努力の天才が高育へ参る   作:シン-sin-

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前書きって何ですの?
よくわかりません!
よろしくお願いします!


入学初日①

 今日は入学式がある、つまりは高校入学初日。

 

 入学式とは、校長だとか偉い人のどうでもいい退屈な話を長々と聞かされる、大変退屈なものだ。

 

 世界的に見てどうかは知らないが、日本の学生の誰もが皆味わうことになる、ささやかな一種の拷問であると俺は考える。

 

 時間の無駄、ストレスが溜まるだけ、絶対寝て過ごす方がいい。

 

 そんなことを考えながら学校に向かうバスの座席に座っていると、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

 

 俺はバスが大きく揺れたため目を覚ました。

 

 いつの間にかバスのに中は随分と乗客が多い。ここが埼京線の電車内なら痴漢事件が発生してるんだろうなあ。そう思えるほどの混雑ぶりだった。

 

 席に座れなくて困っている老婆がいたので席を譲り、目的地に着いたのでバスを降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バスを降り高校の門をくぐり抜けていく。

 

 俺と同じ新入生らしき集団が目に入った。

 

 どうやらクラス分けの掲示のようだ。

 

 A~Dの4クラスしかないため、確認には然程時間はかからないな。

 

 アルファベットを用いたクラス表記には何か意味が有るのだろうか。

 

 まあ、数字表記とアルファベット表記のどちらが多数派なのかなど考えたこともなかったのだが、気になった。

 

 俺の所属するクラスがどこになるのか探してみると、どうやらDクラスのようだ。

 

 知っている名前があるかもしれないと思い探してみたが、残念ながらなかった。

 

 さっきから気になっていたのだが、周囲の女子生徒たちからの視線を感じる。

 

 俺が熱心に掲示を見ているためバレていないと思っているのだろうが、バレバレだ。

 

 3丁目の佐藤さん家の娘さんが嫌われていることくらい。

 

 もしくは、2丁目の長谷川さん家の息子さんがバイなことであるくらい。

 

 それくらいバレバレである。

 

 誰にも伝わらないどうでもいい情報だったな、うん。

 

 視線を集めてはいるが害はないため、特に何もせず俺は教室に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 やはりこの監視カメラの数は異常だなと思いながら歩いていると、1-Dに到着した。

 

 ドアを開け教室内に入ると、既に20名ほどのクラスメイト達がいた。

 

 またしても視線を感じる。 男子たちからは嫌悪、女子たちからは好奇といったところか。

 

 そして、当然の如く監視カメラが存在している。

 

 ぐるりと教室を見渡し、俺は自分のネームプレートが置かれた席へと向かった。

 

 窓際の後ろから2番目の席。一般的には当たりと言っても良い場所だな。

 

 さてどうしたものかな。この空いた時間で行動を起こして、誰かと親しくなってみるか。

 

 そんなことを考えていると、俺の後ろの席に鞄を置く音が聞こえてきた。

 

 俺は後ろを振り返ると茶髪のイケメンと目が合った。

 

 せっかくだし話しかけてみることにした。

 

「俺は斎藤司。よろしくな」

 

「オレは綾小路清隆だ。よろしく」

 

 俺は綾小路と握手をした。こいつはデキる。相当な実力者だな。

 

 それにしても綾小路は表情が全く変わらないな。表情筋は死滅したのだろうか。

 

 感情はあるのか? 未来の技術で作られたアンドロイドと言われても信じるぞ。

 

 そんな失礼なことを考えていると、綾小路の隣の席の住人が来たようだ。

 

 黒髪ロングの美少女だ。凛としている。目つきが鋭い。ツンデレに期待! 

 

 とりあえず話しかけてみよう。

 

「俺は斎藤司。よろしくな」

 

「いきなり自己紹介?」

 

「名前も知らないやつに、いきなりペラペラ話しかけられるよりはいいかと思ってな」

 

「名前を知っていようが話しかけられたくないのだけれど」

 

 これはツンデレじゃないな。ツンドラだな。永久凍土。笑顔の花どころか、会話の花が咲くこともない。

 

 土も肥料もなく、なんなら太陽があるかすら怪しい。あるのは冷たい空気と氷だけって感じ。

 

 俺はそんなよくわからない心の声を打ち消し、果敢にも攻める。

 

「もしかしてキミは他人に興味がないのかな?」

 

「もしかしなくても興味がないわ」

 

「どうして?」

 

「私よりも下の愚かな人間に興味がもてないからよ」

 

 初見で人の何がわかるというんだこの娘は。絶対友達いないだろ。

 

「キミ友達いなさそうだな」

 

 俺は苦笑しながら言ってやった。

 

「ええいないわ、必要だと感じたことすらない」

 

 すごいこと言うなこの娘。一匹狼少女。略して狼女。これだと意味が変わってくるか。

 

 流れを変えようと思い、綾小路にアイコンタクトを送る。

 

「オレは綾小路清隆だ。よろしく」

 

 綾小路!? この流れで名乗るか普通? こいつは本当に人間か? 

 

「いきなり名乗ってなんなのあなた? 全く動かず喋りもしないから置物かと思ったわ」

 

 黒髪の美少女はやや引いているようだ。そりゃあ引くよな。うんうん。わかるよ。

 

「オレは人間だ。隣の席の者として仲良くしたいと思い名乗らせてもらった」

 

 俺は綾小路の事人間じゃない可能性の方が高いと思ってるぞ。口には出さないけどな。

 

「さっきの私たちの会話聞いてなかったのかしら?」

 

「聞いていたうえで名乗らせてもらった」

 

 綾小路本当に大丈夫か? 俺この席で生活するの不安になってきたな……。

 

「わからなかったようだからはっきり言っておくわ。私は仲良くする気がないの」

 

「…………」

 

 綾小路は諦めたのか無言で俺の方を見てきた。あれ? ちょっとだけ落ち込んでる? 気のせいか。

 

 俺は綾小路の肩に手を乗せ一言言った。

 

「ドンマイ」

 

 綾小路の表情が少しだけ明るくなった……のか? 

 

 なんとなく綾小路と少し仲良くなれた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スーツを着た一人の女性が教室へと入って来た。

 

 名前は茶柱佐枝。Dクラスの担任で世界史担当。学年ごとのクラス替えは無いと告げ、入学式の前に学校の説明をするようだ。

 

 茶柱って珍しい、おめでたい苗字だなーと思いつつ説明を聞く。

 

 合格が決まってから貰った資料と同じものが回ってきたため、目新しい情報は無い。

 

 寮生活、外部との接触・学校の敷地外に出ることの禁止。ただし、特例有り。

 

 学校の敷地は広く、様々な店や施設がある等。

 

 続いてSシステムの説明が始まった。

 

 学生証カードを使い、敷地内全ての施設の利用、商品の購入が可能。

 

 ただし、ポイントを消費する。敷地内で買えないものは無い。

 

 今何でも買えるって言ったよね!? ここの土地も買えるって!? 学校も!? 人間も!? 無法地帯かよ! ヒャッハー!! 

 

 おっと、少々取り乱してしまったな。落ち着いていこう。

 

 ポイントは毎月1日に振り込まれて、10万ポイントが既に支給済みと。1ポイントにつき1円の価値がある。

 

 高校生にいきなり10万も渡すとか、怪し過ぎるよなあ。毎月10万とも言ってなかったし。

 

 一瞬、教室の中がざわついた。フィーバータイムだ。いや、ハッスルタイムか? どっちでもいいな。

 

 この学校は実力で生徒を測り、入学者にはそれだけの価値があるってさ。

 

 本当にそんなに価値があるか? 1万でも充分だろう。

 

 卒業後はポイントは回収されて現金化不可。他人への譲渡可。

 

 カツアゲはもちろん禁止。いじめ問題にだけは敏感だって。

 

 色々気になるところがあるな。やはり疑ってかかるべきだな。

 

 茶柱先生はぐるりと生徒たちを見渡し尋ねた。 

 

「何か質問はあるか?」

 

 後で聞きに行くのも面倒だし、ここでいくつか聞いておこう。

 

「先生いくつか質問しても構いませんか?」

 

「おまえは……斎藤だな。構わんぞ」

 

「ありがとうございます。一つ目は、来月も10万ポイントは支給されますか?」

 

「その質問には答えられない」

 

「二つ目は、学校の敷地内で買えないものは無いというのは本当ですか?」

 

「本当だ。尤も法を犯すようなものは買えないがな」

 

「最後は、この学校が実力で生徒を測るとのことですが、実力とは具体的に何を指していますか?」

 

「その質問にも答えられない」

 

「そうですか。ありがとうございました」

 

 これだけヒントを与えれば、クラスメイトたちも自ら考え行動するだろう。

 

 茶柱先生は他に質問がないことを確認すると、教室から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきの質問にはどういう意図があるのかしら」

 

 先程の名も知らぬツンドラ美少女に話しかけられた。

 

「あれれ~? おかしいぞ~? 自分より下の愚かな人間に教えを乞うなんて、妙だな」

 

「…………」

 

 名も知らぬツンドラはムッとして無言で俺を睨んでくる。

 

 いいぞ! もっと煽れ! と綾小路が目で訴えかけてきているような気がする。

 

 別にここで煽り倒してしまっても構わんのだろう? 

 

 俺はウキウキで追撃しようとした。

 

 しかし、イケメンの自己紹介をする提案によって阻まれてしまった。

 

 イケメン優等生の平田、裁縫・編み物少女の井の頭さん、呼吸するように噓をつく山内、コミュ力の塊美少女櫛田さんと自己紹介が続いた。

 

 しかし、次の赤髪のいかにも不良という感じの生徒は、自己紹介を拒否して席を立ち、それと同時に数人の生徒が後を続くようにして教室を出る。その中には名も知らぬツンドラ美少女も含まれている。

 

 一部は自己紹介に反発する形で教室を出て行ってしまったが、残った多くの生徒たちは自己紹介を続けていく。

 

 結局大多数は長い物には巻かれるのが世の常だ。

 

 イケメン嫌いで女の子好きの池、天上天下唯我独尊な財閥御曹司の高円寺など、一癖も二癖もある生徒が、このクラスには集まったらしい。

 

 クラスメイトたちの自己紹介を聞いていると、とうとう俺の番が回って来た。

 

「俺は斎藤司。趣味は読書と運動とアウトドア等。特技はマジック、料理、スポーツ等他多数。みんなと楽しい高校生活を過ごしたいと思っているからよろしくな」

 

 周りの反応を見てみる。やはり、男子からの印象は悪く、女子からの印象は良さそうだな。男友達はあまりできそうにないがまあいいか。

 

 ついに綾小路の番が回って来る。

 

 俺は不安になり、後ろの席の綾小路を見たが、無表情のまま。この無表情が良いのか悪いのかはわからない。

 

 さっきみたいに、空気読めない発言をかましてくれるかもしれないという期待と不安を込める。

 

「えー……えっと、綾小路清隆です。その、えー……得意なことは特にありませんが、皆と仲良くなれるよう頑張りますので、えー、よろしくお願いします」

 

 ……………………大失敗デス。いやDEATH。綾小路の高校生活の未来は暗い。蓄光シールですらもっと明るい。

 

 やらかしたというような表情をしている気がする綾小路に声かけとくか。

 

「隣の席の住人がいなくてよかったな」

 

「まったくだ。今のを聞かれていたら滅茶苦茶煽られただろうからな」

 

 今までの俺の人生の中で、不幸中の幸いという言葉が一番ぴったりな場面であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入学式はもちろん寝て過ごした。姿勢良く前を向き目を開けたまま寝た。数多ある俺の特技の中の一つだ。

 

 そして昼前。俺たちは一通り敷地内の説明を受けた後、解散となった。

 

 俺は平田や女子たちから昼食に誘われたが、用事があると言って断った。また今度誘ってくれと言ったら、あっさりと引き下がってくれた、

 

 校内探索を開始する。監視カメラの位置をメモしつつ、他クラスの様子を窺う。

 

 Cクラスは不良、Bクラスは友好的、Aクラスは真面目、簡潔に言うとこんな感じか? 

 

 詳しい様子はこれからの学校生活で探っていこう。

 

 2,3年の教室も当然チェックする。明らかにDクラスの学生が少ないことがわかる。

 

 これは何かあるな。元の人数はわからないが、退学者が出たのか。

 

 そんなことを考えていると、誰かから声をかけられた。

 

「こんなところで何をしている」

 

 眼鏡をかけたやたらと威圧感がある男子生徒が前方から歩いて来た。

 

「俺は1-Dの斎藤司です。校内探索をしています」

 

「お前があの斎藤か。俺は生徒会長をしている3-Aの堀北学だ」

 

「俺のことを知っているんですか?」

 

 入学初日で俺のことを知っているとは、妙だな。初対面のはずなんだがな。

 

「生徒会長だからな。入試全教科満点という情報は入ってきている」

 

 この学校ではプライバシーというものは尊重されないのか? 国が運営しているとは思えないな。

 

「そうですか……。ところで堀北先輩にいくつか質問したいことがあるのですが、構いませんか?」

 

「構わん。言ってみろ」

 

「今日Sシステムの説明があったので先生に質問してみたのですが、答えていただけませんでした。先輩に質問しても答えは同じでしょうか?」

 

「ああ、すまないが答えることはできない」

 

 堀北先輩は少し口元を緩めてそう答えた。

 

「そうですか。では2・3年生の先輩方も俺たち1年生と同じで、入学時は全クラス40名でしたか?」

 

「ああ、全クラス40名だった」

 

「やはり……それでは、A~Dのクラス分けには意味が有りますか?」

 

「その質問には答えられない」

 

「そうですよね。最後に連絡先交換していただけませんか?」

 

「フッ、それならば構わん」

 

 高校での連絡先第一号は堀北先輩に決定! 綾小路と連絡先交換するの忘れてたな。明日でいいか。

 

「堀北先輩ありがとうございました。またお会いしましょう」

 

「ああ、また何かあればいつでも聞いてくれ。お前には期待している」

 

 期待って何に対してだ? と思いつつ、俺は堀北先輩に一礼して食堂へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




後書きって何ぞや?
鈴音ェの名前をいつ知ることになるのか。
司と清隆のヒロインは誰になるのか。
予定は未定。
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