彼女が好きなのは翼では無く司(じゃないかも)   作:初見さん

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一歌、偶々会った翼に持ち帰られる

「うっ……ふぅ……流石に買い過ぎたな」

 

 やばそうな声を出したのは買い物帰りの天馬翼。バイトも無くただ家事をするためだけのロボットとして食材を買いに行ったのだが、足りないものが多過ぎて偶々両手にレジ袋という嬉しくない状況になっていた。

 

「ただ……別に今日何か作らなくて良いんだよなぁ……」

 

 司はキャスト出張、咲希はバイトでご飯は食べて行くとのことだったので翼はどこかで久しぶりに外食を考えた。ふと見えるのはみんな大好きな食べ物のチェーン店。入ってみるかと入店して店員に注文をカウンターで伝えようとした。

 

「いらっしゃいませ。ご注文はお持ち帰りで私ですか? 私ですよね? 私ですね。はいはい、私私」

「なんでいる貴様」

 

 なんかいた。星乃というネームプレートをして一歌が接客してた。

 

「バイトですよご主人様」

「お客様でいいだろ。なんだ……一歌のバイト先か」

「無料のスマイルのセットですね。サイドとドリンクはどうされますか?」

「無いだろそんなメニュー」

 

 そういえば咲希が一歌のバイト先でスマイルを注文して断られたと聞いたがなるほど。ファストなフードのお店だったのかと納得する。

 

「えっと……注文は……」

「ダブルチーズバーガーセットでサイドはポテト、ドリンクは抹茶シェイクですね」

「なんで分かるの怖いんだけど??」

「お客様が視線をそこに釘付けたではありませんか」

 

 視線で分かるな怖いから。だが、一歌しかわからないので安心しろ翼。ガッツリ食べたいのが仇になったか……いや、それ以前の話である。そんなわけで注文が高速で終わったので席を取りに行こうとした翼。

 

「お客様、本日私の営業は後30分ですがどうなされますか?」

「あぁ……じゃあ……星乃さん1人お持ち帰りで……」

「荷物、手伝ってあげるね」

 

 かしこまりました。そう言った一歌は今までに見たことない最大級の笑顔であった。

 

 ☆

 

「なんでここが分かったの?」

「偶々入ったらいた。言っておくが咲希とかから聞いてないからな」

 

 バイトが終わった一歌と一緒に帰宅する翼。遠慮はしたが、一歌に押されて荷物を渡してしまったのでバイト終わりなのに一歌を手伝わせてしまったのは男としてアレだが、一歌が嬉しそうに横で笑っているから良いかと思う。

 

「私は翼ホイホイだね」

「俺ゴキブリじゃねぇんだけど」

「私のいるところに翼あり。翼いるところに私ありだよ」

「おかえり下さい」

「それでさ、今日また歌詞作り手伝ってもらって良いかな? 最近バンドが軌道に乗ってきたからまた詰めたいんだよね」

「前から言ってるけど自宅でやれよ。ってか俺マジ音楽とか知らねぇし」

「まぁそもそも翼がいたら落ち着くし」

「お前の部屋にはミクがいるだろう」

「私がミクを見て冷静になれると思う? はしゃぐよ? テンアゲだよ?」

「いまいちギャルになりきれない咲希みたいな言い方するなよ……アイツたまにギャル目指すとかいってとりあえずテンアゲって言っとけばいいみたいなこと言ってんだぞ」

「流石私の妹」

「俺の妹だ馬鹿」

 

 何をほざくかと翼は突っ込む。しかしながら今日も今日とて一歌の我儘に付き合ってやるかと家に招いたのだった。

 

「おかえりー……あれ? なんでいっちゃんいるの?」

「持ち帰ってきた」

「持ち帰られた」

「は??」

「ファストなフードっぽい店で飯食おうとしたら、ダンボールに座りながら『拾って下さい』って言われたから拾って来た」

「どう言うことかわからないけど家に返して来なさい」

 

 何故だろう、妹がちゃんとしてる。本来なら翼の役目なのだが流石に翼もボケたので収拾が付かなくなった。

 

「それじゃあいっちゃん泊まるの?」

「ああ。所で咲希、バイトと聞いたんだがなんで家にいる?」

「今日は早く終わったからだよ。あ、安心してご飯は食べて来たから」

「なら良いや。体調崩して早退してないなら」

「お邪魔します翼」

「なんで俺だけに言うねん」

「いっちゃんがお邪魔してるのは本当にお兄ちゃんだけだもんね……」

 

 咲希の部屋に行くとかなら咲希に伝えるべきだが、基本一歌は翼の部屋かリビングで翼のご飯を食べるくらいしかしてないので天馬家にとって全く害のない人間である。

 

「いっちゃん本当になんでお兄ちゃんと付き合って無いんだろう……早く付き合っちゃえば平和なのに」

「なんか言ったか咲希?」

「ううん。あのハンカチに付着してた血。お兄ちゃんのだったんだなぁって」

「え、俺刺される?」

 

 なんでも無いと咲希の話を聞いて部屋に一歌を連れて行く翼。

 

「んじゃ、歌詞作れ」

「翼、虐めないで」

「虐めてないけど?」

「歌詞作るのどれだけ大変か分かってる?」

「無神経なこと言ってすみませんでした」

「まぁ、目的はそれだし今捻るけど、多分今日中は無理かな」

「徹夜か?」

「うん。翼は寝てていいよ」

「俺電気付いてたらあんまり寝られないから一歌と徹夜するわ」

「それなら私はスマホの明かりでやるよ」

「いや、丁度俺も徹夜したい気分なんだ」

「なにそれ? 何かやるの?」

「店長からレシピ覚えろって言われたから覚えた」

「いや覚えたんだ!? 徹夜の意味なく無い!?」

「コーヒーの淹れ方練習するから一歌飲め」

「それなら……いいの……??」

「とりあえず5杯淹れてくる」

「寝かせる気ないよね!?」

 

 今夜は寝かせませんが始まるのは今日だけである。結局お互いコーヒーを5杯ずつ飲んだせいで普通に寝られなかった。

 

「「おはよう咲希」」

「おはよう……ってお兄ちゃんといっちゃん寝不足?」

「「一歌(翼)が寝かせてくれなかった」」

「え……もしかしてシたの?」

「「今日休みだったから(作詞、コーヒー淹れを)したよ」」

 

 翌日咲希が誤解して失神しかけたがすぐに誤解は解けた。




 一歌ちゃんソロライブのネタバレするので嫌な人はこの下見ないで下さい。






 
 一歌ちゃんのソロライブ可愛かったですね。歌って踊ってアイドルみたいでした。
 そういえば中の人も特技でダンスってありましたよね、一歌ちゃんと翼踊らすか。
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