「なぁ、兄さん」
「どうしたんだ我が弟」
「頭髪ってさ、60歳くらいから薄くなるじゃん」
「まぁ……人それぞれだがな」
「でもさ、脇とか髭の毛って60歳でも生え続けるじゃん。あれ理不尽じゃね? 何で?」
「それを何でオレに言ってくるんだ??」
「いや、他の人の見解を知りたくて」
「うーむ……ホルモンバランスとかではないか? この話なら類が科学的に話をしてくれると思うが」
「俺は電池の寿命みたいなものだと思うんだ」
「電池の寿命?」
「毛根の平均寿命が約60歳くらいだとしたら、髪の毛は0歳から生えてるだろ?」
「ああ……」
「でも、脇と髭は10年くらい差が出て生えてくる。だから、髪の毛の寿命の方が先に来るからそうなるんじゃないかって」
「なるほど、そうかもしれない……」
「今度類先輩に聞いてみるか」
「そうだな。オレも男としては気になる」
後日類に聞いてみた。ホルモンバランスのせいでした。時間返せ翼。そう言ったのは司。
☆
「なぁ兄さん」
「どうしたんだ翼」
「穂波とえむさんの事好きなのか?」
「な!? 急に何を言い出すんだ!!」
「100dB」
「何持ってるんだ!?」
「類先輩から貰ったdBを測る機械」
「そんなもの貰うな!?」
「85……んで、どうなんだ? えむさんは知らんが穂波には告白されたんだろ?」
「うっ……そ、それは……その……ま、まぁ、好きだぞ。だが、オレはスターだからな。好意は平等に……」
「愛で聞いてる」
「ぐっ……ま、まぁ……それは……な」
「そういえば志歩から何か言われた?」
「え……? どうして志歩なんだ?」
「は……?」
「穂波は告白してくれたぞ。ただ、志歩とはあまり話してないな……元気そうか?」
「ど……どういう……事だ……?」
「何かあったのか?」
「い、いや。何でもない。それじゃあ今はえむさんと穂波のダブルリーチか」
「人聞きの悪い事を言うな!」
「96dB……志歩? お前は一体……」
「そんな事よりも、お前こそ一歌とは最近どうなんだ!?」
「あいつ部屋来たら人のベッド横取りするから疲れる。ちょっと作詞が上手くいかなくて拗ねた時は焼きそばパンも俺が食べさせてあげないと食べないし、道歩いてたらストリートの帰りだとか言って俺の元に駆け寄ってくる」
「懐かれてるぞそれ!?」
翼としては志歩の行動が気がかりではあったが、自分が何か言うものでもないだろうと考え、頭を白紙にした。
☆
「なぁ翼」
「どうした長兄司」
「なんだその呼び方……」
「我が弟に対しての似た言葉を考えてた」
「最近バイトはどうだ?」
「店長分かりやすいから上手く行ってる。たまに一歌達が乱入してくるけどみんな美味しいと言って帰っていくぞ」
「そうか、なら今度オレ達も行かせてもらおう。えむの御用達みたいでな。今度誘ってもらうんだ」
「そうか、ならば食わせてやる。話はそれからだ」
「聞いたことあるなその台詞」
「兄さんも料理上手いならたまには作ってくれよ」
「そうしたいのは山々なんだが、外食以外では翼の料理しかあまり食べられなくなったぞ」
「俺以外でも食えや」
「なんなら外食してもあまり美味しく無い……」
「例えば?」
「チェーン店とかだな」
「あそこは冷凍とかもあるからなぁ。まぁお礼は言っておくよ」
次はどんな料理を作ってやろうかと少し楽しみになった翼である。
☆
「翼、ヒロイン役って出来るか?」
「頼む相手と性別間違ってねぇか?」
「言う事は最もだが、少し相手役をして欲しくてな……しかも恋愛ものだから女子に頼むのも……」
「なるほど。ならはやってみよう、台本パス」
「設定はオレがやる冴えない高校生がヒロインが演じる幼馴染のバンドマンに告白を受けるところからだ」
「なんかムカついてきたな」
「なんでだ??」
「まぁ、いい、やろうか……『お兄ちゃん! アタシ、お兄ちゃんの事、ずっと昔から大好きだったんだよ!』「ちょっと待て!?」なんですか?」
「台本無視か!? しかも明らかに咲希だろ!? 幼馴染じゃないし!? オレ達は兄妹だぞ!?」
「いや、台本に近しい台詞言って年下の幼馴染を意識したんだけど」
「それでも声は咲希だろ!?」
「お兄ちゃん!」
「やめろ似てるから! どこから出してるんだその声!?」
「『私、司の事……』」
「あれ? お兄ちゃん達何してるの……?」
「『私、司の事大好きなの!! だから、幼馴染じゃ……もう嫌だよ……! それでも君は振り向いてくれないの!? あんまりよ、こんなの……悲しいわよ……こんなの……大っ嫌いよ……スタァライトなんてぇぇぇ!!』」
「つばさお兄ちゃんがつかさお兄ちゃんに告白した……って思ったら実は演技の練習付き合ってとかでしょ!? お見通しだよ! ドーンだYo!」
「もはや告白からヤンデレになってるんだが!?」
「お兄ちゃん!」
「え? アタシ?」
「咲希の真似やめろ!?」
結局本気で何度かやりました。翼が割とマジで名演技だったのは司の心にしまっておこう。後、咲希の真似するな。
☆
「そんな会話したな」
「仲良いね……翼くん達……」
少し距離を置いてしまった幼馴染と親睦を深めていこうのコーナーとして穂波と翼は天馬家に呼んで料理教室を行った。今日は穂波と色々語り合ってアップルパイを作って食べていた。
「オレも穂波と仲良くなりたいぞ!!」
「翼くんから見た司さんそんな感じなの?」
「やっぱり似てないよなぁ、兄妹でも声なんて真似るの無理だって」
「えぇ……ちょっと似てるか信じられないけど……咲希ちゃんやってみてよ」
「お兄ちゃん! アタシ、今日バイトだから遅くなるね!!」
「似てる……」
「嘘だろおい」
流石の穂波もドン引きである。
「そいえばさ……志歩は最近元気か?」
「え? 志歩ちゃん? 元気だよ?」
「いや……兄さんに告白したと聞いてるんだけど……穂波も知ってるよな?」
「うん。でも、現場は見てないから……志歩ちゃんが本当にしたのかは分からないかなぁ……」
「志歩って本当は兄さんの事好きじゃないんじゃね? 違う人が好きとか」
「うーん……聞いた事ないよ……でも、翼くんのお話はよく一歌ちゃんとしてるけどね」
「俺の話なんてして何が楽しいんだか……」
「もしかして志歩ちゃんも翼くんが……?」
「俺が志歩に何してあげたよ? 惚れられる要素なんてねぇさ」
「志歩ちゃん助けたとか?」
「あぁ……いや、無い無い……あんなのあいつも知らねぇだろうし」
「何かあったの?」
「ちょっと待ち合わせしてたら志歩の同級生が絡んできたから追い返しただけ……あんなもん関係ないしそもそもあいつ聞いてねぇんだから」
「何それ気になる」
「俺の尊厳壊れるから嫌だ。大声なんてガラじゃねぇし」
結局そこが一番気になる穂波となんで志歩が司に告白したかしてないか分からないのか、疑問しか湧かない翼である。