この後職員室に行くようなんだ。」

 

「そうか。では、また今度だな。…‥‥因みに、俺のクラスは隣の1-Bだ。図書委員会だから昼休みは図書室に居ることがある。」

 

「分かった。そのうち顔出してみるよ。じゃあまた。」

 

‥‥‥‥‥まさか、こんな所にも俺の知り合いがいるとは。今の会話だけでも、俺はかつてこの街に住んでいて幼馴染がいた。中学に上がる前後、つまり約3年前に何かがあり、恐らくはそのタイミングでこの街を去った。そして中学の頃何かがあり記憶喪失。今に至る。

 

「‥‥‥‥幼馴染。一歌ってのがそうなのか?」

 

まあ、そこら辺はそれとなく聞いたり話の流れで分かるだろう。しかし、空白の中学の3年間か。俺がエージェントとしてナイトメアと戦っていたのがその時期なのだろうか。だとして、中学で死にかねないどころか世界に大きな影響を及ぼしかねない存在と戦っていたのか俺は?

 

「…‥‥‥‥‥分からないな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?あれは…‥ま、まさか!?」

 

「おい天(・)馬(・)!少し静かにしろ!」

 




〈烏丸 渚月(からすま なつき)/イレブン〉
・オリ主。ナイトイレブンに擬装する記憶喪失の少年。自分の記憶、ミッション、夢の為にナイトメア退治と高校生活を開始。約3年前に何かあったようだが…‥‥‥‥
・この日のお昼はエナジーゼリーとパックの野菜ジュース(多分料理は出来るはず。ちゃんと食べるのもエージェントのミッションの内だぞ食えや)

〈ブレイカムバスター〉
・ナイトイレブンが使用する可変武器。刀身兼砲身とカプセムソケットを備えたグリップを脱着することで剣型のカリバーモードと銃型のランチャーモードを切り替える。生身でも使用可能でお約束にてどこからともなく取り出す。

烏丸 渚月/イレブンの拠点は?

  • 深層心理の作戦室
  • セカイ(名前は未定)
  • 自室(スパイダーマン的な)
  • そんなものはない
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