〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
「やあ、キムロくん」
「ああっ!?なんだテメェ...」
キムロはムラハネをボコボコにした後、帰路についていた。明日から、またムラハネになにかをさせようと、おもちゃにしてやろうと考えている時だった。
「...ふーん、まあまあな『悪』だ。赤点ギリギリラインで、まあ合格かな」
「だから、何言ってんだテメェ!」
「そう、怒らないでくれよ...共に『悪』になる男同士じゃないか...」
ソイツは、キムロの肩にポンと手を置いた。
それをキムロは払いのける...はずだったが...
「誰が、てめえなん...か、と...」
「まあまあ、一緒にお茶でもシバこうよ!『友達』どうしじゃないか?」
「は、はい...『蝉原さん』...」
キムロはソイツの胸についているカードの様なものを目にしていた。それは、ここ1番の極道だけが手に入れれるカードだ。
それは、この街の『悪』だけが知っているような、まだ一般には知られていないもの。『悪』を齧っているキムロだからこそわかったこと。
そして、『蝉原』と言うのは、この街を支配するヤクザの親玉の苗字と一緒だった。
「ん?ああ、今日貰ったこれから、名前わかっちゃったか。でも、俺を知ってるなんて結構通だね。俺を知ってる奴なら、スムーズに『友達』を集められる...『悪』を集める時は、今度から、こうしようかな...うーん。いや、いいや。戦って仲間を手にしていくのも、主人公らしいだろ?」
「は、はい。おっしゃる通りです...」
「それじゃあ、いこうか」
「は、はい.....」
キムロは、こめかみに銃でも押し付けられている様な気分になりながらも、蝉原と共に帰路につく。そのときの、ただの日常会話だった。
「そっかぁ、ムラハネちゃんかぁ...」
「そ、そういえば、なんで蝉原さんは今日、ここにいらっしゃったんですか?」
「ん?ああ、俺たちは中学で一緒になるだろう?その為の視察だよ」
「な、なるほど...」
「別の所にも良い子はいるんだけど..ムラハネちゃんって子も中々やる様だねぇ...」
蝉原は俗にいう、ヒーローの事を楽しそうに語った。自分たちは『悪』だというのに、何故そんなことを語ったいるのかとキムロは疑問に感じた。
「そ、そうですか...はい...で、でも、どうしてそんな奴らの話を...?」
「何事も、対抗馬がいないと面白くないだろう?木偶の坊を相手にするのは、上等な悪とは言えないねぇ」
「は、はぁ...」
誰も、蝉原には逆らえない。今はただの親の七光かもしれないが、いずれ咲く、悪の蕾。
「ははは、面白い中学生活になりそうだ」
蝉原は無邪気に笑った。無邪気に、無邪気な、それでも瞳の奥は笑っていない、そんな悪魔のような顔をしていた。