「………!
……………!!!
……リー!
……ハ、…リー…!
ハリー!!!」
うるさい
「ハリー!!なぜあんな無茶をしてしまったんじゃ!君のおかげで昨晩から忘却術師たちが不眠不休で動いておる!闇祓い達は君がポリジュース薬で変装したヴォルデモート「うわあ!?」なんじゃないかとしつこく追求してくる!ええいうるさいぞファッジ!!おとなしくできんなら追い出すぞ!!!…そう!魔法大臣まで出張ってくるほどの大惨事じゃ!!これがどれほどのことか分かっておろうな!!分かっておろうな!!!!」
本当にうるさい
「よいなハリー!二度とその力を使うんじゃないぞ!?フリじゃないからな!?いや!貴様が約束を守れるやつなどとは今更思わん!わしも死にとうない。わしがこの手でその力を封印してくれるわ!」
………………は?
今、なんと?
「えっ、何する気?……ま、まさか、おい嘘だろ?こんな小さい子に!? おいおい落ち着けって…
うわっまじかよ!ちょっ!…くそ!おーい!誰かー!手を貸してくれ―!」
「何をするファッジ!邪魔するでない!貴様ごと封印してくれてやってもいいんじゃぞ!?……む!?ええいなんじゃお前ら!邪魔するでない!!うお!く…!………うおおおおおおおおおお!!」
ウワー!ギャー!コイツホンキダゾー!!!!
………………………………
…………………………………………
………………………………………………???
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…――ハッ!
………………朝、、、ですか。(まだ日の出前っぽいけど)
………
………先ほどの夢の内容を鑑みると、ちょっと、いえ、すごくいやな予感がします。
………
…………えぇーうそ、ほんとに?
………
…………はあ、
……どうやら、ただの夢ではなかったようです。
私は超能力を使えなくなりました。
冗談じゃなさすぎる………
何度あのくねやかな蛇の肢体を思い起こしても、
傷跡に痛みがきません。
最初に使った時(誤爆でしたが)みたいに傷跡が痛くない時でも使えるといえば使えるのでしょうが、
あれは発動の制御ができないのでいやな思い出しかありません。
なってしまったものは仕方ありません……が、このまま諦める気はありません。
夢の中で謎の老人(うるさい人)は私の力を封印する、と言っていました。
つまり、私の力は失われたわけではない。
封印を解くことができれば、私はまた超能力が使えるようになるはずです。
ふっふっふ…、超能力が使えなければただの小さな男の子だとでも思いましたか?
……概ね正しい認識ですが、小さな男の子を見くびりすぎです。
必ず探し出して、力を取り戻します。
…っと、奥様の呼ぶ声が聞こえます。
今行きますよっと…。
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「ねぇダドちゃん、本当に平気?
あんなことがあった後ですもの…今日くらいは休んでもいいって、先生もおっしゃっていたじゃない?」
「大丈夫だってさっきから言ってるじゃないか、母さん。
犯人は俺に何もしてこなかったんだし、もう何ともないって。」
「でも、でも…
ああ、ダドちゃん、ダドリー坊や、やっぱり心配だわ……
ねぇ、じゃあせめて今日は私も一緒に学校へいきましょうか…ずっとそばでついていて…」
「ペチュニア、
やめなさい。本人が大丈夫だとそう言っているじゃないか。
大丈夫だ。
ダドリー坊やは強い子だ………あんな目にあっても尚、気丈に立ち上がってみせる、お前はわしの誇りだ!」
「この、肝心な時に何もしない、役立たずの、穀潰しとは、大違いだ!!」
いっ、痛っ、いっ、ぐっ
な、懐かしい痛み…………イタッ
旦那様が言葉を区切る合間に私をフォークの柄で殴られます。
最近は超能力で痛覚を消していたので、折檻に痛みが伴うのは久々です。昔はこんなあからさまな暴力は振るわれなかったってのに、どうしてこうなったんでしょうねぇ
さて、どうやら昨晩の誘拐騒動に関して、
恐らく私の超能力を封印したのと同じ方々によって記憶操作が行われているそうです。
夢で老人が言っていた「忘却術師達が不眠不休で働いている」というのはそのことでしょう。
それによって、
ダーズリー家の皆様はダドリー坊ちゃんが誘拐されたところまでは覚えていても、
私が救出のために壁を壊したことや(壁直してくださったことだけはありがとうございます)、誘拐犯達を殺したこと、その家に火を放ったことは忘却の対象だったみたいです。
あの日坊ちゃんは旦那様が呼んだ警察によって保護され、
誘拐犯は警察の襲撃に抵抗し、
最終的に屋敷に火を放って自害……ということになったみたいです。
結構無理のある話(火を放ったくだりとか)ですが、皆その話で納得してるみたいでした。
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学校では、坊ちゃんは完全にヒーローでした。
坊ちゃんとともに教室に入る頃にはとっくに学校中に話が広まっていました。
……えっ、坊ちゃんが誘拐された女の子を救出するために単独で誘拐犯の家に侵入した?
…誘拐犯達を自慢のパンチで撃退したのち、彼女の居場所を聞き出すと屋敷の地下の大迷路につながる暗号を解いて助け出したが?
……彼らの一人が爆弾を仕掛けた屋敷から間一髪で脱出した?
既にアメコミみたいなストーリーに編集されて流れていました。
これには実行犯もびっくり。
坊ちゃんもきっと困惑して……いや、結構堂々としてますね。
……なんなら嘘武勇伝まで披露してます。
もうホント将来きっと大物になりますよ彼。
もう一人、件のヒロイン枠に収まった女の子は坊ちゃんとの恋人疑惑を否定しつつも、なんだかまんざらでもない顔をしていました。
流石に1日中聞かれ続けて放課後にはうんざりした様子でしたが。
でも、彼女もあの晩のことはまったく覚えていないようです。これは本当によかった。下手にトラウマになってたら私の責任でした。
そして、坊ちゃんは放課後になると唐突に私を呼び出しました。
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坊ちゃんは校舎裏に一人で立っていました。周囲に人はいません。リンチじゃなさそうです。
お待たせしました。
「来たか。」
「単刀直入に言おう。
俺は、昨晩の記憶を持っている。 そして、お前もそうだと確信している。」
……………
「………そうだな?」
…………………………………
「…お前が認めないと話が進まないんだが。」
思考①坊ちゃんはどの程度まで正確な記憶を持っているのか
坊ちゃんは私がこの事件に関わっていたと確信しているようです。しかし全て完全に覚えているとすれば、屋敷の人間を殺し火をつけた私に対して何かしら恐怖の感情を示すものでは?
記憶操作が中途半端で、部分的に正しい記憶がのこっている可能性があります。その場合、原因は「忘却術士」のミス?もしミスでなく、意図的に坊ちゃんの記憶を編集したとしたら、
思考②記憶操作の目的
記憶操作によって超能力の存在を隠蔽しているとばかり思っていましたが、もしかしたら、少なくとも今回のそれには別の目的があったのかもしれない。与える情報を直接絞ったうえでの思考誘導。思想や理念、精神の核の部分すら操作できるのかもしれない。坊ちゃんの人間性は今のところゴミだが、本当はこのような性格ではなかったのかもしれない。私もこのような性格ではなかったのかもしれない…
思考③え、私も記憶操作されてるの?
「目覚める」前の記憶は未だ戻ってきていない。旦那様は私の様子が変わったと仰っていた。昨晩の事件のことも、私は全て覚えていると思っているが、本当にあれが現実の話だった保証なんて、どこにも…
「…沈黙は肯定ってことで、本題にはいらせてもらう……
……ぞっ!!」
おっと
急に殴りかかってきたので反射で手を取って背中でひねり上げたうえで押し倒してしまいました。
反射で。
自分では気にしてないつもりでしたが、なかなかどうして、昨晩のことで案外気が立っているのかもしれません。
急いで助け起こすと、坊ちゃんは何故か満足げな笑みを浮かべています。
「そう、お前は俺より強いんだ。なのにお前が俺に服従するのは、お前が親父に服従するからだ。」
「俺はお前が親父に服従するのは、親父がお前より強いからだと思ってた。だが、それは違った。」
えっ
「お前は大人を一度に数十人皆殺しにできるくらい強かった。どんな手使ったのか知らんけど、想定外だ。」
…そこ覚えてるんですね。じゃあ、忘却術士のミスや意図的な操作でなく、何らかの理由で坊ちゃんが術にかからなかった可能性がある…?
「そんなとんでもねえバケモンと一つ屋根の下で暮らすなんてごめんだ。
凡人ならここでお前をどうにか目に見えないとこまで遠ざけようとするところだが、この俺は違う。」
「俺は親父とは別の方法で、お前を服従させることにした。やっぱり手綱は、自分の手で握ってこそ、だ。
そうだろ?」
いい加減その小っ恥ずかしい言い回しやめてくれませんかね。
話が入ってこないんですよ。
……要は、あなたは私を個人的に言うこと聞かせる方法を思いついたから従えってことでしょう?
言っときますけど、多分そんな方法ないですよ?私が未だ旦那様に従ってる理由すら、自分も分かってないんですから。
…何なら今のところ、「超能力者に脳をいじられたから」が最有力仮説なくらいなんですから。
「信じてないって顔してんぞ。
…まあ、いい。それで、お前を従わせる魔法の言葉があるんだ…それが、これよ。」
「俺は昨晩、お前を気絶させた連中の行き先を知っている。」
……………
…困りました。これは確かに、従わざるをえないかもしれません。
「…ハハ、今度は困ったって顔してんぞ。本当にわかりやすいヤツだな。」
「ま、もちろんこの程度でお前をずっと従わせられるとは思ってない。俺の情報なしに奴らにたどり着かれちゃおしまいだしな。」
「だから、取引だ。俺はお前があいつらを探すのに協力してやる。そのかわり、お前は俺個人に従え。俺の家にでも親父にでもねぇ、俺に従うんだ。いいな?」
カッコつけて言ってますけど、これ「調査に協力するから殺さないで下さい」って意味では。
やはりこの子は詐欺師に向いているのかもしれない。
それはともかくとして、
「いいでしょう。提案を受けます。」
「…」
「?なんですか、なんかいつもの調子のった恥ずかしいセリフを吐かないんですか?」
「意外と毒舌なのな…。いや、お前が話してるとこ見るのが初めてな気がして…」
何を言っているんですかこの人は。
同じ家に住んでるし、ほぼ毎日のように話してるじゃないですか。