〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
やあ私だ。ムラハネである。
今日は一緒にシグレとお風呂に入っている...シウ母さんが一緒にお風呂に入ってくれなくなった為だ。
子育てで1番しんどいのって赤ん坊を育てるところじゃないのかねぇ...そこを乗り越えているのに、今更育児放棄気味になっている。
今はどうにかムラサメ父さんが頑張って抑えてくれているが、シウ母さんはムラサメ父さん一筋らしい。私たちという存在がいても...
と、そんな風だから、一緒にシグレとお風呂に入っているのだ!
始まりは、シグレが寂しそうにしてたから誘った。まあ意外だったのは...
「「一緒にお風呂入らない?」」
「「え?」」」
というふうに、ガッツリとシンクロした事だっただろうか。向こうも私のことを誘う気満々だったのだ。まあ、つまり、それだけ寂しかったということだろうと思う。シグレらしくない考え...とも言えるけど、そこは私がいるせいで変わったという事で説明がつけれる。あと、まだ幼いからね。
ということで、今はさっさと体を洗って、湯船に浸かろうとしたのだが...
「...なんか、変な痣できとらんか?」
ぎくっ!多分身体中に薄ら刻まれてる痕だよな?それには気づいちゃいけないでっせ姉貴...私は湯船に深く浸かった。
「えっ!あ、ああ、それはただ転んだだけ...」
私はなんとか誤魔化そうとしたのだが...
「それにしては頭の後ろにあったけど...」
ぎゃああああ!頭の後ろでしたぁぁ!!!
「だから、転んで後ろから倒れたの!」
苦しいがなんとか誤魔化す!私の、赤ん坊の頃からしてきた演技力の向上は伊達ではない!そう、していたのだが...体の打撲痕が隠しきれなくなったある日、
「...なぁ、あたしらだけしかここにはおらへんのやからさ、話してくれへんか?」
シグレは神妙な面持ちでそう私に問うてきた。私は困惑する。まさかイジメられてるとは思っていないだろうが...
「え?で、でも...」
「父さんにも母さんにも言わへん。やから、な」
そう言うと、シグレは私に頭を下げた。そんな必要なんてないのに......私は心を開こうとし、そしてやめた。だって、シグレも巻き込まれてしまう可能性もあるのだから。私だけが被害に遭うのなら、それで良いだろう。トロッコ問題にもならないという奴だ。
「...ごめん。やっぱり出来ないや」
私のその言葉に対し、
「......そか。まあええわ」
そう素っ気なく返してくれるのはシグレの優しさなのだろうか...私も、悪気があったわけではないのだ。いや、こう言うのって、やられた方が言う言葉か。
私はそんなことを思った内心を少し自嘲しながら、シグレに言った。これは、いつも思っていることだ。きっと伝わってくれる。
「シグレ姉さん...大好きだよ」
私がそう言うと、シグレは一人なのが寂しいのが理由で私とお風呂に入ったのではないみたいに、堂々と、
「ああ、あたしもや」
そう、返してくれた。
【楽しそう...いや、ここだけ見た話か。家庭環境はお世辞にも良いとはいえないし、学校環境も最悪に近い。でも、ボクは今、檻に囚われてるようなものだからなぁ...それすらも羨ましいと感じる部分はある...】