〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
中学生に上がるタイミングだった。ようやく、キムロとの縁が薄くなる...そう、喜んでいた時だったんだ。
父が破産した。
聞いた時、は?とまずなり、その後に、なんで?とハテナが無数に浮かび続けた。
家族会議が開かれた。
私は今の今まで知らなかったが、ムラサメ父さんはIT関連の仕事をし、それを用いて株をしていたらしい。そして、今回、信用買いまでして持っていた株が大暴落した。
意味がわからない...お前田中だろ?なら株で失敗するなんて、しかも大損コクなんて...そんな...
私は明確に、なんらかの思惑が働いているとしか思えなかった。
「みんな...すまへん...ほんま、すまへん...こうなるはずは、なかったんや...」
ムラサメ父さんはそう項垂れるだけだった。シウ母さんはそんな父を必死に慰めていた。
私は、そんな様子を見ていた。隣にはシグレもいる。
シグレは唖然とした表情で、その光景を眺めていた。
私は、株をして失敗する事は、イジメられた時と違って、『不運』だとは思わない。だって、実力の世界だと思うから。
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何か不気味な歯車が動いている事を感じてならなかった。そうして、思い出す。いや、考えていなかっただけだ。今まで、この学校環境だからこそ、この家庭環境だったからこそ、考える暇がなかったのだ。
それは、『原作』の記述にあったこと。
『あ、えっと、じゃあ……田中時雨です。親が去年、二人とも事故で死んじゃって、で、父方の伯父さんに引き取られて……『金は出してやるから勝手に生きろ』って言われて、だから、一人暮らししてます。学校では……ハブられてます……ご清聴ありがとうございました』
この時のシグレの年齢は16歳...つまり、『運命』通りに行けば、私たちのこの家庭は後数年、いや、3年で崩壊する。
...もしかしたら、もう崩壊しかけているのかもしれない。それが、今回、前兆なのだとしたら...
私は...どうすればいい?
もしも、バタフライエフェクトのように、書き換えられる運命なら、それでいい。私が生まれた様に、なんらかの差異は世界に発生しているはず。運命は変えられる。
だが、センの異世界転生のように、決して逃れられない、そう、
『運命のアリア・ギアス』の場合は、一体どうすればいいのだ。
『運命のアリア・ギアス』。それは、逃れられぬカルマ。変えられない、決められた瞬間、全てが決定してしまうコトガラ。だからこその『運命』...
もしも、それが働いていたら...?
私は...私は...
『運命のアリア・ギアス』となったら...話は別だ。
私は行動を起こす事にした。
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「んで、なんでワシん家きたん?」
「折行って頼みがある」
私は、究極の天才。田中トウシに、『原作知識』を用いて連絡をかけた。まだ、田中家の人たちでもトウシの本当のエグさには気づいていない。
幸い、家電...連絡先だけは田中家の集会で交換してある。
親にも姉にも、迷惑はかけられない。これは、トウシ...究極の天才と、もう一人の『万能の天才』、そして私だけで解決してやる。
私は頼んだ。
「『運命』を殺してくれ」
【私の存在を忘れたふりをして、いや、実際忘れたのかな?それにしても、親戚に連絡かぁ...ははっ、信用されてないなぁ...いじけちゃうよ。『運命』の扱いには長けてる自信があるのだけれど。まあ、だからこそ、言えるけど、今回の事は決して『運命』ではーーー】