「ふわぁ……」
「眠そうだな一歌」
いつものように翼の家で歌詞を作っていた一歌はなんだか眠そうであった。
「最近疲れが取れないんだよぉ……今日も半目でお化粧してたし……」
「校則的に化粧は大丈夫なのか?」
「目立たなければ大丈夫。クマ隠しただけだし」
それにしても本当に眠そうだ。どうにか歌詞作りを代わってやれればいいのだが、Leo/needの星乃一歌に代わりは一切いない。歌の歌詞だって本当なら星乃一歌が唯一無二であるので勝手に触ることは出来ない。
「うーん……俺に何か出来ることはあるか?」
「歌詞書きながら寝る方法教えて」
「二重人格しか思い当たらんな」
「私は……私? 私は……誰?」
「それやったら頭いかれるぞ」
どうやら歌詞作るのも大詰め段階らしい。これじゃあ寝る事も叶わない。
「仕方ない……翼。ベッド貸して」
「寝て良いのか?」
「仮眠するだけ。夕方近くなったら起こして」
「それくらいなら任せろ」
「後……今じゃないけど、これから恋愛ソングも作る予定みたいだから何個かキーワードを適当な紙に書いてくれると助かる」
「え? 俺が書くの??」
どうやら大変なお願いを自分はされたらしい。ちょっと待てと言う前に一歌は秒速でクマ隠しメイクを落としてそのまま翼のベッドに直行して眠った。
「すやぁ……zzz」
「寝るの早ぇ……とはいえ、一歌の願いだしな……仕方ないなんか書くか……」
そうして一歌が眠っている間ど素人が恋愛ソングの歌詞を書くことになったのだった。
「いや、キーワードだけなら……それでも難しいか?」
どうしようと考える。手探ってても何も無いので……
「俺の……想いか……」
ふと、KAITO達のことを思い出す。あからさまでは無くてもなんとなくふんわりと自分が一歌を想っているキーワードでも書いてみるかと良さげな言葉を……
『好き! 愛してる! 付き合って!!』
「いや、これはなんかストレート過ぎねぇか?」
160キロのストレートをぶん投げたキーワードだった。流石にこれを参考になんて言えない。Leo/needらしくも無いなと翼は考えたので……
「レオニらしく……一歌が歌えて……みんなが演奏しやすい恋愛ソング……えっと……」
『星々の中で光り輝く貴方に……私の想いは届くのでしょうか……』
『きっと貴方は私を見てはくれるでしょう。それでも私は貴方の様な星では無い……だから想うしか今は無い……いつの日か私が貴方に届くまで……しまっておければ……』
「なんか書いたけど……ちょっと露骨か?」
ちょっと詩的になってしまったので、逆を考えてみた。翼に対する一歌の態度を考えて一歌目線になった方が良さそうなので……
『翼一緒にいよう、僕は君じゃないと嫌だから構え』
「あれ、これあんまり俺と変わんなくね??」
一歌が翼に言ってくる言葉を抜粋して書いてみたが……仕方ないだろお前ら両想いだぞ。というか早く受け入れろ。そんな詩になった。
『構って、構って、構え……眠い』
「猫じゃん」
一歌目線はやめた。というか一歌の気持ちは一歌しかわからない。
『一歌可愛い、一歌好き……』
——ビリッ!!
「いや駄目にきまってんだろ!?」
これが一歌にバレたら話が終わってしまいます。流石に木っ端微塵に破りました。なんで一歌以外にバレてるのか(お前のせいだ)
そうして悩んでいる間に夕方近くになってしまったので、一歌を起こすことにした。
「一歌、夕方だぞ」
「んんっ……ふぇぇ……もう朝?」
「寝ぼけんな夕方だ」
「え……あ。ごめん、すごい寝ちゃった……」
「良いよ。それよりも歌詞書くんだろ」
「うん……ありがとう翼……って、これ翼が書いたの?」
一歌は翼に起こされてテーブルに戻ると翼が考えた歌詞のキーワードが何個もあった。中には詩の文もあり、なんとなくでお願いした事を真剣に取り組んでくれたことになんだか申し訳なくなった。
「参考には……ならんだろうな。ど素人だし何よりレオニに合ってない」
「うーん……でも、これとか使えるよ? 『星々の中で光り輝く貴方に……私の想いは届くのでしょうか……』ってやつ」
「なんか安直じゃねぇか?」
「歌詞ってね、ストレートでも良いんだよ。誰かのために真剣に歌詞を考えて作る事が一番大切なの。翼は志歩達が演奏しやすいように……後、多分私が歌いやすい様に考えてくれてたんでしょ?」
「まぁ……あんまり馬鹿みたいにストレートな歌詞はレオニに合わんだろうしな」
「それで良いんだよ。翼は凄いなぁ、作詞の才能あるんじゃない?」
「韻も踏んでないから無いと思うぞ」
「そう、残念。でも、私が一番気に入ったのは……これかな」
『好き! 愛してる! 付き合って!!』
「それが一番ないだろ!?」
「Leo/needじゃなくて私が気に入ってるの。これ貰っておくね」
なんだか嬉しそうな一歌を見ながら翼は、まぁ……一歌がいいなら良いかみたいな目線を送ってそのまま一歌の歌詞作りを眺めていたのだった。
「そういえばさ、関係ないんだけど志歩と兄さんどんな感じ?」
「え? あぁ……知ってるんだ……穂波はアピールしてるみたいなんだけどさ、志歩があんまりそれをしてるの聞いたことないっていうか……そもそも告白したって言ってたけど志歩がいつしたのか分からないんだよね……」
「志歩負けるぞ……大丈夫なのか?」
「いや……まぁ志歩にも考えあっての事じゃないかな? 私はどっちも応援するよ」
「なんか……引っかかるんだよなぁ……そもそも兄さんと志歩ってあんまり認識無かった気がするんだけど……」
「一目惚れとかじゃない?」
「なるほど」
☆
「いっちゃん、この前言ってた恋愛ソング(仮)ってどうなったの?」
「あぁ、翼にも手伝って貰ったけど、これくらいしか思い浮かばなかったんだ」
「一歌と翼だから変なものはないと思うけど、一応見せて」
「わたしも気になるなぁ」
「うん。今見せるね、みんなはどっちが良い?」
『好き! 愛してる! 付き合って!!』
『星々の中で光り輝く貴方に……私の想いは届くのでしょうか……』
「「後者で(だね)」」
「どっちも入れたら?」
「「嫌だよ(恥ずかしいよ)!?」」
「わたしはどっちも入れたいなぁ」
「「穂波(ほなちゃん)!?」」
後日、翼が考えたキーワードと詩の文を見せたところ、志歩と咲希は反対したのだが、穂波と一歌は大賛成しやがったので一部歌詞に突っ込んだらしい。
「ってか咲希……これって……」
「お兄ちゃんそろそろ隠しきれてないよ……」
「うん。一歌ちゃんに対しての気持ちだもんねこれ」
「「「いつ付き合うの(かなぁ)」」」
因みに翼の書いた歌詞のせいで一歌以外は翼の想いに流石にいよいよとうとう核心にやっとこさ気づいてしまった3人である。
「えっと……『好き! 愛してる! 付き合って!!』……ってあれ? これ普段の翼に対しての私と変わらなくない??」
自覚あるんかい。