「翼、お願いがある」
「おはよう冬弥。珍しいなお前が俺に頼みだなんて」
神山高校で朝、翼の教室に冬弥が入って来た。翼は1-Dであり冬弥は1-Bなのでたまにこうして教室に侵入している。杏や瑞希、彰人も同じで侵入者である。
「これを……やって見てくれないか?」
「『マシロ色シンフォギア』?? なんだこれゲームか?」
「パソコン用のゲームらしい。恋愛のストーリーを選択肢で進めていくゲームだと、これをくれた知り合いから聞いたんだが……こういうのはあまりやらなくてやり方とかもあまりわかってないんだ」
「だから俺がこのゲームを? なんで俺が……」
「元々の目的は、俺達のチームで恋愛ソングを歌うための表現力を作る材料としてくれたものなんだが……彰人も杏も語彙力が……」
「語彙力の関係で感想を俺に聞きたいと」
バカより頭良い側の人間に感想やあらすじを求める冬弥の姿勢は間違ってなかった。というかあの2人はよくこの高校入れたな。
「後は、このゲーム少しばかりセンシティブ系があるみたいでな……父さんがいるから……そういうのは……」
「俺も兄弟(妹)いますけど?」
まるで自分が安心安全みたいに言わないでほしい。ただ、冬弥と翼は両親の知り合いということもあり無碍には出来ない関係だ。これくらいは聞いてやろうと思った翼はそのゲームを借りたのだった。
☆
「なんで女の子キャラ可愛いのに戦う時ゴールド装備なんだよ……変身すんのか?」
時は西暦3000年。突如として現れた『モノノケ』と呼ばれる人ならざるものによって人類は滅亡の危機に陥った。そこに現れたのが『アヤカシ』と呼ばれる少女達。彼女達はただの人間の中で1割も満たない『撒き餌』と呼ばれる者の『妖力』によって力を発揮して『モノノケ』に対抗できる。主人公のサトルは数少ない『撒き餌』の1人であり、少女達が『モノノケ』を倒せるように『妖力』を渡しながら世界を救う物語……
「即興の割によく出来た設定じゃねぇか原作者」
褒めても何も出ないぞ☆ そんなあらすじを翼は見ながら、ゲームを始めてみる。
「へぇ……パソコンなのもあって結構絵とか綺麗なんだな」
『お兄ちゃん! 一緒に手を繋いで帰ろう!!』
「そいやこいつ妹か……いや、義妹だっけ?」
『あんたなんであたしの着替え覗いてんのよ変態!!』
「あ、この選択肢ダメなんだ」
何度か選択を間違えてコンティニューを繰り返しはしたが、とりあえずヒロイン1人だけ攻略してやめにしようかと考えた彼は……
「怠いから、選択肢だけサイト見るか」
タブーを犯しまくっていた。そんな禁忌を繰り返したからなのか、悲劇が襲ってしまう。それは、ある程度攻略をしかけた段階で出てくるシーン……
『お、お兄ちゃん……私達、兄妹なんだよ……?』
『義理だろ? なら全く問題ない。俺はお前が好きなんだから』
そうして、2人はベッドに倒れながらお互いの服を脱がせる。兄妹でも義理でも関係ない。今日からこの瞬間、2人は男女に変わるのだから……
「あ、これ冬弥が言ってたセンシティブ……ってこれエロゲかよ!? あの野郎!」
エロシーンである。正直このシーンまで冬弥に解説しなくてもいいよなと考えた翼はそのままエロシーンだけスキップしようとしたが……
「お兄ちゃん! 大丈夫!? 返事ないから部屋入っちゃった……って何見てんの!?」
「咲希? どうした?」
「なんでそんなに冷静なの!? 今アタシお兄ちゃんがなんかエッチな動画見てるの思いっきり見てるんだけど!?」
「冬弥に勧められたエロゲしてた」
「えっ、とーやくん……何勧めてるの……」
「まぁ、冬弥の名誉もあるから続きは下で話すか」
「だからなんでそんなに冷静なの!?」
賢者タイム(笑)の勢いである。因みに翼はヤッてもいないしヌイてもいない。
「という事があってエロゲしてました」
「なるほど……で、でもこういうのって18歳じゃないと変えないよね!?」
「冬弥の知り合いが成人してたんだろ。あいつも押し付けられたって言ってたし被害者だ」
「と……とりあえず……Leo/needで話し合うね……」
「なんでお前らが話し合うんですか???」
「いっちゃんがお兄ちゃんの保護者だから」
「一歌を母さんと読んだ記憶は無いぞ」
「いっちゃんが正妻だから」
「イミワカンナイ」
一歌へ通報されました。その翌日、なんか目が笑ってないけど笑顔の一歌がデリバリーされて来ました。
「星乃一歌が入室しました」
「星乃一歌を退出させたいです」
「翼、二次元に浮気したって本当?」
「とんでもない誤解ですね」
「私だってちょっと弄れば二次元なのに……」
二次創作って二次元ですか? 作者は2.5次元だと思います、なんか自分で書いてるせいで存在してる錯覚がありますから(知らんがな)
「このゲームやってたんだよ」
「この猫可愛いね」
「あ、その猫めっちゃ泣けるから一緒に見ようぜ」
「異性とエッチなゲームしてることに対して違和感は?」
「俺は無い。エロゲでもそのシーンはスキップするから」
「どうせなら全部見るよ、予行練習として」
「余計見せられねぇな」
結局ギリギリまでは見たが、流石にめっちゃ恥ずかしかったので断念した。
☆
「翼……すまない……俺はなんてものを……」
「調べたんだなあのゲーム」
「あぁ……」
「面白かったからいいよ。その代わりお前もやれ」
「分かった……チームでやる事にしよう」
「杏とこはねさんが泣くからやめてやれ。彰人だけでいいだろ」
なんやかんや反省してるが鬼だった冬弥。翼はため息しか吐けなかった。