「ここがあやかし横丁か……久しぶり過ぎて何だかワクワクしてきたな」
「あれ? 知らない妖怪がいる……」
「ん? お前さんは……」
「どうも、河童です」
「どうも人間です」
ここは妖怪達が住むあやかし横丁。そこに遊びにきたツバサは妖怪ではなく人である。暇つぶしに知り合いと会いたいと考えたツバサはここに来たのだが、途中で妖怪に会った。彼女の名はイチカ、どうやら
「え? 貴方人間なの?」
「そうだよ、一応ここに友達がいて探してるんだけど俺が迷子でな」
「とりあえずきゅうり食べてよ美味しいから」
「話の内容無視ですか?」
「ほら、きゅうり食べて、きゅうり」
「じゃあ……頂きま……多い多い!?」
五本食わされた、腹一杯だよ。もしかしたらとぬらりひょんのルイなら知ってるのではないかとイチカが伝えると、少しツバサは顔をしかめて……
「分かった頼むよ」
そう伝えた。ルイは確かぬらりひょんの妖怪だった気がする。自分のことを知らないでいてくれればいいのだが……そう考えてルイの元に行った。
「人間の迷子とは珍しい……って君は……」
「初めまして、ツバサって言います……えっと、がしゃどくろと閻魔様のどちらかを探してまして……」
「ふむ……それならば案内くらいは出来るよ」
「本当ですか?」
「ただ、一つ手伝って欲しいことがあるんだ」
「人間でも出来ることならお手伝いします」
そう伝えたツバサに対してルイは笑う。何だかこの男は自分を見通している様だなと冷や汗をかきながらもその内容を聞いた。
「あやかし横丁では夏祭りをしているんだけど……ハプニングが絶えなくてなかなか準備が出来ないんだよ」
「分かりました。みんなが力貸してくれるなら何とかしましょう」
「いいの? ツバサ?」
「どうせ暇つぶしに遊びに来ただけだしね」
そう言って手伝う事にしたのだが……
「ではこの中から達成出来そうなものを選んでくれたまえ!」
1.屋台の食材が消える
2.巨大程灯が逃げた
3.あやかしオークションに祭具が出展された
4.流しそうめん装置が暴走している
「全部いけるな」
「「全部!?」」
正直ツバサとしては何とかなりそうな話題ばかりだったのだが、何となく食べ物が気になったので1を選んだ。真相を確かめるべく我々(ツバサとイチカ)は商店街に向かったのだった。
「大丈夫かな、ツバサ……まぁ私も途中まで行くけど……」
「彼なら大丈夫じゃないかな? ただの人間じゃなさそうだしね」
「え?」
☆
「あれ? ツバサ?」
「よう、ハルカ久しぶり。会いたい人1人見つけたぜ」
ハルカと言われた少女は
「なんで閻魔大王様と……?」
「ツバサは極悪人だからね」
「まぁ、そうっすね」
「えっ……」
なんかガタガタ震え出したイチカ。そりゃそうだ、閻魔大王に顔を覚えられるくらいの極悪人がこんな所にいたら大事件どころか辺り一面が血の池地獄になる。
「ツバサは神……よく人間界の神社からここに来てるからさ、妖怪に襲われても知らないよって何度も説教してるんだ」
「何度も無視して遊びに行くから顔覚えられちゃった」
「あ……なるほど……だよね……人間だもんね」
そんな会話をしながら、ツバサはハルカに話を聞く。ハルカもあまり犯人は分かってないので聞き込みをしようと伝えた。
「私は別の問題を解決しに行くね。それじゃあハルカ、ツバサをお願い。人間だから守ってあげないと」
「大丈夫だよ。ツバサだから」
「そうだよイチカ、俺だぜ俺」
「ツバサのその自信は何!?」
☆
「ハルカちゃん。わたしのキャベツが無くなっちゃったんだけど! 早く! 千切りに! したい!! あ、もしかして人間? 千切りにしていい?」
「ダメに決まってんだろ多分
「ミノリ落ち着いて。後ツバサは合ってるよ」
「俺の屋台からも食材が消えてるんだ……」
「それもしかしてコイツが斬ったからじゃねぇの?」
「わたしじゃないよ!!」
「ふたりだけじゃなくて他の人も一緒みたいだな」
ツバサとハルカが聞き込みをしに行くと、鎌鼬のミノリを筆頭に
「こんなにはっきりしないのはモヤモヤする」
「お前基本は白黒つけたいもんな」
「そういえば、ハルカちゃんと人間さんは知り合いなの?」
「俺はツバサ、人の場所からここに遊びに来てるせいでハルカに顔を覚えられた挙句、こいつに極悪人って言われてる」
「「「ご……極悪人……」」」
「大丈夫、お前達は生かしておくから」
「「「人間の台詞じゃない!?」」」
「大丈夫だよ、この人本当に安全だから。むしろ守り神みたいな人だから」
「「「???」」」
結局犯人は誰なのか、大量の食材を消すのはかなりの妖力とかが必要だと思うのだが……
「ハルカちゃん! 『嘘を見つける鏡』ってあったよね?」
「ごめん、引越したときに置いて来ちゃった」
「まぁ、そうそうここで使うもんじゃねぇしな」
「大量っていうところにヒントがありそうだけど……」
「大量に……千切り……?」
「わたしじゃないよ!?」
「烏天狗様の名推理でも聞けるのかしら?」
「MEIKO……そんなプレッシャーかけないで……」
「なぁ、これ足跡じゃね?」
ふとツバサが気づいたのは、道にたまたま残っていた足跡。何故これを見たのかと言うと、明らかにここにいる
「そう、それを言おうとしてたんだよ。どうやら山の方に向かっているらしい……」
「んじゃ、ハルカ、山まで歩くか」
「もしかしたら犯人かもしれないしね」
「ちょっと待って、ここにも大量の台車の跡が……!?」
「食材が『大量』と考えるなら……台車か?」
そう考えたツバサはデカい足跡ではなく、台車を追いかける事にしたのだった。
☆
「夏祭り前フードフェスだって!」
「もしかしてここでイベントをやるために……?」
「お祭り前に仲間だけで楽しもうとしたのね?」
「確定で泥棒扱いはアレだが、話は聞いてみてからだな」
「とりあえず犯人は釜茹での刑ね」
「流石閻魔大王容赦ねぇな……仕方ない、口から出まかせだが……」
「ツバサ、何か案があるの?」
「いや、『幻の屋台飯がある』って嘘つく」
「「「なんで?」」」
ツバサの考えはこうだ。多分大量に食材を使うのなら腹が減っている妖怪の可能性が高い。だからこそ一番美味い料理があると伝えれば犯人が来るのではないかと。
「なるほど、やってみようか。ねぇ、みんな、今度の夏祭りで幻の屋台飯があってね……」
軽く噂を流すつもりが結構な回り方をしてしまった。まぁ、そのおかげもあり……
「俺達が食材を持って来たからか……!!」
「はい逮捕。釜茹での刑ね」
「え??」
「ハルカストップ、目が怖い。そうか、お前達が持って来たんだな。幻の屋台飯は食材があれば出店出来るって言ってたから一度全部の屋台に食材を返したらどうだ?」
ハルカを抑えながらツバサは妖怪達に伝える。妖怪達は潔く了承して、返す約束をツバサとした。
「ツバサ……いいの?」
「祭りが上手く出来たら説教すればいいだろ。今はこのトラブルを解決するのが先だ」
「流石ツバサだね。昔から平和主義だ」
「お前が怖いんだよ」
「折角犯人もわかったし、ツバサ、一緒に祭り見に行かない?」
「いいぞ、俺も楽しみだ」
「そうだね! 元々は神様を祀るアレだけどもうみんな楽しければいいやになっちゃったし……ツバサくんも一緒に来てよ!」
「別に祀って欲しいわけじゃねぇよ」
「「え?」」
「いや、なんでも」
そう言って、ハルカと一緒に問題を解決しました(END12)。
☆
何処かにある神社。ここは人間界とあやかし横丁の境目のセカイにある、少し特別な神社……そこには人間としてあやかし横丁に行ったツバサの姿があった。彼は
「あ! ツバサ様!! どこ行ってたんですか!?」
「悪い悪い、あやかし横丁に遊びに行ってな、ハルカにあって来たよ。がしゃどくろはいなかったけど」
「ツバサ様、リンが心配してたんですよ!? いつのまにか現人神のツバサ様がいなくなって、ここの神社は大騒ぎだったんですからね!?」
「すまんすまん。また明日あやかし横丁行ってくるから明日は頼むよ。というかお前らこの神社の管轄じゃないだろ?」
「この神社のみんなからツバサ様がいないって聞いて大慌てで来たんですよ!?」
「成る程ごめん」
そう言ってツバサは楽しかった夏祭りを思い出しながら笑っていた。彼は現人神として人間界とあやかし横丁を見守る者である。
「ってかお前達もあやかし横丁行ってたんじゃないのか?」
「うん。問題事解決してたよ!」
「なら許してくれよ」
「ツバサ様はダメです! ただでさえ現人神としてあやかし横丁と人間界を見守る支柱なんですから! あんまり遠くに行かれたら拮抗が崩れますよ!」
「えぇ……なるんじゃなかったな……現人神なんて……あーあ、妖怪になりてぇ……」
「でも、ツバサ様やめる気ないですよね?」
「無論現人神も、あやかし横丁と人間界の行き来もやるぞ。たまに人間があやかし横丁に入る時あるしな」
「その逆をやったら大問題ですからね……」
「死人が出るから流石に全力で妖力封印してる」
現人神も大変であった。次は、がしゃどくろのカナデに会いに行こうかなと思ったツバサだった。