〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
特に友達と言った友達もいなかった私は、カワチとよく遊ぶ様になった。
カワチはさまざまな事に熱心な子だった。
「ムラハネ先輩!これってどう思いますか?」
「それは...まあいいんじゃない?」
「じゃあこれは?」
「それも...まあいいんじゃない?」
「全部一緒じゃないですか!」
「いや、私にファッションセンスはないからさ。親戚にはいるけど...」
今はデパートで買い物をしている。カワチは家が貧乏であるものの、自身でお金を貯める術を身につけ、頑張っている様だった。
そんなところも、彼女を見捨ておけない理由だった気がする。
「勉強の調子はどうだい?」
「あ、ムラハネ先輩...実は、ここの式が...」
「あー、これね。確か置き換えしてから...そう、その形になっただろう?そうしたら後は因数分解すると、解の形が...そう。そうすると、あとはこの数字しか出てこないことないか?」
「すごい...その知識って何処から出てきてるんですか?」
「一応、今の解き方は高校数学の範囲だからね。中学ではやらない。中学範囲で解くとちょいと複雑になるけど...」
私は後輩ができたと言えると思う。彼女が特に熱心だったのが勉強だった。どうやら、いい高校、大学に行って親を楽させてあげたいとのことだった。
...すごくいい子だ。
「ムラハネ先輩ってやっぱり頭良いじゃないですか。どうしてそんなに自分を卑下するんですか?」
「まあ、私はズルしてる様なもんだし...」
実際、私ってもう精神年齢的に言えば30代だ。そして、ムラサメ父さんからの指示で、そこら辺の塾には暫く通っていた。
それに、前世の影響が大きい。前世の私はまさしく受験戦士だった。高校範囲までだったら全て抑えていたし、中学数学もそれを応用、元から覚えているもので適応可能だ。
「学力にズルはありません!実力です!」
「そうだと良いんだけどねぇ...」
この世界の場合、明確に才能というのが分かれている。私は生まれてからこのかた親戚を見てしまったせいで、学力が平等であるとは、最低でもこの世界では思えなくなった。
極端な例だが、私は受験期、13時間勉強していた。だが、模試では偏差値70がギリだった。だが、トウシが13時間あれば、コスモゾーンをハック出来るだろう。
この世界では、学力は平等ではないのである。少なくとも、飛び抜けた天才が実在するのだ。
「カワチ、お前は偉い」
「え?いきなりなんですか...」
「だから、私も君を応援するよ」
「ちょ、なんですか、急に...」
「こんなことが続けば良いなって思っただけだよ」
イジメも『悪』もない。そんな世界こそ、カワチにはお似合いだなって思った。
【...幸せそうだなー】