〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
それから、私はなんとか復学した。病院は何件も掛け持ちした。眼科、産婦人科、精神科...とにかく沢山の病院にかかった。
復学したのは中2の秋ごろだった。これでも、相当頑張って復学した方なのだ。
...自殺しなかったことを褒めて欲しい。人は一人、殺してしまったかもしれないが。ははは、はははははははは!!!
......だが、これで原作で明かされていた第一アルファでの中学イベントは大体終わっただろう。後は時を待つだけである。そうすれば、全てが解決する...わたしの片目だって、【神の慈悲】で回復できる。
神センにおねだりして、なんとか治して貰えばいい。
両親の事故も、もうそろそろ起きる可能性が高い...刻一刻と、時間は迫ってきているのだ。
そうわたしが考えている時だった。
「あいつ、蝉原の取り巻きにマワされたらしいぞ」
「うげぇ、俺だったら自殺してるね。まあ男だからよくわからんけど」
私の存在は噂になっていた。もう目立つつもりなど、毛頭なかったのに。まあ、普通に考えてあれだけことだ。噂にもなってしまうだろう。想定通りだ。私はあの子を救えて良かったと、心から思う。
これで、『ミカン』が誕生してしまうフラグは折ってしまった訳だが...だが、転生することが、いや、痛みを負わせることよりも原作を優先することが、今の私にはどうしても出来なかったのだ。
私は、この世界に来て、『痛み』を知ってしまった。それは、この世界で生きているって証だ。だったら、私にも何かをする権利があるはずなんだ。
あの子は救われた...だったら、私は、それだけで......
噂に囲まれながら、今日も帰路につく。
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高級食亭で、蝉原とユズは語り合う。
「ふーん、ムラハネちゃんねぇ...」
「あいつ、マジでキモ過ぎ。蝉原、アイツ殺してくれない?自分で死ぬ勇気もないっぽいからさ」
「あはは、それもいいかもしれないね」
「チッ、その言葉はしない時の言葉だ。つまんないの。あーあ、本当、このゴミみたいな世界...キモい奴、うざい奴が多すぎる」
「そんなこと言わないでよ、ユズ。この世界だって、たまには良いことが起こるもんさ」
「...もしかして、身代わりに出された奴のこと言ってる?死ね」
「はっはっは。彼女はレイプされる前提で来たのは確実なんだろ?実に健気で、美しいじゃないか」
「きっも...ユウゴ、たまにそういうとこあるよな...」
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「ムラハネって奴がヤバいらしいぞ」
「ああ、あのマワされてアイスピックで目を刺されたでお馴染み...なんか、本当なら別の人間がターゲットになっていたらしいぞ」
「んなわけないだろ。んじゃあマワされることわかっていて、身代わりになったってことだろ?そんなのできる人間、いねえよ」
「まあだよな」
「...」
センは、他教室で起きたことをよくは知らない。だが、その噂は大きく膨れ上がっていた。聞く気はなかったが、センは聞いてしまった。休み時間が暇すぎて、お供のバナナオレだけでは飽きてしまったのだ。
(ムラハネね...もしもお前が噂通りの人間だったらーーー
ーーー俺はお前を尊敬するね。まあ、俺に尊敬されたところで、だからなんだって話だが)
センはなんとげなしに、そう思った。