〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
私は中学生となった。そして、とうとう...
「閃壱番って名前だって...」
「うわぁ...それって本当に名前なのか?エグい名前だな、キラキラネームの体現者じゃねえか。平成の敗北者だな」
私は、『センエース』と一緒の学校になった。
勿論、キムロも一緒だ。だが、最近のキムロは誰かにビクビク怯えているように見えた。なんだかんだで6年一緒に過ごしていたのだ。様子の違いなんてよくわかる。
さて、これから私はどう言う行動を取るか。
(...もう、目立つのはうんざりだ。中学を機に、私は変わるんだ)
そう、もう諦めたのだ。キムロに、『悪』に立ち向かうのは。
元々、複数の小学校が合併してこの中学校は成り立っている。その中で、多少私の事を知っている者がいても、大人しくしていれば、いずれは闇に消されるだろう。
それに...私の予想通りなら...
(中学からは、蝉原が本格的に活動するはず...それをうまい具合に乗り過ごせば、私の影はどんどん薄くなる...)
そう、蝉原の活躍である。センエースにすら憧れを持たせる男の活躍。彼はその悪の花を存分に咲かせる事だろう。
(...『悪』か...)
物語で見ている分には良かった...だが、ここは現実なのだ。殴られれば痛いし、行動には恐怖を伴う。
(もう私は...前に出ない)
あとはもうセンに任せよう。蝉原の処理はセンにもどうしようもないかもしれないが...
(センでもできないことを、私に求めるなって話...)
そう、端的に言えばこうなのだ。センエースにできないこと、つまりは不可能は、文字通り不可能で、私にどうすることもできないのだ。
そうして、私の心は闇に沈む...
(セン...ああ、センエース...この世の不条理や胸糞を全て解決してくれる。この世が望んだヒーロー。あとは頼んだよ...)
そうして、一年が過ぎた。
センエースと私の交流は何もなかった。キムロの嫌がらせも、中学に入ってから完全になくなっていた。私は年長以来の平和に、胸を撫で下ろしていた。
だが噂に流れてくるのは、蝉原が活動を始めたと言う事だった。
全校生徒から毎月1000円の徴収を要求してきたり、女子を囲っていて、『そう言う事』を繰り返しているだとか。
そう言う、ヤクザ然とした行動を取り始めていた。
中学2年生になった。
私は、センとは同じ教室にはならなかった。キムロとも同じ教室にならなかったのは温情だろう。あいつは...『悪』は、恐ろしいのだ。
私の心は既に、『悪』に支配されている。もう、怖くて怖くて仕方がないのだ。
そうして、その日も影薄く、過ごしているときだった。集団リンチを受けてしまった子を目にした。事後であったためかどうしてか、私はつい動いてしまった。
「大丈夫か?怪我...してない?」
「う、うん...大丈夫」
私はその子の心配をした。助けられなかったくせに、何を心配だと内心自嘲する。
「一応、保健室まで連れていくよ...」
「え!そ、そんなの本当大丈夫です!」
「私はお前を助けられなかった...私のせめてもの贖罪だと思ってほしい」
私はただ自己満足のために、その一個下の後輩を利用した。クズだ。
だがそうして、私と彼女には、奇妙な出会いが生まれた。
「君の名前はなんて言うの?」
「わ、私の名前は河内です。河内不知火です」
【なんでモブ面のセンエースにそこまで期待するかねぇ...まあ、それが原作知識を持っているキミの判断か。と言うか主人公らしいからなぁ...あんなモブ面なのに】