彼女が好きなのは翼では無く司(じゃないかも)   作:初見さん

7 / 7
ストリートファイター翼を心配したのは彰人

「はぁ……」

「ねぇ、冬弥。彰人なんか元気ないけどどうしたの?」

「さぁ? 俺も分からない。さっきまでこれからやるストリートライブに向けてやる気に満ち溢れていたんだが……」

「大丈夫かなぁ彰人君……」

 

 VivitBADSQUAD(ビビッドバッドスクワッド)、ビビバス軍団である、東雲彰人、青柳冬弥、白石杏(しらいしあん)小豆沢(あずさわ)こはねの4人はこれから始まるストリートライブの最終調整を行っていた。しかしながら何故だろうか……彰人の様子が少しおかしい。

 

「ねぇ、彰人。真面目にやらないなら帰って」

「はぁ? 俺はいつだって真面目だ」

「じゃあなんで溜息吐いてるの?」

「ん……あぁ……翼がな。俺達のライブ見に来てくれるんだよ」

「なんだ。それは溜息ではなく嬉しい事じゃないか彰人」

「それに関してはな」

「どういう事?」

「あいつ……絡まれたりしねぇかなって……」

「あぁ……なるほどなぁ……」

 

 彰人の言葉に冬弥は遠い目を開始した。なんの話か分からない杏とこはねは2人で顔を見合わせて疑問に思うことしかしなかった。

 

 ☆

 

「彰人のご厚意でストリートライブのチケットを貰った。見て行くか」

「よぉ、よく来たなぁガキンチョ……ここで会ったが何年目だ?」

「受付の台詞じゃねぇだろ」

「あぁ……いらっしゃいませこんにちはぁ……」

「ブックオフかよ」

 

 彰人からチケットを貰い、ストリートライブを見に来た翼。しかしながら少し治安が悪いところもあるので受付の人間も割と個性的であった。

 

「彰人と冬弥のライブは見たことあるが、ビビバスになってからのライブは見てないからな。楽しませてもらおう」

「よぉ……みんな……よくぞここまでたどり着いたな!!」

「新手のラスボスかよ」

 

 ビビバスのみんなが登場するとMCやってた彰人が急にラスボスみたいなセリフを吐き出した。多分パフォーマンスの一環だろうなと思いながら耳を傾ける。

 

「ここで会ったが……何年目だ?」

「百年も無いな」

「ちょっと2人共!? 急にふざけないで!? あ、えっと……こんにちは。VivitBADSQUADです!」

「うちの学校の風紀委員困らせてどうすんだよ」

 

 あまり会ったことはないが、確かメンバーの白石杏は風紀委員で結構取り締まってた気がする。ギャルみたいなピアスしてる割には真面目なやつもいたもんだと少し感心した。

 

「とにかく、やるよ!」

「うぅ……ちょっと緊張してきたぁ……」

「こはねビビんなしばくぞ」

「彰人あんまり小豆沢を虐めるな」

「虐めてねぇよ」

「なんだあの子ちっちゃくて可愛いな」

 

 小豆沢こはねとは一切面識がなかった翼は何となくハムスターみたいな小動物を思い出して笑う。

 

「は!?」

「どうしたの一歌ちゃん?」

「今……他の女に翼を取られた気がする……泣いていい?」

「いっちゃん妄想もそこまで来たらヤバいよ……」

「一歌、真面目にやって」

 

 ☆

 

 結論言うと圧巻だった。彰人や冬弥はともかくとして杏とこはねも女性らしいソプラノボイスをしっかりと使いながら曲の一つ一つに重みをつけていくのを聞いて……

 

「感動したな」

「おい、テメェ……どこ見て歩いてんだ?」

「ん? ああ……ぶつかって悪かった。ちょっとよそ見しててな」

「ほう……テメェ……俺を馬鹿にしてんのか!?」

「してないです」

「上等だ! おい! 野郎ども、コイツは俺達の縄張りを荒らす不届きものだ! 全員構えろ!!」

「なんで10人も草むらから出てくるんですか?」

 

 流石ストリート。治安が悪いのは彰人から聞いてたがここまでとは思わなかった。仕方がないなと溜息一つ。そうして彼は……

 

「防人の生き様。見せてやるよ」

 

 所変わってビビバスの陣地……白石杏の父親が経営するカフェに彰人達はいた。

 

「大成功だったなぁ」

「どこがよ!? MC思いっきりコケてるじゃん!?」

「笑ってくれたから良かったじゃねぇか」

「まぁ……なんとか歌えたから良かったよね……ってあれ? 冬弥君は?」

「彰人!! 大変だ!!」

 

 陣営で反省会をしていた3人だが、慌てて入ってきた冬弥を見ながら疑問に思う。

 

「お前が慌ててくるなんて珍しいな。なんかライブで不備があったか?」

「違う。ライブ自体は大成功だ」

「いや、だからどこがよ?」

「ライブの事じゃないならどうかしたの?」

「翼らしきが……10人ほどの暴漢に囲まれてて……」

「冬弥行くぞ!? それは不味い!!」

「彰人!?」

「白石達は大人しく待ってろ。一応手当の準備も頼む!」

 

 冬弥の言葉を聞いて走り出した彰人。冬弥も彰人に続いて走ってついていく。

 

「冬弥! 場所はどこだ!?」

「奥の角を曲がった所だ。ライブ会場の近くで助かったな」

「あぁ、全くだ。無事でいてくれねぇかな……?」

「そうだな。だいぶ時間が経ってるから心配だ……」

「「翼が人殺しになる前に急ごう!」」

 

 そうして角を曲がって2人が目にしたのは……

 

「ば……化け物……」

「あ……顎が……痛い……」

「ブクブクブクブクブクブクブクブク……」

「疲れたから俺帰っていい? って彰人、冬弥。なんでこんなとこにいるんだ? お前ら有名人なんだからこんなとこいちゃダメだろ」

「「遅かったぁぁぁああ!!??」」

「うるせぇよ……冬弥も珍しいなそんな叫ぶの」

 

 10人が普通に地面に転がっていてその内の1人は翼が仁王立ちしながら足で顔を踏んづけてる。つまりはナニコレ珍百景である。因みに彰人と冬弥は翼が喧嘩強すぎることは知っていた。

 元々彰人達と仲良くなったのは、たまたま翼が彰人を見つけて、追いかけたストリートで迷子になった時、彰人が複数人に殴られかけてるところを助けたのが始まりだからだ。その時は5人ほどしか居なかったのだが……

 

「翼、お前……今回は10人も殺しやがって」

「殺してねぇ。潰しただけだ」

「同じ事だろ。仕方ない……白石の店に運ぼう」

「面倒」

「お前そろそろ死体遺棄で捕まるぞ?」

「だから殺してねぇ」

「「そろそろ顔から足離さないか??」」

「俺に喧嘩売らねぇって約束するならいいぞ」

「しません!!」

「ダウト」

「「やめろやめろ!?」」

 

 因みに前回雫を絡んでた男など翼にとってはゴミの様だったのは可哀想である。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

『プロセカ世界に転生したのに音痴だった俺が、壊れかけの少女たちを救うまで』(作者:krowknown)(原作:プロジェクトセカイ)

世界は、ハッピーエンドだった――少なくとも、ゲームの中では。▼死んだはずの彼が次に目を覚ましたのは、Project SEKAI COLORFUL STAGE! feat. Hatsune Miku の世界だった。▼神から与えられた能力は三つ。▼「音痴」▼「弱点発見」▼「回復術士」▼――どう考えても、音楽の世界に向いていない。▼けれどもその力で必死に少女たちを…


総合評価:1214/評価:8.95/連載:26話/更新日時:2026年07月05日(日) 21:55 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>