「俺の眠りを俺自身が妨げたか」
ある日の朝。珍しくいつもより早起きした天馬翼はする事もまだ無いのでどうするか考える。なんやかんやで天馬の血をひく翼は割と一人芝居の才能はあった。
「そうだ、最近ルカ姉様不足だからルカ姉様を補充しよう」
意味不明である。そういうと翼は巡音ルカのCDを今は少し古くなってしまっているCDプレイヤーに入れて聞く。
「えっと……ルカ、ルカ、ナイトフィー……バー。は、じ、け、る……リズムに合わせて……」
なんか踊り出した。これが翼のストレス解消法の1つであり、巡音ルカの曲を聴きながら踊る事が翼の趣味である。主に翼は3つ、ダンスとフルート、後料理。それが趣味であり、ほぼプロレベルなのは料理とフルートである。それでもダンスもそこそこ踊れた。
「お兄ちゃんー! 今起きてるー!?」
「起きて……るぞー! 少しでも、視線……を、そーらーしちゃ……」
「おはようお兄ちゃ……」
「ダメダメよ☆」
妹が来てもダンスをやめなかった翼。なんか朝から踊りまくってる兄を見る妹天馬咲希。いや、たまに歌声は聞こえた時はあったが、この歳になって初めてダンスしている事がわかったので……
「お兄ちゃん……壊れた?」
「重くて見れない日♪♪」
「続けるの!?」
天馬家は今日も平和です。
☆
「珍しいね、翼が楽器屋に来るなんて」
「俺も色々あるんだよ」
「一歌が好きだから? 真似したいの?」
「ご冗談を一歌は俺なんか……というか俺が楽器やって何になる」
「一歌にあれだけ言い寄られてるのに? というかそれなら楽器買わない方がいいんじゃ……」
「それは夢だ、俺の大好きな一歌はキスしたら子供が出来るというくらい純粋な心を持つ一歌だ。あと俺は、弦とか打楽器とか無理だから吹きに徹せれれば演奏出来る」
「あの人マッサージで喘ごうとしたのに?」
「オレハナニモキイテナイ」
「それじゃああれだけ一歌とイチャイチャするのやめない? 本当にそう思ってるなら一歌を強く否定すればいいのに……」
「幼馴染(自分)の恋路くらい応援させてくれ」
「つまり辞める気ないってことね残念」
「なんでお前が残念がる」
「半端な覚悟で一歌を任せられる訳ないでしょ」
「ごもっとも」
幼馴染とは濁らせたが、自分自身の恋路の事だろと志歩は突っ込んだ。実は最近咲希も穂波も一歌と翼の距離に対して早よ早よと思いまくっているし、なんならもう恋人だよねと感じる今日この頃いかがお過ごしでしょうか? それでも全力で誤魔化そうとする翼スタイルである。ただ、志歩の思惑は未だに分からない。なんか一歌の話をすると少しばかり不機嫌に……いや誤魔化してるから呆れられてるのか。そんな翼は今日幼馴染である日野森志歩とたまたま楽器屋で出会った。
「それで、何を買う気なの?」
「メトロノームの調子が悪くてな。後、クリーニングクロスとか買う」
「フルート続けてるんだ」
「よく思い出したな、俺の使用楽器」
「幼馴染だし、翼だし」
「関係ある??」
日野森志歩はクーデレのようなツンデレである。別に興味ないとは口にするが、翼も志歩にとっては大事な幼馴染。1番激しい口喧嘩したのも割と翼と志歩なのだ。だからこそお互い口の悪さや言葉の足りなさを理解して反省して、お互い気をつける仲なので、志歩は翼の事を一歌程ではないが知っているし仲がかなり良い予定である(何言ってんだこいつ??)
「まぁ、翼が何をしても私には関係無いけど……一歌だけは泣かせないで」
「OK、爆笑させるわ」
「喧嘩売ってる?」
これもしほつばの醍醐味である。つばしほ? どっちでもええわ。
「お、これも買っておくか」
「え? それ、オカリナ……??」
「通称ダブルオカリナ。オカリナよりも音域が上がった分操作性が増えた物だ」
「なんでそんなもの買うの?」
「ちょっと子供の相手をしないといけなくてな」
「えっ……翼。まさか隠し子とかいるの……?」
「いないです。一歌を爆笑させるんだからそんなことしねぇよ」
「それは間接的に一歌以外と子供作らないって言ってない?」
「言ってない言ってない。それじゃあ、要も済んだし帰るわ。志歩も遅くならんようにな」
そう言って翼は会計をしてからその場所からいなくなった。残された志歩は凄く気になるらしい。
「翼が……子育て……一歌泣きそうだから……黙っておこう……多分親戚の子とか……だよね?? じゃないと私もショックなんだけど……というか一歌は許せない。絶対に……裁いておくから……!!」
志歩がなんでこんなに怒ってるのかはつゆ知らず。そして翼はある場所に行って、その子供に会いに行った。
「あ! 翼、おかえり!!」
「おう、邪魔するぜ」
「翼! 私達と遊ぼうよ!」
「なら、俺が一つ演奏してやろう。聞いてください、鬼畜……えっと鬼畜……フランドール……エス??」
それはやべぇ(難易度)。そして翼は自分のセカイの中で新しく生まれた金髪双子に対して演奏を開始したのだった。
☆
「あのさ……」
「どうした翼?」
「何かあったのかい?」
「なんで俺先輩達と昼食べてんの?」
何故だろう。本来は彰人と冬弥。その3人でいつも昼ごはんを食べているのだが、今回は2人は用事があるのでと言われてじゃあ1人で食べるかと思ったのだが……
「そうだ、類先輩に拉致られたんだ」
「人聞きが悪いなぁ。少し眠らせて屋上に連れてきただけじゃないか」
「お前オレの弟にそんな事してたのか!?」
「そいや兄さん来た時は類先輩と普通に話してたな。なんで俺を拉致したんですかって」
「普通に話す内容じゃないだろ!?」
「うるさいよ兄さん」
「心配してやってんだが!?」
最初は何が起こったのか分からない翼だったが、目が覚めると類が普通に昼ごはんを食べていたので、念のためなんでこんな事したのか聞いて、昼ごはん食べようと言われたのでそのまま翼は弁当を食べたのだ。
「大丈夫だ。比較的人間に対して依存性が低いオレキシンくらいしか使われてなさそうだったしな」
「前から思っていたが……お前のその薬品知識はなんであるんだ?」
「元々は司くんのためだったよね?」
「俺のため?」
「兄さんが類先輩に爆発物で虐められたら嫌だから、やり過ぎないように薬品調べた」
「翼……お前ってやつは……!!」
「兄さん暑い」
感動で司は翼を抱きしめた。暑苦しいが、避けようとしないところに翼の優しさを感じた司である。
「だが、それだけでは薬品にそこまで詳しくはならないのではないか? 類から聞いたが、成分だけでなく量も一目で分かったんだろう?」
「一応医薬品登録販売者の資格あるから」
「「え??」」
いつ取ったのか不明だが、高校生でも取れる薬品資格をとりやがった翼。流石の天才錬金術師である類も驚いてしまう。
「君も天才なのかい?」
「なわけないじゃないですか。俺は……えっと……」
「俺はなんだ?」
「奇跡の殺戮者です」
「恐ろしいな!?」
「フフッ、なんだかんだで司くんの弟だってわかるね」
「類!? オレは奇跡の殺戮者ではなくてスターだぞ!?」
「「そういうところだよ」」
「類は兎も角なんで翼まで!?」
歳が上でも気にせず仲良く出来るのは天馬兄弟の人当たりの良さだろうなと類は思ったのである。
「そういえば最近一歌と一緒に寝てたが、進展したのか?」
「一歌は兄さんが好きだよ」
「それは絶対にないから安心しろ」
司の言葉に言い返さなかったのは翼の真意であるのだが、類だけはそれを笑いながら見ていたのである。
正解ですか? 志歩と楽器屋行ったシーン全部です。理由はもう少しで分かります。