「司くん、翼くん、わんだほーい!」
「えむ!? お前またうちの学校きたのか!?」
「わんだほい。今日も元気だなえむさんや」
なんか普通に神山高校に侵入している
「司くんに会えたから胸がズバーン! ってなってるよー!」
「何を言ってるんだお前は……?」
その時翼に電流が走る。やはりえむと司はもうほぼゴールインかもしれないと。なんやかんやで、つかえむが人気なのかもしれない。あれ? 志歩はマジでどうしたんだろう?? 穂波? あいつは頑張れマジで。
「となると……志歩や穂波には申し訳なくなるのか……でも志歩は分からんしな……」
「翼? なにを悩んでいる?」
「兄さん意外とモテるんだな」
「なんの話だ!?」
「穂波……そしてえむさんか……」
「うっ……お前……また揶揄う気か……?」
「なわけ」
「ねぇねぇ、なんの話ー!」
「兄さんがえむさんの事大好きだとさ」
「ちょ……翼!?」
「本当!? あたしも司くんの事大好きだよ!!」
「「ゴフッ……」」
「???」
えむの純粋な回答に兄弟血を吐いた。何この子尊い。仰ぎたい。
「兄さん……大事にしろよ……」
「うっ……うむ。だが、スターとして誰か1人を選ぶのは……」
「うるせぇ選べ、さもなくばここで斬る」
「ちょ!? どこからその日本刀出した!?」
「えむさんの黒服がそこにいたから借りてきた。さぁ、選ぶと誓え」
「怖いぞ我が弟よ!?」
安心しろ、日本刀の模造刀なら兄や先輩の類のせいで素振りさせられたのだ、それが本物に代わっただけだろう。斬り方くらいわかる。
「何も安心出来ないぞ!?」
「わぁー! 司くんと翼くんチャンバラごっこするの!? あたし見てみたいなぁ!!」
「違うえむ!? これは流石に俺が殺され……」
「安心しろ峰で撃つ」
「痛いわ!!」
舞台役者をさせれば司が1番だが、小道具の使い方を司から習って熟知しているのは翼である。天馬兄弟は足りないところを補うのだ。
「司……覚悟……!」
「なんか俺より役に入りきってないか!?」
「我が名は……夢を羽撃くもの也! 剣は折れぬと心得よ!!」
「翼くんカッコいい!!」
「ぐっ……やるしかないのか……弟よ……!?」
やめろ、普通に犯罪である。冷静に考えてガチの日本刀はまずいと考えた翼はなんとか我に帰って納めた。
「んじゃ、俺教室戻るわ」
「え? もう行くのか?」
「兄さんの邪魔はもうしねぇよ」
「いや、俺とえむは……」
「ん?」
「なんでもありません大佐!!」
もう一度日本刀を黒服から借りようとした翼に司は懺悔した。
「あ、そう言えば翼くん。これあげる!」
「ん? フェニランのチケットじゃん。どうしたよ?」
「一歌ちゃんにあげたから翼くんにもあげるね!」
「お、って事は一歌とデートじゃないか。良かったな翼!」
「咲希にあげるわ」
「絶対やめておけ」
☆
「そんな訳で一歌とフェニランきました」
「司さんナイス、鳳さん本当に最高」
「どうした一歌?」
「翼とデート嬉しい」
「そうか、ならジェットコースターから行くか」
「ご容赦ください」
絶叫マシンは苦手な一歌。とりあえずお化け屋敷にでも行くかと宣言した一歌、ちょっと眉を動かした翼。その結果……
「あのー、翼?」
「どうした、一歌」
「なんで私の背中に隠れてるの?」
「怖いから一歌盾にしてる」
「正直過ぎない!? あ……そういえば翼、幽霊駄目だったかぁ……」
「とある一方さんが二次創作で言ってた。幽霊なんて反射も物理法則も効かないから無理って」
「どこの二次創作!? しかもいつの二次創作!?」
「ベクトル操作の学園都市第一位の二次創作」
かなり昔の二次創作だった気がする。翼は幽霊全てがダメだった。心霊写真もビデオも話も全て耳が受け付けない意味で反射する男である(写真は眼)
「普通に怖い……一歌、手を握っててくれ」
「萌え萌えキュン……」
「何が?」
「翼可愛いなぁって」
「それよりも背中に……ギャァァァアアア!?」
「うわっ!? 何!? って……こんにゃく……??」
「一歌ぁ……助けてぇ……もう背中にくっついておくぅ……」
「お持ち帰りしたい」
一歌落ち着け。確実に個室とかなら一歌は我慢出来なかったであろう。据え膳食わぬは女の恥である(普通逆です)
その後、なんとか出られた2人だが、翼は怯えまくっていた。一歌という名の据え膳が食うぞ。
「怖い……一歌……まだ手離さないで……」
「ねぇ翼、君僕を誘ってるよね」
「一歌、一人称変わってる……」
「据え膳食わぬは僕の恥だよね」
「お前も怖いなら無理にキャラ作らなくていい……」
「ちょっと怖いけど翼見てたら守ってあげたい」
頼むからこんな所でベイ作るキャラになるな。まるち様になるな。
「ねぇ、翼。お詫びにジェットコースター乗ろう。私絶叫マシン苦手だからさ。これでおあいこって事で……」
「一歌が死にかけたら誰が五体満足でこの後楽しめるんだよ……無理しないでコーヒーカップ乗ろうぜ……」
「あ……うん。分かった……」
翼は優しい男である。一歌に無理は絶対にさせないと自分が満身創痍でもなんとか楽しませる様に心がけた。コーヒーカップでも……
「よーし、回すか……」
「まだ手震えてるけど大丈夫??」
「震えても回せる。大車輪で行くぞー」
「うわぁ!?」
全力で回転させてなるべく酔わないようにはするが楽しんでいくスタイル。観覧車の中でも……
「一歌、見てみろ。夕日が綺麗さっぱりだぞ」
「それ無くなってない?? でも……綺麗だね」
「一歌の方が綺麗」
「えっ……」
「一歌の方が綺麗」
「えへへ……ありがとう、嬉しいな」
「穂波が言ってた据え膳食わぬは男の恥ってこのことか……」
「なんの話?」
「据え膳食わぬは穂波に殺される話」
「どういうこと!?」
最早嘘はつかないが隠す隠さないのギリギリを攻める言葉で一歌を口説きやがる馬鹿翼がここにいた。
「ねぇ……翼……」
「どうした?」
「翼ってさ……女の子の中で誰が好きなの?」
「ルカ姉様」
「以外」
「咲希」
「以外」
「素直で大人しい友達想いの人間」
「よし、翼。歯を食いしばって」
「おい待て早まるな!? 俺はまだ死にたく……」
——ガブッ……ムシャムシャ……モグモグ……グチャ……ダラダラ……ポタッ、ポタッ、ゴクゴク……チューチュー……
「ん!? んんっ……!?」
「ぷはぁ! ご馳走様でした」
普通にキスされた。いや、キスの音じゃなかったのだが、されたものはされた。ちなみに舌は切れてないし血も出てない。
「翼。私はね、実は司さんは眼中に無いの。司さんはいらないの」
「失礼過ぎんだろ……」
「あ、ごめん。ちょっと言い過ぎた……」
「いや、いいよ。兄さんこの場にいないし……」
「私は、翼が好き。折れない君が好きなの」
「ホラーで精神折れまくってますけど」
「翼の事だからどうせ私達がプロになるから遠慮してるんだと思うけど……いや……そもそも翼は私の事好きなの……? うわ、自信無くなってきた……どうしよう翼、私翼に勝算ないけどディープキスしちゃった……」
「俺に聞かないでくれません???」
何してんだ貴様と突っ込みたかったが今回はそうも言ってられないので無言になるしかない。
「別に……一歌の事は好きだし……普通に嬉しいよ。でも、保留……って言いたくないけど一旦待ってくれ……急すぎるんだ……」
「うん。それは勿論。でもキープしたら……」
「したら……?」
「うん。よろしくね」
「怖いから続き言ってよ!?」
その翌日、翼のスマホから『貴様のせいでよく分からんやつ出てきたからこっち来い』とKAITOに言われたので向かう羽目になりましたとさ。返事? まだしてねぇよ。