〜虚弱田中に転生〜『原作知識チートがチートじゃない世界で【恐ろしすぎる大魔王・蝉原勇吾】と相対する話』 作:楓舞星
葬式が行われた。
来た人はほとんどいなかった。
私は様々な忙しさを前に自身の感情に今まで気付いていない振りをしていた。だから、この際、沢山泣いた。泣いて、泣いて、泣き止んだあとだった。
「ムラサメの奴から預けでを貰っている。金だけは出してやる。勝手に生きろ」
ひどくめんどくさそうな顔をしてきたのは、ムラサメ父さんの兄、シュウメイだった。
私は田中家の集会でちょこちょこ会っていたが、シグレはほとんど初見だろう。
シュウメイのその言葉に、ピクリと耳を動かしたのはシグレだった。因みにもう受験は終わっている。あれだけ猛勉強していたのだ。受かっているだろう。
「...どこまで父さんと母さんはシュウメイさんに伝えとったん?」
「さあな。俺が知っているのは、未成年後見人になってくれと頼まれたぐらいだ。アイツが何も言わずに死んだとて、保護者には俺が選ばれていた事だろう。それにもかかわらず、俺に態々頼み込んだということは、それだけの理由があったということだろうな」
シグレは、シュウメイがまともに答えるとは思っていなかったのか、目をぱちくりさせている。
「...そうか。自殺の理由は結局、誰にもわからんままか...」
「そうなるだろうな。死人に口なしだ」
シグレが気になっている事。それは両親の自殺の理由であった。当然だろう。シグレからしたら、両親がいきなり死んだようにしか見えない。
それにしても、シグレは落ち着いているように見えた。それに、シグレは泣いていなかった。なぜだろう?悲しくないないのか?私たちの、ムラサメ父さんとシウ母さんが死んで。
私は腫れぼったくなった目でシグレを見て、聞く、
「シグレ姉さん...どうしてそんな落ち着いていられるの...?人が、死んでるんだよ?」
その言葉に答えたのは、シグレではなくシュウメイだった。
「俺たちの家系、田中家では、両親が死ぬ、いなくなるなど『よくある』話だ。そして、そもそも『人の生き死になどどうでもいい』と思っているのが家系の特徴としてあげられる。それだけの話だ」
シュウメイは至極冷静に答えた。
「シ、シグレはそうじゃないよね...?」
私は内心は落ち着きながら、それでも体は正直なモノだから、焦って聞いた。
「あたしはーーー
ーーー特に何も感じてはいない」
そう、答えたのだった。
「いや、死の嫌悪感みたいなのは感じ取るんやけど、なんというか、自殺やったらしゃあないか...みたいな感じやな。うん。あたし達はしっかり恵まれた家庭やったし、母さんは...まあ、あかんよりの人やったけど、父さんはしっかり者やった。なら、理由はどうあれ、本人達は納得しとったんやろ...なら、死に対してなにかを思う理由はない...とあたしは思う」
私は内心ではシグレはそう思うだろうと納得してしまった。
納得、してしまった。
言おうか迷った。本当は『運命』によるモノであると、それが理由の理不尽な自殺なのであると、言おうと思ったが、私はそれをやめた。当然の理由だ。なぜ、わざわざ悲しむ人を出さないといけないのか、わからなかったから。