原因ですか? 「あきやま」の予測変換で「暁」って漢字が出なさすぎて無意識に「秋山」にしてしまったせいです。
次回からも推敲しながら注意する事と、次回から瑞希君の苗字は「あかつきやま」と予測変換かける事で「暁山瑞希」に出来るので、そこから引っ張って来ることにします。キュップイ。
もしかしなくても、あの時私は心が壊れかけていたんじゃないかと思う。
幼馴染達と話したみんなでバンドをやると言う約束は、咲希の入院によって叶わない事になったからだ。
天馬咲希。私達の幼馴染で身体が生まれつき弱く病院に通い続けていた優しくて大切な人。その子が入院をすると決まった時、私達はある日を境に会わなくなってしまった。
「はぁ……咲希はいつ戻れるか分からないし……志歩も穂波も……あんまり話せてない。私に出来るのは……咲希のお見舞いに行くことだけ……」
いつこの生活が終わるのかなんて……答えは分からない。でも私は大切な幼馴染の為にお見舞いに行かないと行けない。
「一歌か……いつもありがとうな」
「翼……咲希は?」
「ちょっと調子が悪くて寝ている……だが、生きているよ」
咲希の病気は少し峠に行くか行かないかの瀬戸際辺りになった事が何日かあった。私はいつものようにお見舞いに行くと咲希のお兄さんで、私と同い年の天馬翼がいた。
「なら良かった……はい、これお花。咲希が目を覚ましたら渡しておいて」
「あぁ。ありがとう。後、一歌……お前に一つ言いたい事がある……良いか?」
言いたい事。翼は咲希のお見舞いに来ているのはわかるが言いたい事というのは珍しい。もしかしたら咲希に関して何かあったのだろうかと身構えるが、翼は咲希の事じゃないが、私に関わる事だと言った。
「何の話……?」
「だった一言だけ言いたいんだが……一歌。お前がどうなっても咲希は勝手に死ぬぞ」
「は?」
少しイラッとした。どういう事だ? 咲希が死ぬ? あんなに笑ってたのに? そりゃ、最近体調が悪いとか言われた事はあるけど、貴方お兄さんでしょ……? 何でそんな事が言えるの? そう思った瞬間翼は両手を上げて悪いと、謝った。
「別に咲希が今どうなるとかじゃないんだよ。司兄さんから聞く限り、一歌最近ずっとお見舞いに来てくれてるだろ?」
「それが……なに?」
「心配なんだよ。毎日ここまでの交通費もバカにならんし、咲希の為に来てくれるのはありがたいけど、それでお前がぶっ倒れたら誰が面倒見るんだ?」
「親友の為に来ちゃいけないの?」
「そうは言ってねぇよ。来てくれるのは咲希も嬉しく思ってる。ただ、もしお前が過労とかでぶっ倒れても、お前の犠牲で咲希の病気が治るとか、そんな話じゃねぇだろ。お前が健康だろうが、過労で倒れようが、咲希の体調は良い時良くなるし、悪い時は悪くなる」
今の一歌は本当にこの人は何が言いたいのか分からず……そう考えた時、翼ははっきりと言った。
「無理すんな。ただそれだけだ」
「冷たいね、翼は……咲希を心配して何が悪いの?」
「だからそんな話してねぇって……まぁ、俺が勝手に言ってるだけだからどう思おうが一歌の勝手だが……」
——無理はすんな。死ぬぞ?
「余計なお世話だよ……私はやりたくてやってるの」
「もしもよ、志歩と穂波に会えないからこれで寂しさ紛らわせてんならやめろよ」
「翼!!」
——バシン!!
そんな音が聞こえた瞬間、私は我に帰った。翼を思いっきりはたいてしまったのはこの時初めてである。
「翼なんて……知らない……!」
「そうかよ……でもな、俺はかなりお前に感謝してんだぜ」
「うるさい!!」
怒りに身を任せながら、私は少しやり過ぎたかなと思いながら病院を後にした。
そしてその一週間後だった。少し冷静になった私は言葉はともかく、翼に対して叩いたことだけは謝ろうと思い病院に行ったのだが……
「あっ……いっちゃん……」
「咲希? 体調は大丈夫なの??」
「うん……だいぶ前よりは良くなったんだけど……ねぇ、いっちゃん。お兄ちゃん……つかさお兄ちゃんからつばさお兄ちゃんの事何か聞いてない?」
「え? 司さんから?」
何も聞いてないと咲希に伝えるが、咲希曰く、翼が最近病院に来てないと伝えてくれたのだ。
「お兄ちゃん……つかさお兄ちゃんがバイトとかで忙しいからって、代わりに毎日アタシのお見舞い来てくれたのに……三日前くらいから来てないの……アタシの事嫌いになっちゃったのかなぁ……」
咲希の寂しそうな表情を見て、私は慌てて司さんに連絡した。
『もしもし? 一歌か? いったいどうした……』
『司さん、翼はどこにいますか?』
『翼は……その……だな……』
『教えて下さい! 咲希が心配してるんです!』
『落ち着いて聞いてくれ……翼はな……咲希とは別の病院で3日前から入院しているんだ』
『え……?』
その後私は司さんから話を聞いた。翼は3日前に過労とストレスで倒れたそうだ。だから今入院しているという話を聞いた。さらに私に追い打ちをかける言葉を司さんから言われたのが……
『一歌もかなりお見舞いに来てくれたが、翼は忙しいオレの代わりに毎日咲希の病院に通っていてな。家の事もオレ達が開けてしまっているから家事などは全部任せきりで……この前、オレが入院している咲希の元に言ったらアイツが1人でずっと祈りながら呟いていたんだ。【咲希を助けて下さい】とな。アイツは感情をあまり表に出さないし、言葉足らずで誤解を招いて志歩と喧嘩になったこともあるが、オレの中で翼は天馬の血の中で1番人を思いやる人間だ。だからこそ心配してたんだが……』
『あ、そうだ。一歌の事も心配してたぞ。最近志歩や穂波とも上手く行ってないのはオレも知っているが……翼も翼で2人に少しばかり声もかけていると聞いたからあまり心配もしてない。ただ、一歌の場合はもしも疲れて倒れたら咲希の様に怖くなるから本気で無理はやめてほしいって……』
そこから司さんの言葉はあまり覚えてない。だけど、今なら分かる。彼は、翼は咲希に死んでほしいとか、私に来て欲しくないとか、そんな事を全く思ってなかったんだ。
冷静に考えてみると、確かに私は志歩や穂波と会えなくなった寂しさを、咲希のお見舞いと称して紛らわせていたかもしれないし、それがストレス発散までは言わないが心の拠り所だったというのは否定出来なかった。
翼はそれを見抜いて、言葉足らずでも伝えてくれたんだ。そして今気がついた。思えば私がお見舞いに行った時、いつも翼は先に病院に来ていた。それに対して家族だからだろうなと全く疑問に思っていなかったが、本当は先に来ていたんじゃない。毎日あの時間に、翼は咲希の無事を祈っていたんだ。
「なのに……私……なんて事……」
「いっ、いっちゃん? どうしたの?」
「ごめん咲希。これ、渡しておくね。すぐに翼連れてまたお見舞いに来るから、待ってて」
「え? あ……うん……」
そう言って、私はあの時翼のいる病院に走って向かったんだっけ……着いた時には翼がベッドで座っていて凄くぼーっとしていた。
「翼……?」
「一歌が見舞いに来ても来なくても……咲希が助かるかどうかは分からない……」
「えっ……?」
「俺が毎日咲希の見舞いにいるから、お前は好きな事をしろ……志歩と穂波にあまり会えてないなら、咲希の見舞いよりも大事な事があるだろう」
「翼……」
「お前の時間を咲希だけの為に使うな。それをやるのは俺だから……そう、言いたかった……んだが……」
「頭が痛くてな。一歌と話したあの時、ずっと吐き気がして、考えもまともに働かず、腹も減って、手も震えてた。咲希も目を覚さないから……怖くなってな……」
「もう……良いよ……司さんから聞いたから……」
「兄さんに怒られたよ、言い方ってものがあるだろと。一歌、ごめんな」
「ううん……私も……叩いてごめん……」
「どうしても、一歌や咲希にこの姿は見せたくなかったからな。叩かれて終われば良かったんだが……バカ兄貴め、余計な事を……」
改めて翼から話を聞いて一歌は納得した。きっと翼も自分と同じように、心が……いや、一歌以上に精神的に参っていたのだ。大事な妹が危篤までは行かなくてもずっと眠っている状態が続いて、毎日病院にお見舞いに行っていた翼は……一歌よりも……
「一歌……?」
「私は……大丈夫。翼は……ゆっくり治して。翼が死んでも、生きていても……咲希は死ぬかもしれないから……さ」
「ははっ……縁起でもねぇ事を言うのは俺だけで十分だよ」
「ふふっ……今度咲希に謝らないとね」
「勝手に殺してるからな」
それが、一歌と翼の過去。お互い幼馴染想いで家族想いだからこそ、一歌は翼と話す事が増えていき……
☆
「で、翼に恋する私が生まれたってわけ」
「へぇ、だから一歌と話すようになった前から翼と一歌は仲が良かったんだ」
「一歌ちゃんと翼君が仲直り出来て……良い話だね!」
「いや勝手に殺さないでよ!? いっちゃんもお兄ちゃんも酷くない!?」
「いや、でも咲希だってずっとナイーブになってたじゃん……まぁ、それよりも無事に帰って来られたし……」
「うぅ……そうだけど……なんかお兄ちゃんといっちゃんの恋路を応援する出汁にされた気分……」
「でも……おかしくないかな?」
「何が?」
「翼君がどうして一歌ちゃんの好きな人は司さんになったのかって事。今の話聞いたらお互い結ばれるエンドにしか見えないんだけど……」
「あぁ……それは……」
「「「それは?」」」
——翼を好きになったからって相談に乗ってもらったのが司さんだから……
要は完全な翼の誤解なのだ。一歌は恋愛初心者なので、翼と付き合う為にどうするかなどは司と話し合って相談に乗ってもらっていた。
それをこっそりというかたまたま視界に入って以降ちょくちょく見ていた翼は一歌と司が付き合っているという誤解をして、志歩と穂波が司の事を好いていると咲希から聞いた時に、正妻はまだ決まってないが三つ巴で司を取り合っているのかと完全な誤解が固まってしまったのである。
「一歌、こうなったらもう翼にキスしよう」
「えっ?」
「そうだね。そしてきょとんとした翼君に対して『お前のことが好きだったんだよ!』って言って……」
「そんな事出来るわけ……」
「つかさお兄ちゃんとは、つばさお兄ちゃんを貰うために相談に乗って貰ってただけなんだって言えば……」
「咲希まで……」
「「「2人は幸せなキスをして終了!!」」」
「私の心臓が終了しちゃうから無理かな」
「何で一歌はアレだけ翼好き好きオーラとか食べさせ合いっこしてるのにキスの一つも出来ないの?」
「キスの一つって……それはかなり大事じゃないかなぁ!?」
「キスの一つくらい翼君に対してなら簡単じゃない?」
「簡単じゃないでしょ!? 穂波も何言ってるの!?」
「逆にアタシはお兄ちゃんと間接キスしてるのにキス出来ないいっちゃんがおかしいと思う」
「口と口は……その……無理だよぉぉおお!!」
間接キスはいいのにマウスキスはダメとはどういう事なのか……本当に疑問であるレオニ3人である。
「「「さようなら、南無阿弥陀仏」」」
「どういうこと!? ねぇ、それどういうこと!?」
「いっちゃん、覚悟を決めないとつばさお兄ちゃんは気づかないよ」
「今回ばかりは咲希に同意かな」
「一歌ちゃん……」
「穂波、助けて……」
「翼君の事、大好きだもんね!」
「穂波ぃ! 1番今心にキク言葉ぁあ!!」
咲希ちゃんってなんて健気で可愛い女の子なんでしょう。妹にしたい。
姉ですか? 姉は……彰人ちゃんです。(絶対ルカがいい)