真・恋姫†夢想-革命-覇気と六爪流を使う転生者 作:ヒーロー好き
「うぅ、この作戦じゃダメだぁぁ……」
夜になり、月明かりと松明、二つの明かりの下。劉備は地面に描いた絵を消し、ため息と共にその場にうずくまっていた
「劉備さん、砂まみれになってるよ」
勇作は投げ捨てられたペンの代わりの木の枝を拾い上げる
「……この作戦でも、愛紗ちゃんと鈴々ちゃんにばっかり負担を掛けちゃう。兵士さんたちにも犠牲が出るだろうし……」
地面には何回も消したであろう作戦を書いた後があった
「こういう作戦を立てた経験は?」
「兵法は風鈴先生の所にいた時に、少し習ったけど……そんなに得意じゃなくて、御使い様は?」
「……ない」
速攻で答える勇作
「(そこまで頭良くないしな……)」
そんなことを思っていると
「…………くー」
「ん?」
横に視線を向けると、劉備が居眠りしていた
「(まあ、いろいろ大変な一日だったかな)」
そう言って勇作は劉備をお姫様だっこし、近くにあったベンチのような所に、運び、横にさせ、羽織っていたコートを毛布のように被せようとした時
「御使い殿」
関羽がやって来た
「関羽さん」
「……桃香さま、まだ策を考えていらっしゃったのか」
「兵士さんにも町の人にも関羽さん達にも、出来る限り被害を出さないようにって……」
「……この状況でそれは無茶だろう」
「まあ、そうだな。それと関羽さん」
「うん?」
「関羽と張飛だけで連中の砦に奇襲を掛ける案はなしだよ」
「っ!!なぜわかったのですか?」
「(覇気で分かったからだよ……言いたいけど)」
覇気で考えを呼んだ勇作
「なんとなくそう思ったからだよ」
「……」
「それに賊を倒すだけならそれでもいいんだけど、この町に手を出してらまずいって思わせないと、意味がないからだよ」
勇作は町の人たちの顔を思い出す
「それに町の人達もみんな戦いたいって言ってるから……何かしらの落とし所がないと、納得してくれないだろうし」
「それはそうかもしれんが……すべてを満たす策など、そうそう思いつくものではないだろうに」
「そうだな」
「……とはいえ、そこが桃香さまらしはある……か」
「(関羽にはああ言ったけど、奇襲を掛けるなら俺一人で十分なんだけどな)」
すると関羽は劉備を抱きかかえる
「桃香さまは私が別の寝床にお連れしてくる。お前も今日はもう休むと良い」
「そうさせてもらうよ。関羽さんも程々に寝てね?」
「桃香さまがここまで頑張っておられるのに、私が楽をするわけにもいかんだろう」
「休むのも仕事だよ。どんな作戦になっても一番負担が掛かるのは関羽さんだと思うから」
「……随分遠慮なくいうようになったな。怖じ気づき、頭を抱えれいるかと思ったが」
「師匠の元で随分しごかれたからな」
「お前、戦いの経験があるのか?」
「特殊な環境にいたかね……けど俺の国には戦争はない平和そのものだったからね。いきなりこんな所に放り出されて、天の御使いとか言われてとか、わけわかんなかったけど」
「…………すまない」
「別にいいよ。俺の存在が少しでも力になれるなら」
「……そうか。軟弱な見た目だが、それほどには弱くなかったらしい。侮っていたことを詫びよう」
「別にいいよ……それにしても関羽さんは強そうだね」
「腕には昔から自信があったが、真に強くなれたと思えたのは、桃香さまと出会ってからだな」
「それは?」
「力を持つことの意味や使い方を示してくださったのが桃香さまだ。ゆえに、私と鈴々は桃香さまのために戦い、夢を叶える後押しをしようと決めた。その時からだな、強くあろうと意識したのは」
「そうか」
「言っとくが、私はまだお前を完全に信用したわけではないからな」
「(知ってるけど)」
「……話が長くなってしまった。私も少し休ませてもらうとしよう」
「その方がいい……それと関羽さん……さっき腕に自信があるって言っていたけど、自分の強さを過信するようではまだまだだよ」
「どういう意味ですか?」
「それは戦場でわかるよ……世界の広さを」
そう言ってその場を後にする勇作であった
「(世界の広さ……どういう意味だ?)」
「御使い様。この作戦で、大丈夫かな……」
数日が過ぎて、準備を整えた俺たちは武装した町の人々を連れて街道を進んでいた
「しっかり考えた作戦だから……上手く行くよ」
すると偵察に出ていた町の人が向こうから戻ってきた
「報告です!黄巾党の連中が、砦から出て来たって!」
「わかりました。このまま前進してください。あなたも隊列に加わって」
「はいっ!父ちゃんの仇、絶対に討って見せます」
「…………御使い様」
劉備は不安げに勇作の名を口にしてみせる
「大丈夫だよ。俺と劉備さんが堂々としていれば、周りも安心するから」
「う……うん」
今回の作戦、劉備さんは指揮官で、俺はその補佐って立場に祭り上げられてた
「……来たな」
「え?」
すると一人の町の人が報告する
「劉備さま!黄巾の連中が見えてきました」
「なら……戦闘の用意をしてください!」
戦闘が始まったが
「とにかく逃げて!逃げてくださーい!」
町の人達は賊たちの叫びと威嚇の矢を向けられ、逃げ出していた
「止まらないで!足を止めないで、とにかく逃げて切って!」
「(やっぱり……戦った事もない人達だと、こうなるよなぁ)」
勇作は師匠との修行と先日の戦いのおかげか、普通に動けている。劉備は恐怖で足がすくんで動けなくなった人達を叩き、逃げるように促し、勇作は覇気で矢が町の人達に当たないように刀で防御していた
「動ける人は、動けなくなってる人を連れて逃げて!」
賊たちは距離を取ったまま時折矢を射かけたり、鬨の声を上げたりするだけだ
「御使い様」
「ああ……来たっ!」
だが、それも予想通りだった。そして左右から本物の鬨の声が上がる
「でりゃああああああーっ!!」
張飛の攻撃により賊たちは次々とやられていく
「まだまだなのだっ!鈴々にやっつけられたいヤツは、かかってくるのだ!」
「進め進め!このまま一気に追い散らせ!」
そして賊たちを倒していると
「愛紗!」
「鈴々、大丈夫か!」
「お姉ちゃんの作戦だから、大丈夫に決まってるのだ!」
「まったく……町人を率いて囮になるなど、無茶をなさる」
そう、勇作と劉備の率いる町の人達の部隊は賊を引き寄せるための囮。逃げる所までが勇作達の作戦であった。そして引き付けた所を関羽と張飛の部隊が左右から攻撃するのだ
「(作戦はうまくいったな)」
勇作がそう思っていると
「桃香さま、ご無事ですか!」
総崩れとなった賊の真ん中から関羽がやって来た
「町の人達はみんな大丈夫だよ!愛紗ちゃんたちは?」
「問題ありません。奥は鈴々が引き受けてくれています。私もこのまま反転して、連中の残りを叩きます」
「そっか……ならわたしは町の人を連れて、安全な所まで下がるね」
「頼みます」
関羽がそう言って、劉備を送り出すと……関羽は俺に向けて小さく手招きしてみせる
「どうした?」
「高杉殿……桃香さまを頼む」
「はいっ!!」
今まで俺の名前を呼ぼうとしなかった関羽に名前を呼ばれことに驚く勇作
「しっ!桃香さまに聞こえるだろう!」
「ご、ごめん。急に名前を呼ばれたからちょっと驚いて……」
「とにかくお側を離れずにいてあげてくれ」
「わかった」
そう言って関羽と別れるのであった