〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
スペシャル...?小細工...?意味がわからない。そんな存在、私は知らない...
「...はっきり言おうか、私は突如出てきたお前が信用できない」
【それは、『私』の言う原作にボクが出ていなかったからかな?『私』のことはずっとみていたよ】
「......まあな。隠す必要もないだろう」
【はははっ、けど大丈夫。ボクは『私』の味方だよ。短いけど、そろそろ時間が来たね。いってらっしゃい】
彼女...私を黒くした姿なそいつ...あえて、『ムラハネ・シャドー』とも言える姿をしているそいつは、温和な声でそう言い、手をぷらぷらとさせて、私を見送ってきた。
「......いってきます」
私も一応、挨拶をしてからそこを出て行った。これも、現世に戻ったら忘れてしまう、忘却の彼方に飛んでしまうものなのにも関わらず。
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小学六年生の冬。とうとう、標的が私から外れた。私は歓喜した。コレで解放される...
そう、私は飽きられたのだ。何をしても従順にする私に対して、キムロも、完全に飽きたのだろう。
私はキムロの為になんでもした。文字通り、靴を舐めたし、キスをしろと言われたら地面にでもした。アレルギー反応とかを確かめられたりもした。死にかけた。
そんな私を、きっと人形のように思ったのだろう。良かった。本当に良かった。
だが...
「や、やめて...」
「なぁ...いいだろう?」
キムロが、気弱そうな女の子を相手に脅しかけていた。キムロがこの小学校1番の悪なのはよく知られた話...みんな、キムロには逆らえない。なぜなら、怖いから。将来悪になる人間と言うのが分かり切っているような、そんな人間だから。
誰も、キムロを止められない。先生達ですら、もう止める気はないようだった。そうして、キムロは誰にも止められないガキ大将のような立ち位置になっていった。
小学校でも、キムロには逆らうなと言われている。
「......」
キムロは公の前で、その暴虐の限りを尽くしている。私はその光景を漠然と眺めていた。
そのときに考えているのは、センエースのこと。『センエース』ではない。センエース神話の主人公の事だ。
もしもその主人公であるセンエースなら、こんな時どうするかと、私はぼーっと眺めていた。センエースなら...センエースなら...
そうして、私はバカな行動に出た。
本当に、バカだ。このバカバカバカバカ。
「......やめて」
私は前に躍り出た。ああ、終わった。私は口に出した事をすぐに後悔した。でも、体が動いた。その子に背を向ける形、キムロと向き合う形で大の字になった。
「ああ、なんだムラハネじゃねえか。もしかして...俺に逆らうつもりかぁ?ああっ!?」
「.....」
私は何をやっているんだろう。そう思いながら、私はそれでも行動をやめない。そして、心に火をつける掛け言葉を行う。これは、ただのパチモノ。だけど、それでも...
「......ヒーロー見参」